認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

第二の人生での日々の生き方と前頭葉の働き具合及び衰え方との相関 (B-49)

2015-12-01 | アルツハイマー型認知症の予防と脳の活性化

 誰や知る 伊賀の上野の 枯れすすき

   生きたる証 垂れる白髪か By kinukototadao

 & 認知症と言えば、そのほとんどは「アルツハイマー型認知症」なのです

○ 高齢化率が高い町や村、大都会でも築年数が古い集合団地等のように、高齢者が大勢集まって住んで居るような地域で、皆さんが、日ごろ目にするのは、そのほとんどが「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症を発病したお年寄りの姿なのです。ところで、一口に認知症と言っても様々なタイプのものがあるのです。代表的なものを挙げると、アルツハイマー病、アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、二次性認知症、レビー小体型認知症などがあります。

そうした種類が数ある認知症の中でもその90%以上の割合を占めているのが、「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症なのです。然もその発病者数は、高齢化率が40%を超える町や村も珍しくはなく、我が国全体でさえ25%を超えるところまで来ていることが要因となって(後述するように、60歳を超える年齢の「高齢者」であることが、私たちが定義する、「アルツハイマー型認知症」発病の「第一の要件」なのです)、近年増え続けているだけでなくて、高齢化率がさらに高くなるとの予測の中で、この先も増加する一方と予測されてもいるのです。

認知症の割合についても諸説ありますが、受診者数が少ないので肝心の医療機関自体が十分には把握できていないのです。精神科を有する大型の総合病院だけを対象に、認知症治療の中核を担う機関として、当時の国が「老人性痴呆疾患センター」として認定したのです。原因不明のものとされ、遺伝子異常が原因のアルツハイマー病と同じように扱われ、受診するところが精神科ときたら、末期の段階、私たちの区分で言う「大ボケ」の段階の症状が出てきて、家族が介護に困り果てるようにならないと医者に連れて行かなかったのです。私が勤務していた浜松医療センターは大規模な病院で、且つ「老人性痴呆疾患センター」に認定されていたのですが、そのころ全国では唯一、精神科ではなくて「脳外科」が認知症の診断を行っていたのです。副院長の金子満雄先生が最終的な診察を、私がテストの判定と家族指導の中心となり、海道から沖縄まで、全国から毎年2500人前後押し寄せてきた患者さんを(物忘れを気にする正常な人達も中には混じっていましたが)、連日大盛況の状況で診察したのです。日本中で当時二番手の、「老人性痴呆疾患センター」に認定された病院の患者さんの数でさえ年間で200人程度のものだったのです。精神科に連れて行くのを家族がそれほど嫌がったのです。その上私たちは、テスト結果の判定と家族指導及び診察の過程を通じて発想した、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」の働き具合を判定する為の様々な種類とタイプの「神経心理機能テスト」を開発しては、都度、高齢化率の高い村や町に出て行って、「実態調査」を重ねて、脳機能データを集積し、解析したのです。その中の代表的なものが、(かなひろいテスト)なのです。全国の他のどの「老人性痴呆疾患センター」も、私たちのような試みを行うところは皆無だったのです。

 そうした多数の診断事例と各種テストの開発と実態調査とにより、私たちだけが、「アルツハイマー型認知症」の発病の要因として、「廃用性の機能低下」と言う視点を持つに至ったのです。

○ 「アルツハイマー型認知症」の正体に関する諸説の意味とは

世間ではというか、認知症の専門家とされる人達の間では、その「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症は、発病の原因やメカニズムが分からないし、治すことができないし、発病を予防することもできないタイプの認知症であるとされているのです。然も、発病の原因については、かつては「アセチルコリン説」というものが通説として医学会でもてはやされ、現在は、「アミロイドベータ説」が多くの学者の支持を集める通説とされていて、少数説として、「タウタンパク説」、或いは「脳の萎縮説」とかが主張されているのです。

ところが、これらの諸説はすべて、単なる「仮説」に過ぎないのです。「仮説」という意味は、発病の原因とされている主張の根拠と「アルツハイマー型認知症」の発病との間の「因果関係」が、どれ一つとして、未だに立証されていないということなのです。

名医であるとか、認知症研究の第一人者であるとかの紹介でテレビに出てきて、テレビ受けを狙ったかのような簡単な「記憶のテスト」などをして、軽度認知障害(MCI)の状態にあるとか、血液中のアミロイドベータやタウタンパクの量を測定することで、「アルツハイマー型認知症」の早期の段階の判定ができるかのような、いい加減な発言が目立つのです。放送しているのが著名なテレビ局の番組であれば、皆さんは、そうした発言内容を正しいものと、そのまま信じ込んでしまっているのではないかと恐れるのです。

