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kintyre's Diary 新館

野球(西武ファン)や映画観賞記等を書き綴っています。野球のオフ期には関心の高いニュース等も取り上げています。

映画『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』 を観て

2011-10-14 18:27:39 | アメリカ映画 2011

11-68.猿の惑星:創世記(ジェネシス)
■原題:Rise Of The Planet Of The Apes
■製作年・国:2011年
、アメリカ
■上映時間:106分
■字幕:戸田奈津子

■鑑賞日:10月14日、TOHOシネマズ六本木ヒルズ(六本木)

■料金:1,000円
 

□監督:ルパート・ワイアット
□脚本・製作:リック・ジャッファ、アマンダ・シルヴァー
□撮影監督:アンドリュー・レスニー
□編集:コンラッド・バフ、マーク・ゴールドブラット
□美術:クロード・パレ
□音楽:パトリック・ドイル

◆ジェームズ・フランコ(ウィル・ロッドマン)
◆フリーダ・ピント(キャロライン)
◆ジョン・リスゴー(チャールズ・ロッドマン)
◆トム・フェルトン(ドッジ)
◆アンディ・サーキス(シーザー)
【この映画について】
人間が高度な知能を持つ猿に支配される前代未聞の世界観と、衝撃的なラストシーンで話題となった『猿の惑星』の前日譚(たん)をひもとく話題作。
現代のサンフランシスコを舞台に、1匹の猿の突然変異的な進化と自由を求める戦いが人類にとって脅威になっていく様が描かれる。『127時間』のジェームズ・フランコ、『スラムドッグ$ミリオネア』のフリーダ・ピントらが出演。『アバター』のWETAデジタルによる革新的なCGIにも注目だ。(この項、シネマトゥデイより転載しました)
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
サンフランシスコの製薬会社研究所に勤める神経化学者ウィルが実験用に観察していた一匹のチンパンジーに驚くべき知能が示された。そのチンパンジーには開発中のアルツハイマー病の新薬が投与されていたが、突如暴れ出し、警備員に射殺されてしまう。
だがそのチンパンジーは妊娠しており、ウィルは生まれたばかりの赤ん坊猿を自宅に連れ帰り“シーザー”と名付けて育てることにする。3年後、ウィルのもとですくすくと育ったシーザーは、家の中を縦横無尽に駆け回るようになった。ウィルとシーザーとの間には強い絆が生まれており、同時に母親のチンパンジーの特殊な遺伝子を受け継いだ彼は、類いまれな“知性”を発揮し始めていく。

新薬が脳を活性化させる効果を確信したウィルは、研究所から持ち出したその薬をアルツハイマー病の父・チャールズに投与、すると翌朝、彼はそれまで悪化していた病状が嘘のように生気を取り戻す。5年後。ウィルは動物園の獣医キャロラインと相思相愛の仲になり、体長5フィートにもなったシーザーは、より複雑で多様な感情を表すようになっていた。
そんな折、チャールズが再び病状悪化の兆候を示し、隣人とのトラブルを引き起こす。その様子を屋根裏部屋から目撃したシーザーは、チャ-ルズを助けようとしてその隣人を傷つけてしまい、霊長類保護施設に入れられる。檻に閉ざされた施設で、シーザーを待ち受けていたのは飼育長ドッジの陰湿な虐待だった。
その一方で、なかなか施設内の猿のコミュニティに溶け込めずにいたシーザーは、チンパンジーの群れを率いるボスとの争いに勝利を収め、全ての猿たちをひとつのグループにまとめ上げていく。その頃、ウィルはより強力に改良した新薬の実験を行うが、猿への投与中に薬を浴びたウィルの同僚が原因不明の体調不良を訴えた後、夥しく出血、謎の死をとげる。

ウィルは施設を訪れるが、シーザーはウィルが差しのべる手を拒絶。知性に目覚め、人間の愚かさに失望し、ウィルさえも想像できない驚異的な進化を遂げたシーザーは、このときすでにある決意を固めていた。やがて高い知能を駆使し施設から脱出したシーザーは、今や固い絆で結ばれた仲間のチンパンジーらと共に、人類との壮大な全面戦争へとなだれ込んでいく……。

猿の惑星シリーズ作品は全て観賞したので、「創世記」と銘打ったこの作品の展開が気になっていた。シーザーの誕生秘話と、シーザーが知性を身に付けて保護施設に入れられまでウィルと生活していたという設定は興味深かった。ただ、ウィルが開発中のアルツハイマー病の新薬を父に投与したちまちその効果が現れるシーンには抵抗感を覚えた。
それでも父の症状が回復しシーザーと心を通わせる部分は、ラストシーンで繋がって来るのだが、ウィルは自分が思っていた以上にシーザーが知的で人間に似た感情を持ち合わせていたことにショックを受ける。シーザーは金門橋での人間とのバトルを制して「森に戻って行った」ことで、ウィル一家と再び「ペット」としての生活を送る提案には「No」を言い渡した。
但し、このストーリーでは同時進行で次作への布石とも言うべき事柄が進行している。動物実験中に研究施設内で体調不良に陥ったウィルの同僚がウィル宅を訪問するが生憎不在だった。その時、隣家の航空会社のパイロットと遭遇した際に彼が咳きこみパイロットのシャツに血が飛び散った。
その後、このパイロットを経由して世界中に謎のウイルスがまき散らされ人類は存亡の危機に...。まあ、そこから先は人類滅亡の謎を解くカギとなりそうで次作でどう描かれるのかに注目ですね。


さて、この作品のもう一つの注目点はやはりサルのメイキャップですね。オリジナルでは特殊なマスクとメイクでアッと言わせましたが、今回は時代の進歩とともに俳優がモーション・キャプチャー装着で演じている。主役とも言うべきシーザーは「キング・コング」でキング・コングを演じたアンディ・サーキスが扮している。
この映画でチンパンジーの表情が穏やかで良い意味で動物らしさ丸出しで無いところが良い。知的なチンパンジーの成長を演じるのは通常以上の演技力を要するので、その点でもサーキスの出演はプラスだったし彼無くしてシーザーは有り得なかった。
CG技術も見事でハイライトともいえるチンパンジーらが施設から脱出して金門橋で人間らとバトルを繰り広げる場面は見事だ。まるで本物の金門橋でロケしていると言えば大袈裟かもしれないが、そう感じるほどだった。でも、進化したチンパンジーとテクノロジーを過信した人間との戦いって、例えば、人種間のいざこざや、植民地における征服者と被征服者との関係をも想起させられた。そもそも「猿惑シリーズ」って文明批判的な側面も描かれているので、今回もそういう要素をこの場面に感じた。
最後に、霊長類保護施設でチンパンジーらを虐待していたドッジを演じていたのが「ハリポタ」シリーズにドラコ・マルフォイ役で出演していたトム・フェルトンだった。今後、こういう「嫌な奴」的な役柄が多くなるのかな?


