12-15.麒麟の翼
■配給:東宝
■製作年・国:2012年、日本
■上映時間:129分
■観賞日:2月18日、TOHOシネマズ六本木ヒルズ
□監督土井弘泰
◆阿部寛(加賀恭一郎)
◆中井貴一(青柳武明)
◆溝端淳平(松宮脩平)
◆田中麗奈(金森登紀子)
◆新垣結衣(中原香織)
◆三浦貴大(八島冬樹)
◆柄本時生(横田省吾)
◆黒木メイサ(青山亜美)
◆松坂桃李(青柳悠人)
◆劇団ひとり(糸川肇)
◆鶴見辰吾(小竹由紀夫)
【この映画について】
2010年4月に阿部寛主演で「新参者」というタイトルでドラマ化された、東野圭吾の人気ミステリー・加賀恭一郎シリーズ。その中でも東野圭吾自身が“シリーズ最高傑作”と呼ぶ「麒麟の翼」がドラマのキャストそのままで映画化された。
主人公の刑事・加賀恭一郎は、遺族たちに丁寧に向き合いながら、被害者や容疑者の周囲を調べ、彼らの行動の謎を解き明かし、事件の真相を探っていく。被害者・容疑者それぞれが秘めていた家族への想いが明かされる時、思わず涙する観客も多いはずだ。阿部寛、溝端淳平らレギュラー陣に加え、新垣結衣、中井貴一、松坂桃李らが新たに参加している。監督は『涙そうそう』『ハナミズキ』の土井裕泰。(この項、gooより転載しました)
【ストーリー&感想】
東京・日本橋で男性が殺害される事件が発生。被害者はカネセキ金属の製造本部長、青柳武明。彼は、腹部を刺されたまま8分間も歩き続けた後に、日本橋の翼のある麒麟像の下で力尽きていた。なぜ、誰の助けも求めず、彼は一体どこへ向かおうとしていたのか。
一方、事件の容疑者、八島冬樹は現場から逃亡しようとしたところを車に轢かれて意識不明の重体だった。報せを聞いた八島の恋人、中原香織は、彼の無実を訴えるが……。この難事件の捜査に当たるのは、日本橋署の切れ者刑事、加賀恭一郎。やがて捜査が進むにつれて、それぞれの家族や恋人の知られざる一面が明らかになってゆく。命が終わるその時に、青柳は誰に何を伝えようとしていたのか?愛する人に何を残そうとしたのか?加賀は事件の裏に隠された謎を解き明かし、真実を見つけ出すことができるのか……?
ドラマ版「新参者」を観ていない私としては、単なる「邦画」の一つとして観賞した。なので阿部寛がドラマでどのように演じているかは全く知らない状態で観た訳で、観終わった感想は「盛り沢山で良く出来た良質の2時間ドラマ」を映画館で観た、そんな感じかな。
この映画では父子の絆がテーマのようで病に臥す加賀父子の関係、青柳父子の関係。この二つを中心に、この二組に絡む悩みや事件の綾が見え隠れする。青柳父子は刺殺された父の仕事について家族が誰もよく知らなかったことや、父が息子のクラブ活動に纏わる秘め事について。青柳家には被害者ながらマスコミに追われ続け、まるで殺されてもやむを無かったような空気まで流れて一家崩壊の危機を迎える。
加賀父子は同じ職業を持つ親子の悩み、加賀父の担当看護師であった金森が感じ取った父の息子への秘めた思いを場面の展開を変える繋ぎとして使っていた。田中麗奈は登場回数こそ多くは無いが重要な役所だった。彼女が発した「死にゆく人が発したメッセージを受け止めるのは、生きている者の義務」という内容のセリフ、青柳武明はまさに刺されて麒麟像に辿り着くまで「必死」になって何かを残そうと血染めの折りヅルに託したようすを暗示していて、この映画の中で最も重要なセリフだと個人として感じました。
ストーリー的には青柳家の息子の水泳部についての事件隠蔽を巡って、知られざる事実が加賀の捜査で浮上してくる。結局、青柳家の息子も関わっていたこの水泳部の事故が事件の真相なのだが、決してこれをメインに添えてはいない。そこに辿り着くまでに青柳武明の人柄から遡って足取りを加賀が捜査し、七福神巡りや謎のブログ、折りヅルの意味など話題はてんこ盛り。
そのてんこ盛りが逆に犯人へ辿り着くまでに時間がかかり過ぎな気もする。また、黒木メイサや新垣結衣という若手人気女優の出番を作る為の設定など、その他、あっても無くても良いような場面も見受けられた。
日本橋を中心としたロケ中心の映像は23区の西端に住んでいる身としても楽しめるものだった。