 発病の原因がアミロイドベータの蓄積だとか、タウ蛋白の蓄積だとか言われると、専門的過ぎて、何の意味だか分からないし、どうせ自分には関係ないことだと、単に聞き流しているのではないでしょうか。そのこと自体には何の問題もないのですが、「アルツハイマー型認知症」の発病が自分とは関係のないこと、他人事と感じたり、考えたりしてしまうことが問題なのです「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症は、長生きすればするほど、発病する危険が極めて高くなる性質のものだからなのです。あなたが、60歳を超える年齢の「高齢者」であり、仕事とは無縁の「第二の人生」を生きているというのであれば、「明日は、我が身」と真剣に考え、備えていただかないといけないのです。「年齢」が、発病の第一要件なのだから。

 私たちの主張は、上述したような「仮説」の類とは、内容の次元が異なります。1995年以来、「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。以下、同じ)を含む脳全体の機能レベルとその機能レベルに厳密にリンクした症状としての「アルツハイマー型認知症」の症例14689例の解析を基礎として、北海道から九州まで幅広く440を超える市町村で「アルツハイマー型認知症」の予防を目的とする「地域予防活動」の実践の指導をしてきたその成果に基づいた主張内容なのです。権威だけに頼っている「仮説」とは違うのです。

( コーヒー・ブレイク私たちの主張内容とそれが体系化された手法である「二段階方式」の手技は、三部作のマニュアルにまとめられているのですが、最近では、「二段階方式」のマニュアルに書いてある内容の重要な一部を引用した書籍が幾つか出回っています。それらの書籍の或る物は、以下に例示する「二段階方式」独自のもので、且つ極めて重要な主張内容について、それらが「浜松二段階方式」の主張であるかのような書き方、或いはそうした誤解を与えるような書き方になっているのです(それらの著者に対しては、内容を早急に訂正することを、此処に強く要求します)。「アルツハイマー型認知症」の発病のメカニズム自体に関する考え方、「前頭葉」の三本柱と言う視点及び三本柱の機能に内在する「正常老化の性質」と言う考え方、或いは、「前頭葉」の個別認知機能の発揮度と「二重構造の問題」並びにかなひろいテストの評価の仕方、MMSEの得点についてテストの粗点ではなくて、一定の指標に基づく換算点(評価点)を使用すること、「アルツハイマー型認知症」の症状の特徴として及び他の種類の認知症との鑑別の上で極めて重要な不可欠の判定指標として、MMSEで判定される下位項目に衰えていく明確な順番があるとする考え方(「下位項目の項目困難度」の指標)等は全て私たちの「二段階方式」独自の物なのです。なお、二段階方式」の導入市町村は安心してそれらを使用していただきたいのです。著者の故意なのか、或いは不注意なのかは知りませんが、私たちの「二段階方式」独自の考え方と内容が、或いは私たちの「マニュアル」に記載された内容の記述とデータ(解析図表など)が、「マニュアル」に記載された内容のそのままに、或いは少し表現や形や順番を変えることで、書籍の各所に引用されているのを目にするのです。

ところが、それらの書籍で手技の内容が紹介され、或いは引用されている「浜松二段階方式」 当初は「浜松方式」と言う呼称だったものです)の手技は、A5版で44Pの内容なのです。上述の、「前頭葉」の三本柱の機能と言う考え方も、三本柱の機能に内在する「正常老化の性質」と言う視点も、「二重構造の問題」と言う視点も、更には、MMSの粗点に対する換算点(評価点)の考え方も、MMSEで判定される「下位項目の項目困難度」の考え方も、「浜松二段階方式」の手技とは全く関係がない考え方であり内容なのです。それら「二段階方式」独自の考え方や内容に関する部分については、「二段階方式からの引用である」ことが表記されるべきだと思うのですが、「この部分の記述、図表は、二段階方式からの引用である」ことの記述も表記も全く見当たらないのです(今後改訂される場合を含め、「引用」であることの表記をきちんと守っていただきたいと思うのです)。従って、そのことを知らないで読者が読み進むと、「アルツハイマー型認知症」であるか否かを判定(鑑別)する上で、極めて重要な指標であり、不可欠のものであるそうした「二段階方式」独自の考え方や手技や脳機能データ(解析図表を含む)が、まるで「浜松二段階方式」独自のものと誤解されるのではないかと私たちは恐れるのです。そもそも、「アルツハイマー型認知症」の発病のメカニズムに対する考え方や理解自体も、「浜松二段階方式」と私たちの「二段階方式」とでは、基本のところが異なるのです(私たちが定義する発病の「第一の要件」と「第二の要件」についての私のこのブログでの記述を参照してみてください)。そのことを、「二段階方式」又は「浜松二段階方式」 の導入を検討されている読者(市町村関係の方)の皆さんに注意喚起しておきたいと思うのです。

