認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

アルツハイマー型認知症の正体と治療および予防の方法(「実務研修会」の講義録:そのニ:C-15)

2018-09-25 | 定年後の第二の人生をどう生きるか

二段階方式」の実務研修会での講義録からの引用です。プロジェクターを使って、図表や絵や脳機能データを映して、説明しています。グーブログの字数制限枠との関係で、2回に分けて掲載してありますので、二回分(C-14とC-15)を併せて一度に読んでください。

 

&10 (前頭葉の個別認知機能と「前頭葉」の三本柱の機能)

(1)私たち人間だけに特有な『意識的な世界』、自分が置かれている状況分析理解判断、判断に沿ったテーマの発想、テーマを実行する為の内容の計画、実行結果の洞察推理シミュレーション、シミュレーション結果に基づいた創意工夫修正、実行の決断と、実行の指令。それ等の『個別認知機能』発揮度を左右し、下支えしている機能が、私たちが前頭葉の三本柱の機能と名付ける「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」の機能なのです。中でも、注意の分配力の機能(異なる複数の複雑に錯綜する「テーマ」を同時に並行し、重層して処理する機能であり、私たち人間だけに特有な機能)が、極めて重要。ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」の継続に起因した『注意の分配力』の機能の廃用性の加速度的で異常な機能低下の進行が、様々な程度及び態様により発現する「アルツハイマー型認知症」の症状発現の核心的な要因。

(2)個別認知機能が正常なレベルで発揮され機能するには、三本柱の機能が正常な機能レベルにあることが要求されるという関係、私たちが、『個別認知機能の機能発揮上の二重構造』と名付ける重要な関係が存在しているのです。三本柱の機能が廃用性の機能低下により衰えていくとき、そのことが基礎にあって、同時に(その反映、反射的な効果)、個別認知機能の発揮度も低下する。そのことが、「アルツハイマー型認知症」の段階的な症状として発現してくることになる。

(3)米国精神医学会が策定した「アルツハイマー型認知症」の診断規定である「DSM-4」の規定の策定者達も、アセチルコリン説、アミロイドベータ説、タウ蛋白説及び脳の萎縮説と言った「アルツハイマー型認知症」の発病原因に関わる仮説(発病との間に存在するはずの因果関係が未だに立証できていないためにこのように呼ばれている)である「4つの仮説」の提唱者達も、「二重構造の関係」に気づかないまま、推測や憶測により、「記憶障害」が発病させる核心的な要因だと勘違いしているのです(重大な誤解)。「前頭葉」が構築し、統括し、コントロールしている『意識的な世界』の機能構造を理解しない限り(「前頭葉」と言う脳機能も備わっていない、更には、「注意の分配力」の機能が備わっていないマウスを追いかけていては)、「アルツハイマー型認知症」発病のメカニズムを解明することは出来ないのです。

 )『注意の分配力』の機能とは、過去、現在及び/又は未来に直接及び間接的に関わる「テーマ」であり異なる複数の錯綜する「テーマ」について、同時に、並行し、重層的に処理する(している)脳機能であり、その発揮には、意欲及び注意の集中力の機能が常に関わっている機能なのです。

 

&11 「単調な生活」が始まる「キッカケ」

(1)「第二の人生」を送っている60歳を超えた年齢の「高齢者」(私たちが、定義する発病の「第一の要件」)が、雨上がりの玄関先で、足を滑らせて転び、挙句に複雑骨折して長期入院し、見舞いに訪れ世間話に花を咲かせてくれる友達さえもいない寂しい状態に置かれると、入院という状況の発生を『キッカケ』にして努力する意欲を喪失してしまうのです。

キッカケの発生により心理的に大きな衝撃を覚えたことにより、意欲を喪失した精神状態が続くようになり、その結果、何事に対しても努力をしようとはしなくなり、挑戦しようとはしなくなるのです。病院のベッドで寂しく独りで暮らして、時間が経つだけの日々の暮らしが続くのです。骨折事故に遭遇する前の、日々の暮らし方をどこかに置き忘れ捨て去ってしまったような単調な日々の暮らし方、単調な「生活習慣」が始まるのです。骨折する前の生活は、仕事とは無縁の「第二の人生」とは言え、趣味や遊びや人付き合いや運動等を自分なりに楽しむ生き方、自分なりの目標があり、自分なりに喜びや生き甲斐を覚える出来事や体験が時にはあって、自分なりに「第二の人生」を楽しめて居た生活があったのです。

