認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

単調な生活が始まる「キッカケ」となる生活状況の事例(A-33)

2012-04-27 | アルツハイマー型認知症の原因

前回の報告で説明したように、人によって「生活状況」の発生に対する受け止め方が違うので、一概には言えません。それ迄と変わらず、それなりに生き甲斐や目標がある楽しい生活を続ける人もいれば、意欲をなくしてしまい、生き甲斐や目標もない、趣味や遊びや人づきあいも楽しまない、言い換えると「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。以下、同じ)の出番が極端に少ない生活に変わってしまう人もいます。集積した多数のデータから言えば、以下のような「生活状況」が起きてくれば、「ナイナイ尽くしの単調な生活」が始まるキッカケ」となる可能性が高いと言えるのです。

ナイナイ尽くしの「単調な生活」が始まる「キッカケ」としては、以下のような具体的なものを例示できます。但し、こうした具体例のような「生活状況」がそのまま「キッカケ」になるかどうかは人それぞれなので、一概には言えないのです。その「生活状況」に遭遇した本人の「受け止め方」次第なのです。本人にとっての生活に占める重要度と痛手を感じる深さ次第で、影響が変わってくることに留意してください。ある程度重要なものでも、本人の痛手が小さければ「キッカケ」にならないし、周りからみてそれ程重要でなくても、本人の痛手が大きければ「キッカケ」になるのです。

□ 仕事の第一線を退くこと

 (定年退職、家業の廃止、家業を息子に譲る、嫁に家事を譲る)

□ 世話役を降りること(子供や孫の手離れ、地域の世話役を退く)

□ 配偶者の死亡(特に、妻が死亡したときの夫)

□ 趣味や遊びやお茶飲み会などの「集いの会」の中止

□ 重大な病気や怪我、腰痛その他の身体上の不具合、配偶者の看病生活

(自身の病気や怪我による入院や療養生活、病気や怪我、膝や腰の痛みなど身体の痛み或いは難聴など身体機能の不具合が継続する生活、認知症その他の重い病気を抱える配偶者の看病生活)

□ 家庭内のトラブルや心配事

  (息子のリストラやサラ金問題、息子や娘の離婚、孫の不登校、家庭内の不和

□ 重大な災害の被災により財産や家族や友人や思い出をうしなうこと

□ ペットの死亡

□ 友人や自分自身の転居(転居により旧来の友達を失い、新しい友達が出来ない)

□   兄弟姉妹の死(特に、相手が自分より年少の場合は痛手が大きい)

□   周囲との接触もない孤独な一人暮らし(趣味や遊びや交遊を楽しんでいるような暮らし振りの一人暮らしなら、ボケとは無縁です)

□ さびしい生活

 (二世代同居といいながら、家庭の隅に追いやられて家族との会話もないさびしい生活)

「左脳」(仕事)中心の生活だけを生き甲斐に第一の人生を送ってきた人は、定年退職や家業の廃止や家業を息子に譲って仕事がない毎日が始まり、「左脳」を使う機会が極端に少なくなっても、趣味や遊びや人づきあいや運動など、「右脳」や「運動の脳」を使う目標への切り替えが出来ないのです。そのため、「時間だけはたっぷりあるのにすることがない」毎日、「前頭葉」の出番が極端に少ないナイナイ尽くしの「単調な生活」で毎日を過ごすことになるのです。

他方、趣味や遊びや人づきあいや運動などを自分なりに楽しむ毎日を過ごし、生き甲斐や目標があり脳全体をしっかり使う「生活習慣」がある人たちも、安心するのは未だ早いのです。「ボケ」とは無縁の毎日を過ごしているのに、そうした「生活習慣」とは関係なく、ある日突然降ってわいたように上述した「生活状況」に遭遇することになるのです。それに大きな痛手を感じて、意欲をなくしてしまって、趣味や遊びや人づきあいや運動を楽しむ生活、生き甲斐や目標がある生活ができなくなり、「前頭葉」の出番が極端に少ないナイナイ尽くしの「単調な生活」で毎日を過ごすようになると、同じことが起きてくるのです。

              

第二の人生を送っている「高齢者」である以上、正常であるとはいえ緩やかな傾きの直線の下で、脳が「老化のカーブ」を描いてきているのです。「左脳を使う場面はない、さりとて右脳や運動の脳を使う場面も極端に少ない毎日」では、三頭建ての馬車の御者の役割をする「前頭葉」の出番が少なすぎるのです。「キッカケ」を契機に、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が始まり、そうこうしているうちに、出番をなくした「前頭葉」が居眠りし始め、廃用性の機能低下との相乗効果により、放物線を描きながら「老化を加速」させていき、「アルツハイマー型認知症」を発病することになるのです。その最初の段階が社会生活に支障が出てくる「軽度認知症」(小ボケ)で、次が、家庭生活に支障が出てくる「中等度認知症」(中ボケ)で、最後が末期の段階の「重度認知症」(大ボケ)なのです。

それでも、「小ボケ」や「中ボケ」の早期の段階で見つければ、脳を活性化させるような生活を組み立てること(「生活改善」)により、脳の機能を正常レベルへ回復させることが可能なのです。「生活状況」が発生した前後数年間の「生活歴」を具体的に聞き取り、「生活状況」を本人がどのように受け止めたのか、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が始まり且つそれがどの程度の期間継続していたのかを確認して、脳の老化が加速された現在の状態を本人や家族に対し明確にさせることが、「生活改善」指導の前段階となるのです。但し、せっかく「小ボケ」や「中ボケ」の段階で見つけても、「認知症の進行を抑える効果があるとかいう薬」を飲ませるだけで、脳を活性化させる「生活改善」を求めないままに、それまでの「単調な生活」を継続していくときは、廃用性の機能低下により脳は老化を加速させていくので、症状は進行していくことになります。

 「前頭葉」の出番がどのように少ない「生活習慣」となっていたのかについて、その人の生活を具体的に振り返り、本人および家族に確認させることが大切です。

1. 何を「キッカケ」にして、

2. 「キッカケ」をどのように「受け止めた」結果、

3. いつから「生活習慣」(生活ぶり)が変わってしまい、

4. 「前頭葉」の出番が極端に少ない「ナイナイ尽くしの単調な生活」が始まったのか

注)本著作物(このブログA-33に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

    エイジングライフ研究所のHP(ここをクリックしてください)

 

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ナイナイ尽くしの単調な生活... | トップ | 症状の継続期間と脳の老化の... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

アルツハイマー型認知症の原因」カテゴリの最新記事