数年前には「浜松二段階方式」の手技は、A5版の44Pで「浜松二段階方式のマニュアル」と言う書名で300円程で、地域保健研究会から出版され、市販されていました。そのマニュアルを購入することだけで、誰でも無償で、「浜松二段階方式」の手技の使用が可能となるのです。私たちの「二段階方式」の手技は、三部作のマニュアルに整理され体系化されていて、「脳機能データ」や「解析図表」等を含めて全部合わせると、A4版の590Pを超える内容なのです(私たちの「二段階方式」の手技では、使用料が月額3万円で有償の期間が10年間の「使用許諾契約」を締結して、且つ、私たちが主催する「実務研修会」を受講することにより、「二段階方式」の手技の「マニュアル」が引き渡されるのです)。

もともとは、浜松医療センターの脳外科で一緒に働き、かなひろいテストを含む種々の神経心理機能テストを共同して開発していたのです。「浜松方式」を立ち上げた金子満雄医師も、「二段階方式」を立ち上げた私も、「アルツハイマー型型認知症」の予防を目的とした市町村での「地域予防活動」の指導を、当初は一緒に共通の活動目標にしていたのですが(エイジングライフ研究所が主催する「実務研修会」の講師の一員として、金子先生にお越しいただいていた時期もあります)、金子先生は「浜松方式」(後に、「浜松二段階方式」と改称)を医師達及び医学会に広めたいという思いが極めて強く、私たちは「二段階方式」を市町村に広めたいという思いが強く、かなり早い段階で、袂を分かつに至ったのです。それが最大の契機となって、私が50歳を迎えた時に、浜松医療センターを退職したのです。「二段階方式」の導入市町村が急激に増えていく中で、「二段階方式」の手技の内容や考え方が、或いは基礎となる「脳機能データ」の内容が進化を遂げていき、今日のマニュアルやこのブログに記述されているような内容の深さに到達したということなのです。勿論その過程で、「二段階方式」の手技を記述したマニュアル自体も、幾度も改編されてきて今日の内容となっているのです。私がこのブログで、2012年の3月から書き始めた「アルツハイマー型認知症」に関する記述の内容は、「アルツハイマー型認知症」の本質の捉え方や根拠となるデータについて、或いは「重要なテーマや視点や理解」の面で、金子先生の著作物から得られる見解や内容とは、大きく異なることに気づかれると思うのです。

毎日G00ブログから送られてくる私のブログの「検索キーワード」上で、「浜松二段階方式」と「二段階方式」の両者の名前での検索が、最近しばしば確認されるので、いづれかの方式の導入を検討されている市町村の保健師さんにお知らせしておく必要があると考え、コメントしました。「アルツハイマー型認知症」の予防と早期診断による回復と言うテーマについては、我が国に(世界中でも)、金子先生が立ち上げた「浜松方式」(「浜松二段階方式」)と私が立ち上げ推進している「二段階方式」の両者しか存在しません。最終的にどちらを選択されるかは、皆さんの良識に委ねますので、しっかりと判断していただきたいと思うのです。

&「アルツハイマー型認知症」発病のメカニズム

○ 「正常老化の性質」が基礎に在る「物忘れ」の症状

私たち高齢者が日常しばしば体験していることと言えば、「物忘れ」でしょう。この物忘れは、30歳代になると症状が確認され出して、40歳代、50歳代、60歳代、70歳代、80歳代、90歳代と、年をとればとるほど、その頻度が増えていき、症状の程度も態様も重くなっていく性質のものなのです。それには、以下に説明するような記憶の「メカニズム」が存在し、作用しているからなのです。