映画『世界侵略:ロサンゼルス決戦』を観て

2011-10-11 21:08:27 | アメリカ映画 2011

11-67.世界侵略:ロサンゼルス決戦
■原題:World Invasion:Battle Los Angeles
■製作年・国:2011年
、アメリカ
■上映時間:116分
■字幕:太田直子

■鑑賞日:10月10日、新宿ピカデリー(新宿)

■料金:1,800円


□監督:ジョナサン・リーベスマン
□脚本:クリス・バートリーニー
□撮影監督:ルーカス・エトリン
□編集:クリスチャン・ワグナー
□美術:ピーター・ウェナム

◆アーロン・エッカート(マイケル・ナンツ2等軍曹)
◆ミシェル・ロドリゲス(エレナ・サントス空軍2等曹長)
◆ラモン・ロドリゲス(ウィリアム・マルチネス少尉)
◆ブリジット・モイナハン(ミシェル)
◆Ne-Yo(ケヴィン・ハリス伍長)
◆マイケル・ペーニャ(ジョー・リンコン)
【この映画について】
ロサンゼルスを舞台に、地球を侵略してきたエイリアンに立ち向かう海兵隊員の死闘を描いたSFアクション。ドキュメンタリー調の戦争映画のスタイルに未確認飛行物体の実録映像などを盛り込み、壮絶な地上戦が展開する。
監督は、『テキサス・チェーンソー ビギニング』のジョナサン・リーベスマン。主人公の海兵隊隊長には、『ダークナイト』のアーロン・エッカート。共演には『アバター』のミシェル・ロドリゲス、『アイ,ロボット』のブリジット・モイナハンら実力派が顔をそろえる。(この項、シネマトゥデイより転載しました)
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
1942年2月25日、アメリカ・ロサンゼルス上空。アメリカ軍のレーダーが、発光しながら編隊を組む25機の飛行物体を捕捉する。しかし約1440弾の対空砲火を行うが、1機も追撃することができなかった。当時、その模様はラジオで中継され、アメリカ西海岸はパニック状態に陥った。現在でも、この騒動の真相は明らかになっていない。

その後、1965年にはアルゼンチン・ブエノスアイレスで空飛ぶ円盤が目撃され、1983年には韓国・ソウルに未知の光る物体が出現した。1991年にはイギリス・ロンドンにもそれらが現れた。しかし、彼らの目的はまだわからなかった。
そして2011年8月11日、世界各地の天文台は、地球に接近する流星群を捕捉した。それらは地球の各大陸沿岸に落下すると予想される。
同日、海兵隊のナンツ2等軍曹が新兵の教官を務めていたが、諸般の事情により退役する意思を固めていた。翌12日、海中から異星人の軍団が出現し無差別に発砲し上陸する宇宙人達、直ちに全軍に出撃命令が下った。

退役が決まっていたナンツは非常事態に出撃に同意し第1小隊に配属され、軍の空爆開始である19:30までに孤立した地区の住民を救出する作戦を命じられた。逃げ遅れた住民はロサンゼルス西警察署に避難していて、彼らを救出してサンタモニカの前線基地へ連れ戻すことに。
だがその間にも周囲は敵に包囲され壮絶な地上戦を繰り広げて如何にして辿り着くかが見所に。既に町は爆撃で破壊され尽くされ、救助ヘリも撃墜されたことから一行は放置されたスクールバスを動かして何とかハイウェイを突破しようと試みるも、あちこちから攻撃の矢が飛んできて部隊は孤立し、空爆開始の時間は迫って来る。
最後は宇宙人の司令部にミサイルをぶち込み破壊してメデタシメデタシとなりますが、宇宙人の姿が殆ど明らかにされないので未知の者への恐怖より攻撃されていることへの恐怖が強調されていました。

ナンツ軍曹は味方を鼓舞して果たして無事に帰還出来るのか?アーロン・エッカートがナンツ軍曹を演じるのだが、リーダーシップを発揮する場面もあるのだが、全体的にインパクトが足りない。宇宙人の不意打ちで地球自体が破滅状態に陥りながらも、ロスだけは死守するっていう意味が分かり辛い。世界(地球)最強を誇る米軍がこの時点でロスの部隊を残して壊滅状態とはどうなんだろう?
まあ、でもそうした大規模の戦闘を描かずに、作戦そのものは孤立した民間人を救出するという簡単なミッションだったのは良かったと思うのだが、主役のアーロン・エッカート自身の個性が発揮されているとは個人的には思えず、共演のミシェル・ロドリゲスは逆に良い味出していた。

余談ですが、この映画は当初春公開予定で、私も年明けから映画館で何度も予告編を観ていたのですが運悪く東北大震災が発生して公開が延期になっていました。


映画『親愛なるきみへ』を観て

2011-10-10 21:18:53 | アメリカ映画 2011

11-66.親愛なるきみへ
■原題:Dear John
■製作年・国:2010年
、アメリカ
■上映時間:108分
■字幕:尾形由美

■鑑賞日:10月10日、新宿ピカデリー(新宿)

■料金:1,800円



□監督
:ラッセ・ハルストレム
□脚本・共同製作:ジェイミー・リンデン
□原作:ニコラス・スパークス
□撮影監督:テリー・ステイシー
□編集:クリスティーナ・ボーデン
□美術:カラ・リンドストローム
□音楽:デボラ・ルーリー
◆アマンダ・セイフライド(サヴァナ・カーティス)
◆チャニング・テイタム(ジョン・タイリー)
◆ヘンリー・トーマス(ティム・ウェッドン)
◆スコット・ポーター(ランディ)
◆リチャード・ジェンキンス(ミスター・タイリー)
【この映画について】
ロマンチックなジョンとサヴァナの出会いは恋愛ドラマの典型だが、そんな青春ヒーローにふさわしく、『G.I.ジョー』のチャニング・テイタムは海とサーフボードがよく似合い、ほのかに屈折した雰囲気も女心をくすぐるに違いない。一方、『マンマ・ミーア!』のアマンダ・セイフライドは誠実さと慈愛に満ちた育ちの良さを体現する。そして、ジョンの父を繊細に演じる『モールス』のリチャード・ジェンキンスが物語に深みを与える。
原作はニコラス・スパークスの恋愛小説「きみを想う夜空に」。『ギルバート・グレイプ』『ショコラ』の名匠ラッセ・ハルストレム監督によって、メロドラマになりすぎない清冽さが全編を貫いている
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
米軍特殊部隊の兵士ジョン・タイリーは、2週間の休暇で赴任地ドイツから父親が暮らすサウスカロライナに帰省する。1人暮らしの父は自閉症だったが、ジョンとは深い絆で結ばれていた。やがて彼は、帰省中の女子大生サヴァナ・カーティスと海辺で偶然知り合い、恋に落ちる。南部の裕福な家庭で愛情をたっぷり受けて育った陽気なサヴァナは、自閉症の子供たちのための施設を作るという夢を抱く理想主義者。それに対して、自閉症の父親に育てられたジョンは、タフなスポーツマンのイメージとは裏腹に、対人関係が苦手で心に孤独を抱えていた。

住む世界も性格も全く異なるものの、2人はともに、今まで自分の中に欠けていた何かを相手の中に見出し、惹かれあう。愛を育む2人だったが、瞬く間に2週間が過ぎ、ジョンが赴任地に戻る時が訪れる。機密事項のため行き先を告げることができないジョンと、学校で大学生として生活するサヴァナ。
遠く隔てた距離を埋めるように、2人は約束通り手紙の交換によって、大切に愛を育てていった。時は流れ、世界情勢が複雑化し、ジョンは任務を延長せざるをえない状況に追い込まれる。祖国への献身とサヴァナの元に戻りたい想いの間で苦悩するジョン。故郷へ戻ったサヴァナも孤独に耐え、2人の絆をなんとか保とうと努力していた。

だが、9・11同時多発テロ事件が2人の間を引き裂く。ある日、ジョンの元に届いたのはサヴァナからの別れの手紙。生まれて初めて心を開ける相手を見つけたと思っていたジョンは打ちひしがれ、自ら激戦地での任務延期を志願する。やがて戦場で負った傷も癒え、故郷へ帰還したジョンはサヴァナと再会。そこで彼は、手紙には書かれていなかった驚くべき真実と向き合うことになる……。

この映画、そのストーリーと共にサウスカロライナ州チャールストンでのロケ映像も相まってロマンチックな雰囲気がスクリーンから伝わってくる。特に、冒頭でジョンとサヴァナがビーチで出会うシーン、サヴァナが海中に落としたバッグをジョンがいきなり飛び込んで返すシーンは掴みとしては良い。
ここから女子大生サヴァナと軍隊の休暇中に帰郷しているジョンとの劇的な出会いが始まり、これが物語の中心に据えられながらも、ジョンと父との関係、ジョンの父とサヴァナの関係、サヴァナとティム父子との関係も同時進行で描かれている。
前半は勿論アツアツのジョンとサヴァナの関係が深まって行く様子が中心で、その中でも後半の波乱の展開を予感させるティムとその自閉症の息子との関係も挿入されていて流れとしては整然としている。ジョンが戦地へ1年の予定で赴く間も、手紙でのやり取りが頻繁に続き、手紙が来ることがお互いの生活のハリになっているのは明らか。
しかし、女心に徐々に変化の兆しが...。ジョンは1年で帰還出来ると信じていたものの、9・11が発生し事態は急変する。ジョンの所属する部隊も任務を継続するのが暗黙の空気となって、ジョンも仲間らと共に任期延長に同意する。

