認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

アルツハイマー型認知症の正体と治療および予防の方法( 「実務研修会」の講義録 [その一]:Cー14)

2018-09-26 | 定年後の第二の人生をどう生きるか

二段階方式」の実務研修会での講義録からの引用です。プロジェクターを使って、図表や絵や脳機能データを映して、説明しています。グーブログの字数制限枠との関係で、2回に分けて掲載してありますので、二回分(C-14とC-15)を併せて一度に読んでください。

  

 おはようございます。所長の高槻です。今日の主題である「アルツハイマー型認知症」については、発病の原因が分からないし、症状を治せないし、発病を予防できないとして、様々な『仮説』が横行する中で、医療機関は発病のレッテルを貼るだけの診断と副作用ばかりで効きもしない薬の処方という状況が放置されています。「脳機能データ」の解析並びに早期診断による回復及び発病の予防を明確な目的とした市町村が実施する住民参加型の「地域予防活動」による実証結果(疫学的実証)に基づき、「アルツハイマー型認知症」の正体に関わる「二段階方式」の考え方を、分かり易く説明したいと思います。私たちの主張である『アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化廃用型の「生活習慣病であり、早期診断により治せるし、発病自体を予防することが出来る』との考え方は、近い将来に、世界標準になると考えています。

 最近になって、その兆しとも言える研究論文が世界最大の研究機関であるカロリンスカ研究所を初めとして、いくつかの権威ある専門の研究機関からも発表されてきている状況にあります。老々介護認々介護、更には100万人を超えたと言われる介護離職という社会問題、加えて、年度総額が20兆円に迫ろうとする膨張し続けている介護関連の総費用の額を大幅に削減すべきという社会の要請に応えることが出来るのは、「二段階方式」の手技だけなのです。この研修会で、基礎となる「考え方」を出来るだけ理解し、同時に、手技の「使い方」を十分に実習して頂きたいのです。

アルツハイマー型認知症」の早期診断による回復及び発病の予防を明確な目的とした住民参加型の「地域予防活動」は、極めて有効で、有益な処方箋なのですが、二段階方式の手技の活用が不可欠となります。ところが、医療機関が二段階方式を実施しても、必要な規模の売上高を稼げないのです。医療機関が使用しているCTやMRIやPET等の機器が不要とされる上、薬の使用も不要となるからです。超高齢化社会に特有の落し子である「アルツハイマー型認知症」の発病者数は、末期の段階である「大ボケ」の症状が発現しているお年寄りの数だけでも、我が国だけで、500万人を超えるとされる巨大な病気なのです。極めて重度の症状である失語や失認や失行の症状を基準に発病と診断される為に、認知症の専門家達からは見落とされている小ボケ及び中ボケの段階(早期の段階)の発病者を加えると、天文学的な数字になるのです。「大ボケ」のお年寄りを抱えた家族の精神的、肉体的、経済的負担は極めて大きく、国策として解決を図るべきなのです。問題解決の為の処方箋を提示することが出来る「二段階方式」を実施する「担い手」は、売上高の確保が必要とならない市町村の活動となり、保健師さんが主役となるのです。

アセチルコリン説、アミロイドベータ説、タウタンパク説、脳の萎縮説という、「アルツハイマー型認知症」の発病原因について主張されている『4つの仮説』の内で世界的に通説としての支持を集めている「アミロイドベータ説」の主張者達はというと、「前頭葉」という脳機能も無ければ、「意識的」な世界も存在しない『マウス』(アルツハイマー・マウスとて同じこと)が檻の中で餌を探して動きまわる行動を調べることにより、「アルツハイマー型認知症」の発病原因を突きとめることが出来ると妄想し、日夜研究に励んでいるのです。世界中の巨大な規模の製薬会社による「アミロイドベータ説」の考え方に立脚した治療薬の開発の試みは、全てが失敗に終わっているのです。

アルツハイマー型認知症」を発病させる核心的な要素が「記憶の障害」であるとするのは、米国精神医学会が策定した「アルツハイマー型認知症」の診断規定であるDSM4が「第一要件」でその確認を要求していることが源なのです。実は、そのことが、認知症研究の専門家とされる人達を出口がない迷路に足を踏み込ませる遠因となってもいるのです。通説であるアミロイドベータ説を含む「4つの仮説」も全て、「記憶の障害」が「アルツハイマー型認知症」を発病させている核心的な要素であるとの「DSM-4」の第一要件の規定内容が正しいとの前提に立脚した単なる憶測に過ぎないのです。後述するように、「第一要件」の規定内容自体が誤りなのですから。

