かえるネット木津川南

大阪市南西部で活動する日本共産党の青年後援会のブログです。

経営責任を労働者に回すな

2010-12-24 18:31:17 | 労働・雇用

日航「整理解雇」の異常

経営責任を労働者に回すな


 日本航空は、パイロットと客室乗務員202人にたいして12月31日付で解雇することを通告しました。これは「整理解雇の4要件」という重要な雇用のルールを崩すという意味でも、国民、利用者が願う安全・安心の運航に重大な障害をつくるという意味でも絶対に許されません。整理解雇の撤回を求めるたたかいは国民的な意義をもっています。


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(写真)整理解雇の撤回を求めて宣伝する客室乗務員と支援者たち=11日、東京都内

「4要件」を満たさない

全労働者にかかわる問題

 整理解雇とはどういうものか。労働問題の担当官庁である厚生労働省の見解をみてみます。ことし9月に発行したパンフレット『知って役立つ労働法 働くときに必要な基礎知識』で、次のように定式化しています。

 「使用者が、不況や経営不振などの理由により、解雇せざるを得ない場合に人員削減のために行う解雇を整理解雇といいます。これは使用者側の事情による解雇ですから、次の事項に照らして整理解雇が有効か否か厳しく判断されます。」

 こう説明して以下の4点を示しています。

 (1)人員削減の必要性

 人員削減措置の実施が不況、経営不振などによる企業経営上の十分な必要性に基づいていること

 (2)解雇回避の努力

 配置転換、希望退職者の募集など他の手段によって解雇回避のために努力したこと

 (3)人選の合理性

 整理解雇の対象者を決める基準が客観的、合理的で、その運用も公正であること

 (4)解雇手続きの妥当性

 労働組合または労働者に対して、解雇の必要性とその時期、規模・方法について納得をえるために説明を行うこと

 これがいわゆる「整理解雇の4要件」です。この基準を満たしているかどうかで、整理解雇が有効か無効かが判断されます。

 日本航空の整理解雇は、厚生労働省が示しているこの基準をまったく満たしていません。それどころか解雇の必要性がまったく存在しないことが明白になっています。

 日航は、会社再生のための人員削減目標を1500人に設定していました。それが3次にわたる希望退職募集で応募者が1700人を超えました。希望退職が目標を超えているのに、なお整理解雇という手段をとるのは異常です。

 日航は、「稼働ベース」という計算式を持ちだして目標に達していないと主張しています。「稼働ベース」とは必要人員を確保するさいの計算式であって、人員削減のコスト計算に用いるものではありません。休職者や深夜勤免除者などを「0」とか「0・5」などと数字化し、存在を無にしてしまうひどい主張です。

 しかも日航は、整理解雇で人員削減しなければ経営が成り立たない事態からすでに脱しています。今年の4~10月の営業利益は1327億円になり、当初250億円としていた年間目標を大幅に上回っています。

 解雇の対象者も、機長は55歳、副操縦士は48歳、客室乗務員は53歳と年齢で人選しているのは明らかに年齢差別です。整理解雇という最悪の事態を回避するために労働組合が提案したワークシェアリング(仕事の分かち合い)の検討も拒否し、再就職先の確保の手立てもつくさず、労働組合の合意をえようとする姿勢もまったく見られませんでした。

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(写真)整理解雇の撤回を訴える日本航空キャビンクルーユニオンの組合員=11月27日、東京都内

“勝ちとった成果”

70年代から全国で闘争

 「整理解雇の4要件」は、労働者の長い間のたたかいでかちとった成果です。

 オイルショックがあった1970年代半ば以降、大企業を中心に不当解雇があいつぎ、全国で労働者、労働組合が撤回闘争に立ち上がりました。このなかで裁判に訴え、解雇を規制する重要な判決をかちとってきました。

 たとえば企業の解雇権を規制する重要な判例として、最高裁が75年に「客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当として是認することができない場合には、権利の濫用(らんよう)として無効になる」という判断を示しました(日本食塩製造事件)。

 さらに「客観的に合理的な理由」「社会通念上相当」という場合の基準は何かという問題で、東京高裁が79年に、▽人員削減に必要性があるか▽解雇を回避する努力をしているか▽解雇対象者の選定が客観的、合理的か―という3点の基準を示しました(東洋酸素事件)。

 これが整理解雇の要件として、その後の多くの判例に影響をあたえてきました。その後、いきなり整理解雇という手段に出た事件で、最高裁が83年に、「やむをえない事情などを説明して協力を求める努力」をしないのは「労使の信義則に反し、解雇権の濫用として無効である」という判断を示しました(あさひ保育園事件)。

 こうしたたたかいで「整理解雇の4要件」が政府も企業も無視できない「法理」として定着し、これを満たさない解雇は無効とされるようになりました。沖電気、池貝鉄工など多くの争議が職場復帰を実現しています。