自分なりに設定した「目標」に向かって生きる姿勢と努力する生活があったのです。骨折事故による入院後は、生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものも無い、ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」が継続していくことにより、『前頭葉』の機能が廃用性の加速度的で異常な機能低下を進行させていくことになるのです(キッカケを契機に開始された単調な生活習慣の継続としての「生活歴」の聞き取りの中で、単調な「生活習慣」が継続した具体的な内容を詳しく聞き取ることが、「生活改善」の指導について、本人に見合った適切な内容を組み立てる上で極めて重要)。

(2)「キッカケ」の発生が本人にとって重大で、心理的に極めて大きな衝撃をもたらした結果、努力や挑戦する『意欲』を何事に対しても喪失してしまい、ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」が半年間も続いていると、「アルツハイマー型認知症」を発病することになるのです。

私たちが定義する「アルツハイマー型認知症」を発病する「第二の要件」は、ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」が継続することなのです。

「仕事」とは無縁となる生活が続く「第二の人生」での、大きな出来事の発生又は、生活上の大きな変化を『キッカケ』にして、努力や挑戦する意欲を何事に対しても喪失してしまい、ナイナイ尽くしの単調な『生活習慣』が継続していると、「前頭葉」の三本柱の機能である意欲、注意の集中力及び注意の分配力の機能が(「前頭葉」を含む脳全体の機能が)廃用性の加速度的で異常な機能低下を進行させていくこととなり、その先に「アルツハイマー型認知症」の発病が待っているということなのです(「アルツハイマー型認知症」の本態を端的に表現すると、廃用症候群に属する老化廃用型の「生活習慣病」なのです)。コロンブスの卵程度と思うのですが、マウスを追いかけても解明できないものなのです。

&12and13 (「キッカケ」となる出来事や状況の発生の類型)

(1) 『キッカケ』(その1)

一つは、目標をもって、頑張って生きようという本人の意欲を支えてきた生活がなくなってしまうこと

①仕事だけが生き甲斐の人生を送ってきた人にとっては;

●定年退職により仕事とは無縁の生活となった後のテーマが何も見つけられない状況の継続(時間は有り余る程なのに、『「意欲」を発揮することが何も無い毎日』なのです)

●跡を継ぐ者が居なくて、やむなく会社や店の経営を止める

●息子(娘)に代を譲り、仕事の第一線を退くこと(会長とは名ばかりで、会社に出てもすることが無い毎日:遺伝子の異常が原因で発病し、若年発症が特徴である「アルツハイマー病」の場合は、30~50歳代の年齢で、且つ、現職でバリバリ働いているにも拘らず発病するのです。他方で、老化廃用型の生活習慣病であり、「第二の人生」を送っている高齢者のみが発病の対象者となる老年発症が特徴である「アルツハイマー型認知症」の場合は、現職で発病する人はいないのです。唯一の例外は、現職とは名ばかりであって、高齢者であって、且つ、肩書だけの実態の場合に限られるのです。

脳の使い方としては、実質的には、現職を退いていて、何もすることが無い生活を送っているのと同じ。)

●孫が成長して手離れること(幼稚園の送迎がなくなる;孫との密で楽しい触れ合いの場が無くなること)

② 趣味や遊びの集まりに参加することが生き甲斐の人は;

●趣味や集まりの会が中止になること

●友人、仲間達との茶飲み会(お茶っこ)の中止

③「別れ」をキッカケに、生き生きした生活が出来なくなる

●配偶者/可愛がっていた子や孫の死亡

●仲が良かった兄弟姉妹の死亡(特に年少の場合)

●頻繁な交友があった友人との別離(転居、施設への入所、死亡、不和になること)

●可愛がっていた孫との交遊機会の喪失(進学、就職、結婚で家を出ていく)

●ペットの死亡

④重大な自然災害の被災(家族の一員、友人や仲間を失う、家屋敷や職場を失う:東日本大震災、北海道胆振東部地震)

キッカケ』と言っても、様々なのです。絶対的なものがある訳ではなくて、要は、本人の受け止め方次第。出来事の発生/状況の変化を本人自身がどう受け止めたのか、そのことがどの程度本人の『意欲』を喪失させたのか次第なのです。

(2) 『キッカケ』(その2)

もう一つは、「目標をもって、頑張って生きようとする意欲を喪失させてしまうような状況が発生し、継続すること」

①  肉体的な条件/状況

 ●重大な病気やケガの状況の継続(骨折による長期の入院)

 ② 家庭内の様々な問題(何をしていても、何時も気にかかり、心の重しとなる事態が発生し継続していること)

●子供の離婚やリストラやサラ金問題

●解決困難な孫の不登校や非行問題

●表に出せない(友人にも話せない)家庭内の不和の状況の発生と継続

相続に関連した複雑な争いや不和の状況の継続

③認知症を発病した配偶者の身の回りの世話をするだけの生活の継続

④独り暮らしの生活(寂しい生活)

