Blog: Sato Site on the Web Side

「幻滅のたびに甦る期待はすべて、未来論の一章を示唆する。」(Novalis)

ノシロナオコ

2007年04月20日 | Weblog
ノシロナオコ×池田光宏「a CHAIR by the WINDOW」(@中野区、RAFT、4/19)

小さなギャラリー、10人弱の観客。高さと幅が180cmほどの白いスクリーンが床の高さから垂直に立っている。そこに裏から照らされ七色の光が回る。その裏にノシロナオコは椅子と登場する。ムーヴメントはきわめてミニマル。椅子に凭れて腰が落ちる、とか、横倒しの椅子にのってじわりと体を変化させるとか。何分、シルエットなので、こちらの得るものも限定されている。三十分くらい経つと、その「与えなさ」が面白いかな、と眠る代わりにチラと思わされるが、どうなんだろう、結果として(四十分ほどの作品)。椅子との関係において、タスクな縛りは乏しい、だから身体は自由を得る。となるとその分、身体の自然が運動を発生させることになる。その自然は、観客をおどろかせたり、不意打ちを掛けたりは決してしない。はっとする時間もはっとする空間もないまま、「出」と「入り」の間だけがわずかに、その貧しさを与える図々しさとともに、観客に興味を抱かせる要素になる。なのだから、2時間くらい延々とやって、その真ん中だけを観客に味合わせるみたいにすればいいのに、と思った。初対面の当人にそう恐る恐る告げたが、あまり反応は良くなかった。

Chim↑Pomインタビュー

2007年04月20日 | Weblog
月曜日、多摩美術大学での初めての講義を終え、高円寺へ。彼らの所属する無人島プロダクションの小さな空間に、Chim↑Pomの6人全員が集まってくれた。話はとても面白かった。そして何度も感涙しそうになる。ぼくはインタビューが凄いヘタなので申し訳ないと思いながら2時間ほど丁寧に話をしてもらった。この二日後に、メンバーの一人がカンボジアに行き地雷を撤去するという。紅一点のメンバーEriが、ダイアナ元妃好きで、ダイアナが地雷撤去するなら、セレブを目指す私たちも当然しなきゃと言うことらしい(!?)。もちろん、行くのはEriではない。彼女のわがままに従うというのは彼らの大事なタスクになっているのである。詳細はアレだが、作品の一部になるようだ。無事五体満足なまま帰国することを祈る。

たまたま最近『美術手帖』を辞めたAさんも無人島に遊びに来ていて、近くの居酒屋でみんなで飲む。Aさんなんかさっぱりした顔してて良かったな。くらくらしたふらふらのところしか見たことなかったから。

デュマス、ウィンター、中平

2007年04月20日 | Weblog
火曜日に、Aと美術館巡りをした。今年の二人のテーマは、美術を極める(!?)。2週に一回は必ず美術館巡りをすることにした、その第一回。午前中、東京都現代美術館にてマルレーネ・デュマスの「ブロークン・ホワイト」展を見る。タイトルの意味は清純の喪失ということらしい。そういうところにもあらわれるように、どうもフェミニズム的なバイアスのかかった作家らしいのだけれど、ぼくはそんなことは関係なく面白いと思った。写真を用いて人物の主に顔を描いているんだけれど、なぜ、写真を元にした絵だと思ってしまうのかが不思議だった。スーパーリアリズムではない。油絵の具のマテリアルが強く残った画面。それでいて、写真的なリアリティが不思議にもある。写真的なリアリティは、被写体の表象というよりも痕跡を感じさせるところがある。当人が現にこの世に生きている(生きていた)その痕跡を残したものとしてこの絵がある。ぼくはそんなことを思いながら、同時に手塚夏子の「トレース」のことを思い浮かべていた。トレースとして映像を描く、映像を踊る。「トレース」のことを考える素材としてデュマスとしばらく付き合ってみようと思う。

その後、歩いて深川を通り抜け(食いしん坊のぼくたちが黙って通り抜けられるはずはなく、しばし深川丼を賞味して)、Tomio Koyama GalleryでTerry Wintersを見る。ミニマルなんだけれど静的ではなく破壊とか崩壊を感じる作風。面が好きみたい。ドリアンみたいな多面の立体を描いた過去作品もあった。あとこのギャラリーのあるビルの他のギャラリーでは、中平卓馬展をやっていた。横浜図鑑。光、まぶしがる目、ネコ、浮浪者。

本当は、ここから山本現代でできやよいをみて、さらに六本木界隈にも行き、さらにさらにミズマアートギャラリーへも、という予定だったが、二時から上智大で研究会があったので、四谷へ。

この日はとても忙しく、さらに四時から新宿で打ち合わせ。ある建築系の雑誌に論考を書く、あらためて編集の方と打ち合わせ。25~30枚くらいで、もし40枚くらいになりそうだったら連絡してくれ、と。そんなアバウトなオファー初めてだ。雑誌は本当にいろいろだな、と思う。大学も本当いろいろ、だし。

その後、Aと合流。新宿のやすべえで夕食。