かえるネット木津川南

大阪市南西部で活動する日本共産党の青年後援会のブログです。

日本経済の長期停滞・・・活路をどこに求めるか4

2010-12-27 23:55:20 | 論文紹介

3.長期停滞の基本構造(1)

・歪んだ経済構造

 日本経済の長期停滞の根底には、外需に強く依存する歪んだ経済構造が横たわっている。名目GDPに占める輸出の比率は17%程度と、他の国に比べてとくに高いというわけではない。だが、自動車、電機など特定の産業の輸出額が突出し、しかもそれらの輸出が電子、化学、硝子、鉄鋼など広範囲に及ぶ関連産業の生産を支えるという構造になっているために、日本経済は表面的な輸出比率以上に輸出に強く依存する経済体質になっているということである。

 このことは、日本経済が円高や世界市場の停滞など輸出環境に直接に、しかも絶えず振り回される不安定な構造になっていることを意味する。また、このような不安定構造は、企業の慢性的リストラを誘発し、内需を停滞させる要因となるだけでなく、国の財政を圧迫し、国民負担の増大圧力を高め、将来の内需停滞の潜在要因となる。

・輸出競争力の低下

 輸出に強く依存する経済構造のもとでは、輸出競争力を維持することが経済維持の必須条件となる。だが90年代後半以降、競争力の強さを誇ってきた液晶パネル、半導体などを中心に様々な分野で日本企業の競争力の低下が目立ち始め、これが日本経済の停滞に拍車をかけている。競争力の低下は、およそ以下のような要因によると考えられる。

第一はグローバル競争の激化によって浮き彫りにされた、国内のいわゆる市場と産業の成熟化である。すなわち、内需の伸びの弱まり、生産や販売の規模の拡大によるコスト削減が困難になっていることである。このことは、かりに法人税を引き下げたとしても、内需停滞をもたらしている原因を除去しない限り、競争力の復活は期待できないということを意味する。

第二は、グローバル化を背景にした外国企業、とりわけ東アジアの企業の台頭である。そしてそれを支えたのは、日本や欧米諸国などからの投資や技術移転、さらにはアジア諸国間の自由貿易協定をテコにした貿易拡大などである。

第三は、円高傾向である。円高による輸出競争力の低下は、日本経済の地殻変動の中身をなし、長期経済停滞の大きな要因となっている。しかも円高は、米国経済の状態から考えて今後長期化すると考えられる。ただし、競争力の低下をもたらしているのは円高といった外的要因だけではない。国内の経済基礎が安定しない限り、競争力は絶えず動揺することになる。

輸出競争力の低下は、さしあたり国際市場での生産・販売シェアの低下や輸出額減少などとなって現れる。また生産現場の海外移転にともなって日本からの製品輸出は減少し、逆に部品輸出は増大する傾向を示してきた。だが、円高やアジア企業の台頭で、製品輸出ばかりでなく部品の輸出にもかげりが出てきている。さらに、自動車会社の現地での部品調達などがこれに追い打ちをかけている。

また輸出の停滞は、国内での企業破綻を増大させるとともに、輸出企業に競争力強化のためのリストラ、とりわけ雇用・賃金の抑制を促してきた。裏を返せば、現在の輸出はリストラによって維持されているということである。


公約違反「研究、教育危うく」

2010-12-27 23:24:40 | 教育・学費・就活

国立大交付金

民主政権 2年連続減

公約違反「研究、教育危うく」


 2011年度予算案(24日に閣議決定)の文部科学省予算で、国立大学の基盤となる国立大学運営費交付金は、10年度比58億円(0・5%)減額の1兆1528億円とされました。同交付金は04年度の独立行政法人化以降、毎年約1%減、合計830億円がすでに削減されてきており、さらに追い打ちをかける削減です。「削減方針を見直す」とした民主党の政権公約にも反しており、民主党政権下で2年連続の削減になります。

 名古屋大学大学院の中嶋哲彦教授(全国大学高専教職員組合委員長)は、国立大学運営費交付金のさらなる削減について「大学運営の基盤を崩すもの」と批判します。

 さらに中嶋教授は、同交付金の中で、大学を研究大学と教育大学などに機能別に分化させるなどの国策にそった予算を新たに創設しているとし、「そのしわよせで大学を自主的に運営するための基盤的な部分がさらに減らされていると考えられる。地方大学への配分が減らされ、大学間の格差が広がるおそれがある」と指摘します。

 日本の高等教育機関への公的財政支出の対GDP(国内総生産)比は0・5%で、平均1%の経済協力開発機構(OECD)諸国の半分しかなく、OECDでは最低レベルです。

 これまでの交付金削減で各大学は、「教員を30人減らした」「付属学校の体育館の天井が壊れても修理ができない」(東京学芸大)など厳しい運営を強いられています。国立大学協会や日本私立大学団体連合会は、「国の将来を危うくする致命的な施策」との声明を発表し、これ以上の削減をしないよう求めてきました。

 予算編成への国民の意見募集では、同交付金について7万件以上の意見が寄せられ、そのうち97・7%が同交付金にもとづく事業実施を求める意見でした。政府は、この国民の声も大学関係者の声も無視し、11年度予算案で減額としたのです。