こうなるといつも傍にいて欲しい若いサヴァナは辛い。ジョンへの手紙も滞りがちになり、遂に「Dear John Letter」と呼ばれる「別れの手紙」(原題はここから来ています)が戦地へ届き失意のどん底に叩き落とされた。任務に専念することでこの悲しみを乗り越えようとするジョン、だが任務で大怪我を負い傷も癒え除隊を許され故郷へと帰還した。
そのジョンがサヴァナと再会し、手紙には書かれていなかった衝撃の事実を知って打ちひしがれる。何と、ジョンも顔見知りのティムが癌に冒され、その看病とサヴァナに懐いている自閉症の息子の面倒を見るとのことでティムと結婚してしまったのだった。ジョンは、何でそのことを手紙で相談してくれなかったのか激しく憤るが、サヴァナは戦地にいるジョンには酷だと思い告白しなかったのだ。

病床のティムは以前からサヴァナがジョンを愛していたことを知って居ながら、自身もサヴァナを愛していたことと息子が彼女に懐いていたことから求婚したのだった。

ジョンとサヴァナが知り合い愛し合ってからジョンが戦地へ赴いて手紙のやり取りをするまでが前半とすれば、後半は二人の関係が壊れてしまう部分。だが、サヴァナがティムと一緒になるまでの過程は彼女がジョンへ直接語るだけでインパクトが弱い。そのティムも癌には勝てずやがて亡くなってしまい、ラストは二人がカフェで笑顔で再会して終わる。
まあ、ラストの笑顔での再会シーンを見ると、この後の二人の関係が想像出来るので、一応ハッピーエンドなのでしょうね。

ジョンを演じたチャニング・テイタム、サヴァナを演じた売れっ子のアマンダ・セイフライド、ジョンを演じた役者は良く知らないが、ベタベタしない恋人関係?みたいな雰囲気でこれはこれで良かった。ジョンの父役のリチャード・ジェンキンス、彼が中々渋いのだが、口数の少ない父役でジョンとは上手くいっていないがサヴァナとは何故か良い関係を築いていて、彼の登場が劇中の良いアクセントになっていた。


映画『サンクタム』3Dを観て

2011-10-02 15:54:12 | アメリカ映画 2011

11-65.サンクタム3D
■原題:Sanctum
■製作年・国:2011年
、アメリカ
■上映時間:109分
■字幕:戸田奈津子

■鑑賞日:9月29日、TOHOシネマズ六本木ヒルズ(六本木)

■料金:300円(3D)
 
□監督:アリスター・グリアソン
□脚本・製作:アンドリュー・ワイト
□脚本:ジョン・ガーヴィン
□製作総指揮:ジェームズ・キャメロン、ベン・ブロウニング、マイケル・マー、ピーター・ローリンソン、ライアン・カヴァナー
□撮影監督:ジュールズ・オロフリン
□編集:マーク・ワーナー
□美術:ニコラス・マッカラム
□音楽:デヴィッド・ハーシュフェルダー
◆リチャード・ロクスバーグ(フランク)
◆ヨアン・グリフィス(カール)
◆リース・ウェイクフィールド(ジョシュ)
◆アリス・パーキンソン(ヴィクトリア)
◆ダン・ワイリー(クレイジー・ジョージ)
◆クリストファー・ベイカー(J.D.)
◆ニコール・ダウンズ(リズ)
◆アリソン・クラッチリー(ジュード)
◆クレイマー・ケイン(ルコ)
◆アンドリュー・ハンセン(デックス)
◆ジョン・ガーヴィン(ジム・サージェント)
【この映画について】
ジェームズ・キャメロンと共に映画製作を手がけてきた水中探検家・映画作家のアンドリュー・ワイト。かつて彼がある洞窟に閉じ込められた経験を基に、壮大なドラマに仕上げた。自然が作り上げたサンクタム(聖域)の中に閉じ込められた人間たちが、手持ちの装備のみでケイブ・ダイビングやケイブ・クライミングに挑み、活路を見出そう姿を、臨場感たっぷりの3D映像で描き出す。
リチャード・ロクスバーグ演じるリーダーのフランクが、経験と腕を頼りにメンバーを導こうとする姿は、“これぞ男の中の男”という雰囲気だ。アリスター・グリアソン監督は、J・キャメロンに見出され、本作でハリウッドデビューを飾る期待の新星だ。(この項、gooより転載しました)
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
神秘的な自然が広がるパプアニューギニアの密林地帯。ケープ・ダイビングに長けたベテラン探検家フランク・マクガイアは、この地にある世界最大の洞窟体系エサ・アラの洞窟に潜り、全体像を解き明かす調査チームを率いていた。チームのスポンサー、大富豪の実業家カール・ハーリーの援助で潤沢な資金を得てハイテクの装備を駆使しても、複雑に入り組んだトンネルがどこに通じているかは一向に掴めず、メンバーは苛立っていた。特にフランクの17歳の息子ジョシュは、父によって強引に探検に参加させられた上、重労働を強いられる日々にうんざりしていた。

ある日、カールが登山家の恋人ヴィクトリアを連れて洞窟へやって来る。ジョシュは、2人をチームの前線基地まで案内する。そのころフランクは、“悪魔のくびき”と呼ばれる地点から続くトンネルを発見する。しかしバディを組んでいたジュードにエア漏れが発生し、彼の懸命の救出もむなしく、彼女は帰らぬ人となる。
チームのフランクへの不信感は高まり、地上との通信状態の悪化もあり、フランクは前線基地からの撤退を決断する。彼らが撤退の準備をする間もなく、突如巨大サイクロンが上陸し、逆流した川の鉄砲水が洞窟内に流れ込んでくる。フランク、ジョシュ、カール、ヴィクトリア、フランクの盟友クレイジー・ジョージは洪水から逃れるが、唯一の出口は塞がれ、通信手段も絶たれる。5人は、フランクが見つけた未知のトンネルが海へ通じている可能性を信じて、洞窟の先を進む。

このストーリー、当初は世界最大の洞窟探検を困難の末に成功に導く...そんな内容かそれとも「アビス」のような内容かと想像して行ったら様子が違っていた。
家庭を顧みず洞窟探検に人生を捧げるフランクと息子ジョシュを中心とした人間関係を主体に描いた作品だった。フランクはスポンサーから資金を提供されてこのプロジェクトを主宰する立場で、洞窟内の探検に関する責任者でもありながら地上の本部と連絡を取りながら探検をする。疑問に感じたのが巨大サイクロン発生から鉄砲水が洞窟内に流れ込むまでの時間だ。本部は一体どういう情報収集していたのか疑問に感じながら観ていた。
結局、来ることが判明して地上へと引き上げるのだが、洞窟内にフランク父子を始め取り残される羽目になった。ハイテク機器を駆使して洞窟探検に挑んだものの、ストーリーが脚本を書いた方の実体験に基づいているそうだが腑に落ちなかった。

フランクの自信満々なリーダーシップもヴィクトリアの事故死をきっかけに綻びが生じ始める。この辺から父子の葛藤がメインテーマで進んでいき、もはや鉄砲水からの避難というより、当初の未知の洞窟探検という方向に進んでいくことに。道中でメンバーらが意見の相違や事故で一人また一人と離脱してフランクも亡くなり、父との確執を乗り越えたジョシュが海への出口を探り当ててジ・エンドというお決まりのエンディング。
むしろジョシュが海から外に出て、そこから本部へどうやって辿り着くいたのか...変なことを考えてしまった。
カナダ出身のジェームズ・キャメロンが製作総指揮に名を連ねているが、監督以下出演俳優達もヨアン・グリフィス以外はオーストラリア人で固められたアメリカ映画で、そのオーストラリア人俳優も馴染みの無い人ばかりだったのは残念だった。