ところで、記憶は、記銘保持想起という3つの過程から成っていて、その全ての過程に、「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」の機能が関わるのです。良く『記銘』された内容は、良く想起されるのです。良く『記銘』するには、意欲と注意の集中力が良く発揮されている状態下で、『注意の分配力』の機能が良く抑制されていることが必要となるのです。良く記銘され、良く保持された内容を良く『想起』するには、意欲、注意の集中力の機能が高度なレベルで発揮されている上に、取り分け、『注意の分配力』の機能が高度に発揮されることが要求されるのです(私たちが開発した『動物名想起』テストのデータ解析)。先ほどのマウスには、「前頭葉」の機能が備わっていないだけでなく、『注意の分配力』の機能も備わってはいないのです(これは、笑い事ではないのです。彼等は、真剣に研究しているのですから)。

         

私たちが独自に開発した「二段階方式」の考え方及び手技の神髄は、私たち人間だけに特有な『脳の働きという物差しにあります。就中、脳全体の『司令塔』の役割を担っている『前頭葉』の機能に焦点を定めているのです。然も、生きた人間の「前頭葉」を含む脳全体の働き具合(機能レベル)に光を当てているのです。

二段階方式』の手技では、脳全体の司令塔の役割を担う『前頭葉』の機能レベル並びにその手足となる左脳及び右脳の機能レベルの判定を基礎とした脳全体の機能レベルの判定脳全体の機能レベルのアウト・プットとしての三段階に区分される症状の判定、症状発現の原因である脳の使い方としての「生活習慣」の聞き取り(「生活歴」の聞き取り)、更には、本当の意味での早期の段階(私たちの区分で言う「小ボケ」及び「中ボケ」の段階)からの回復(「アルツハイマー型認知症」の症状を治すこと)を目的とした『脳のリハビリ』(脳の使い方としての「生活習慣」の改善)の指導、更には、発病自体の予防を目的とした「前頭葉」を含む脳全体が活性化する「生活習慣」の組み立ての為の体験教室としての『イキイキ教室の運営がメインのテーマとなります。

私達人間だけに特有な世界である意識的な世界、意識的な世界を創出し、構築し、支配し、コントロールしている「前頭葉」の機能に焦点を当てているのは、世界広しと言えど、私たちだけなのです。「二段階方式」の考え方及び「二段階方式」の手技では、『前頭葉』という脳機能について、脳の使い方としての『生活習慣』が原因で起きてくる『廃用性の機能低下』及び「前頭葉」を活性化させる脳の使い方としての『生活習慣』という「テーマ」が、極めて重要な追及命題及び課題となります。このテーマに焦点を定めることにより、早期診断による回復及び発病の予防が見えてくるのです。世界中の認知症研究の専門家とされる人達(学者、医師、製薬会社の研究者)が主張している『アルツハイマー型認知症は、治せないし、予防することが出来ない』との考えが根本的に誤りであることについて、客観的な脳機能データ及びいくつかの事象事実を提示して具体的に説明しておきます。個別事例の『早期診断による回復』の事例の積み重ねと住民参加型の「地域予防活動」としての『イキイキ教室の運営』の成功体験を通じて、「二段階方式」の考え方が正しいことを実感し、確信し、「二段階方式」の手技の活用に自信を持って頂きたいのです。私たちが独自に開発した『二段階方式』の考え方及びその実践展開を支える手技は、権威こそないものの、実力は世界一、他に抜きんでていることを実践を通じてできるだけ早く体験して欲しいのです。『早期診断による回復が可能である』ことを体験し、体感して欲しいのです。『治して見せる』こと及びそうした数多くの事例の積み重ねによる『疫学的な実証』が、地域住民の考え方を良い方向に変えさせ、発病を予防する為の『生活習慣の改善(構築)』に対する高い関心を呼び起こすことになるのです。

 

&1(認知症の種類と「アルツハイマー型認知症」の正体)

この図に示すように、認知症にも、色んな種類がある上、治せるものもあれば、治せないものもある。色々なんです。

「二次性認知症」は、様々な病気が原因で発病するタイプの認知症のことを言います。例えば、脳腫瘍や水頭症、慢性硬膜下血腫等の発病が原因で認知症を惹き起こします。原因の病気が治ることで、認知症の症状も、治ります。『二次性認知症が、認知症全体に占める割合は、2%程度』。