ここでは、「物忘れ」の症状が発現するメカニズムを脳の機能面から説明しておきます。

「物忘れ」とは、言い換えると思い出せない、専門用語で言えば、想起できないということなのです。実は、記憶と言うのは、記銘し、保持して、想起するという行程をたどるものなのです。それぞれの行程の機能自体も加齢とともに衰えていく性質があるのですが、その前に、私たちが「前頭葉の三本柱の機能」と名付ける、意欲、注意の集中力及び注意の分配力の機能には、加齢とともに働きが衰えていくという性質、私たちが「正常老化の性質」と名付ける問題が横たわっているのです。日々の生活の営みの中で、仕事や趣味や遊びや人付き合いや運動等左脳や右脳や運動の脳を使う機会が十分に有り、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」の出番が十分に有り、生き甲斐や喜びにつながるテーマや目標がそれなりにありながらも、これを言い換えると、脳の使い方としての「生活習慣」に問題が無くても、加齢とともに「前頭葉」の三本柱の機能の働き具合が衰えていくという性質が存在するのです。左脳が主役となる「仕事」とは無縁の「第二の人生」を送っているお年寄りの誰もが、この問題を抱えているのです。世界中の認知症の専門家達から発病の原因が分からないとされている「アルツハイマー型認知症」と言うタイプの認知症について、集積するその症例数が増えれば増える程、発病の実態面から見るとき、60歳を超える年齢の「高齢者」と言う事実が厳然と存在していることが確認されるのです。現在の私たちの最新のマニュアルでは、23725例もの症例が(このブログ中でしばしば引用している旧マニュアルの脳機能データでは、14689例の症例が)解析の基礎となっているのです。

そのカーブは、18歳から20歳代の半ば頃をピークとして、第二の人生が始まり、「高齢者」の仲間入りをしたばかりの65歳の頃にはピーク時の半分程度に働き具合が直線的に衰えてきていて、以降、100歳に向かって、緩やかではあるが直線的に働き具合が衰えていくのです。

「物忘れ」の症状は、この「前頭葉」の三本柱の機能の衰えに比例して発症してくるものなのです。「物忘れ」の程度や態様、或いは頻度が増してくるのです。記憶は、記銘、保持、想起という行程をたどると言いましたが、「記銘度」が高いほどよく保持され、よく想起されるのです。「前頭葉」の三本柱の機能の衰えが、肝心の「記銘度」に直接関わりがあることが、加齢による「物忘れ」の症状の発症具合に直接関係し、影響してくるということなのです。さらに詳細にデータから説明すると、三本柱の機能は、注意の分配の機能、注意の集中力の機能、意欲の順番に、加齢とともに衰えていく性質があるのです。そのすべてが記銘度の深さ或いは浅さに関わっているのですが、加齢とともに「注意の分配力」の機能が衰えてきて、何か複数のテーマを処理している最中に、分配された注意が少なかった方のテーマについて、想起できないという現象(物忘れ)が発生するということなのです。

ここで注意していただきたいのは、「前頭葉」機能の「正常老化」に起因する物忘れの症状は、「アルツハイマー型認知症」の症状である「記憶の障害」の症状とは、「発症のメカニズム」が根本的に異なるということなのです。「物忘れ」の症状は、前頭葉も左脳も右脳も運動の脳も、全ての脳機能が正常なレベルにありながら発現してくるものなのです。「アルツハイマー型認知症」の記憶障害の症状は、そもそも「前頭葉」の機能自体が異常なレベルであることが大前提となるのです。そうした症状の発現のメカニズムの差異自体を医療機関でさえ知らないので、認知症の専門と言いながら、「物忘れ外来」などの看板を平気で架けていたりするのです。「問診」では、物忘れの症状を確認し、「認知機能」テストでは、長谷川式かMMSEを使用し、「画像診断」と称して、CTやMRIやSPECTやPET等の機器を総動員しているのが、「アルツハイマー型認知症」の診断の実態なのです。その上、効きもしない「薬」を何種類か処方してもいるのです。あ~、嘆かわしや。

 後述するように、「アルツハイマー型認知症」の症状として発現する「記憶障害」の症状は、「前頭葉」の機能が廃用性の異常で加速度的な機能低下を進行させてきたこと、言い換えると、生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものもない「単調な生活」の継続、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続されてきたことが症状発現の直接の原因であり、「物忘れ」が発症する場合の脳の使い方としての「生活習慣」とは根本的に異なる生活習慣が存在し、継続されているという条件が必ず確認されるということなのです。

テレビに出てきていい加減なことを物知り顔に話す認知症の第一人者とか名医とか紹介される人たちが、物忘れの症状を確認さえすると、「アルツハイマー型認知症」の前段階、軽度認知障害(MCI)の段階にあるとか言い、或いは、昔から言い慣わされてきた「物忘れは、ボケの始まり」と言う諺等は、上述した、ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」に起因する「前頭葉」を含む脳全体の機能の廃用性の異常で加速度的な機能低下の進行と言うメカニズムについて無知だからが故のことなのです。「前頭葉」の機能が正常な機能レベルであれば単なる「物忘れ」の症状であり、「前頭葉」の機能が異常な機能レベルであれば「アルツハイマー型認知症」としての症状ということなのです。