映画『ハンナ』を観て

2011-09-07 11:39:57 | アメリカ映画 2011

11-58.ハンナ
■原題:Hanna
■製作年・国:2011年
、アメリカ
■上映時間:111分

■鑑賞日:9月1日、新宿ピカデリー(新宿)

■料金:1,000円
 
□監督:ジョー・ライト
□脚本:セス・ロックウッド、デヴィッド・ファー
□撮影監督:アルウィン・カックラー
□美術:サラ・グリーンウッド
□編集:ポール・トシル
□音楽:ザ・ケミカル・ブラザーズ
◆エリック・バナ(エリック)
◆シアーシャ・ローナン(ハンナ)
◆ケイト・ブランシェット(マリッサ)
◆トム・ホランダー(アイザック)
◆オリヴィア・ウィリアムズ(レイチェル)
◆ジェイソン・フレミング(セバスチャン)
◆ジェシカ・バーデン(ソフィー)
【この映画について】
『つぐない』でキーラ・ナイトレイの妹を演じ、アカデミー助演女優賞にノミネートされたシアーシャ・ローナンが、再びライト監督と組んだ本作。シアーシャ演じるハンナは、他人と一切接触する事なく、父親から戦闘技術や諜報術だけを教えられて育った16歳の少女。そんなハンナが初めて外の世界に出て、モロッコ、スペイン、ドイツと旅をし、他人と出会って変化していく姿を描く。シアーシャは厳しいトレーニングを重ね、タフな格闘技術を身に付けるだけでなく、16歳の少女の繊細な心情を見事に演じきった。マリッサを演じるケイト・ブランシェットの冷徹な演技も見応えあり。ケミカル・ブラザーズが初めて映画音楽を手がけた事でも話題の一作。
(この項、gooより転載しました)
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
ハンナは、元CIA工作員の父エリックとフィンランドの山奥で人知れず暮らし、並外れた格闘テクニックを叩き込まれた少女。愛らしい外見に反し、痛みを知らず、感情を持たないまま16歳に成長する。いつしか戦闘応力が父を越えるまでになったハンナに、ついに外の世界へ旅立つ日が訪れる。だが、ある任務によってヨーロッパへ旅立った彼女を、かつての父の同僚であるCIA捜査官マリッサが執拗に追う。行く手を阻むマリッサの手下との壮絶な戦いの中で、ハンナは自身の卓越した身体能力の秘密を知ることになる……。

ハンナはCIA工作員だった父と原始生活の中で、格闘技と言語を学ぶ一方で世間の事は全く知らずに、エリックから「殺人マシン」としてのみ育てられた。そもそもハンナの誕生にはCIAが封印した知られたくない過去があり、特に、ケイト・ブランシェット演じるマリッサはエリックを執拗に追っていたが、その封を自ら解いたエリック父娘はその瞬間から世界中どこに行ってもCIAに狙われる存在になり、父の言い付けどおりマリッサ抹殺を命じられたハンナは単身CIAへ乗り込むが、乗り込むまでは描かれておらず、何でこんなに簡単にマリッサの懐に飛び込めたのか不思議だが、敢えて突っ込みはここまでにしておく。
ここでマリッサは部下の女性工作員をマリッサと偽って面会するが、ハンナの弱点はマリッサの顔を知らないこと。マリッサを名乗る女性を瞬殺した彼女は、CIAの追跡を交わしてモロッコの砂漠へと逃れた。

ここで知り合った旅行中の親子と同じ車(バン)で行動を共にすることで、始めて同世代間の交流を体験し道中では異性との出会いも経験するも、異性の扱い方を知らないハンナが相手の男性をぶっ飛ばしてしまうのには笑えた。
そんなこんなで遂にドイツでマリッサと対決するのだが、その前にエリックはCIAに抹殺されてしまい、マリッサとハンナは無人の遊園地で対決するのだが、ケイト・ブランシェットの死際が何とも言えなかった。
彼女のこういう役を観たことが無かったので、こういう役でも存在感を発揮出来る彼女は流石だと思った。ハンナの誕生の秘密が途中で明らかになるのだが、ハンナ自身は全く知らずにひたすら格闘技を習っていたという設定だが、出来れば彼女に「必殺技」があればもっと面白かった。

ハンナ役のシアーシャ・ローナンは「つぐない」に出演していたそうだが記憶に無かった。フランス系?の顔立ちとは不釣り合いの少女殺人マシンの役だが、宿敵マリッサを倒した彼女が、世間を全く知らない上に父を亡くして天涯孤独になりこの先どういう人生が待っているのだろうか?


映画『ツリー・オブ・ライフ』を観て

2011-08-27 14:54:59 | アメリカ映画 2011

11-56.ツリー・オブ・ライフ
■原題:The Tree Of Life
■製作年・国:2011年
、アメリカ
■上映時間:138分

■鑑賞日:8月27日、TOHOシネマズ六本木ヒルズ(六本木)

■料金:1,800円
 
□監督・脚本:テレンス・マリック
□撮影監督:エマニュエル・ルベツキ
□美術:ジャック・フィスク
□衣装デザイン:ジャクリーン・ウェスト
□音楽:アレクサンドル・デスプラ
◆ブラッド・ピット(オブライエン)
◆ショーン・ペン(ジャック)
◆ジェシカ・チャステイン(オブライエン夫人)
◆フィオナ・ショウ(祖母)
◆ハンター・マクラッケン(若き日のジャック)
◆ララミー・エップラー(二男、R・L)
◆タイ・シェリダン(三男、スティーヴ)
【この映画について】
2011年カンヌ国際映画祭で最高賞にあたるパルムドールに輝いた感動作。寡作で知られる孤高の天才テレンス・マリック監督が6年ぶりにメガホンを握り、荘重で幻想的な映像をふんだんに織り込みながら、数十年にわたる父と息子の葛藤を描く。自ら出演を熱望し製作も兼任したブラッド・ピットとショーン・ペンの豪華共演に注目。
(この項、Movie Walkerより転載しました)
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
ある日、オブライエン夫妻のもとに二男R.L.が僅か19歳で亡くなったことを知らせる訃報が届いた。

あおれから数十年後の現代、ジャック・オブライエンは実業家として成功都会のモダンな豪邸で生活していたが、夫婦関係は冷え切っていて、人生の岐路に立つ。そして深い喪失感のなか、少年時代を回想する。

1950年代半ばの中央テキサスの小さな田舎町で、幸せな結婚生活を送るオブライエン夫妻とジャック、R.L.とスティーヴの2人の弟たち。一見平穏に見える家庭だったが、ジャックにとって心安らぐ場ではなかった。社会的な成功と富を求める父は、音楽家への夢を捨てた自分のようになりたくなかったら、男が人生で成功するためには「力こそがすべて」だと考える厳格な男で、隣の庭に絶対行っては行けないと厳しく言い渡され、母は自然を愛で、慈愛に満ちた心で子供たちを包み込む優しい女だった。
11歳のジャックはそんな両親の狭間で2つに引き裂かれ、葛藤していた。ジャックは父に対し次第に反抗心が芽生えて行き、その一方で、父に似た成功への渇望や力への衝動を感じ、暗黒の淵に囚われそうになるジャック。そんな彼を光のさす場所にとどめたのはなんだったのか、数十年の時間を経て思いを巡らすとき、すべてを乗り越えつながり続ける家族の姿に、過去から未来へと受け継がれる生命の連鎖を見出す。

マスコミに一切姿を現さないテレンス・マリック監督だが、私に取っては今回の作品が初観賞。従って、マリック作品がどういう傾向なのかは知らない白紙状態で観たのだった。どちらかと言えば「ショーン・ペンとブラピ共演」という配役に魅せられて観た訳なのだが、この二人クラスの演技力が無ければこういう展開の作品には他の役者には難しかったかもしれない。
ただし、私的にはマリック作品と相性が良いとは残念ながら言えなかったようだ。この作品も、一見するとストーリーがあるようだが、冒頭に旧約聖書の「ヨブ(Job)記」が掲げられている。ヨブは、ありとあらゆる限りの苦難を与えられながら、それらを克服して神への信仰貫いた義人である。この宗教的背景が作品を貫いており、自分も含めてキリスト教的宗教観が根付いていない日本人には難しいテーマであるような気がする。
更に、前半途中で10分以上に渡って一切の台詞を排し、そこには宇宙や天地創造を思わせる大自然の映像が描き出されていて、この映像そのものが宗教的でもあり、まさに始めてマリック作品と遭遇した自分には衝撃的でさえあった。
回想シーンが長く、俳優の個性や演技に頼らずに、逆に幻想的な映像で表現するシーンが多いので私のように俳優の演技と「
ストーリーに沿ったロケ映像の美しさ」を求めるタイプには向かないのかな?