「脳血管性認知症」は、脳出血や脳梗塞などの、脳を養う血管からの出血や血管の詰まりが原因となって、十分な量の血液を脳の機能部位に送れなくなる為に、認知症を惹き起こします。脳血管性認知症の数も少なくて、認知症全体に占める割合は5%程度(25%程度とされている内の20%分は、「アルツハイマー型認知症」であるものを「誤診」しているだけ。『脳梗塞の既往』と目立つ程度の記憶障害の症状があれば、全てを脳血管性認知症と診断する誤診が原因)。

 最初に発見した人の名前を冠して呼ばれ、認知症の代名詞のように言われるのが、「アルツハイマー病」。3050歳代の若い年齢を対象に発病するので、若年性又は早発型アルツハイマー病とも言います。極めて特殊なタイプで、『生まれつき特定の遺伝子に異常がある人だけが発病の対象』。働き盛りの「若い年齢」で発病し、僅か数年の経過で寝たきり状態になる程、症状が極めて急激に進行します。アルツハイマー病は、治すことも予防することも出来ませんが、『アルツハイマー病が認知症全体に占める割合は1程度』。

 認知症の大多数、90%以上を占めるのが「アルツハイマー型認知症」。仕事とは無縁となる「第二の人生」を送っている60歳を超える年齢の「高齢者」だけを対象に発病するので、晩発型又は老年性「アルツハイマー病」とも呼ばれます。皆さんが、普段街中でお目にかかるのは、殆どが、このタイプの認知症なのです。両者をまとめて「アルツハイマー病」と呼ぶ専門家が我が国には多いのですが、両者は、発病のメカニズムも、発病後の症状が進行する速さ及び態様も全く異なり、更には、治療及び発病の予防という面でも全く異なるものであり、混同しているだけなのです。

アルツハイマー型認知症」は、60代より70代、70代より8080代より90代、90代より100歳代という風に、高齢になるほど発病する人の割合が多くなっていきます。

世界中の認知症の専門家とされる人達が、これまで、「アルツハイマー型認知症は、原因も分からないし、治すこともできないし、発病を予防することも出来ない」と言ってきました。その上で、発病の原因については、『DSM4』の第一要件が確認を要求している「記憶障害」が核心的要因という前提に立脚しての様々な『仮説』が主張されてきました。「アセチルコリン」の不足が記憶障害の原因と考えるアセチルコリン説、「アミロイドベータ」の蓄積により形成される老人斑の持つ毒性が情報を伝達する役割を担う神経細胞の大量死を惹き起こすことが記憶障害の原因だと考えるアミロイドベータ説、「タウタンパク」の蓄積により形成される神経原繊維変化が情報を伝達する役割を担う神経細胞の大量死を惹き起こすことが記憶障害の原因だと考えるタウタンパク説、脳の顕著な萎縮が記憶障害の原因だと考える脳の萎縮説等の「4つの仮説」が提唱されて来たのです。中でも、アミロイドベータ説が世界的に通説の地位にあります。仮説と呼ばれる理由は、各々が主張する発病原因と「アルツハイマー型認知症」の発病との間に存在するはずの「因果関係」を未だに立証することが出来ていないせいです。謂わば、『憶測の類』に過ぎない程度の内容と言えるのです。

 最近になって、スエーデンのカロリンスカ研究所や英国のロンドンに拠点を置くランセット委員会が、更に、今年の7月には、我が国の国立精神・神経医療研究センターが、『アルツハイマー型認知症を発病させる危険因子は、「生活習慣」である』と言い出したのです。このことが、発病原因に関する学説の主張内容に『コペルニクス的転回』がもたらされる『キッカケ』になるのではと考えています。

エイジングライフ研究所は、1995年の活動開始以来首尾一貫して、『アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化廃用型の生活習慣病である』と主張し、更には、『早期診断により治せるし、発病自体を予防することが出来る』ことを、住民参加型の「地域予防活動」の実践指導により、全国452の市町村で、疫学的に実証してきているのです「アルツハイマー型認知症」は、「第二の人生」を送っている60歳を超える年齢の「高齢者」の日々の暮らし方、脳の使い方としての「生活習慣」が発病するかしないかを決定づける『唯一の核心的な要因』であり、『「廃用症候群」に属する老化廃用型の「生活習慣病」に過ぎない』のです。「器質的な原因病変」は、存在していないし、「記憶障害」の症状(記憶障害に起因した症状)が、「アルツハイマー型認知症」を発病させる核心的な原因要素ではないのです。真の犯人は、一つは、お年寄りの誰の脳にも起きてくる性質のものである『加齢に起因した老化の進行による機能低下』という要因(正常老化)と、もう一つは、生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものもない単調な日々の暮らし方、『ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」』が継続されている特定のお年寄りの脳だけに起きてくる性質のものである『廃用性の機能低下』という要因(異常な老化)、『異なるこの二つの要因』が同時に存在し充足されることによる「相乗効果」により、「前頭葉」を含む脳全体の機能が『廃用性の、加速度的で、異常な機能低下』を進行させていくその先に「アルツハイマー型認知症」の発病及び『三段階』に区分される症状の重症化が待っているのです(脳機能データの解析と疫学的実証)。DSM4」の規定内容も、その「第一の要件」を基礎として組み立てられている『4つの仮説』の類も、規定内容(主張内容)自体に重大な誤りがあるのです。何時になったら我が身の重大な過ちに気が付くのか、もどかしい限り。