両者を区分ける(鑑別する)物差しは、「前頭葉」の機能レベルが「正常」であるか、又は「異常」であるかと言うことなのです。ついでのことに付言しておくと、「前頭葉」の機能レベルが正常であるか、或いは異常であるかの判定は、MMSEや長谷川式では出来ないし(困難)、更には、極めて高額の診断費用を請求されることになる(形態画像検査であるCTやMRI、或いは機能画像検査とされるSPECTやPET等の機器)を使用しようとも、的確で正しい判定はできないことを知っておいていただきたいのです「アルツハイマー型認知症」であるか否かの判定及びその重症度の判定には、「前頭葉」の機能レベルの精緻な判定が不可欠となるのです。その上に、「前頭葉」の機能レベルは、脳の使い方としての「生活習慣」にリンクしていて、「生活歴」の変化の把握も不可欠となるのです。ついでのことに付言しておくと、簡単な足し算や引き算をし及び平仮名で書かれた(漢字が混じる場合は、その漢字に平仮名で読み方を振る)簡単なおとぎ話や文章を音読する作業を日々の生活に取り込む(生活習慣化する)として、その作業の継続と言う生活習慣が「前頭葉」の機能レベルの改善に直結しているということをPETでどのように計測し判定できると主張するのか、以下に説明する理由により、私には理解不可能なのです。

 PET(脳内での神経活動が高まるとその部位での血液流量が増大するので、捉えたい指標に合わせたトレーサーを選ぶことで、間接的に脳内で活動が活発になっている部位を特定することができる機器)を活用して、何か特定の「テーマ」を処理している脳機能部位の血流を計測する程度のことでは、脳の使い方としての意味で言う「生活習慣」の継続とその程度の変化に直接に起因して起きる「前頭葉」の働き具合の変化(脳機能レベルの変化)を精緻に計測することは出来ないからなのです。その程度の作業をするだけで、MMSEで計測される左脳及び右脳の機能は容易に向上するのですが、「前頭葉」の機能の改善及び向上は容易なことではないのです。「二段階方式」の場合は、認知症の予防教室に参加しているお年寄り達の「前頭葉」の機能レベルの変化を半年ごとに判定し評価するのですが(一定の基準で改善、維持、悪化を判定する)、脳の使い方としての「生活習慣」の改善に努めても、容易には評価点が上がってこないものなのです。

更には、肝心の「因果関係」についても理解していないというしかないのです。「前頭葉」の機能レベルの改善、維持、悪化については、様々な生活要因、脳の使い方としての「生活習慣」が直接大きく影響してくるものなのです(ここを「クリック」してください)。上述した作業テーマは、「左脳」の刺激に特化しているのですが、左脳が担っている「仕事」とは無縁の第二の人生を送っているお年寄りにとっては、右脳や運動の脳からの刺激、言い換えると、趣味や遊びや人付き合いや運動と言ったテーマの遂行が、「前頭葉」を刺激し活性化させる極めて重要な要因なのです。こうした諸要因を排除さえもしないでいて、上述の作業が「前頭葉」の機能レベルの改善にどのように影響したのか判定できると考えているとしたら、因果関係を全く無視した考え方と言うほかないのです。 

 上述の作業が、「アルツハイマー型認知症」の症状の維持、改善、更には予防に効果があるとうたわれているのですが、どのような「脳機能データ」が「根拠」とされているのか、詳細を聞いてみたいし、議論してみたいと思うのです。私たちこそが、「アルツハイマー型認知症」は、廃用症候群に属する単なる「生活習慣病」であると主張する第一人者だからです。私たちには、主張の根拠となる14689例にも上る脳機能データ(これは、旧マニュアルでのデータ数であり、最新のマニュアルでは、23725例にも上る)があり、440を超える数の市町村での、「アルツハイマー型認知症」の予防と早期発見による回復を目的とする「地域予防活動」の実践を指導してきた経緯と経験と成果があるからです。