映画『メカニック』を観て

2011-08-15 18:09:41 | アメリカ映画 2011

11-54.メカニック
■原題:The Mechanic
■製作年・国:2010年
、アメリカ
■上映時間:93分

■鑑賞日:8月15日、新宿バルト9

■料金:1,800円

 
□監督:サイモン・ウェスト
□脚本:リチャード・ウェンク、ルイス・ジョン・カリーノ
□撮影監督:エリック・シュミット
□衣装デザイン:クリストファー・ローレンス
□音楽:マーク・アイシャム
◆ジェイソン・ステイサム(アーサー・ビショップ)
◆ベン・フォスター(スティーヴ・マッケンナ)
◆ドナルド・サザーランド(ハリー・マッケンナ

◆トニー・ゴールドウィン(ディーンサンダーソン)
◆ジェームズ・ローガン(ホルヘ・ララ)
◆ミニ・アンデン(サラ)
◆ジェフ・チェイス(バーク)
◆クリスタ・キャンベル(ケリー)
【この映画について】
1972年にチャールズ・ブロンソン主演で製作された同名映画を、ジェイソン・ステイサム主演でリメイク。ジェイソン・ステイサムが、感情に流される事のないストイックな暗殺者を演じている。彼の助手となるスティーブを演じるのはベン・フォスター。未熟で感情に流されやすいスティーブをホットに演じ、クールなアーサーと好対照を見せている。飛び込み競技の世界的なアスリートだったステイサムの身体能力を活かしたアクションの数々も見応えあり。特に高層ビルの30階からアーサーとスティーブがロープ一本で降下するシーンは必見。ドナルド・サザーランドら癖のある脇役陣の演技も見逃せない。 <script type="text/javascript"></script> 監督は『トゥームレイダー』のサイモン・ウェスト。(この項、gooより転載しました)
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
南米コロンビアの麻薬王が自宅のプールで暗殺、だが事件は事故死と判断された。闇の犯罪組織に雇われ、綿密に計画を企てて殺人の痕跡をいっさい残さない暗殺者、アーサー・ビショップの犯行であった。常に慎重を期し、米ニューオリンズの沼地の奥にある隠れ家を誰に知らせることもない。クラブで知り合った美女サラとの関係もその場限りで、誰とも組まずに孤独を受け入れる男。

そんなアーサーの元に闇組織の雇い主サンダーソンから新たなミッションが下される。アーサーの親友であり、この仕事を始めるきっかけを作ってくれた恩人ハリー・マッケンナの暗殺。サンダーソンによれば、ハリーは組織を裏切って他の暗殺部隊を壊滅させたという。アーサーは葛藤を抱えながらも、プロとしてこの仕事を引き受ける。車椅子生活をおくるハリーを抹殺するのは、友人を騙すことに対する苦悩を除けば、たやすいことだった。
ところがこの仕事には実はビショップも知らなかった組織の論理が働いていて、これから先の話の展開から言っても大事なパート。

ハリーの葬儀に出席したアーサーは、ハリーの息子・スティーヴと再会。父を殺したヤツに復讐したい、そして父がアーサーに教えたことを自分も教わりたいというスティーヴ。アーサーは罪悪感も手伝い、彼を助手に迎え、暗殺のテクニックすべてを叩きこもうと自宅に招待するのだった。実は、この自宅へスティーヴを招待してからのシーンで、アーサーが大事にしている赤いスポーツカーとアナログレコード(LP)について彼がスティーヴに語るシーンがある。その中でスティーヴがアーサーに「絶対触るな!」って警告されていた行為が、エンドロール前の場面に繋がるとはこの展開面白かった。

このスティーヴ、父がその素行の悪さを心配していたのをアーサーは知っていたので、スティーヴは薄々感じていたのだろうが、やはり相棒に登用するというよりハリーへの贖罪でしょうね。
最初の仕事こそ手際が悪かったが、スティーヴはメキメキと腕を上げていく。勝手に助手を雇ったことがサンダーソンには面白くないが、アーサーは使えるヤツだと説得する。
次なるターゲットは自称“救世主”でカリスマ的な金満(肥満?)宗教家。二人は標的が滞在する高層ホテルに手際よく潜入。だがスティーヴのちょっとしたミス(このシーンは予告編にてご確認を)から、標的の殺害には成功するも派手な銃撃戦は避けられなくなる。
この頃から、何かが確実に狂い始めていた。死んだはずの男の突然の出現、ハリー暗殺ミッションの意外なからくり、そして父を殺したかもしれないアーサーに対するスティーヴの疑念。誰を信じ、誰を敵とみなすべきか。混沌とした状況下、アーサーの命を懸けた戦いが始まろうとしていた……。

結局、サンダーソン(劇中では名前の「ディーン」で呼んでいます)からの命令だったスティーヴの父殺しは組織の謀略で、それを知ったアーサーは逆に本部に乗り込んで雇い主だったサンダーソンの抹殺へ。そこからアーサーとスティーヴは最後の仕事を終え、給油中にスティーヴが父殺しの復讐にとアーサー抹殺を試み、一度は成功したかと思えたが...。そこはやはり百戦錬磨のアーサー、彼は以前から「動機のある殺しはやるな!」と警告していたが、スティーヴと行動を共にして彼の激情振りを知っていたアーサーは、やがて彼が父殺しの復讐で自分を抹殺すると当初から気付いていた節がある。
ここでスティーヴを自宅に招待して暗殺のテクニックを教える場面と繋がって来る。アーサーを抹殺して嬉々として彼の自宅に乗り込み、スティーヴが気に入っていた赤いスポーツカーに乗り込むと、助手席には謎の招待状が。それを開封したスティーヴ、そこには「スティーヴ、お前は間もなく死ぬことになる」とのアーサーのメッセージが残されていた。それを笑いながら読んだスティーヴ...。やはり、アーサーは只者では無かった。

この映画、冒頭でアーサー役を演じるジェイソン・ステイサムが南米の麻薬組織のボス抹殺指令を受けて、ボスの自宅に潜入しプールで泳いでいる所を見事に溺死に見せかけて抹殺し、自らはウェットスーツを脱いで近くの鉄橋から航行するボート目掛けて飛び降りる。この見事なオープニングで、この殺し屋が只者ではないことが観客の頭に刷り込まれる。
ジェイソン・ステイサムのストイックな殺し屋稼業と恩人ハリーと息子を本意ではないが非情にも殺してしまう彼の心情も描かれていて、オリジナル版のチャールズ・ブロンソン主演の方は知らないけど、この二人の絡みと雇い主との戦いも面白かった。

最後に、ドナルド・サザーランドが演じたスティーヴの父役だけど、冒頭とも思えるパートにて車椅子でアーサーに殺されてしまい残念。もう少し回想シーンとかでも引っ張ってもらいたかったけど。忙しいお方で限られたスケジュールでの撮影だったのでしょうか?