 日航のように経営が破綻し会社更生法のもとで再生中の企業には「整理解雇の4要件」は適用されないという議論がありますが、これは通用しません。名古屋地裁で05年に、たとえ再生中であっても整理解雇法理は適用されるという判断が示され、07年に最高裁で確定しています(山田紡績事件)。

 日航が強行した整理解雇は、こうした労働者のたたかいでかちとってきたルールをふみにじり、空文化しようとする攻撃です。労働者、労働組合全体にかけられた挑戦とうけとめ、これをはね返す大きなたたかいが求められています。

破綻の原因は航空行政

米貿易赤字縮小の標的に

 日本航空の負債総額は約2兆3000億円に上ります。赤字の根本には、政府による誤った航空行政のツケを背負わされてきた問題があります。

過大な設備投資 米機大量購入

 まず、過大な設備投資の問題です。これには日米間貿易不均衡解消を目的とした米国からの航空機購入の圧力を指摘しないわけにはいきません。

 「双子の赤字」(貿易赤字と財政赤字)に苦しむ米国は貿易赤字縮小のため、日本に対して公共投資を要求。これを受けて日本政府は、430兆円(のちに630兆円に拡大)にのぼる公共投資基本計画を閣議決定しました。

 日本航空はその一翼を担わされ、1機200億円以上する米国製ボーイング747型ジャンボ機を1970年以降、113機も購入させられました。

 乗客の少ない路線にまでジャンボ機を使ってもなお十分に活用できず、92年に4機を米国の砂漠に寝かせていたのが話題になりました。2009年は10機も余剰を抱えていました。

 1993年には、経営不振に陥っていた米マクドネル・ダグラス社(97年度にボーイング社に吸収合併)から、MD11機を10機購入しました。ところが、交換部品の確保などコストがかさみ、結局、わずか11年ですべて売却しました。7年しか使用しなかった機体もありました。後に、経理担当経験者が「20機購入するよう圧力があったが10機で勘弁してもらった」と認めたのは広く知られている話です。

 それでも07年から4年間で4000億円の新型機を購入する計画を変更しようとしていません。

赤字路線の強要 地方空港次々

 つぎは、国土交通省が進めてきた空港整備計画の問題があります。アメリカの要求に沿った過大な需要予測にもとづいて、全国各地に次々と空港がつくられ、狭い国土に99カ所もつくられました。

 この空港建設の資金となってきたのが、特別会計の「空港整備勘定」(2009年度、1285億円)です。財源は、世界的にも異常に高い着陸料や燃料税など、航空会社が支払う「公租公課」(負担)です。日航の負担分は、年間1200億~1700億円にものぼっています。

 日航は、不採算路線への就航も強いられ、これらが運賃に転嫁され、利用者の重い負担の原因になっているのです。

 その典型が関西空港です。発着回数を23万回と過大に見込み、2本目の滑走路まで建設したものの12万回に低迷。有利子負債だけで1兆1000億円を抱え、着陸料がロンドンの6・4倍など重い負担となっています。

 前原誠司国交相(当時)も「予算があるからと不採算空港をつくり、政治家や役所が日航に飛ばせと押し付けてきた。それが結果的に経営を悪化させた面があり、悪循環を断ち切らねばならない」(09年9月26日)といわざるをえませんでした。

 小泉内閣のもとで2000年から始まった規制緩和の影響も見逃せません。自前で整備する能力のない会社でも参入できるなどの規制緩和で、新規航空会社が高収益路線をねらって格安料金で参入しました。日航も運賃を下げざるをえず、不採算路線の補てんが困難になりました。

経営陣の放漫も重大 先物買い・事業失敗…

 日航経営陣による放漫経営も重大です。ドルの先物買いで推定2210億円の損出を出したり、ホテル・リゾート開発事業の失敗による970億円の損失、52億円を投じたHSST(磁気浮上式鉄道)を1億2000万円で売却するなど、数々の損失を出してきました。

 ドル先物買いの大損や大量のジャンボ機購入の背景には、大蔵省(現財務省)や国交省からの天下り官僚の存在がありました。

行政の歪みに是正を 利益優先で安全守れず

 このように日航の経営破綻は、日航経営陣と、長年の自民党政権下ですすめられてきた航空行政の歪(ゆが)みにこそ真の原因があります。

 前原国交相直轄の専門家チーム「JALタスクフォース」の報告書(2009年10月29日)でも、労働者について「運行現場に近いセクションにいる人々ほど、活気があり、目を輝かせて仕事をしている」と評価。賃金について、「実質手取りレベルでは、決して世間相場や同業他社に比べても高くない」と指摘し、経営破綻が労働者の責任に帰するものではないことを認めています。

 ところが、民主党政府はこうした航空行政の歪みにきっぱりとメスを入れることができません。日航再建をすすめる企業再生支援機構は、こうした破綻原因にいっさい触れず、人員削減を中心とするコスト削減と利益最優先を追求しています。「これでは航空会社の使命である安全と公共性は守れず、日航再生にはつながらない」という声が現場の労働者からあがっています。