○ 「前頭葉」の個別認知機能の発揮と「二重構造」の問題

「アルツハイマー型認知症」の症状と言うのは、そもそも、私たちが日常の生活を送る上で、意識的に何かのテーマを実行しようとする際に、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルの面からの支障が直接反映される形で出てくるものであり、その支障のレベル面から、最初に「社会生活」に支障が出てくるようになり、次いで「家庭生活」に支障が出てくるようになり、最後に「セルフケア」に支障が出てくるようになるとの分類がなされているのです。そこで私たちは、私たち人間の意識的な世界を支配しコントロールしている「前頭葉」と言う脳機能に焦点を当てて、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルに厳密にリンクした14689例にも上る症状の症例を集積し、解析したのです。

これらの症例の脳機能データは、私たちが開発した精緻な神経心理機能テストである「二段階方式」の手技を活用し、「前頭葉」自体の機能レベル、「左脳及び右脳」の機能レベルのデータに基づく脳全体の機能レベルの判定(A)、当該機能レベルにリンクした三段階に区分される症状の類型(B)及び当該脳機能レベルをもたらした脳の使い方としての「生活習慣」の在り方と言う視点からの過去数年間の「生活歴」(C)の聞き取り(脳機能判定の結果のデータから、「前頭葉」を含む脳全体の異常で加速度的な廃用性の機能低下をもたらす原因であるナイナイ尽くしの「単調な生活」が始まる「キッカケ」となった時期が精緻な確度で推定されるのが私たちの手技独自の特徴なのです)を緻密に行ったものなのです。

実は、認知症が「アルツハイマー型認知症」である場合は(且つ、その場合に限り)、A=B=Cが成立するのです。この算式も、私たちが初めて手技として確立したものであり、私たちが日本だけでなく世界で初めて独自に発見したものなのです。

  ○ 「アルツハイマー型認知症」発病の第一の要件

「アルツハイマー型認知症」を発病する対象者は、60歳を超える年齢の「高齢者」に限られるのです。60歳より若くして発病する人は、皆無とは言わないまでも、ほとんどいないことに注意していただきたいのです。勿論、30歳代や40歳代の若者が、「アルツハイマー型認知症」を発病することは無い、皆無なのです。そこのところが、特定の遺伝子に生まれつき異常がある者だけが発病の対象となる「アルツハイマー病」とは根本的に異なるのです。逆に、「アルツハイマー病」の場合は、30歳代から50歳代までの若い年齢で発病するのがほとんどであり、60歳代で発病するケースは、皆無とは言わないまでも極めてまれなことなのです。働き盛りの若い年齢で、「アルツハイマー型認知症」を発病する人が増えてきているというのは、根本的な誤解(医師の誤診に基づく誤報)であって、側頭葉性健忘症などの病気(新しい記憶が入っていかないという特徴を有する重度の記憶障害の症状を示すが、「前頭葉」の機能レベルが正常なのが特徴)の鑑別が出来ないが故の誤診なのです。

私たちは、「前頭葉」の三本柱の機能に内在する「正常老化の性質」の発見と14689例の脳機能データの解析から、「60歳を超える年齢の高齢者であること」を「アルツハイマー型認知症」発病の「第一の要件」と定義しているのです。

過去の職歴も、学歴も関係ないのです。身体が健康であるかどうかも関係ないのです「年齢」と言う要素だけが、発病の「第一の要件」になるのです。

○ 「アルツハイマー型認知症」発病の第二の要件

何かを「キッカケ」として、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が始まり継続されるということが、私たちが定義する「アルツハイマー型認知症」発病の「第二の要件」となるのです。ここに言う、ナイナイ尽くしの「単調な生活」とは、生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものもない「単調な生活」、脳の使い方としての「生活習慣」のことを言うことに注意してください。

「第二の人生」を送っているお年寄りと言うことは、「仕事」とは無関係の生活をしているということになります。「左脳」の出番が少ない生活と言うことになります。趣味なく交遊なく運動もしない生活とは、右脳も運動の脳も出番が少ない生活と言うことになります。脳全体の司令塔の役割を担う「前頭葉」と言う脳機能は、左脳、右脳及び運動の脳と言う馬を操る御者、三頭立ての馬車の御者の役割を担っているのです。左脳からも右脳からも運動の脳からも情報が送られてくることが極端に少ない「生活週間」の下では、出番が極端に少なくなった「前頭葉」が、廃用性の機能低下を起こしてくるのです。

 &私たちが主張する「アルツハイマー型認知症」の発病のメカニズム(原因要因)

