Blog: Sato Site on the Web Side

「幻滅のたびに甦る期待はすべて、未来論の一章を示唆する。」(Novalis)

wonderlandに「吾妻橋」

2007年04月05日 | Weblog
先月の吾妻橋ダンスクロッシングについてwonderland誌に書きました。
プリコグの協力で写真が追加されたということなので、すでにお読みの方もご一読頂けたら幸いです。

アメーバ化したぞ「吾妻橋」

ところで、帰国後メールチェックしていたら、ある友人から「これを見よ!」とあった。んー、飛行機の中で「石原優勢、浅野続く」といった新聞の一面を見た時、がっかりした気持ちが、少しだけ晴れた。外山氏、肩書き「ストリートミュージシャン」だったよな。しらねえぞ、誰だろと思っていたら、こんなことに。ちなみにぼくは同い年。経歴を見ると見事に「オザキ」世代を体現してもいるのだな。
MellowMoon
ロボ山恒一

新宿ロフトは歌舞伎町

2007年04月05日 | Weblog
昼間、スカパー!の工事さんが来てアンテナを付けてくれた。新聞をやめて代わりにシアター・テレビジョンを見ることにした。4千円から1680円へ。今月は、五反田団「さようなら僕の小さな名声」、庭劇団ペニノ「ダークマスター」、あと劇団鹿殺しやイキウメも見られる(あと、入って20日間は他のチャンネルも見られるので、WOWOWのNODA Mapの「ロープ」もチェックしよう)。それにしても、インターネットもそうだけれど、チェンネルを回していると、自然にアダルトチャンネルになってたりする。これ、かわいいお子さんがいる家庭ではどうしているんでしょう。「絶頂!」とか「悶絶!」とかそんな言葉にやたら詳しくなっちゃうじゃん。

昨日は、バリのビデオをDVDレコーダーにrecしている間に時間が過ぎ、夕方、Aと一緒に新宿ロフトへ。場所が分からずしばし戸惑う。なになに、歌舞伎町なの(八周年記念と言うからすくなくとも十年くらいは来ていなかったんだなー)?

<SHINJUKU LOFT 8TH ANNIVERSARY「ELECT ON!!VOL.2」>
OPEN 18:00 / START 18:30
ADV ¥2000 / DOOR ¥2500
Qomolangmatomato/おとぎ話/METALCHICKS/Conti/nhhmbase

5組のバンド。全部初見、で全部面白かった。正直、演奏は後の組になるにつれ上手くなっていったのは事実だけれど、そして当然それに応じて観客にアピールする力が向上していったのも事実だけれど。あと興味深かったのは、最初の二組(A)が歌つきのバンドで、後の三組(B)は、ラップというかシャウトというかそういうものはあっても、歌のバンドではない(nhhmbaseは歌の要素も多分にあるのだけれど)、しかし後者の方がはるかに見ていて聞いていて心地よいというか、こちらの感覚にフィットすると言うこと。簡単に言うとこういうことか、

    A            B
歌=叙情性・表現性 → インスト=音楽性・感覚的
(主観的・物語的)   (客観的・プロセス重視)

ってことは、美術史で言うところの60年代初頭の境界線、つまり表現的な絵画からプロセスを重視するミニマルな絵画(美術)へという移行と共通する境がここにあるということなのか。とはいえ、Aにもミニマル=アヴァンギャルドの要素はあり、例えば、歌ものバンドのどちらもボーカルは観客の側に飛び込み、観客との間の敷居をまたごう、曖昧にしよう、出来れば消去したいと試みている。ただし、それは飛び込めば消去出来る類のものでもなく、周到な作戦を要するものだろう、裸なアピールは、観客を引き込むと言うより引かせてしまう。

で、もうひとつ興味深かったのは、ここにこうした軸をもうひとつ設定出来ること、

   A        B
メロディー重視 → リズム重視
(ギター)    (ドラム)

メロディーは、ひとを感情でつなぐところがある。が、それよりもこの場所で機能的だったのは、リズムの反復。後半の三組、主役はほとんどドラム(おとぎ話のドラムもポツドールで毎回さえないいじめられっこ役をやる背の高い男に似てブサイクで、彼がもんどり打ちながら前のめりで叩く感じは表現的で面白かったけど)。Metalchicksはバッファロー・ドーターのギタリストが、Contiはシタール奏者が、球数の多いドラムに応戦するどちらも2人組。Metalchicksは、ヘヴィーメタルの快楽原則をひたすら追求していく。単純で正直。どんどん踊らされてしまう。Contiは、シタールという楽器の性格に適度に合わせ適度にずらすドラムの連打が見事で、しかもときどき2人はラップのような早口を複雑な演奏に乗せていく(2人は、演奏後のMCもひたすら早口で若手芸人みたいでその軽妙さと、楽器のセッティングのエキゾティシズムとかにギャプを感じちゃうのはぼくがオッさんだからで、実はそれらはナチュラルに繋がっていた。それにしても曲の間に2人が同時に別々のこと話すという余興を30秒くらいしていたのだけれど、よかったなー)。

そんで最後は、nhhmbase。やっばりすごくよかったでした。上記してきたこと(軸)を見事にぶち破り(混ぜこぜにして)、インストのプロセス的つまり即興的スリルはありつつも、十分に情感的で(時折歌も「聞かせる」し、キーボードも効果的に感情を煽ってくるし)また景色を想起させる想像力に満ちた演奏でした。メンバー四人の関係が、実に正直に演奏になっている感じがとくによかったな。積み上げ崩して、追求しつつこだわらず。たっちみたいなベースのパフォーマンスが印象的だった。

ところで、nhhmbaseをはじめ、見応えのあるラインナップだと思われる今回のイベント、にもかかわらず観客は50人くらい。なんでだろ、ライブ・バンドは演奏回数多いから、客がばらけるのか、あるいはファンというものが以前の(例えば、90年代のバンドブームの頃の)ように形成されていないということか。とはいえ、視点を変えると、コンテンポラリー・ダンスの公演で、観客60人では少ないとか考える必要ないかも、という気持ちにもなった。いま、どんなジャンルでも状況はさほど変わらないのだ。すべてがマイナーなトライアルというかサヴァイヴァルを余儀なくされているのだ。nhhmbaseなんて本当によいグループだと思うのだけれど、ね、ダンスとか演劇とかに興味あるひとも、一度足を運ぶことを勧めます、よ。