医療機関が行っている診断の実態はというと、認知症が専門の医師と言いながら、肝心の「アルツハイマー型認知症」については無知な人達ばかりなのです。25%を占めるとされている「脳血管性認知症」との診断の内の20%分は、「アルツハイマー型認知症」なのに、「脳血管性認知症」と誤診していたり、「アルツハイマー型認知症」と「アルツハイマー病」とをまとめて「アルツハイマー病」と呼んだりしている人達は、認知症の専門家とは言いながら、「アルツハイマー型認知症」については殆ど無知な人達なのです。医療現場で実際に行われていることと言えば、「アルツハイマー型認知症」の発病の有無の診断には不必要であるCTMRIPET等、高額の診療費を稼げる機器を使用して、発病の原因と症状とが分かっている種類の認知症から順に消去していき、最後に残ったものについて、脳の萎縮とか、頻度が少しばかり多い程度の物忘れの症状の確認により、「アルツハイマー型認知症」の発病だと診断していたりするのです。おまけに、症状の更なる進行が半年から1年程遅れることが期待できるかもしれない等と説明して、(副作用ばかりで、効きもしない)薬を処方していたりするのです。薬が効かないと家族から言われると、量を増やしたり、種類を変えて、売り上げを稼ぐ為に、相変わらず薬を処方するのです。彼等の主たる関心は、副作用の程度だけ。

これから先、この研修会では、「アルツハイマー型認知症」に的を絞って、「発病のメカニズム」、「治療法」、「予防法」について、分かりやすく、説明していきます。

様々な種類が数ある中で、「アルツハイマー型認知症」が認知症全体の90%以上の割合を占めています。皆さんが関わっていくのは、その「アルツハイマー型認知症だけを対象とした、『早期診断による「回復」及び発病の「予防」を明確な目的とした住民参加型の「地域予防活動」』の実践ということになります。CTやMRIやPETの使用が不要で、薬も無用というのでは、早期診断による回復も発病の予防も、売り上げ至上主義である医師達には、期待できないのです(医療機関を対象に活動を開始した初期に経験したこと)。

発病の有無の判定、三段階に区分する症状の段階の判定、症状を治す為及び発病を予防する為の「生活習慣」の改善の指導等の全ての業務が、医師法が禁止する「医行為」を含まないので、保健師さんが主体性をもって、その判断により、関連する業務の全てに関わることが出来るのです。二段階方式の手技を活用した早期診断による『回復』業務も、更には、地域『予防活動』業務も、医療機関にとっては死活的な命題である相当規模での売上高を稼ぐことが出来ない為、それらの活動を、医療機関には期待することが出来ないのです。「アルツハイマー型認知症」は老化廃用型の生活習慣病であるという考えが、近い将来に世界標準になります。「アルツハイマー型認知症」の発病の判定、症状の段階区分の判定、治療となる「生活習慣」の改善指導業務、更には、イキイキ教室の運営による住民参加型の地域予防活動という発病の予防業務の全てが「保健師」さんが主役となるのです。

 

&2(末期の段階の症状)

この絵に挙げているような症状を見れば、皆さんのような専門家でなくて、一般の人達でも、認知症を発病しているお年寄りだと100%分かると思うのです。認知症の診察が専門の医師達はどうなのでしょう(皆さん、どう思います?)。

