今夜の夜想曲は、オルタードイメージの「シンキング・アバウト・ユー」を選んだ。
「君を想う」。
■Altered Images 「Thinking About You」■
オルタードイメージに初めて出会ったのは、渋谷陽一さんのサウンドストリートだった。
女性ヴォーカルと数人の男性というユニットはよくあるケース。
そして、その中で、そのユニットを魅力的にさせ、特徴付けるのは女性ヴォーカル。
初めて聴いた頃は、まだ自分にもキャピキャピした音が聴けた頃だったが<などと言いつつ・その間は2年位しか離れていないが>、クレアちゃんのヴォーカルが容姿含めて飛び跳ねていた。
クレアちゃんの原色派手派手な格好とヴォーカルは、後の戸川純やシンディ・ローパーに繋がっていく。
1983年8月に発売された「BITE」というアルバム。
日本盤の邦題は「モノクロ・ムーヴィー」。
そのジャケットで、クレアちゃんが全く180度ガラリと変わった様にまずは気づく。
元々、素顔はキレイな顔立ちをした可愛い子だったが、ここではオードリー・ヘップバーンを模している。
この「BITE」のジャケットを見るより前に、ボクは先立ってシングルカットされた「ラヴ・トウ・ステイ」を幸宏のオールナイトニッポンで聴いた。幸宏「ボク、クレアちゃん好きなんですよねえ。」かたちんば「ボクも!」
トシ矢嶋さんがロンドンから幸宏あてに送っていた新譜。
(後に、細野さん・幸宏が言っていた。
トシさんが当時最新のオススメ曲を集めたカセットを、ロンドンから定期的に送ってくれたものに、大いに刺激を受けた、と。
そして自分らの音楽の方向性にも影響した、と・・・)
雰囲気が変わって、オトナのムードを漂わせた曲「ラヴ・トウ・ステイ」。
とても、ゆったりした曲調が美しい。
AMラジオからカセットに録音したものだったから、音質はそれなりだったが、何度もこの曲を聴いた。
その後、FM東京の夕方「(確か?)軽音楽をあなたに」で、Bー52’Sの「ワーミィ」、キッド・クレオールのコーティ・ムンディのソロなどと一緒に、4〜5枚のアルバムが紹介されて、全部録音した。
「BITE」からは4曲くらいだったと思うが、全体にゆるやかな揺れる音の様に酔った。
後にアルバム全曲を聴いて、まだ過去のキャピキャピ感残る曲も入っていることを知るが、ジャケット写真と静かな曲のイメージが圧倒的に大きくて、すっかり惚れ込んでしまった。
1983年の秋は、このカセットテープで「BITE」の美しい曲たちを聴いていた。
このアルバムは、真逆のイメージを打ち出すことで聴衆を引き付けようとするプランに沿ったものだったが、それでも自分はまんまとそのワナに喜んでハマって「ああ、良い曲やなあ・・・」と浸っていた。
結果的には、このアルバムがオルタードイメージ最後のアルバムとなった。
LPレコードを持っているのに、CD化されたモノまで飛びついて買った。
一体、どこまでハマるのやら・・・、と神さまは天から嘆くだろうが、ボクはこのアルバムでのクレアちゃんの柔らかい曲が今でも好き。
たぶん、未だにこの瞬間のクレアちゃんに恋をし続けているのだ。