図

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戦略核兵器削減条約を批准

2010-12-24 13:18:54 | 平和・基地問題

戦略核兵器削減条約を批准

米上院 米ロの新たな核軍縮へ


米上院は22日午後、今年4月にオバマ大統領がロシアのメドベージェフ大統領との間で調印した戦略核兵器削減条約(新START)を批准しました。ロシアと並ぶ核大国米国での条約批准は、昨年12月に米ロの旧条約のSTART1が期限切れで失効した後、新たな核軍縮に向けた第一歩となるものです。


 本会議での採決で、賛成は民主党58、共和党13の71人となり、条約批准に必要な3分の2にあたる67を上回りました。反対は共和党の26人、棄権は共和党の3人でした。

 オバマ大統領は就任直後の2009年4月、チェコのプラハで「核兵器のない世界を」と演説で主張。新STARTの今年中の批准をめざしてきました。

 新条約では、世界の核兵器の90%以上を保有している米ロ両国が核兵器の削減を透明性を持ってすすめていくもので、7年間で、戦略核兵器配備数はそれぞれ1550発以下に、弾道ミサイルなど運搬手段は800基以内にすることが主な内容となっています。

 上院外交委員長のケリー議員(民主)は、「条約の批准は、核兵器が持つ危険を遠ざけ、われわれの国をより安全とする歴史的な行為」と語り、同委員会の共和党筆頭を務めるルーガー議員も「大量破壊兵器の阻止を望む人々や科学者の意に沿ったもの。ロシア議会もすぐに批准することを期待している」と表明しました。


解説

「核なき世界」へ一歩

 「民主、共和の両党が今国会で、国の安全保障上の最重点の懸案を承認したことを歓迎している」

 オバマ大統領は22日夕、米ロの新たな戦略核兵器削減条約である新STARTが上院本会議で批准された後の記者会見でこう語りました。

 就任後、「核なき世界」を前面に出してきたオバマ大統領にとって、新STARTの年内批准は必須とも言える課題でした。

 会見のなかで、新STARTの意義について、核兵器削減に向けた検証措置も伴っているもので、信頼のおけるものと指摘。「ロシアとの(核兵器削減での)関係強化を続けることは、イランの核開発阻止や、核兵器がテロリストの手にわたることを防ぐうえでも、不可欠なことである」と、核拡散のうえでも効果的であることを強調しました。

 2009年12月に米ロの第1次戦略兵器削減条約(START1)が期限切れで失効するのを前に、オバマ大統領とロシアのメドベージェフ大統領は09年4月に後継条約での交渉開始で一致。10年4月には両大統領が調印にこぎつけていました。

 新STARTは、包括的核実験禁止条約(CTBT)や、兵器用核分裂物質生産禁止(カットオフ)条約などと並び、一連の核軍縮措置の一つです。

 ただし新STARTが対象にしているのは射程の長い戦略核の配備数だけ。両国がなお互いに数回消滅させられるといわれる戦略核の保有数の削減と、今回の条約に含まれていない射程距離の短い戦術核の削減に進むことが今後の重要な課題になります。

 国際的に核兵器廃絶に向けた交渉開始をとの機運も高まっているなか、ロシアの批准を待って発効する新STARTは、オバマ大統領が提唱する「核なき世界」の実現に向けての一歩前進でしかありません。 

しんぶん赤旗より

“教育の質 下げている”

2010-12-24 08:19:00 | 教育・学費・就活

大学予算削減

“教育の質 下げている”

三重大学長と共産党が懇談


 日本共産党三重県委員会と県議団は22日、国立大学予算削減や学生の就職問題、地域医療の問題をめぐって、津市の三重大学で内田淳正学長、野村由司彦副学長、竹田寛医学部付属病院長らと懇談しました。大嶽隆司県委員長、萩原量吉、真弓俊郎両県議、中野武史書記長、今井靖也青年学生部長が出席しました。

 大嶽氏が、政策にいかすため率直な意見を聞かせていただきたいとあいさつしました。

 内田学長は、運営費交付金が6年間で5億円以上削減されれば、教職員を減らさざるをえないと説明。「今の日本は予算を減らすことで教育の質を下げつつあります。人材育成に力を注ぐことこそが国の本来あるべき姿です」と話しました。また県委員会が事前に提出した日本共産党の大学の危機打開へむけた提案について「われわれにとって追い風になる、非常にいい内容です。ぜひ世の中にアピールしてほしい」と語りました。

 野村副学長は学生の就職活動の早期化について「3年生のうちから授業を休む学生が増え、教育にとって大きな損失です。企業が早めに人材を欲しがり、学生もそれにあわせて動かざるをえない。社会的に変えてほしい問題」とのべました。

 竹田院長は、地域の医師の偏在・過疎化への対応について、「これまで医師派遣を大学病院と医学部とでバラバラに動いていたが、それを見直し、連携して対応する体制を今年度から整えました」と語りました。

 懇談には、豊田光治津市議、釜井敏行民青同盟県委員長が同席しました。

しんぶん赤旗より

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