様々な程度及び態様により発現してくる「アルツハイマー型認知症」の症状については、特に、回復させることが可能な『本当の意味での早期の段階の症状』については、専門家とされる医師殆ど何も知らないのです(嘘でなくて本当‼)。判定する「手技」を持たないし、知識も有していないのです。米国精神医学会が策定した「DSM-4」の第二の要件が、発病と診断するに際して、失語失認、又は、失行の症状の確認を要求している。それらの症状は、脳の後半領域、左脳と右脳の働き具合を判定する神経心理機能テストであり、30点が満点のMMSEの得点が一桁になるまでに「前頭葉」を含む脳全体の機能が、廃用性の加速度的で異常な機能低下の進行により大幅に衰えてきている「お年寄り」だけに確認される『極めて重度の症状』なのです(第二要件の誤り)。

☆専門家とされる医師の誰一人として内容の重大な誤りに気が付かない儘、且つ、その規定に世界的な権威がある為、失語失認失行の症状を出発点として、それより重い症状だけが「アルツハイマー型認知症」の症状だと誤解しているのです。その結果、もっと軽い段階の症状が見落とされているのです。私たちの区分で言う「小ボケ」の段階の症状も、「中ボケ」の段階の症状も、末期の段階である「大ボケ」の段階の前半の症状(MMSEの得点が換算点で14~10点迄の範囲)までもが、「アルツハイマー型認知症」の症状とは考えられていないのです(見落とされている!)。失語や失認や失行の症状が発現する直前の症状、末期の段階である「大ボケ」の段階の前半の症状を見つけることが「早期診断」であると誤解した診断がまかり通っているのです。

この絵に見られるような症状、『洋服が着られない/道に迷い徘徊する/家族の顔が分からない/失禁しても平気』の症状は、末期の段階の症状であり、この段階で見つけていたのでは、治すことは最早困難となるのです。『アルツハイマー型認知症は、性質それ自体として治すことが出来ないのではない』。『医師達が見つけている段階が遅すぎるだけ』なのです。治すことが出来ない末期の段階で見つけるだけ、レッテルを貼るだけの診断に何の意味があるというのでしょうか。

 

&3(前頭葉の機能テストと年齢別の成績)

意欲注意の集中力及び注意の分配力の機能レベルを判定するテスト)である「かなひろいテスト」による「前頭葉」の機能テストの実施が可能となる年齢の6歳に始まり、以降、4歳間隔毎に「かなひろいテスト」の成績をグラフ化。図は、「加齢に伴う脳の正常老化のカーブ」を示しています。

     

18~20歳をピークにして、『緩やかに低下していくカーブ』を描き、「第二の人生」が始まる年齢の60歳過ぎになると、最盛期の18歳頃に比べて、半分位のレベルにまで機能が衰えていく。その後は100歳に向かって、「前頭葉」の機能が直線的で緩やかなカーブを描き、正常な機能範囲の中で衰えていくことが分かる(「正常老化」のカーブを示すもの)。後述する、ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」の継続に起因した廃用性の機能低下という要素が出てこない通常のお年寄り、『加齢』に起因した機能低下という要素だけの場合は、『「アルツハイマー型認知症」の発病という事態は、起きては来ない』のです。「アルツハイマー型認知症」の発病が、単に『加齢』の延長線上にあるという主張は間違いなのです。

 

&4(年齢別の発生比率)

これは、私たちのデータが示す、「アルツハイマー型認知症」の年齢別の発生比率です。但し、これは、厚労省が発表している「大ボケ」の段階の「お年寄り」だけの数値なのではないことに注意が必要。私たちの区分で言う、小ボケ、中ボケ及び大ボケの「全ての段階のお年寄り」を含む人数です。60歳代で12%、70歳代で30%、80歳代では50%となり、90歳代になると75%、加齢の極まりの100歳代では97%仕事とは無縁の日々となる「第二の人生」を送っている60歳を超える年齢の「高齢者だけが、「アルツハイマー型認知症」発病の対象者となるというのが事象事実なのです。

    

ところで、加齢に伴い発病するお年寄りの割合が次第に増加していくとは言え、発病しないお年寄りの数も相当数に上るというのが実態なのです。このことを言い換えると、『「アルツハイマー型認知症」の発病が、「加齢」という要因だけの延長線上にある訳ではない』ということも事象事実です。

 

&5 『かなひろいとMMSEの散布図』(廃用性の加速度的で異常な機能低下のカーブ)

(1)第二の人生を送っているお年寄り誰にも起きてくる性質のものである『加齢に伴う機能低下のカーブ』(正常老化)が緩やかで徐々にしか衰えていかないものであるのに対し、この図は、「全く異なる様相」(カーブ)を提示しています。前掲の『加齢に起因した正常老化のカーブ』とは異なる要因としての、「廃用性の機能低下加重された加速度的異常な機能低下のカーブ」(異常な老化=加速度的な機能低下)。