配偶者の死後、昼も夜も独りで家に居て、お茶を飲んでは居眠りして、水戸黄門を見ているだけのようなボンヤリした単調で孤独な暮らし(或いは、家族と一緒の生活とは言え、生活時間のズレや不和で、家族との挨拶も会話もなく、毎日の食事も独りという寂しい生活も同じこと)

大ボケの段階になると「脳のリハビリ」により症状を治すこと(脳の機能を回復させること)は最早困難となり、身体がもつ限り(老衰又は、何等かの病気が原因で死を迎えることになるまで)、大ボケの区分枠の中で症状が更に重いものになっていくのです(廃用症候群に過ぎない「アルツハイマー型認知症」が原因で死亡することは、無いことに注意)。「大ボケ」のレベルになると、正常レベルへの回復を期待することはもはや困難となります。その「大ボケ」のレベルの中で、運動の脳や右脳を刺激する「生活改善」により或る程度の改善がみられることはありますが、「中ボケ」レベルへの改善の見込みさえも極めて例外的なものになるのです。

但し、「大ボケ」レベルでも(MMSEの得点が二桁の段階迄であれば)、右脳や運動の脳を刺激する「生活改善」を実践していれば、症状の進行は或る程度緩やかなものになることが期待できるのです。MMSEの得点が一桁の段階になってくると、就中、『DSM-4』が「第一の要件」で確認を要求している失語、失認又は失行の症状が発現してくると、『脳全体の機能の低下が加速されるだけ』の状況になるのです。

&14 (ボケの三段階「小ボケ」)

(1) 脳の機能面からの定義

「小ボケ」は、この範囲。「前頭葉」の機能レベルを判定する神経心理機能テストである「かなひろいテスト」が不合格で異常な機能レベルと判定され並びに左脳及び右脳の機能レベルを判定するMMSEの得点が換算後の点数で24点以上で合格、正常な機能レベルと判定されることが要件。

☆「前頭葉」の三本柱の機能が異常なレベルにある、即ち、意欲、注意の集中力及び注意の分配力の機能が異常なレベルにあることの反映、反射としての症状が確認されるのが特徴。その程度は、「セルフ・ケア」にも「家庭生活」面にも支障は出てこなくて、『社会生活面』での支障が出てくるだけ。

(2) 脳の機能面から見た「小ボケ」症状の特徴

アルツハイマー型認知症」の極く初期の段階である「小ボケ」の段階では、自分が置かれている状況の分析や理解や判断が不十分なものになり(的確さを欠く)、状況判断に沿った「テーマ」の発想が出来ないし、分析やシミュレーションが的確には出来ないので、先の見通しが立たないし、何をどうするのかという実行内容の計画も立てられなくなってくる。慎重さを欠く言動がある一方で、実行の為の意思決定である最終的な決断も周りの人に頼り勝ちとなり、足元が揺らいでくる。行動が伴わず、内容がチグハグなのに、口先だけは達者で、『口から出まかせ』ともいえる類の発言が多くなる。

意識的に何等かの「テーマ」を発想し、実行内容を計画し、実行を決断する上で(際に)不可欠の働きを担っている「意欲」の機能が不十分にしか働かず/十分な時間続かないので、「あれも遣り掛け、これも遣り掛け」という風に中途半端なものになるのです。注意の分配力の働きも異常な機能レベルに衰えてきているので、頭の回転が衰えていて(シミュレーションや分析や検索する機能が働かない)、何事につけかつてのようにテキパキと判断や用事を処理できなくて、毎日をボンヤリと過ごし、居眠りばかりするようにもなる。家の外に出ていき、他人と交わり、共通のテーマに一緒に取り組む『社会生活』面での様々な支障が出てくるのが特徴。何事につけ、人に頼ろうとする『指示待ち人』となるのです。

(3)「小ボケ」の段階に特有で類型的な症状の8項目

□発想が乏しくなって、画一的な行動が目立つようになる

□何事にも億劫で面倒がり、やろうとする意欲が見られない

□一日や一週間の計画が立てられず、何も思いつかない様子

□問いかけに対する反応が遅く、生き生きした表情や笑顔が見られない

□根気が続かず中途半端な事を繰り返し、やりかけが目立つ

□目の光がどんよりとしていて、普段の顔つきが無表情

□歩くとき前屈みの姿勢で、小股でトボトボと歩く

□自分に自信がなくなり、何かにつけて人を頼ろうとする

 

&15 (ボケの三段階「中ボケ」)

