NHK土曜ドラマ『男たちの旅路』は、当時夢中になって見た。
何より渋くカッコ良かったのは、鶴田浩二だった。
彼自身が特攻隊の生き残りであり、それゆえのリアリティがあった。
戦後の「若者」が「どうしても許せん」と思いながらも、生きていかねばならないという葛藤を抱きながら、その「若者」役の水谷豊や桃井かおりとぶつかりながらも、お互いの距離を縮めていく・・・。
当時の、水谷豊も桃井かおりも大好きな役者さんで、一番無骨であるから輝いていた時期だった。
特に、桃井さんには、あの他には居ない存在感・けだるさの魅力には取りつかれてしまい、「恋」してしまった。
当時の桃井かおりは(今もだが)キレイだったなあ。
日本テレビで、「ちょっとマイウェイ」というドラマが同時期あったが、その中での、桃井さんのコック姿の可愛さが、今もココロに焼きついている。
しかし、なぜあんな面白いドラマが未だにDVD化されていないのか?
それには、憤慨している。
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『男たちの旅路』は、山田太一の脚本だったが、どの回も素晴らしかったが、特に、みんなの記憶に深く残っているのが、「車輪の一歩」という回では無いだろうか?
障害者という問題を、真正面から捉えながら、どうあるべきかについて、問題を投げかけた重要な名作だと思う。
★「車輪の一歩」(ウィキペディアより引用)
脊髄損傷による身体障害者(車椅子)の女性は母親の監視の元、自由に外に出ることが出来ない。
そこに同じく身体障害者(車椅子)の男性6人が女性に対して「外に出ようじゃないか」と誘いかける。
女性はためらいつつも、一緒に外に出るが線路で車椅子がはまってしまい抜け出せなくなる。
遮断機が降り、すんでのところで女性は健常者に救出されるが失禁してしまう。
主人公がお詫びがてら、母親に謝るが母親はそっとしておいてください、とつっぱねる。
女性は「母に逆らいたくないわ」と言うが主人公は「君はそれでいいの?」と問いかける。
ある朝ついに女性は皆の見守る中、駅に行き「誰か私を(階段の上まで)上げてください」と助けを求める。
斉藤とも子、斎藤洋介、京本政樹らが障害を抱えながらもひたむきに生きる青年の役を好演。
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近時「セックスボランティア」という本がヒットしたが、この話の中でも、斎藤洋介が「女性とセックスがしたいんだ」と言い、母親の了解を取り、ソープランド(当時は「トルコ」)に行くが、思いを果たせず(断られた)家に戻って来る。
落ち込んだ彼に、母は「楽しんで来たかい」と風呂越しに言うが、彼が泣きながら「すごく良かったよ」というシーンに、つい、自分も感極まった想い出があります。
今では、バリアフリーだの、障害者のための措置もしっかりしてきましたが、当時は、ひどい扱いを受けていました。
でも、そんな中でも、引きこもらずに、みんなで「一歩」を外に向かって踏み出そう、という勇気に、感動を覚えました。
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上記のYOUTUBEは、その「車輪の一歩」のシーンに流れる、ゴダイゴの「The Sun Is Setting On The West」という曲。
当時、ゴダイゴの「OUR DECADE~70年代 僕たちの時代~」というアルバムを、カセットで買って愛聴していたが、そのアルバムに、この曲は収録されています。
最近、やっとCD化を望んでいた、この『男たちの旅路』のサントラ(音楽:ミッキー吉野)もCD化が実現!!!
『男たちの旅路』のDVDともども、若い人には是非見て・聴いて欲しい。
今の地上波のくだらないドラマ見る時間あったら、是非、こういう「生きるという現実」に根ざした素晴らしいドラマを見て欲しいと思っています。