             

二段階方式」の場合は、小ボケ、中ボケ又は大ボケと判定されたお年寄り(「前頭葉」を含む脳全体の「機能レベル」がこの「カーブ」と同一の範疇内にあると判定された並びに「30項目問診票」との照合により、症状の各段階ごとに要求される必要数の「アルツハイマー型認知症」の症状が確認された全ての「お年寄り」)について、後述する「キッカケ」を契機に開始され、継続された対象期間中の、『脳の使い方としての単調な「生活習慣」』の詳しい聞き取り(生活歴の聞き取り)を行います。生活歴の聞き取りにより、当該機能低下の原因が、脳の使い方としての「生活習慣」に起因したもの、ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」の継続に起因した『廃用性の機能低下』であることが明らかになるのです。然もその場合、知らず知らずのうちに、廃用性の機能低下が開始されていくのではなくて、全ての患者について、明確な『キッカケ』が存在しているというのが事象事実なのです。

(2) このデータは、地域高齢者総数303人という静岡県内の山間の小さな村での、且つ、「二段階方式」が未だ浜松方式から分離独立していない1992年に実施した、『全数の実態調査』による「脳機能データ」の解析図なのです。この図が示す小ボケ、中ボケ及び大ボケのお年寄り達の「前頭葉」を含む脳全体の機能が衰えていくカーブは、私たちが「二段階方式」の手技を活用して判定し、集積した14689例に上る「脳機能データ」(「アルツハイマー型認知症」の発病患者と判定された小ボケ、中ボケ及び大ボケを含む)が示すカーブと全く同じ性質のものなのです。『第二の人生』を送っている60歳を超える年齢の「高齢者」の内で、ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」が継続されている「特定のお年寄り」だけに確認される『特有なカーブ』なのです。私たちの主張は常に、客観的な脳機能データに裏打ちされているのです。

)廃用症候群に属する「生活習慣病」が本態である「アルツハイマー型認知症」の発病者である場合は、高度な機能から順番に衰えていく。最初に衰えていく機能は、「前頭葉」の機能なのです。「前頭葉」、左脳、右脳、運動の脳の順番に衰えていくのです。手足となって働く(情報のやり取りや処理を行う)左脳や右脳や(運動の脳も!)が未だ「正常な機能レベル」を保っている中で、最も高度な働きをしていて脳全体の「司令塔」の役割を担っている「前頭葉」の機能だけが、廃用性の加速度的で異常な機能低下を進行させてきた結果として、「異常な機能レベル」にあることが確認されるのが、発病の最初の段階である『小ボケ』の段階ということなのです。認知症の専門家達が見落としているこの「小ボケ」の段階の症状は、意識的な世界を構築し、支配し、コントロールしている前頭葉自体の機能が異常な機能レベルにあるので、そのアウト・プットとしての症状は、左脳及び右脳が正常な機能レベルにあろうとも、異常な症状、『アルツハイマー型認知症』の症状というべきものなのです。

)ここで、脳の後半領域である左脳及び右脳の働き具合を判定する『MMSE』の実施結果に関わる重要な指標を提示しておきます。『キッカケ』を契機に開始され,継続されたナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」に起因して、「前頭葉」を含む脳全体の機能が廃用性の加速度的で異常な機能低下を進行させていくとき、MMSEの下位項目について、衰えていく極めて厳密な順番が存在するという事象事実の存在があるのです(私たちが独自に解析し、『MMSE下位項目の項目困難度』と名付けている「脳機能データ」の解析結果)。

その厳密な順番は、「アルツハイマー型認知症」の発病患者だけに確認される特有な性質』のものであり、「アルツハイマー型認知症」の発病者であるか否かの判定、鑑別の上で(他の種類の認知症との鑑別並びに認知症と紛らわしい病気との鑑別の上で)、客観的で、且つ、極めて有効な指標となっているのです(個別事例判定マニュアルB章)。

順番は、『想起、注意と計算、時の見当識、所の見当識、三段階口頭命令、図形の模写、文を書く、記銘、書字命令、復唱、命名』となります。仕事とは無縁の日々となる第二の人生を送っているお年寄りの日々の生活の中で、使われる機会が極端に少ないと(日々の暮らしの中で、具体的なテーマとの関わりが少なくて、出番が極端に少ないと)、『廃用性の機能低下』が惹き起こされてくることになるのです。高度な機能であるほどその順番に、出番が少しでも少ないと廃用性の機能低下が進行していくことになるということなのです。