(1) 脳の機能面からの定義

中ボケは、この範囲。「小ボケ」の段階になっても、相変わらずナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」が継続されていると、小ボケの期間が3年間続いた後は、「中等度認知症」(中ボケ)の段階に移っていく。「前頭葉」の機能レベルを判定する「かなひろいテスト」が不合格で異常な機能レベルと判定され並びに左脳及び右脳の機能レベルを判定するMMSEの得点が換算後の点数で23点以下15点以上で不合格、異常な機能レベルと判定されることが要件。中ボケの段階から、「前頭葉」を含む脳全体の機能が異常なレベルになる。

症状は小ボケの段階よりも複雑なものとなる。「前頭葉」を含む脳全体の機能が異常なレベルにあることの反映、反射としての症状が確認されるのが特徴。家庭内の簡単な用事程度のこともちゃんと出来なくて、家庭生活面での様々な支障が出てくる。意欲、注意の集中力及び注意の分配力の機能が小ボケの段階よりさらに衰えてくる。あーしたらこうなる、こうしたらどうなると言ったシミュレーションや検索の機能である注意の分配力の機能の衰えが目立ち、時の見当識は、昼夜の区別は出来るが、日、年、月、季節が揺らいでくる。

(2)「中ボケ」の段階に特有で類型的な症状の8項目

□簡単な計算さえもしなくなり、お札ばかりで買い物をして、やたらと小銭がたまる

□家庭内の簡単な用事程度のこともきちんと出来ない(部屋や洗濯物の整理、食後の片付け、簡単な庭仕事さえもきちんと出来ない)

□自分が飲む2~3種類の服薬管理が出来ない

□服の着方に無頓着で、重ね着が目立つ(セーターの上からシャツを着る。裏表や前後ろに着る)

□入浴時の温度管理が出来ず、身体を洗わないとか、石鹸がついたまま

□料理の味付けが変になる(塩加減が極端に変になる。塩辛すぎて、周りが食べられないようなものを作り、本人だけが平気で食べる)

□行き慣れている所に行くのに、スムーズに行けない(行き先の違う乗り物に乗ったり、行き道を間違えたりする)

□季節が分からなくなる(夏にセーターなど、季節違いの服を平気で着る)

)「小ボケ」及び「中ボケ」の期間について、『小ボケは、3年間。中ボケは2~3年間』と言う「標準的な滞留期間」が存在するというのも事象事実なのです。前述した、『MMSE下位項目の項目困難度』のデータが示す、衰えていく順番のデータと共にこのデータもまた、「4つの仮説」の主張内容が誤りであることを証明する証拠となる。

&16 (ボケの三段階「大ボケ」)

(1)   脳の機能面からの定義

大ボケ」は、この範囲。「中ボケ」の段階になっても、相変わらずナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」が継続されていると、中ボケの期間が2~3年間続いた後は、「重度認知症」(大ボケ)の段階に移っていく。(かなひろいテストが不合格で前頭葉が異常な機能レベルに在り、MMSEの換算点が14点以下0点までの範囲の不合格のレベルで左脳、右脳及び運動の脳までもが、次第に機能しなくなっていく)。

左脳と右脳の働きも、幼稚なレベルの機能が僅かに残っている程度である上、脳の司令塔の役割を担っている「前頭葉」の機能、就中、『注意の分配力』の機能が、殆ど働かないこととなる「大ボケ」のイメージは、「脳の寝たきり」)。『かなひろいテスト』の実施が可能で、且つ、合格点が取れるのは、6歳児以上の年齢なのです。セルフ・ケアにも支障が出てきて、『介護』が必要となる「大ボケ」の脳の働きは、3歳児以下のレベル(下は、0歳児まで)となります。 

「大ボケ」の段階の症状が発現するまでに、「前頭葉」を含む脳全体の機能が廃用性の加速度的で異常な機能低下を進行させてしまうと、最早治すことは出来なくなる。身体がもつ限り(病気や寿命で死を迎えることになるまで)、廃用性の加速度的で異常な機能低下を進行させていくこととなり、最終的には植物人間のような状態にまで脳の機能が衰えていくことになる。

「前頭葉」の機能、就中、注意の分配力の機能が殆ど働かなくなっている上に、左脳や右脳や運動の脳も極めて不十分にしか働かない「大ボケ」の段階では、自分の身の回りの「セルフケア」にも支障が出てくるのです。食事をしたり、服を着たり脱いだり、お風呂に入ったり、トイレの後始末をしたりといった、身の回りのことも自分で出来なくなり日常生活面での「介護」が不可欠の状態となるんです。

