12-11.マシンガン・プリーチャー
■原題:Machine Gun Preacher
■製作国・年:2011年、アメリカ
■上映時間:129分
■字幕:李静華
■観賞日:2月4日、ヒューマントラストシネマ渋谷(渋谷)
□監督・製作総指揮:マーク・フォースター
□脚本:ジェイソン・ケラー
□撮影監督:ロベルト・シェイファー
□美術:フィリップ・メッシーナ
□編集:マット・チェス
□衣装デザイン:フランク・L・フレミング
◆ジェラルド・バトラー(サム・チルダース)
◆ミシェル・モナハン(リン・チルダース)
◆マイケル・シャノン(ドニー)
◆キャシー・ベイカー(デイジー)
◆スレイマン・スイ・サヴォネ(デン)
◆マデリーン・キャロル(ペイジ)
【この映画について】
内戦が続くアフリカ・スーダンで子供たちの救出活動を続けるアメリカ人、サム・チルダースの姿を追った実話ベースのドラマ。元麻薬売人という異色の経歴ながら、ボランティアで訪れた彼の地で現実を目の当たりにし戦いを開始、私財を投じて孤児院を建設し、マシンガンを手にゲリラから子供を守るさまを描いている。
今作で初めて実在の人物を演じたジェラルド・バトラー。前半は、犯罪に塗れた男が家族と信仰に支えられながら生まれ変わっていく過程を熱演、後半は鬼気迫る表情で戦いに身を投じながら、自分の無力感にいらだつ葛藤を迫真の演技で表現した。そんなバトラーの新境地とも言うべき味わい深い演技を堪能したい。(この項、gooより転載しました)
【ストーリー&感想】
1990年代、アメリカ・ペンシルヴェニア州。刑務所を出所したサム・チルダースは、信仰に目覚めた妻リンがストリッパーを辞め、稼ぎの悪い工員になったと聞き、家を飛び出す。サムは親友ドニーと合流し、酒と麻薬に溺れる生活に戻る。
ある日、サムは道でもめた男を半殺しのまま放置してしまう。後悔したサムはリンに助けを求め、教会で洗礼を受ける。人生をやり直すと決意したサムは建設現場で働き始め、やがて会社を設立する。数年後、教会の礼拝でウガンダの牧師の話に感銘を受けたサムは、リンや娘ペイジ、母デイジーに快く送り出され、現地のボランティアに参加する。
北部ウガンダの建設現場に派遣されたサムは、スーダン人民解放軍のデンと出会う。サムはスーダンの難民キャンプで、子供たちが武装ゲリラ・神の抵抗軍(LRA)に拉致されては少年兵に仕立てられるという現実を目にする。数週間後、帰国したサムは、スーダンに孤児院を建てることを決意し、麻薬から更生したドニーに家族を任せてスーダンに赴く。
LRAの妨害に遭い計画は困難を極めたが、リンの電話に励まされたサムは孤児院を完成させる。しかし孤児院の維持や子供たちの救出は簡単なことではなく、サムは苛立ちをつのらせていく。帰国しても攻撃的な態度を取り続けたサムは、ドニーに冷たく当たる。行き場をなくしたドニーは再び麻薬に溺れ、孤独に死んでいく。
サムはリンに相談せず建設会社を売り払うと、スーダンへ旅立つ。サムの攻撃性はエスカレートし、孤児院でも凶暴な態度で振る舞う。ある日、元LRAの少年兵で、孤児院に保護されたウィリアムがサムの部屋を訪ねてくる。ウィリアムは、LRAの命令で母親を殺したという悲惨な体験を語る。それでもウィリアムが自尊心を失っていないことに感銘を受けたサムは、自分の使命を悟る。
この話は実話に基づく映画化だそうだ。チルダースがボランティアに目覚めてスーダンに行くまでの下りはちょっと長いのだが、映画的にインパクトを与えないとという部分では納得?このチルダースだが、やはりアメリカ人らしい正義感でスーダンの子供たちを救おうと立ち上がったものの、逆に、自分の子供にはアフリカの子供と自分たちとどっちが大事なの?みたいに迫られて家庭内では浮いてしまうが、そこは強引に自分の信念を貫こうとする。
当然ながら、彼にはアメリカで定職は無い(一応あるけど)ので収入は限られていて、地元銀行に押し掛けて融資を半ば強引に取りつけようとアフリカでの現状を熱っぽく語るが、その余りに高圧的な態度に周囲も関わりたく無くなる。家庭でもイライラを募らせ、遂にはスーダンでもその高圧的な態度で徐々に人が離れて行く。それでも彼は時には銃を手に取って、彼の存在を脅かす者には無慈悲に銃弾を発するのだった。
孤立して行く中で、母親を殺さざるを得なかった少年の話は彼の心に響いた。アメリカとスーダンでの二重の生活で失ったものも多かったチルダースだったが、彼に取って麻薬中毒から抜け出して自分の居場所はスーダンに果たしてあったのだろうか?彼は今でもアフリカで活動しているそうだ。
チルダースを演じていたのはスコットランド出身のジェラルド・バトラー。彼のイメージと麻薬中毒者からボランティアとして生きる決意をした人物を演じているのだが、彼は出演作毎に異なったタイプの人物に扮しており、今回の主人公チルダースも違和感無く役にのめり込んでいたように思えた。