五つの提言、ひとつめは・・・
『人間らしい雇用のルールをつくる』
非正規から正規への雇用転換を大きな柱に
第一は、『人間らしい雇用』のルールをつくることです。
日本の労働者の3人に1人、青年と女性は2人に1が、派遣、パートなど、非正規雇用での不安定な雇用を強いられてます。
これは世界的にみても異常な状況です。
欧州と比較しても日本の非正規労働者の割合は明らかに多く、労働者の雇用者報酬の減少につながり消費不況の原因ともなっています。
日本共産党は「非正規社員から正社員への雇用転換」ということを、雇用政策の大きな柱にすえていきます。
派遣法改正について――
民主党政権が出した労働者派遣法の改正案は「製造業派遣と登録型派遣の原則禁止」をうたっていましたが、財界の圧力に屈して「二つの大穴」が開いています。
一つは「製造業派遣の禁止」について「常用型派遣」を禁止の例外にしています。
「常用型派遣」の定義では、1年を超えて働く見込みがあれば3カ月などの短期間の雇用契約を反復更新している場合でも常用型になります。
政府・民主党は「常用型」なら「安定性が高い」と言いますが、厚生労働省の調査でも派遣先企業と派遣会社との派遣契約が解除された場合の解雇率は「常用型派遣」で76.7%、登録型派遣で75.8%とほとんど変わらないという結果がでています。
さらに製造業で働く派遣労働者56万人のうち63%が「常用型」です。「常用型」を例外としてしまったら、製造業派遣の禁止がほとんど意味をなさなくなってしまいます。
トヨタやキャノンなどの製造業で「リーマンショック」後に起きた派遣切り、雇用の調整弁として首を切られた多くの労働者が寮から追い出され住む家すら失ったことを見れば、製造業派遣は「例外なしの禁止」が必要というのが日本共産党の立場です。
2つめの大穴は「登録型派遣の原則禁止」について、「専門26業種は例外」としていることです。
「専門業務」だから「雇用の安定性が高い」という理屈ですが、派遣労働者399万人のうち100万人が「専門26業務」で働いています。
さらに「専門26業務」の中身が問題です。100万人のうち45万人は「事務用機器操作」で働いていますが、この「事務用機器操作」の定義の中身は1985年に制定されたもので「電子計算機、タイプライター、テレックス、ワープロ」です。85年当時はともかく、今現在、この定義が適用されるなら通常のパソコンの操作も「専門26業務」に該当することになり、「登録型派遣の原則禁止」にはつながりません。
日本共産党は規制の抜本的強化をめざします。
政府・民主党案はさらに事前面接の解禁などの規制緩和も盛り込まれています。事前面接が解禁されると採用権が派遣先企業に移り、現行の労働者派遣法の原則すら根底から変えてしまうことになりかねません。「みなし雇用」の規定なども入っていますが、実効性に乏しく、実施を3年から5年の先送りとなっています。
労働者の賃上げ――奪われた所得を取り戻してこそ生活も景気もよくなる。
1997年をピークに勤労者世帯の収入は1世帯あたり約92万円減少しています。この1年間だけで、1世帯あたり17万6000円も収入が減少しています。製造業(30人以上)でみると、1年間でマイナス8%です。マイナス8%、1カ月分の給料がなくなったということです。
このことが国内の消費購買力を低下させ、「リーマンショック」以後の不況をより深刻なものにしています。日本共産党は最賃1000円をめざすとともに、景気回復のためにも労働者のリストラ・賃下げに反対し、「人間らしい雇用のルール」をつくることをめざします。