発病の原因に関わる『4つの仮説』である「アセチルコリン説」、「アミロイドベータ説」、「タウタンパク説」、「脳の萎縮説」の何れも、『事象事実』としてのこの『厳密な順番』の存在理由を合理的、科学的に説明することも、反証することも出来ないのであり、それら仮説の主張内容が誤りであることのダメ押し的なデータであると言えるのです。

(3) 生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものも無い単調な日々の暮らし方。『あーすれば、こうなる。こうすれば、あーなる』という風に、発想や工夫の機能の出番が極端に少ない、『心に何等の刺激も起きてこない単調な日々』の暮らし方のお年寄りの場合に特有なカーブなのです。『正常な老化のカーブ』と『加速度的で異常な機能低下のカーブ』を区分ける要因とは何かを追跡したのです。脳の使い方としての「生活習慣」こそが、『発病するか/しないか』を決定づけている核心的で唯一の要因なのです。

)お年寄りが糖尿病を発病し、その症状が重いことが発病の原因ではないのです。血糖値を低下させる目的で指示される体重の引き下げ、食べるのが苦痛なほどのまずい食事制限により、そうした生活が余儀なくされて、この先も限りなく続いていく生活状況の下で、何事に対しても意欲を低下させていく、ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」が始まり継続されていくことが直接の原因で、「前頭葉」の機能が廃用性の加速度的で異常な機能低下を進行させていく結果として、「アルツハイマー型認知症」を発病することになるのです。

「アルツハイマー型認知症」発病の有力な「危険因子」として専門家達にしばしば引用される久山町の全数調査の結果は、因果関係の有無の評価を誤ったものなのです。『糖尿病』の発病と「アルツハイマー型認知症」の発病との間には、直接の因果関係は存在していないのです。「第二の人生」を送っている高齢者が、糖尿病の発病とその後の困難な闘病生活(夢も希望もない)の継続という「キッカケ」の発生を契機に開始され継続されるナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」が継続することが発病の直接の原因なのです。「アルツハイマー型認知症」の発病原因に関する数多くの/様々な視点からの医学論文を読んでみて感じること、それは、因果関係の存在の立証(確認)を余りにも軽視していること。訴額が数百億の巨大な規模の国際訴訟を数多く戦い、全勝してきた私には、その余りの杜撰さを到底理解できないのです。

 

&6 (身体が持つ限り脳が持つ「カクシャク老人」の「日々の暮らし方」の特徴)

加齢に伴う機能低下以外の異なる別の要因を詳しく調べた。東京都、神奈川県、静岡県及び愛知県に居住する「超百歳老人」819人について「実態調査」を実行し、解析したのです。「前頭葉」の機能が、100歳を超えてもなお正常な機能レベルにあるお年寄り達、『カクシャク老人』に特有な共通項として特徴的に確認されたこと、それは、脳の使い方としての「生活習慣」だったのです。多岐にわたって、『自分なりの喜びや生き甲斐を覚える』テーマや日々や時があり、趣味や遊びや交遊や運動や地域活動への参加を自分なりに楽しみ、自分なりの明確な「目標」をもってイキイキと生活しているという『脳の使い方としての「生活習慣」の共通項』が確認されたのです。

 

&7 (早々とボケていくお年寄りの日々の暮らし方の特徴)

カクシャク老人とは対照的なのが、『早々とボケていくお年寄り達』の生き方、日々の暮らし方、脳の使い方としての「生活習慣」の特徴なのです。「仕事」とは無縁の日々となる「第二の人生」でのその特有で顕著な特徴はと言うと、『時間だけは、たっぷりあるのに、することがない毎日』なのです。生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものもない、『単調な日々の暮らし方』(すなわち、これといった楽しみ事も、目標となることも、生き甲斐や喜びを覚えることも無い日々)。心に何の刺激も得られない単調な日々が継続する暮らし方であり、外に出ていき他人と交わる場所も機会も少なくて、『家に籠り勝ち』の「生活習慣」が特徴なのです。『単なる加齢ではなく、食生活でもない、脳の使い方としての「生活習慣」という要因の存在』です。

 

&8 (脳の機能分担と「前頭葉」の役割)

(1)   自分なりの生き甲斐や達成すべき目標があり、趣味や遊びや交遊や運動を楽しむ生活の機会が数多くあり、地域興し等の活動にも興味があるお年寄り、日々の生活の中で、たくさんの量と質のよい情報が「前頭葉」に送られてきて処理されているような「生活習慣」が日々継続されているお年寄りは、前頭葉の老化の曲線は緩やかなものとなり、身体が持つ限り脳も保てる(「アルツハイマー型認知症」の発病とは無縁の第二の人生)、「かくしゃく老人」への道が開けてくるのです。