(2)「大ボケ」の段階に特有で類型的な症状の8項目

□着ている服を脱ぎたがらず、便で汚れた下着をそのまま平気で着ている

□風呂に入るのを嫌がり、怖がるようになる

□服を正しく着られず、ズボンを頭からかぶったり、上着に足を通したりする

□自分の子供を配偶者と間違えたりして、同居の家族の顔も区別出来なくなる

□自宅に居ても落ちつかず、外に出て行きたがる

□大小便を失敗しても、後の処置や始末ができない

□今は昼なのか夜なのかがわからなくて、夜中に騒ぐ

□痛んだものを平気で食べ、食べ物でないものを口にする

(3)私達が服を着るとき、ズボンであるか、上着であるかを判断し、上着であれば裏表がどちらか、ボタンをかけるタイプかどうか、どのような手順で着ればいいか等を的確に見極めた上で、必要な動作を、適切な手順で的確に行っている(状況の理解や判断、必要な動作や手順の比較と選択、自分が置かれている状況に応じて行われているこうした判断は、『注意の分配力』の機能が正常に働くことが必要不可欠。大ボケの段階では、注意の分配力の機能は最早働かないんです)。

『服を正しく着られず、ズボンを頭からかぶったり、上着に足を通したりする』と言った症状は、「記憶の障害」が原因で服を正しく着ることが出来ない訳ではない。上着とはどういうものであり、どのようにして、どのような手順で着るものなのかを忘れたが為に着ることが出来ない訳ではない。「注意の分配力」の機能が殆ど機能しなくなるまでに機能低下してきていることが直接及び核心の原因で、加えて、左脳、右脳及び運動の脳までもが廃用性の加速度的で異常な機能低下を進行させてきたことが直接の原因で、服を正しく着ることが出来ないだけ。『家族の顔が分からなくなり、子供を配偶者と間違えたりする』という症状も同じこと。器質的な病変が原因で発症する場合の失語、失認又は失行の症状と、廃用性の加速度的で異常な機能低下が原因で発症するアルツハイマー型認知症の症状としてのそれとは、別物なのです。

&17 (三段階の症状と治癒の可能性)

(1)「アルツハイマー型認知症」は、基本に、「加齢」に伴う脳の老化の問題があるのです。私たちが規定する発病の「第一の要件」は、『第二の人生を送っている60歳を超える年齢の高齢者』なのです。とはいえ、「加齢」の延長線上に発病がある訳ではなくて、もう一つ別の異なる要因が存在するのです。私たちが規定する「アルツハイマー型認知症」発病の「第二の要件」は、『ナイナイ尽くしの単調な生活習慣の継続による廃用性の機能低下』なのです。この二つの異なる要因が同時に存在し、充足されることが原因で、『前頭葉を含む脳全体の機能が廃用性の加速度的で異常な機能低下を進行させていく』その先に、「アルツハイマー型認知症」の発病及び症状の重症化の進行が待っているのです。

(2)「アルツハイマー型認知症」は、「三段階に区分」される症状が存在している。『社会生活』面で支障が出てくる小ボケ、『家庭生活』面でも支障が出てくる中ボケ、更には、「末期の段階」であり、『セルフケア』の面にも支障が出てきて、日常の生活面での介護が不可欠となる大ボケの段階に区分されるのです。それを区分する最も重要で客観的な指標は、脳の機能、就中、『前頭葉』を含む脳全体の機能レベルとなります。その場合、脳の後半領域、左脳と右脳の働き具合を判定するMMSEだけでは足りないのです。肝心要の機能であり、脳全体の司令塔、三頭立ての馬車の御者の働き具合を判定することが不可欠となるのです。「意欲、注意の主注力及び注意の分配力」の機能の働き具合を調べる『かなひろいテスト』を超える手技は、今のところ見当たらないのです。f-MRIやPETでも不十分。脳の使い方としての「生活習慣」の内容の変化に起因した「前頭葉」の機能レベルの変化とリンクした形での、「前頭葉」の三本柱の機能、就中、『注意の分配力』の機能の働き具合及びその変化を精緻に判定することが出来ないからなのです。

 &18 (「脳のリハビリ」の対象は、「中ボケ」まで)

(1)    廃用症候群に属する老化廃用型の生活習慣病が本態であるアルツハイマー型認知症」については、症状を治したり、症状の進行を遅らせる効能を有する薬というものは存在し得ない。唯一の治療方法が、「脳のリハビリ」なのです。

その場合、『脳のリハビリ』の対象となるのは、「小ボケ」及び「中ボケ」の段階までのお年寄りであって、末期の段階である「大ボケ」の段階になると遅すぎる。回復させることが困難となるのです(医師が見つけているのは、末期の段階)。

(2)本当の意味での早期の段階であり、私たちの区分で言う「小ボケ」及び「中ボケ」の段階で発病を見つけて、「前頭葉」を含む脳全体が活性化する為の方法である「生活習慣」の改善策としての「脳のリハビリ」に励むことにより、「アルツハイマー型認知症」の症状を治すことが出来る(「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルを正常なレベルに回復させることが出来る)ということも確たる『事象事実』なのです。

