&1 『キッカケ』となる可能性が高い事象の事例
(1) 前回のブログ(A-18)で概説したように、「キッカケ」となりそうな、「生活状況/出来事」の発生と継続に対して、受け止め方自体が人によっ異なるので、一概には言えないという点があることに注意して下さい。それ迄と変わらず、それなりに、生き甲斐や目標がある楽しい生活を続ける人もいれば、心が折れて/意欲をなくしてしまい、生き甲斐や目標もない、趣味や遊びや人づきあいも楽しまない、言い換えると、『前頭葉(前頭前野の穹窿部に局在する複合機能体を言うものとする)』機能の出番が、極端に少ない生活習慣(「脳の使い方」としての日々の暮らし方)へと、激変してしまうもいる訳なのです。集積した多数の「脳機能データ」から言えば、以下のような「生活状況」が起きてくれば、「ナイナイ尽くしの単調な生活習慣」が始まる「キッカケ」となる可能性が高いと言えるのです。
(2) ナイナイ尽くしの「単調な生活習慣」が始まる「キッカケ」としては、以下のような具体的なものを例示できます。
但し、こうした具体例のような「生活状況/出来事」の発生と継続が、そのまま「キッカケ」になるかどうかは、人それぞれなので、一概には言えないと言うことなのです。
繰り返しますが、『キッカケ』になるか/ならないかは、その「生活状況/出来事」の発生と継続に遭遇した、当の本人の「受け止め方」次第なのです。本人にとっての生活に占める重要度と痛手を感じる深さ次第で、影響が変わってくることに注意して下さい。或る程度重要なものでも、本人の痛手が小さければ「キッカケ」にならないし、周りからみてそれ程重要でなくても、本人の痛手が大きければ、「キッカケ」になるのです。
□ 仕事の第一線を退くこと
(定年退職、家業の廃止、家業を息子に譲る、嫁に家事を譲る)
□ 世話役を降りること(子供や孫の手離れ、地域の世話役を退く)
□ 配偶者の死亡(特に、妻が死亡したときの夫)
□ 趣味や遊びやお茶飲み会などの「集いの会」の中止
□ 重大な病気や怪我、腰痛その他の身体上の不具合、配偶者の看病生活
(自身の病気や怪我による入院や療養生活、病気や怪我、膝や腰の痛みなど身体の痛み或いは難聴など身体機能の不具合が継続する生活、認知症その他の重い病気を抱える配偶者の看病生活)
□ 家庭内のトラブルや心配事
(息子のリストラやサラ金問題、息子や娘の離婚、孫の不登校、家庭内の不和)
□ 重大な災害の被災により、財産や家族や友人や思い出を失ってしまう事
□ 我が子のように可愛がっていた(ペット)の死亡
□ 親しかった友人や自分自身の転居(転居により旧来の友達を失い、新しい友達が出来ない)
□ 仲が良かった兄弟姉妹の死(特に、相手が自分より年少の場合は痛手が大きい)
□ 周囲との接触もない、孤独な一人暮らしの生活(趣味や遊びや交遊を楽しんでいるような暮らし振りの一人暮らしなら、ボケとは無縁です)
□ 心がさびしい生活
(二世代同居といいながら、家庭の隅に追いやられて、家族との会話もないさびしい生活)
(3)
「左脳」が専管する(仕事)中心の生活だけを生き甲斐にして、「第一の人生」を生きて来た人は、定年退職や家業の廃止や家業を息子に譲って仕事がない毎日が始まり、「左脳」を使う機会が極端に少なくなっても、趣味や遊びや人づきあいや運動など、「右脳」や「運動の脳」を使う目標への切り替えが、全く出来ないのです。その為、「時間だけはたっぷりあるのに、することがない」毎日、『意識』が覚醒した/目的的な世界に於ける(脳全体の司令塔の役割りを担っている)『前頭葉』機能の出番が、極端に少ない『ナイナイ尽くしの「単調な生活習慣」で毎日を過ごすことになる』訳なのです。
