大阪府と大阪市を解体・再編する「大阪都構想」をかかげる橋下大阪府知事。自らを代表とする地域政党「大阪維新の会」を立ち上げ、来春の大阪府議・市議選挙で過半数を獲得し、「『ワン大阪』から関西州を目指す」として活動を活発化させています。
ねらいは何か・・・?
呼び込み型
「大阪都構想」は、政令市である大阪市を8~9に、堺市を三つにそれぞれ分割し、周辺9市とあわせて20の特別区にし、公選制の区長をおくというものです。しかし、最大の眼目は大阪市の解体です。
橋下知事は大阪経済の地盤沈下や府民の暮らしは深刻だとして、「企業もカネも集まらない。その元凶は大阪府と大阪市という二つの役所があることだ」と主張。原因を制度の問題にし、「世界の都市間競争に勝つためには、権限と財源を一人の指揮官に集中させなければならない」としています。
「大阪都」は何をするのか?
「企業にもうけてもらい、国民所得をあげ、税収をあげる。究極の成長戦略」だとし、そのために「空港、港湾、高速道路、鉄道のインフラ整備」「法人税の減税や規制緩和などの特区の設定」などをあげています。
これは、大阪府や大阪市がベイエリアなどで失敗を繰り返してきた、「開発すれば企業がくる」「大企業が来れば国民も中小企業も良くなる」という開発優先、時代錯誤の古い゜呼び込み型゜政治そのものです。それを一人の指揮官が強引に進められるようにしようというのです。
自治体破壊
「大阪都構想」はさらに、「都」がかせいだ税収で基礎自治体(市町村)が身近な住民サービスを行うとし、広域自治体である「都」と「基礎自治体」の役割分担をかかげています。
東京都をモデルにすれば、基礎自治体は税収の4割を都に吸い上げられます。橋下知事は「東京都よりいい制度にする」と述べていますが、現在、各自治体が行っている住民サービスが後退するのは必至です。
民主党は、財界の要求にこたえ、自公政権の「地方分権改革」を継承し、「地域主権改革」の名で、憲法と地方自治法の精神を踏みにじり、国の社会保障などへの責任を解体、「住民福祉の機関」としての自治体の機能と役割を弱めようとしています。
さらに道州制を視野に入れた自治体のさらなる広域化と改編によって、大企業が活動しやすい条件をつくり自治体の破壊を進めようとしています。橋下知事と「大阪維新の会」は、憲法と地方自治体蹂躙の尖兵です。