(3)『認知症の専門家』とされる医師達の共通の主張である、『アルツハイマー型認知症は、治すことが出来ない』というのは、「アルツハイマー型認知症」の性質それ自体を正確に言い表しているものではないのです。彼等は、『DSM-4』の規定の「第二の要件」に毒され、惑わされていて、彼等が見つけている症状が、言い換えると、失語や失認や失行の症状を含む「アルツハイマー型認知症」の症状が、極めて重度の症状であるが故に治すことが出来ないだけということに気づいていないだけなのです。諺に言う、『木を見て、森を見ず』の類の典型的な悪癖だと言えるでしょう。

&19 (ボケの治療は、「脳のリハビリ」が唯一の方法)

(1) 『症状を治す』ことの具体的な処方箋は、発病前の本人が日々行っていた『元々の生活習慣』に引き戻すこと自分なりの生き甲斐」や喜びがあり、それなりに時間が経つのを忘れて打ち込むことが出来るような、何等かの趣味や交遊や運動を自分なりに楽しみ、或いは、居住地域での地域活性化活動に関わり、自分なりの目標」がある日々の暮らし方』という、『元々の生活習慣』に引き戻すことが、治す為の『処方箋』になるのです。

発病前の本人の暮らし方を詳しく聞き取り、現在置かれている状況の下での「最善策」を探り、実行させること。その場合、当の本人の「前頭葉」を含む脳全体の機能レベル(小ボケ、中ボケの前半、又は、中ボケの後半)への配慮が不可欠であり、全てが『ステップ・バイ・ステップ』であることが、注意事項となります。『急いては、事を仕損じる』のです。

(2)「アルツハイマー型認知症」を発病しているので、即ち「小ボケ」の段階で「前頭葉」の機能が異常なレベルに低下してきているので、「脳のリハビリ」の過程で、本人が、『生き甲斐』を覚えるということは期待できないのです。「脳のリハビリ」となる「生活習慣の改善」を組み立てる際の設定目標について、「前頭葉」の三本柱の機能を駆使して、あれこれシミュレーションし、検索することは、期待できない脳の機能レベルにあることに注意と配慮が要求されるのです。たまにと言うか、一端の口を利くことがあっても、状況の理解も判断も出来て居なくて、子細に考えた上での発言ではないのです。『口から出まかせの発言の類』に過ぎないのです。『前頭葉』、就中、あれこれとシミュレーションする機能である「注意の分配力」の機能が働いてはいないのですから。

(3) 家族(周りの人達)が中心となり、「脳のリハビリ」の対象となるテーマや目標値を決定してあげることが不可欠の条件となるのです(周りが支えて、後押ししてあげること)。

注1)脳全体の機能が正常な機能レベルにあれば、就中、「前頭葉」が正常な機能レベルにあれば、設定する目標が大きなものであればある程、「目標」を達成する過程で、或いは、「目標」の達成により、生き甲斐や喜びを覚えることが増え、又は、大きくなり、目標の遂行課程での脳機能への効果もそれだけ大きくなるはずなのですが、「脳のリハビリ」の対象者は、「前頭葉」が異常な機能レベルにある小ボケ、又は、「前頭葉」を含む脳全体の機能が異常なレベルにある中ボケの段階のお年寄りということなのです。そうした問題点を克服するには、「脳のリハビリ」の実施上設定するテーマ及び目標は、脳の機能レベルの問題に配慮したもの、余り大き過ぎない目標とか、達成する上での困難さが余り大きくなり過ぎない目標であることを考慮することが必要で重要となるのです。達成可能であり、努力の継続実施が可能なものでなければ、必要な「脳のリハビリ」の効果を期待できないから。

注2)ここで留意すべき重要な条件があります。注意点とは、『「前頭葉」の働きを活性化させ、『前頭葉』を含む脳全体の働き具合を、正常な機能レベルに引き戻す為の唯一の方法である「脳のリハビリ」の実践に関わるテーマ及び実践の程度は、小ボケ、中ボケの前半、中ボケの後半の「三つの段階」に区分することが必要となるのです。小ボケ及び中ボケの前半までに対しては、集団での「脳のリハビリ」が可能であるのに対して、中ボケの後半に対しては、個別の『特別メニュー』の実践と家族の協力が必要不可欠になるんです。

注3)脳が活性化、「前頭葉」が活性化するテーマは、言葉で表現するのは簡単なことなのですが、個々のお年寄り、特に、「第二の人生」を送っているお年寄りについて、具体的にどんなテーマが前頭葉の活性化に役立つのかというと、実は、とても難しいこと。