「正常な老化」の過程とはいえ、「加齢」による老化により「前頭葉」の機能が低空飛行状態に入ってきている60歳を超えた「高齢者」と呼ばれる年齢の「お年寄り」(発病の「第一の要件」の充足)が、何かを「キッカケ」にして(私たちが集積した「キッカケ」の類型については、ここを「クリック」してください)、生き甲斐や目標もなく、趣味や遊びや人付きあいもなく、運動もしない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」を日々続けていると(発病の「第二の要件」の充足)、出番が少ないために使われる機会が極端に減った「前頭葉」が、廃用性の機能低下(使われる機会が極端に少ないことにより、機能が衰えて行くこと)を起こして来るのです。その場合に、「第一の要件」と「第二の要件」とが同時に充足され、重なり合うことの「相乗効果」により、「前頭葉」の機能の老化が加速されていくことになるのです。

この場合、「前頭葉」機能の老化は、廃用性の異常で加速度的な機能低下をもたらすことが特徴なのです。機能低下のカーブは、「正常老化」の過程における緩やかで直線的なものから、加速度的なもの、放物線を描いて急速に衰えていくことを示すのが特徴なのです。

「前頭葉」を含む脳全体の機能が、老化を加速させて行く中で、異常な機能レベルに衰えた機能(三段階に区分される段階的な機能レベル)のアウトプットそれ自体が、「三段階に区分される段階的な症状」となって発現してくるということなのです。つまり、正常老化の性質を内在させている「前頭葉」を含む脳全体の働きに、廃用性の機能低下の要因が重なることで、脳全体の機能が異常で加速度的な衰えを示していくその先に、「アルツハイマー型認知症」(晩発型アルツハイマー病ともいいます)の発症が待っているということなのです。

 (注)第一の要件と第二の要件との相乗効果により廃用性の機能低下が進むときは、直線的ではなくて放物線を描いて「加速度的」に脳の機能が衰えていくのが、「アルツハイマー型認知症」の特徴なのです。その場合に、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」が最初に異常なレベルに衰えていき、次いで、左脳や右脳や運動の脳がその順番に異常なレベルに衰えていきます。更には、「アルツハイマー型認知症」の場合には、「左脳および右脳」の機能の衰え方にも規則性がある(「衰えていく順番がある」)ことが重要な特徴なのです。「前頭葉」と左脳及び右脳の機能のそれぞれの衰え方が、他の種類の認知症あるいは認知症と紛らわしい病気(側頭葉性健忘症、感覚性失語症、一過性全健忘、老年期うつ病、緩徐進行性失行など)との鑑別の上で、極めて重要且つ客観的な指標としての役割を果たしてくれるのです。

     

 ○「アルツハイマー型認知症」の本質

上述した発病のメカニズムから明らかなように、わが国だけでなく世界中の認知症の専門家達から、発病の原因(メカニズム)がわからないとされている「アルツハイマー型認知症」は、廃用症候群に属する単なる「生活習慣病」なのです。なおこの場合、生活習慣とは、食生活ではなくて、脳の使い方としての「生活習慣病」ということが極めて重要なのです。我が国では、「身体の健康」と言う面に特化した「テーマ」について、かつては保健所が、現在では市町村(健康課や健康福祉課や健康保健課)が主導して、且つ過剰な医療制度の達成も手伝って、世界に冠たる「超高齢化社会」を実現したのです。素直にそのことを喜べないのは、同時に、世界に冠たる「認知症大国」であり、更には、そのことに起因して、医療費及び介護費用が巨額なものとなって(両者を合計すると、年間で数十兆円もの規模となる)、「国家財政」を圧迫しているという現実があるからなのです。

身体の健康はもう十分すぎる程なのです。今こそ、「脳の健康」と言うテーマを掲げて実行すべきなのです。身体が持つ限り脳を持たせないと、「アルツハイマー型認知症」の発病者数が、この先も増加の一途をたどることとなり、介護保険制度が財政面から破綻してしまうことになりかねないところまで来ているのです。国民全体が、もっと真剣にこの問題について注意を傾け、考えるべきときなのです。

なぜなら、我が国の認知症の発病者数の90%以上の割合を占めている「アルツハイマー型認知症」と言うタイプの認知症は、廃用症候群に属する単なる「生活習慣病」であり、脳の使い方としての生活習慣、「前頭葉」を含む脳全体が活性化するようなテーマを日々の生活に取り込み実践する(生活習慣化する)ことによって、発病自体を予防することが出来るし、本当の意味での早期の段階(私たちの区分で言う小ボケ及び中ボケの段階)で見つけて「脳のリハビリ」(脳の使い方としての「生活習慣」の改善)に励むことで治すことが出来る(「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルを正常なレベルに回復させることが出来る)ものだからなのです。発病を予防できれば言うこともなく、発病しても本当の意味での早期の段階(小ボケ及び中ボケの段階)で見つけて、脳のリハビリの実行により治すことが出来れば、上述の費用を天文学的な規模で減少させることが出来るのです。

