かえるネット木津川南

大阪市南西部で活動する日本共産党の青年後援会のブログです。

【緊急事態条項④~いま「緊急事態条項」がないのは歴史的教訓~】

2016-01-30 23:45:07 | 政治
【緊急事態条項④~いま「緊急事態条項」がないのは歴史的教訓~】
そもそも、今の憲法に「緊急事態条項」がないのは、先の戦争の教訓、歴史の教訓からです。

戦前の大日本帝国憲法は、国民主権も人権も保障していませんでした。
それどころか、憲法そのものが「緊急事態条項」ならぬ「緊急事態憲法」ともよべるシロモノでした。

8条(天皇の緊急勅令)、9条(独立命令大権)、14条(戒厳大権)、31条の戦時の天皇大権など多くの「緊急事態条項」とも呼べる内容が規定されており、戦争遂行のためによりどりみどりで政府の都合に合わせて使われました。

例えば、戦争を進める政府に都合の悪い言論や思想弾圧のための治安維持法に死刑を導入したときは、議会の審議も通さず、緊急勅令で乱暴に行われました。

その歴史的教訓から、戦後、新たな日本国憲法制定の際に、GHQ(連合国軍総司令部)から憲法に「緊急事態条項」を盛り込む提案があったときも、日本は拒否しました。

憲法制定会議で金森徳次郎・憲法担当大臣は
「緊急勅令及び財政上の緊急処分は、行政当局者にとりましては実に調法(便利な)ものであります。しかしながら、調法という裏面におきましては、国民の意思をある期間有力に無視し得る制度であるということが言えるのであります。」

「過去何十年の日本の、この立憲政治の経験に徴しまして(照らして)、間髪を待てないというほどの急務はないのでありまして、そういう場合は何らかの臨機応変の措置をとることができます」
と述べています。

金森大臣のいう「何十年」とは、「満州事変」や「関東大震災」も入ります。

こうしたことをすべて踏まえても「緊急事態条項はいらない」と言い切りました。安全な緊急事態条項などないというのが歴史的な教訓です。

安倍政権が、こうした現行憲法の原点と正面から向き合っていくべきです。


わたなべ結・大阪府青年学生委員会責任者

【緊急事態条項③~安保法制(戦争法)との関係は~】

2016-01-28 00:02:07 | 政治
【緊急事態条項③~安保法制(戦争法)との関係は~】
「緊急事態条項」の本当の目的は安保法制との関係にあります。

自民党改憲草案の「緊急事態条項」(98条)が緊急事態の第一に「外部からの武力攻撃」をあげているように、結局、安倍政権が進める「戦争する国づくり」の完成に必要なのが緊急事態条項です。

戦争する国づくりには憲法9条の改憲だけではなく、国内体制の整備が欠かせない。その一環をなすのが「緊急事態条項」です。

戦争を進めるにあたって、情報の統制、物資の統制、国民を動員する体制が必要になります。戦争をスムーズに進め、反対する人々を抑えつける仕組みもほしい。そのために、どうしても憲法を停止してしまう「緊急事態条項」が必要になってきます。

自民党改憲草案では「人権停止」とまでは書かれていません。しかし、「法律と同一の効力を持つ政令」の制定が可能とされています。

つまり、国会が制定する法律に基づき、法律の範囲内で行政がおこなわれるという法治行政の原則が停止し、いわば自作自演の行政が行われることになります。

行政権も大きく裁量範囲が拡大し、訴訟を起こしても問題となった行政処分が裁量の範囲内ということで合法化される可能性が高くなる。
その意味で、事実上、事実上、人権条項が停止されることにつながっていきます。

わたなべ結大阪府青年学生委員会責任者(参議院選挙・大阪選挙区予定候補)

【緊急事態条項②~災害復興に緊急事態条項は必要か?~】

2016-01-27 00:33:20 | 政治
【緊急事態条項②~災害復興に緊急事態条項は必要か?~】

緊急事態条項は災害対策には必要ありません。

緊急事態条項の本質は憲法の効力を停止するもの。
大規模な自然災害が発生したとき、国民主権・権力分立といった原則を停止して政権に大きな権力を与える一方で、国民の生命や生活、財産を守るべき人権条項を停止すれば、国民本位の救援、復旧、復興は妨げられることになります。

緊急事態条項によって法令で人権を奪うことが可能になり、行政が暴走していく危険が大きくなります。

司法は、人権が奪われることで、立法や行政の暴走を憲法違反と判断する憲法上の根拠を失うことになり、裁判による国民の権利救済もできなくなります。

災害時においてやるべきことは、あくまでも憲法に基づく国民本位の防災や復旧・復興のための体制づくりであり、そのための法律の整備。

2013年に南海トラフ巨大地震対策特別措置法が成立しています。
憲法上の「緊急事態条項」がなければ災害対策ができないというなら、この法律はいったい何なのか。憲法違反とでもいうのか。