「第二の人生」を送っているということは、仕事とは無縁の日々の暮らしということなのです。「仕事」が関わらない日々ということは、『左脳』(言葉、論理、計算、場合分け等のデジタル情報の処理に特化した脳機能)の出番が、「第一の人生」に比べて極端に少なくなるということ。

「第二の人生」で前頭葉を含む脳全体の機能を正常な機能レベルに保ち続ける条件(アルツハイマー型認知症の発病を予防し、「第二の人生」を完走するために必要不可欠の条件)、それは、第一の人生では脇役であった「右脳」及び「運動の脳」の出番が多くなり、活躍する場面が出来るだけ多くなるような『テーマ』を発想し、選択し、工夫して、日々の暮らしの中に取り込み、生活習慣化する必要があるのです。

注4)脳の活性化、前頭葉の活性化、或いは、アルツハイマー型認知症の発病の予防というテーマについて、食生活や運動等といった類の様々な仮説が主張されているのです。記憶のメカニズムについての理解も不十分で、「物忘れ」の症状の僅かな程度及び頻度の改善を脳の活性化、或いは、脳の機能レベルの改善の判断基準にしていたりもするのです。前頭葉の機能についての理解が足りないのです。

注5)『脳のリハビリ』という「テーマ」について、小ボケ、中ボケの前半(MMSEの換算点が、23~20点)、中ボケの後半(MMSEの換算点が、19~15点)に区分して設定することが重要と言いましたが、『速足の散歩』は、全てに共通した、且つ、極めて有効な脳の活性化策となります。意欲が刺激され、強化されることになるからです。「意欲」の機能が強化されることが、「注意の集中力」の強化に直結して、更には、「注意の分配力」の機能の強化につながるからです。

「居住地域」周辺を第一のコースとして選定し、飽きを避け、気分転換を図る意味で、時には、車やバスを利用して、景色が良いところへ連れて行き、「右脳」を刺激することも効果が大きくなります。無理のない範囲で、上述の区分に応じた、「テーマ」の選定及び目標設定の仕方及び実行の仕方を工夫して頂きたいのです。

注6)アルツハイマー型認知症の薬として処方される4種のは、症状を治し/進行を抑える効能は無く、症状発現の程度を変化させる抑制型/昂揚型の『対症療法薬』に過ぎない。「症状に変化がない」のは、症状の進行が抑えられている成果で、服用して居なければ、もっと症状が進んでいた可能性があるとの診断は、症状の進行を実際に抑えた「生活習慣」の存在という要因を知らないで発言しているだけ(『脳の老化のスピード差と生活習慣の要因』)。

 

&20 (発病を予防する「生活習慣」の構築「五ヶ条」)  

(1)     私達が社会生活を営んでいく上で不可欠の働きをしていて、脳全体の『司令塔』の役割を担っている前頭葉が正常に働いている限りは、「アルツハイマー型認知症」を発病することにはならないのです。「前頭葉」が老化を加速させ、廃用性の加速度的で異常な機能低下が進行してくる先に、「アルツハイマー型認知症」の発病が待っているのです。

(2) 第二の人生を送っている60歳を超える年齢の「高齢者」が、趣味もない、遊びも楽しまない、友達づきあいもしない、運動もしない、これといった目標もない生活、ナイナイ尽くしの「単調な生活」を日々続けていると、運動の脳、左脳、右脳と協働する場面が大幅に減ってきて、あーしたらどうなる、こうしたらどうなる等の検索やシミュレーションをした上で、何をどうするのかを決める「脳の司令塔」としての「前頭葉」の出番が、極端に少ない単調な「生活習慣」の継続により、「前頭葉」を含む脳全体の機能が、廃用性の加速度的で異常な機能低下を進行させることとなって、間違いなく「アルツハイマー型認知症」を発病することになるのです。

(3)「左脳中心」、仕事偏重だった「第一の人生」とは生き方を変え、仕事とは無縁となる「第二の人生」では右脳中心の生き方への転換を図り、周囲の目を気にせず、『自分らしさ』を前面に出せるような生き方をし、毎日の生活の中に、実践の過程や目標達成の結果に「楽しみ」を感じられ、「喜び」や「生き甲斐」が得られるような『テーマや目標』、自分がイキイキしていると感じられる「脳の使い方」としての「生活習慣」を打ち立てることが必要不可欠の条件となるのです。

(4)「趣味や遊びや人付き合いや、地域活動等を中心とした生活」の中に、「生き甲斐」や「喜び」が得られるような「目標」の設定と実行、「生活上の張りのある生き方」を見つけ、自分らしい生活の楽しみ方をして何かに挑戦する「意欲」が湧いてくるような生活習慣を組み立て、実践するのです。