 & 「アルツハイマー型認知症」の段階的症状

○ 「アルツハイマー型認知症」の症状の特徴(「三段階の症状」)

「アルツハイマー型認知症」の症状は、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルに厳密にリンクした症状として発現するものであり、回復の可能性と言う視点から私たちが区分する三段階に区分された症状の類型を示すのです。その最初の段階は、脳のリハビリにより回復させることが比較的に容易である「軽度認知症」(小ボケ)に始まり、次いで脳のリハビリにより回復させることが未だ可能である「中等度認知症」(中ボケ)の段階を経て、最後に回復させることが困難となる「重度認知症」(大ボケ)の段階に行き着くのです。

○ 「アルツハイマー型認知症」の症状と脳全体の機能レベルとの関係

私達が意識的に何かの「テーマ」を実行しようとするとき、脳全体の司令塔の役割を担う「前頭葉」は、「左脳」、「右脳」、「運動の脳」の各部と協働し、且つそれらを主導し、コントロールしながら:

●自分のおかれている状況を判断し(「状況の判断」);

●テーマの発想とその実行内容を企画、計画し(「テーマの発想と実行内容の計画」);

●テーマの内容を実行する手順を計画し(「実行手順の計画」);

●実行の結果をシミュレーションし(「実行結果の予測」);

 ●実行結果の予測に基づく必要な修正を施し(「テーマと実行内容の修正」);

●構想から実行に至る全体の構成を保持し(「構成の保持」);

●結果に向けた実行を決断し(「決断」);

●脳の各部に、実行の指令を出す(「指令」);という一連の作業を「同時並行」して、且つ「重層的」に行っているのです。

意識的に何かの「テーマ」を実行するときの「前頭葉の機能レベル」は、「三本柱の機能」、「前頭葉」の個別認知機能及び評価の物差しとしての「評価機能」のそれぞれが、加齢に伴う「正常老化による機能低下」と使われる機会が極端に少ないことに伴う「廃用性の機能低下」とが同時に充足されることの相乗効果により、「前頭葉」を含む脳全体の総合体としての或る一定の「機能レベル」(私たちが区分し規定する三段階の機能レベル)を構成し、その「機能レベル」の直接のアウト・プットそれ自体が、三段階に区分される「アルツハイマー型認知症」の段階的な症状として発現してくるものなのです「アルツハイマー型認知症」の段階的な症状の根底に横たわるものは、「前頭葉」機能の「廃用性の異常で加速度的な機能低下」の存在なのであって、器質的な変化が原因ではないのです。器質的な変化にばかり目を向けていたのでは、末期の段階にしか目がいかないこととなり、何時まで経っても原因不明で治らないタイプの認知症とされてしまうことになるのです。製薬会社や医療機関はその方が好都合なのでしょうが、せめて学者が目覚めて気づいて欲しいと願うのです。アミロイドベータ説やタウタンパク説や脳の萎縮説等を現状唱えていない大学の医学部で、且つ日本国民に権威がある大学の医学部との実証研究PRJにより、私たちの主張内容の正しいことが検証されさえすれば、「二段階方式」の内容と手技は完成された水準にあり(「脳機能データの」管理ソフトも、開発済み)、且つ後を追ってくる二番手の姿は全く見えない状況にあるので、「二段階方式」を導入する市町村は、動き出した転石が坂を転がるように拡大していくと確信してもいるのです。その場合、市町村は企業と違い、使用料を無償にすると、予算化が必要なくなると同時に人の配置も無くなるので、有償の期間を出来るだけ長くすることも体験から得た学習なのです。有償期間を長く設定することが、地域予防活動を長期間継続させる上で、有効且つ必要な条件だということを学習したのです。来るべき日に備えて、「マニュアル」をさらに使いやすいものに改良し、「脳機能データ」の管理ソフトも更に機能進化させていこうと、Tadと話しているところなのです。

  注)本著作物(Bー49に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。   

  エイジングライフ研究所のHP左の部分を「クリック」してください)

   脳機能から見た認知症(具体例をベースとしたもう一つのブログです)

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 臨時投稿 | トップ | あの人、雨男だったのかしら »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

アルツハイマー型認知症の予防と脳の活性化」カテゴリの最新記事