(4) 他方で、「右脳」/「運動の脳」が専管する(趣味や遊びや人づきあいや運動)等を、自分なりに楽しむ毎日を過ごし、自分なりの楽しみや喜び、生き甲斐や目標があり、脳全体をしっかり使う「生活習慣」がある人達も、安心するのは未だ早いのです。「ボケ」とは無縁の毎日を過ごしているのに、そうした「生活習慣」とは関係なく、ある日突然降ってわいたように上述した「生活状況」に遭遇することになるのです。それに大きな痛手を感じて、心が折れてしまい、何事に対しても『意欲』をなくしてしまって、趣味や遊びや人づきあいや運動を楽しむ生活、生き甲斐や目標がある生活が出来なくなり、(『前頭葉』機能の出番が極端に少な『ナイナイ尽くしの「単調な生活習慣」が開始され、継続して行くと、同じことが起きてくるのですから。
&2 『前頭葉』機能を含む脳全体の機能レベルに厳密にリンクした「三段階に区分される類型的症状」が発現
(1) 『第二の人生』を送っている/60歳を超えた年齢の「高齢者」である以上、正常であるとはいえ/緩やかな傾きの直線の下で、『前頭葉』機能が、「正常老化」のカーブを描いていく中で、日々を生きているのです。「左脳」が専管する「仕事と言うテーマ」を追求する場面は、全く無い。さりとて、(人付き合いも、運動も大の苦手)ときて、「右脳や運動の脳」を使う場面も、極端に少ない「毎日を過ごしている」のでは、左脳/右脳/運動の脳が牽引する(三頭建ての馬車)の「御者」の役割をする『前頭葉』機能の出番が、少な過ぎるのです。
そんなあなたに、(&1で例示した)状況/出来事が、或る日降って湧いて来ることとなるのです。出来事/状況の発生と継続をが「キッカケ」となって、『ナイナイ尽くしの「単調な生活習慣」が始まり、そうこうしているうちに、出番をなくした「前頭葉」機能が居眠りし始め、①『加齢』に起因した「正常老化の進行」と言う要因と②『ナイナイ尽くしの単調な生活習慣の継続』に起因した廃用性の異常な機能低下の進行、『異なる二つの要因が、同時に並存し、重なり合う』ことの『相剰効果』により、『前頭葉』機能を含む/脳全体の機能が、放物線を描きながら「老化を加速」させて/廃用性の加速度的で異常な機能低下を進行させていくことが真で/唯一の原因となり、「AD型認知症」を発病し、更には、重症化を進行させていくことになるのです。
※ 私たち「二段階方式」独自の定義と区分で言うと、①発病の最初の段階が、「社会生活」面に重大な支障が出てくる「軽度認知症」(小ボケ)で、②次が、「家庭生活」面にも重大な支障が出てくる「中等度認知症」(中ボケ)で、③最後が、「セルフケア」の面にも重大な支障が出て来て、介助/介護が必要となる段階、末期の段階の「重度認知症」(大ボケ)と言うことなのです。
(2) それでも、「小ボケ」や「中ボケ」の本当の意味での早期の段階で見つけて、早期治療(『前頭葉』機能を活性化させるような生活を新規に組み立てること(「生活習慣の改善」)を継続して実践することにより、脳の機能を正常レベルへ回復させること(小ボケ)及び/又は、症状の更なる重症化の進行の抑制が可能(「小ボケ」/「中ボケ」)なのです。
(3)その場合、「キッカケ」となった「生活状況」が発生した(前後数年間の)「生活歴」を具体的に聞き取り、当該「生活状況」を本人がどのように受け止めたのか、『ナイナイ尽くしの「単調な生活習慣」が始まり、且つそれがどの程度の期間継続していたのかを、必ず確認して、『加齢要因に因る正常な脳の老化が、加重要因に因り加速された現在の状態』について、本人や、家族に対して、具体的に明確にさせることが、「生活習慣の改善」としての『脳のリハビリ』の構築と継続的な実践の自助努力の為の指導の前段階となるのです。
&3 まとめ
『前頭葉』機能の出番がどのように少ない「生活習慣」となっていたのかについて、その人の生活を具体的に振り返り、本人及び家族に、具体的に確認させることが大切なのです。
① 何を「キッカケ」にして、
②「キッカケ」をどのように「受け止めた」結果、
③ 何時の時期 から、「生活習慣」(日々の「脳の使い方」としての視点と意味で言う「生活ぶり」)が、変わってしまい、
④「前頭葉」機能の出番が極端に少ない「ナイナイ尽くしの単調な生活習慣」が始まり、継続されてきたのか
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