①   熱中し、夢中になれる、趣味や遊びをできるだけたくさん持ち;

②   趣味や遊びを通じて、できるだけ多くの友達と交わり;

③   趣味や遊びや人付き合いや地域活動に、生き甲斐や目標や喜びを見つけて;

④   精神的な張りと緊張感のある毎日を過ごしながら;

⑤   速足の散歩やラジオ体操など、毎日、運動するのです。

(5) 早期診断(本当の意味での早期の段階である小ボケ及び中ボケの段階で発病を見つけること)により、実際に治して見せることが極めて重要なのです。『「アルツハイマー型認知症」は、仕事とは無縁となる『第二の人生』での脳の使い方としての「生活習慣」が、発病させたり、症状を治したり、発病を予防する上で、唯一絶対的な要因である』ことを国民に対し情報発信していくのです。小ボケ及び中ボケの段階で見つけて(早期診断)、『脳のリハビリ』としての「生活習慣」の改善により治して見せる事が、発病自体の『予防』というテーマに関心を喚起することとなり、更には、『「前頭葉」を含む脳全体が活性化する「生活習慣」の構築とその実践』という「テーマ」に対しても関心を喚起することになるのです。その為の効果的な方法が、出来るだけ小さな地域単位での住民参加型の「地域予防活動」の密な展開ということなのです。 

注)全国452の市町村の指導を副所長独りで担当という状態下では、十分な個別指導を為し得なかったとの反省から、将来的には、「二段階方式」の手技による個別事例の判定と脳の使い方としての「生活習慣」改善の指導並びに講演会の講師を担当できる『女性の専門職集団』を育成する考え。

世界中の認知症の専門家達から『発病の原因が分からないし、症状を治せないし、発病を予防することが出来ない』とされている「アルツハイマー型認知症」について、早期診断による回復及び発病自体の予防を明確な目的とした住民参加型の「地域予防活動」の全国展開の為の要石として、女性の専門職集団が活躍することにより、『女性が活躍する社会』を実現する牽引車となり、更に、「早期診断により、症状を治す」ことが、「発病の予防」に直結するのです。

☆お年寄りが居住地から歩いて行き来できるほどの場所に、間伐材と竹で構築した平屋建ての家で交流の促進を目的とした『交流の駅』を建設し、そこで、『お年寄りの脳のイキイキ度チェック』を恒常的に実施し、早期診断による回復と発病の予防を徹底する制度の国策化を実現したいと考えるのです。血圧や体重を何時でも簡便に測定できるのと同様に、お年寄りの「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルを簡便に判定し、必要な場合は、脳の使い方としての「生活習慣」の改善の指導が行える場所にしたいと考えるのです。

&21 「アルツハイマー型認知症」の早期診断による回復と発病の予防を明確な目的とする住民参加型の「地域予防活動」を国民的な課題に

(1)「第二の人生」を送っている60歳を超える年齢の高齢者、日本中の全ての自治体及び我が日本国にとって、極めて重要、且つ、重大なテーマとなる『「二段階方式」の手技に基づいて実施される「アルツハイマー型認知症」の早期診断による回復及び発病の予防を明確な目的とした住民参加型の「地域予防活動」の展開』を、日本中の全ての市町村の出来るだけ小さな地域の地区単位で展開する為の効果的な手法、システム及び事業の実施結果に関わる情報共有の為の連絡体制のパターン化等を実現する為の基盤となる「Model事業PRJ」の早急な実施が極めて重要となると考えているのです。

(2)私たちが開発した「二段階方式」の手技及び主張内容の正しさと実効性と有効性と有益性とが実証されたやり方を基礎としつつも、或る一定の規模での「Model事業PRJ」の実施により、もっと効果的に実施する手法の工夫と改善及びそうした手法のパターン化及びモデル化(標準化)を徹底させることが、この先導入市町村が急速に拡大していく上で不可避的に起きてくる実施品質のバラツキを抑制し、平準化して、早期診断による回復及び発病の予防についての成果のバラツキを抑制することにも繋がると考えるのです。

(3) 色々な事情があり、思うように進んではいないのですが、準備が整い次第出来るだけ早急に『建白書』を政府に提出したいと考えているのです。皆さんもその先兵として、高い意識と気概とを持って、住民参加型の『地域予防活動』事業に携わって頂きたいと願うのです。 

 本著作物「Cー15」に掲載され、記載され、表現された内容に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。 

  エイジングライフ研究所のHP左の部分をクリックしてください)

    脳機能から見た認知症(具体例をベースとしたもう一つのブログです)

 

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