12-33.マンク✛破戒僧✛
■原題:Le Moine(英題:The Monk)
■製作国・年:フランス・スペイン、2011年
■上映時間:101分
■観賞日:4月22日、シアターN渋谷
□監督・脚本:ドミニク・モル
◆ヴァンサン・カッセル(アンブロシオ)
◆デボラ・フランソワ(ヴァレリオ)
◆ジョセフィーヌ・ジャピ(アントニア)
◆セルジ・ロペス(放蕩者)
◆ジェラルディン・チャップリン(スペリア修道院長)
◆カトリーヌ・ムシュ(アントニアの母・エルヴィラ)
◆ホルディ・ダウデール(ミゲル神父)
【この映画について】
禁欲生活から情欲の世界へと身を落とし悪魔に魂を差し出した破戒僧の姿を描き、160年もの長きにわたって禁書となっていた小説「マンク」を映画化した驚がくのスリラー。
残虐で背徳的な僧を演じるのは、『ジャック・メスリーヌ フランスで社会の敵(パブリック・エネミー)No.1と呼ばれた男』シリーズや『ブラック・スワン』のヴァンサン・カッセル。男装で主人公に近づく黒魔術師を、『譜めくりの女』のデボラ・フランソワが演じる。メガホンを取るのは、『ハリー、見知らぬ友人』のドミニク・モル。中世の修道院を舞台にした、エロチックで陰鬱(うつ)な世界観に引き込まれる。
(この項、シネマトゥデイより転載しました)
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
17世紀スペイン・マドリッド。赤子の時にカプチン派の修道院の門前に捨てられ、僧に育てられたアンブロシオ、その熱心さから町中の人が彼の雄弁な説教を聞きにやって来るほどの僧に成長していた。すべての欲を絶ち、規律を重んじるアンブロシオであったが、出生の謎とたまに彼を襲う頭痛に悩まされていた。
ある日、傷ついた顔を覆うために仮面をかぶっているという、ミステリアスな見習い修道士バレリオがやってくる。彼は、なぜかアンブロシオの頭痛を和らげる不思議な力を持っていた。しかし実は、バレリオは彼に近づく為に女性であることを隠している偽りの修道士だったのだ。
バレリオが女性であることを知ったアンブロシオは、彼女を修道院から追放しようとするが、その折に虫の毒によって高熱を出してしまう。するとバレリオは病に伏し朦朧とするアンブロシオと自ら関係を持ち、その不思議な力で再び病を癒す。
破戒僧となってしまったアンブロシオは、それ以来情欲の虜となり、愛欲に身を任せてしまう。そんな中、少女アントニエがアンブロシオの元へ、病気の母へ説法を聞かせてほしいと懇願しにやってくる。美しく、無垢で慎み深い彼女は天使と見紛うほどで、その姿は何度もアンブロシオの夢の中に現れる少女そのものだった。アントニエをどうしても手に入れたいという欲望に負け、アンブロシオは、本性を表したバレリオの意のままに、黒魔術の力を借りる。そして、聖なる教会を黒ミサで汚し、強姦、窃盗、殺人とあらゆる悪徳に身を沈めていくのだった……。
「ブラック・スワン」でN・ポートマンの相手役だったヴァンサン・カッセル(妻は女優モニカ・ベルッチ)が主演の宗教的要素が濃い映画だ。
この作品、舞台はほぼ砂漠の中にぽつんと佇む修道院とその周辺で展開する。ヴァンサン・カッセル演じるアンブロシオは修道院で育ったことから信心深く、欲を絶った生活で町中の人からも人気が高かった。
だけれどもある日、人生30年目にして守ってきた欲に負けて女性だったバレリオと関係を持ってから彼は破戒僧となり、あれ程までに欲を絶っていたのに情欲の虜に陥って行く。人間はやはり性欲の誘惑に弱いから、ここまで30年も童貞だったのに女を知ってしまったことで何かがプツリとキレてしまったようになった。
ストーリー的には最初の懺悔のシーンとラストにアンブロシオが砂漠で朦朧とした意識の中で悪魔に魂を渡すシーンは実は繋がっていたのだ。ここでのヴァンサン・カッセルの演技は見事で、彼自身が役になりきっていた。最近は英語のセリフでの役が続いていてフランス語訛りの英語で奮闘?していたが、本作はフランス語セリフなので自分の演技に集中出来たのもプラスに働いたのかもね。
また、あの修道院は見事なロケーションで、この映画の雰囲気にピッタリだった。
この映画は原作が発禁本だったそうだが、この映画を見る限りは確かに際どいシーンはあるが、映画化に際して問題になっていたシーンは再現されなかったのだろか?なぜ、発禁だったのか映画を観ていただけでは理解出来なかった。