映画『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』を観て

2011-08-08 21:48:19 | アメリカ映画 2011

11-53.ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2 3D版
■原題:Harry Potter And The Deathly Hallows Part2
■製作年・国:2011年
、アメリカ・イギリス
■上映時間:130分

■鑑賞日:8月6日、TOHOシネマズ・六本木ヒルズ

■料金:300円

 
□監督:デヴィッド・イェーツ
□原作:J.K.ローリング
□脚本:スティーヴ・クローヴス
□撮影監督:エドゥアルド・セラ
□編集:マーク・デイ
□音楽:アレクサンドル・デプラ
◆ダニエル・ラドクリフ(ハリー・ポッター)
◆エマ・ワトソン(ハーマイオニー・グレンジャー)
◆ルパート・グリント(ロン・ウィーズリー)
◆レイフ・ファインズ(ヴォルデモート卿)
◆アラン・リックマン(セブルス・スネイプ先生)
◆ヘレナ・ボナム=カーター(ベラトリックス・レストレンジ)
◆トム・フェルトン(ドラコ・マルフォイ)
◆マイケル・ガンボン(アルバス・ダンブルドア)
【この映画について】
「ハリー・ポッター」シリーズ8作目にして最終作となる本作。これまでの秘密がすべて明らかになり、ハリーとヴォルデモートとの戦いに、すべての決着がつく。これまではダンブルドア校長や大人たちに導かれ、助けられてきたハリーたちだが、本作ではすべて自分たちが中心となり、作戦を遂行していく。
ロンとハーマイオニーの恋の行方やネビルの成長ぶりなど、最終作にふさわしく見所もたっぷりだ。ダンブルドア校長やマクゴナガル先生、スネイプ先生やハグリッドら、大人たちの見せ場もしっかり用意されている。監督を務めたのはシリーズ5作目の『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』以来、本シリーズの監督を務めて来たデヴィッド・イェーツ。
ハリーとヴォルデモートの戦いが決着を迎えるとともに、ハリーの出生の秘密などすべての謎が明らかになる。シリーズ初の3D版も公開。ダニエル・ラドクリフほかレギュラーキャストが総登場してフィナーレを迎える。
(この項、gooより転載しました)
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
ハリー・ポッターたちとヴォルデモート卿の間で繰り広げられる最後の戦い。この壮大なクライマックスで魔法界における善と悪の戦いは、本格的な交戦へとエスカレートする。この戦いは今までで最も危険なものであり、もはや誰一人としてその身が安全な者はなかった。しかも、ヴォルデモート卿との最終決戦で最後の犠牲を払うことになるのはハリー。そしてすべての謎が明らかになり、物語はフィナーレを迎える。

長かったハリポタ・シリーズも途中マンネリ化が危惧され監督も代る等したものの、出演当時はまだ完全な子供?だった子役たちも、1年ごとに届く作品を見る度に大人っぽく成長していく姿をみて、何だか途中からはストーリーよりも子役たちのそうした様子にも注目するようになっていきましたね。
ダニエル・ラドクリフ、エマ・ワトソン、ルパート・グリントの3人ではラドクリフはまだ少年らしい風貌ですが、グリントはすっかり大人らしい雰囲気で、ワトソンはすっかり大人の女優らしさが出ていましたね。
パート2では母リリーと父ジェームズが知り合う前にスネイプはリリーを好きになっていたという事実が明らかに。そして、ラストでは3人のその後が明かされます。ハリーとジニーが結婚し、3人の子供を持つ。ロンとハーマイオニーは結婚して2人の子持ちに。19年後、2家族は再び例のプラットフォームに、彼らの子供たちをホグワーツに送るためにたつ。そこには見知らぬ女性といっしょのマルフォイも。ネビルはホグワーツの魔法薬学の教授に。

[ハリー・ポッター・シリーズ]
1.賢者の石
2.秘密の部屋
3.アズカバンの囚人
4.炎のゴブレット
5.不死鳥の騎士団
6.謎のプリンス
7.死の秘宝(2部作)


この子役たち、ハリポタに出ずっぱりだったので、今後、俳優としてどういう方向に進むのか注目したいですけど、当面はハリポタのイメージが消えないでしょうから暫く充電するのも良いかもしれませんね。


映画『スーパー!』を観て

2011-08-02 11:25:32 | アメリカ映画 2011

11-52.スーパー
■原題:Super
■製作年・国:2010年
、アメリカ
■上映時間:96分

■鑑賞日:8月1
日、シアターN渋谷
■料金:1,000円

 
□監督・脚本:ジェームズ・ガン
□撮影:スティーヴ・ゲイナー
□編集:カーラ・シルヴァーマン
□美術:ウィリアム・エリオット
□音楽:タイラー・ベイツ
◆レイン・ウィルソン(フランク・ダーボ/クリムゾンボルト)
◆エレン・ペイジ(リビー/ボルティー)
◆リヴ・タイラー(サラ)
◆ケヴィン・ベーコン(ジョック)
◆マイケル・ルーカー(エイブ)
◆ネイサン・フィリオン(ホーリー・アヴェンジャー)
◆アンドレ・ロヨ(ハミルトン)
【この映画について】
「スリザー」のジェームズ・ガン監督が、冴えないヒーロー、クリムゾンボルトの活躍を描いたコメディ。正義感だけは強いフツーの人間が、コスチュームを着て覆面ヒーローに変身する。本当にこれをやったらタダの変質者だが、それをポジティブに(ファンタジーとも言える)描いたのが『キック・アス』だったら、あるがままに描いたのが本作だ。
主人公は体は大きいが「何でこんな美人妻がいるの?」と誰しも疑問に思うほどのさえない男。そんな男が、妻の家出と神の啓示を機に、覆面ヒーローになる決意をする。武器は金属レンチだ。しかしそれで相手を殴っている姿は、傍目には“ただの変質者”にしか見えない。押しかけ相棒になる女の子も、正義感より暴力をふるう事に喜びを感じている“ただのコスプレ好き”にしか見えない。かなり笑えるが、それがかなり“イタい”笑いである事は確かだ。
出演は「メタルヘッド」(ナタリー・ポートマン出演作)のレイン・ウィルソン、「インセプション」のエレン・ペイジ、「ロード・オブ・ザ・リング」のリヴ・タイラー、「フットルース」「フロスト×ニクソン」のケヴィン・ベーコン。
(この項、gooより一部転載しました)
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
冴えない男フランクは、セクシーでいかれたドラッグディーラー、ジョックを追って彼のもとを去った妻サラを取り戻すために、クリムゾンボルトに変身する。
フランクは麻薬中毒だった妻が再び麻薬に手を染めるようになったのはジョックのせいだと決めつけ、サラを取り戻すためにTV番組で見たシーンをヒントに自分がスーパーヒーローになって妻を奪回する決意を固める。しかし、中年体型で何の特技も無いフランクは、レンタルビデオ店で店員のリビーに勧められた一本のビデオをみて自ら衣装製作に励む。そんなフランクの事情を知ったリビーは、フランクの自宅に押し掛け一緒にコンビを組もうと半ば強引に迫る。

コンビを組むことになった二人は、お手製のコスチュームを身に纏い、手にする武器はレンチ。エッチでクレイジーな相棒ボルティーとともに危険地帯の犯罪に立ち向かう。すべては愛する妻を取り戻すため。しかし世の中、思い通りに行かないもの。そして、遠い昔に定められた不変の掟。子供に猥褻な行為はしないこと。列に割り込んだり、車を傷つけたりしないこと。もし掟を破れば、クリムゾンボルトが許さない!