(2)「かくしゃく老人」である場合の特徴として言えることは、脳の使い方としての「生活習慣」が、早々とボケていく「お年寄り」のそれとは、対極の内容の「生活習慣」を実践しているということなのです。両者の間には、世の中で言われているような「食生活としての生活習慣」ではなく、「脳の使い方としての生活習慣」の顕著な相違が存在するのです。AI技術を活用するにしても、この視点が必要不可欠となる。発病者に確認される共通項と言うだけでは、因果関係の存在を立証したことにはならない。

(3)器質的な原因病変が全く存在していないにもかかわらず、「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症は、意識的に何かの「テーマ」を発想し、実行する際に、様々な支障が出てくる病気なのです。社会生活面、家庭生活面、最後は、セルフ・ケアの面での様々な支障が出てくる病気なんです。ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」が継続する状態下で、発病の最初の段階である小ボケ、次いで中ボケへ、最後は、末期の段階である大ボケへと重症化が進行していくのです。

(4)大病院の『精神科』のみが認知症を専門に診断するとされた制度の下で(平成元年に、老人性痴呆疾患センターに国が認定 )浜松医療センターの脳外科(唯一の例外)で、金子医師と共同して認知症の診断に移っていったのが副所長なのです。脳外科手術の処置後に、社会復帰がどの程度可能であるかを追求していて、意識的な世界を構築し、支配し、コントロールしていて、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」(前頭前野)の機能構造、特に、脳の『廃用性の機能低下』という要因に目を向けたことが出発点となり、「精神科」が専管した他の病院とは異なる道を歩んだ

(5)脳は、場所によって機能が特化している。この図で示す、左脳の部位は、デジタル情報の処理(言葉、論理、計算、場合分け)を専管していて、右脳の部位はアナログ情報の処理(感情、時間の経過、空間、色や形、雰囲気)を専管していて、運動の脳という部位は、身体を動かす為の情報処理を専管してるんです。額のところの此処は、「前頭葉」という部位。左脳、右脳、運動の脳を手足として駆使しつつ、脳全体の司令塔の役割を担っているんです。脳の活性化、脳の廃用性の機能低下というとき、「前頭葉」が核心となるのです。大方の医療機関が実施しているMMSEでは、左脳と右脳の働き具合しか判定できない(「前頭葉」の働き具合が命!)

    

&9 三頭立ての馬車の『御者』が「前頭葉」

左脳、右脳及び運動の脳という三頭の馬が牽引する「三頭立ての馬車」の『御者』が「前頭葉」という脳機能なのです。

私たちが、意識的に何等かのテーマを発想し、実行に移そうとする世界、私たち人間だけに特有な世界である『意識的な世界』のコントロールタワ-が「前頭葉」なのです。左脳、右脳及び運動の脳のどれもが元気一杯であろうと(正常な機能レベルにあろうと)、『御者』が居眠りをしていたのでは、馬者は目的地に行きつくことが出来ない。「前頭葉」の機能が異常なレベルにある場合は、脳全体としての機能が異常なレベルになくても、そのアウト・プットは全て異常なものとなり、「アルツハイマー型認知症」の症状として発現するのです。私たちの区分で言う小ボケ、中ボケ及び大ボケの「症状」の全てが、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルの反映としての「アルツハイマー型認知症」の症状となるのです。

4つの仮説』の内で、世界的に通説としての地位にある(内容が優れていて説得力があるというものではなくて、単に、支持する学者の数が多いというだけの意味)「アミロイドベータ説」は、「前頭葉」という脳機能も備わっていなければ、「意識」という世界も存在していない、更には、「注意の分配機能」も備わっていないマウス(アルツハイマー・マウスとて同じこと)が檻の中で餌を探して徘徊する行動からの単なる憶測による主張に過ぎないのです。

本著作物「Cー14」に掲載され、記載され、表現された内容に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。出版物の中の記事の内容で、違法な引用の事例を散見するのですが、当社が発行している『個別事例判定マニュアル』のA、B、C及び当該グーブログ中の記載の中から、一部の内容を引用する際は、著作権法の規定に則った引用の仕方が必要となりますので、『注意を喚起』しておきます。 

    エイジングライフ研究所のHP左の部分をクリックしてください)

    脳機能からみた認知症(具体例をベースとしたもう一つのブログです)

 

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