災害対策のための「緊急事態条項」創設というのはウソで、本当の目的は別にあると見る必要があります。

安倍政権が「緊急事態条項」を持ちだしてきた本当の目的は、昨年、強行成立された安保法制(戦争法)と深く関わってきます。

わたなべ結・大阪府青年学生委員会責任者(参議院選挙大阪選挙区予定候補)


【緊急事態条項①~その本質は何か~】

2016-01-25 22:48:09 | 政治
【緊急事態条項①~その本質は何か~】
憲法を変えることを目指す安倍政権が、そのための口実として持ちだしてきた「緊急事態条項」。

その中身は、簡単に言うと「緊急事態」を口実に国民の基本的人権をはじめとした権利を制限できるようする、というものです。

自民党の改憲案から見ると、首相が「緊急事態」を宣言すれば、内閣が国会をすっ飛ばし、法律と同一の効力を有する政令を制定することができる」とか、首相が「地方自治体の長に対して必要な指示をできるように規定しています。

私たち国民に対しても「何人も(中略)国その他公の機関の指示に従わなければならない」と広い範囲での私権の制限を打ち出しており、議会制民主主義も国民の権利も壊してしまう危険な内容です。

この緊急事態条項の本質について、1月22日付のしんぶん赤旗で関西大学教授(憲法学)の村田尚紀さんが解説されていますので、ご紹介したいと思います。

村田教授はまず、緊急事態条項の本質について強調します。

国家が緊急事態を宣言するような「国会緊急権」は、歴史のある古い言葉ですが、その言葉が示す「緊急事態」とは、自然災害や戦争、あるいは経済恐慌まで含む、幅広く紛らわしい概念。それを利用して、憲法の効力を一部ないし全部停止することができる点に「国家緊急権」の本質があります。

「緊急」という言葉によって、「通常とは違った対応が必要」というところに認識が誘導されてしまいますが、安倍政権の緊急事態条項は本質的に「憲法停止」条項です。

安倍首相は「緊急事態条項」の必要性を強調しながら、何が問題で、どう憲法を変える必要があるのかという最低限の説明責任も果たしていません。

首相は大規模災害に対応できないことを「緊急事態条項」の理由にします。自民党ホームページにも東日本大震災のときの政府対応の反省を踏まえて「緊急事態条項」が必要だといいます。

しかし、東日本大震災を教訓にするなら、大規模地震をはじめ災害対策が不十分だったことが問題であり、最大の問題は、あの規模の地震を「想定外」として原発事故対策をないがしろにしたことです。

東日本大震災を理由に、「緊急事態条項」がないことを問題にするなら、本来やるべき課題を隠ぺいする悪質な偽装工作と、震災に便乗し、被災者を踏み台にして改憲をやろうという「恥ずべき謀略」だと、村田教授は言います。

そもそも住民の避難計画すらそっちのけで原発再稼働に走る首相に、本気で災害対策をやろうなどということを考えているなんて、到底思えることではありません。


わたなべ結・大阪府青年学生委員会責任者

【軽減税率でも負担増に変わりなし 参院予算委員会質問②】

2016-01-22 12:49:12 | 政治
【軽減税率でも負担増に変わりなし 参院予算委員会質問②】
参院予算委員会での日本共産党・小池晃副委員長の質問。
小池氏は、与党が導入を決めた「軽減税率」についても追及。

「軽減税率」といっても、今の消費税8%より税率が軽くなるわけではなく、10%に増税するときに食料品などが8%に据え置かれるだけ、ということをあらためて確認。

安倍首相も「それはその通り」と認めざるを得ませんでした。

さらに、消費税の増税によって実際に増える負担額をただすと、麻生財務相は「単身所帯一人当たり2万2000円程度、2人以上の世帯にあたり4万1000円程度」と答弁。

消費税の最大の問題である所得が低い人ほど負担が重くなる「逆進性」。

小池氏はこの「逆進性」について年収別の消費税負担率のパネルを使い追及。
10%への増税で年収1500万円では0.4%の負担率増加、年収200万円では1%の負担率増加、と、その実態を明らかにしました。

小池氏が「10%に増税すれば、いくら据え置いた(軽減税率で)としても逆進性が強まることを認めるか」とただすと、麻生財務相は「計算するとそうなるのは当然のこと」と逆進性が強まることを認めました。

さらに、政府が「軽減税率」による減収額が「1兆円程度」としていることについても質問。

安倍首相は「軽減税率」によって一人当たり「4800円程度」の負担軽減(減収額)と答弁していましたが、それを日本の人口で計算すると約6100億円の負担軽減(減収額)となり、「1兆円程度」とは4000億円程度の差が生まれることになります。

「差額はどこへいくのか」。
そのことを追及されると政府は答弁不能となりました。

その後、再度の追及に政府は、1世帯あたりと1人あたりの負担額について、今までの国会答弁などで説明してきた額の2倍近い額になると答弁。

政府の答弁のデタラメぶりが際立ちました。