 中嶋教授は「このままでは、大学における研究と教育を危うくする。大学が自律的に研究と教育を発展させられる予算の充実が必要だ」と話しました。

しんぶん赤旗より

日航整理解雇 世界から非難

2010-12-27 12:06:48 | 労働・雇用

日航整理解雇 世界から非難

国際運輸労連(147カ国644組合)も各国の労組も

労働者との連帯を/空の安全脅かすな


 日本航空が強行しているパイロットと客室乗務員計202人への整理解雇に対し、国際的な批判が広がっています。世界各国に国際線を相互に乗り入れる航空会社は、ひとたび事故となれば、協力して対応する関係にあり、労働者も強い連帯意識をもっています。

 交通運輸産業の労働組合の世界的組織である国際運輸労連(ITF、147カ国644組合440万人以上加盟)は、本部ホームページ(英語)のトップニュース(26日時点)で、「ITFは、日航の客室乗務員との連帯を呼びかける」と伝えています。

 記事では、希望退職によって756人が退職し、当初目標の660人を超え、解雇は必要なく、解雇基準が国際労働基準や日本の国内法に反していると指摘。日航キャビンクルーユニオン(CCU)が、年齢差別と組合差別だと訴えていることを伝えています。

 ITF加盟組合などに対し、日航と日本政府への抗議文、CCUへの激励メッセージを送るよう呼びかけています。

 12月17日付ニュースでは、客室乗務員を激励する院内集会を写真付きで紹介。解雇対象者に空白スケジュールを配った退職強要の実態、管財人の企業再生支援機構がストライキ権を確立したら出資しないと脅した問題、パイロットもまた退職への圧力を受けていることなどを詳しく解説しています。

年齢と組合理由 選別解雇に衝撃

 日航が加盟する国際的航空グループ「ワンワールド」の各国労組が、CCUへの支援を行っています。

 ITFの発表によると、アメリカン航空(米国)、ブリティッシュ・エアウェイズ(英国)、カンタス航空(オーストラリア)、ロイヤルヨルダン航空(ヨルダン)、ラン航空(チリ)、キャセイパシフィック航空(香港)、フィンランド航空(フィンランド)の労組が、日航への共同抗議文に署名しています。

 各国労組は、年齢と組合活動を理由に選別解雇されることに衝撃を受けています。希望退職者が会社の当初目標を十分に上回っているとの報告を聞き、これ以上の人員削減の必要性に疑問を呈し、日航が解雇計画を取り消すことを呼びかけています。

日本政府に対し調停を働きかけ

 世界100カ国以上、10万人以上のパイロットが加入する国際定期航空操縦士協会連合会(IFALPA)は日本政府に仲裁を要請。ベテランの整理解雇は年齢差別であり、規程による病欠を解雇基準とするのは航空の安全を脅かすと強調しています。

 国際労働機関(ILO)も、日航乗員組合とCCUの要請を受け、日本政府に対し調停に動き出しています。(田代正則)


米国労組からの連帯メッセージ

 米国の交通運輸産業の労働組合である国際機械工・航空宇宙産業労働組合(IAM)から、航空労組連絡会の近村一也議長宛てに連帯メッセージが届いています。内容は次のとおり。

 親愛なる近村議長

 世界最大の航空運輸労働組合であるIAM60万人の組合員を代表し、日本航空に働くすべての従業員諸兄姉に連帯のメッセージをここに送るものであります。

 わが組合は日本航空経営者による組合つぶしを含む、反組合的ないかなる行為も厳しく非難するものであります。さらにわが組合は、日本国政府諸機関にあっては航空労働者を保護すべく介助されるよう要請します。

 われわれIAMは航空労組連絡会の諸兄姉とともに立ち上がり、全面的に支持することをここに表明するものであります。

 連帯の意をこめて

 運輸担当副会長 ロバート・ローチJr

しんぶん赤旗より

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協会けんぽ 保険料上げ

2010-12-27 08:00:17 | 社会保障

協会けんぽ 保険料上げ

来年度 年3000円の本人負担増


 全国健康保険協会は25日までに、中小企業のサラリーマン約3500万人が加入する全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)の2011年度の全国平均保険料率について、現在の9・34%(労使折半)から9・50%に引き上げることを決めました。24日閣議決定された11年度政府予算案で協会けんぽへの国庫負担額などが決まったことを受けたものです。

 平均的なケース(年収380万円)で、年間約3000円の本人負担増となります。景気低迷で加入者の賃金が下がり保険料収入が落ち込んで財政が悪化しているにもかかわらず、国庫負担率が増えないことが要因です。協会けんぽの保険料率は現在、都道府県ごとになっています。地域の医療費を反映した都道府県別の保険料率は来年1月に決まります。

 協会けんぽの保険料率は今年4月に8・2%から9・34%に大幅に引き上げられ、平均的なケースで本人負担額が年間2万1000円増えたばかりです。2年連続の引き上げで、中小企業の事業主とサラリーマンの家計を直撃します。

しんぶん赤旗より

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