正義の味方を自認し当初の目的である妻奪還に向けて動くフランク、しかし、ジョックは手下に守られ郊外の邸宅に住み麻薬取引に精を出している。単身、乗り込むがあっと言う間に反撃され窮地に陥るが、爆発物や銃でドンパチして妻奪還への道は険しく、相棒のリビーことボルティーもこの戦闘中?に何と亡くなってしまうのは気の毒であるが、最後は壮絶なバトルを制して?フランクは麻薬中毒へ逆戻りした妻奪還に成功した。
とここまでだとフランク、めでたしめでたしで一件落着となるのだが...。一旦は円満なる夫婦生活を取り戻したフランクとサラだった筈だが、やはり、一度離れた女の心はよりを戻すことを許さなかった。フランクへの感謝を表すために一度は元鞘に収まったサラ、だがある日(3ヶ月後だったかな?)彼女はフランク留守の隙に家出をしてしまうのでした。

って言うのがオチでした。

この作品出演者に数年前までなら主役級だったリヴ・タイラーやケヴィン・ベーコンが名を連ね、更に、「ジュノ」以来売れっ子で「インセプション」ではディカプリオや謙さんとも共演していたエレン・ペイジが出ていたり、「メタルヘッド」でナタリー・ポ-トマンらと共演しているレイン・ウィルソンが良い味だしていたりとキャストは中々豪華?である。
主役を演じたレイン・ウィルソン、間抜けな中年男がスーパーヒーローに転身して妻奪還を果たす役だがラストでのオチでやはり間抜けだったのだが彼の個性的な演技がこの映画に見事にフィットしていた。
そのレイン・ウィルソンと押し掛けコンビを組む役を演じたエレン・ペイジ、肉体派女優では無い彼女がボディ・ライン丸出しの衣装に身を包む役で勇気がいる出演だったと思うが、こちらも個性的な役を見事にこなした。
この二人が主役とも言えるがケヴィン・ベーコンの渋さはショーン・ペンも顔負けで、ここでの麻薬ディーラー役も彼の個性が役を盛り上げている。その麻薬ディーラーの元に走ったサラを演じたリヴ・タイラー、最近は出演作に恵まれていない気もするが、エレン・ペイジだけでは足りない華やかさを補って余りある存在感を見せていたのは流石だ。


映画『マイティ・ソー』を観て

2011-07-28 19:01:56 | アメリカ映画 2011

11-50.マイティ・ソー
■原題:Thor
■製作年・国:2011年
、アメリカ
■上映時間:115分

■字幕:川又勝利
■鑑賞日:7月23
日、新宿ミラノ3
■料金:1,800円

 
□監督:ケネス・ブラナー
□脚本:アシュリー・エドワード、ミラー&ザック・ステンツ、ドン・ペイン
□撮影監督:ハリス・ザンバーラウコス
□編集:ポール・ルベール
□美術:ボー・ウェルチ
□音楽:パトリック・ドイル
◆クリス・ヘムズワース(ソー)
◆ナタリー・ポートマン(ジェーン・フォスター)
◆トム・ヒドルストン(ロキ)
◆ステラン・スカルスガルド(セルヴィグ教授)
◆アンソニー・ホプキンス(オーディン)
◆浅野忠信(ホーガン)
◆コルム・フィオール(キング・ラウフェイ)
◆イドリス・エルバ(ヘイムダル)
◆レイ・スティーヴンソン(ヴォルスタッグ)
◆カット・デニングス(ダーシー・ルイス)
◆レネ・ルッソ(フリッガ)
◆ジョシュア・ダラス(ファンドラル)
◆クラーク・グレッグ(コールソン捜査官)
◆ジェイミー・アレクサンダー(シフ)
【この映画について】
1962年に発表され、約50年も人々に親しまれているアメリカン・コミックス「マイティ・ソー」が、英国人監督ケネス・ブラナーの手で映画化。自信過剰なヒーローが、縦横無尽に飛び回るアクション・エンターテインメント作品だが、親子の愛憎を描いたシェイクスピア劇のような趣も。
シェイクスピア俳優として知られるケネス・ブラナーの手腕が見事に発揮されている。主人公のソーを演じるのは、オーストラリア出身のクリス・ヘムズワース。その鍛え上げられた見事な肉体美と王子らしいジェントルな物腰で、ハートを鷲掴みにされる女性客も多いはず。日本人俳優・浅野忠信がソーの腹心の部下・ホーガン役で出演しているのにも注目して欲しい。他には
「ブラック・スワン」のナタリー・ポートマン、「羊たちの沈黙」のアンソニー・ホプキンス。
(この項、gooより転載しました)
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
神の世界アスガルドの王オーディンの息子ソーは、選ばれた者しか持つことのできない伝説の武器“ムジョルニア”を手に、最強の戦士としてその力を誇っていた。しかし強すぎるあまりその傲慢さから、氷の巨人の世界へ身勝手に攻め込み、アスガルドを戦乱の危機に陥れる。
その行為に怒ったオーディンはソーの力とムジョルニアを奪い、地球へと追放する。地球の荒野で目覚めたソーは、天文学者ジェーンたちの乗った車に追突される。ジェーンたちはソーを病院へ連れていくが、ソーはそこでも暴れ出す。ソーは慣れない人間生活を送るが、ジェーンとの出会いによって人間の痛みや弱さを学び、彼女に心を奪われていく。

一方そのころ神の世界では、邪神ロキがアスガルド征服を狙い、陰謀を企てていた。ソーの護衛であったホーガン、ヴォルスタッグ、ファンドラルの三銃士は、国家の危機をソーに伝えるため地球へやってくる。しかしロキは、破壊者デストロイヤーというマシンをソーに向けて放っていた。さらに危機は、ジェーンにまで迫っていた。ソーは力を取り戻し、地球と神の世界を救うことができるのだろうか?

この映画は元々人気アメリカン・コミックが原作で、更に内容は北欧神話が原典であるのが特徴。神話であるものの、そこには親子間の葛藤や、兄弟間の権力争い、国家間の争いなどが散りばめられており、内容的には現代の世の中にも相通じるテーマであることが人気の秘密だろうか?
ここでは父王オーディンを名優アンソニー・ホプキンスが演じているが、彼はどんな役も自分のものにする現代の俳優の中では最高峰の演技力を誇り、彼がスクリーンに登場するだけで釘づけになるから不思議ですね。その父王の強大なパワーの源が「ムジョルニア」であり、息子ソーはその力を封じ込められ地球へと有無を言わさず追放される。
その間に王国内では弟ロキが台頭し、父王の跡継ぎとしての地位を固めようと着々と基礎を築こうとしていた。父王はそのパワーを使い果たすと暫くの間、長い睡眠を取ることでパワーが再度蘇る特徴があり、ロキはその隙を狙って王位継承を計っていた。ロキとソーは兄弟として育てられたが、この二人の間に血のつながりは無くロキは敵国から連れてこられたのだった。

ソーには彼を慕う側近が居て地球にきた。ソーの地球での落下地点がニューメキシコの砂漠であり、そこに科学者であるジェーンと良い関係になる。そもそも地球に追放されたソーが、その瞬間から英語を話すのは滑稽だが、ジェーンとの関係を築く部分は良いアクセントになっている。因みにジェーンを演じるのは「ブラック・スワン」でアカデミー主演女優賞を獲得したナタリー・ポートマンです。
ソーを追ってきた側近の三銃士の一人が浅野忠信演じるホーガンだが、この役どころは「無口」だが一度語り始めると国が彼の言葉に耳を傾けるという設定。日本人俳優のハリウッドでの役どころとしては無難な線だろう。
ソーはジェーンに心を許し始めるが、国での混乱を聞いたソーは国に戻ることを決意する。

ストーリー的にはこれで終わりますが、続編もありそうな展開なので、その時はそちらも観てみたい気がします。続編を匂わす根拠は、エンド・ロール中にサミュエル・L・ジャクソンが登場するシーンがあり、まるで続編の予告編のように感じました。エンド・ロールと同時にダッシュ帰るのは止めて最後まで観ましょう。


映画『スーパーエイト』を観て

2011-07-22 17:15:56 | アメリカ映画 2011

11-48.スーパーエイト
■原題:Super 8
■製作年・国:2011年
、アメリカ
■上映時間:112分

■字幕:岸田恵子
■鑑賞日:7月18
日、渋谷TOEI
■料金:1,800円

 
□監督・脚本・製作:J・J・エイブラムス
□製作:スティーヴン・スピルバーグ
□撮影監督:ラリー・フォン
□編集:マリアン・ブランドン、メアリー・ジョー・マーキー
□音楽:マイケル・ジアッキーノ
□美術:マーティン・ホイスト

◆カイル・チャンドラー(ジャック・ラム)
◆エル・ファニング(アリス・デイナード)
◆ジョエル・コートニー(ジョー・ラム)
◆ガブイエル・バッソ(マーティン)
◆ノア・エメリック(ネレク空軍大佐)
◆ロン・エルダード(ルイス・デイナード)
◆ライリー・グリフィス(チャールズ)
◆ライアン・リー(ケアリー)
◆ザック・ミルズ(プレストン)
【この映画について】
監督にTVドラマ「LOST」シリーズ等のヒットメーカー、J.J.エイブラムス、製作に巨匠スティーブン・スピルバーグという最強タッグが生み出した、SF超大作。舞台となるのは、ちょうど少年だったJ.J.が8mm映画作りに熱中していた1979年。そんなノスタルジックな空気の中で、ちょっと間が抜けているけれど憎めない少年たちが偶然に秘密を知ってしまい、冒険に出るストーリーは『グーニーズ』を、町にざわざわと異変が起こっていく様子は『未知との遭遇』を、そして作品の根幹には『E.T.』のスピリットを感じさせる。
つまり本作には、J.J.も大好きだったスピルバーグ作品のエッセンスが、山ほど詰まっているのだ。そして『クローバーフィールド/HAKAISHA』で見せた“主役は最後の最後まで見せない”J.J.お得意の恐怖演出も冴え渡り、懐かしさと新しい世代の映画術が融合した、世代を問わずに楽しめるエンターテインメント作品になっている。(この項、gooより転載しました)
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
1979年のオハイオ州。ある夜、主人公・ジョー・ラムを含む六人は、自主制作のゾンビ映画を作るため、スーパー8mmカメラを持って線路のすぐ近くで撮影をしていた。しかし、映画の撮影中に線路上で米空軍の物資を運んでいた貨物列車と線路を走っていた一台の車が激突し、後の大事故となる。列車が大炎上するほどの大事故であったが、ジョー達は奇跡的に全員無事であった。

電車に衝突した車の運転手、ジョー達の通う学校の生物教師であるウッドワードは、ジョー達に「今見たことを決して誰にも言ってはいけない。そうしなければ君達と、君達の親も殺される」と意味深な言葉を残したが、その言葉の真意はわからないまま時間は過ぎていった。そして、その夜から街では、住民が失踪、犬が逃げ出す、停電が続くなどの奇怪な事件が続出し、仲間のアリスも何者かに攫われてしまった。

騒動の原因であると推測された貨物の正体はジョー達が撮影した映画に偶然映っており、それを知ったジョー達は謎を解明するために学校へ忍び込み、ウッドワードの記録を辿る。記録では謎の貨物の正体とは高度な技術と超能力を持った宇宙人であった。ウッドワードはそれの研究機関の一員であり、その宇宙人を軍の手から離そうと考えていたのである。

アリスを攫った者の正体を知ったジョー達は、アリスを探すために街で調査を行い、列車から脱走した貨物、すなわち宇宙人の隠れ家を発見する。宇宙人はそこで捉えた人間を食し、地球から出るための準備をしていた。そこにはアリスもとらわれており、間一髪でアリスを救出できたジョー達は地上へ。

ジョー達が地上へ出た頃に宇宙人は既に地球から出るための準備を完成させており、地球を脱出した。アリスは父と、ジョーも父と再会を果たし、親子としてもそこに邂逅があった。

この映画は最近のスピルバーグ作品らしく事前にストーリー構成等が一切発表されずに、予告編も作成されたがそれだけでは内容を把握することすら出来ずに、従って、劇場で購入したプログラムにもストーリーは掲載されず。こうしてこの映画への期待感を最大限煽っておいて公開するという手法だが、簡単に言えば「スーパー8」は青春映画の代表作「スタンド・バイ・ミー」と「E.T.」と「グーニーズ」の良い所どりをして、そこにJ.J.(ジェフリー・ジェイコブ)エイブラムスの個性とスピルバーグならではのワクワク感をまぶして完成させたような出来だ。
8mm映写機で自主映画を製作する少年たちと彼らのアイドル?であるアリスとの関係は「スタンド・バイ・ミー」を想起させるし、謎の宇宙人が地球から自分の星へ戻るラストは「E.T.」かな?、この2つの流れに「グーニーズ」のスピード感が加えられているというのが私の雑感。

俳優陣は大物は見当たらず、アリス役のエル・ファニングは名子役として名を馳せた姉ダコタと共に子供ながら落ち着いた演技を見せる。エル・ファニングは場面毎に描かれ方が異なり、一緒に映画製作をしているときや父と一緒に時とでは表情や魅せ方まで違う。姉ダコタは年齢的に子役の枠を脱して「ランナウェイズ」ではパンク歌手の役を演じているが、大人の魅力を兼ね添えた演技派として脱皮し第一線級のスター女優としての地位を築けるか注目される。
妹エルは、まだまだこれから話題作などに出演して姉とは違う個性を発揮できるかに注目したい。

エンドロールでは、子供たちが製作して完成させた「ゾンビ」が映されるので、エンドロールと同時に席を離れずに最後まで観ましょう。


映画『アイ・アム・ナンバー4』を観て

2011-07-21 14:46:00 | アメリカ映画 2011

11-47.アイ・アム・ナンバー4
■原題:I Am Number Four
■製作年・国:2011年
、アメリカ
■上映時間:110分
■字幕:稲田嵯裕里
■鑑賞日:7月16
日、TOHOシネマズ有楽座
■料金:1,600円

 
□監督:D・J・カルーソ
□脚本:アルフレッド・ガフ、マイルズ・ミラー、マーティ・ノクソン
□製作:マイケル・ベイ
□撮影監督:ギレルモ・ナヴァーロ
□編集:ジム・ペイジ、ヴィンス・フィリッポーネ
□音楽:トレバー・ラビン

◆アレックス・ペティファー(ナンバー4、ジョン・スミス、ダニエル)
◆ティモシー・オリファント(ヘンリー)
◆テレーサ・パーマー(ナンバー6)
◆ダイアナ・アグロン(サラ)
◆カラン・マッコーリフ(サム)
◆ケヴィン・デュランド(モガドリアン)
◆ジェイク・アベル(マーク)
【この映画について】
地球で暮らす9人の若者たち。彼らはお互いがどこにいるか知らず、自分たちを殺そうとする異星人“モガドリアン”から逃げながら、身を潜め生活している。しかし、彼らには“レガシー”と呼ばれる能力が秘められていて、番号順に能力が覚醒していく。ナンバー4は、両手から青白い光を放つというレガシーで、ロリアンを根絶しようと彼らを追うモガドリアンと対決していく。派手なアクションシーンも見応えたっぷりの本作だが、初めての恋を経験し、人間との友情を育みな成長していくナンバー4の成長物語としても楽しめる。
アレックス・ペティファー、テリーサ・パーマーら、ヤングスターの活躍も見どころ。「トランスフォーマー」シリーズのマイケル・ベイ製作、「イーグル・アイ」のD・J・カルーソ監督で贈るSFアクション。
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
特殊能力を持ちながらも自らの運命に気づかず、何者かに命を狙われ続ける9人の若者たち。世界中に散らばり、幼いときからそれぞれの守護者とともに正体を隠して生きてきた。
ある夜、ナンバー1と2に続いて、ナンバー3の死を知ったナンバー4は身の危険を察知して、守護者ヘンリーとともに次なる土地を目指す。オハイオ州の田舎町パラダイスの町外れに辿り着いた2人は、作家ヘンリー・スミスとその息子ジョンとして暮らし始める。だが、外出を禁じるヘンリーに逆らい、ハイスクールへの通学を始めるジョン。彼が求めていたのは普通の若者らしい日常だった。しぶしぶ通学を許可するヘンリー。

ジョンはハイスクールでサラと出会い、彼女に強く惹かれる。だがその頃、ジョンの身体に異変が。授業中、激痛とともに両手に光が現れたのだ。必死に隠したものの、気を失ってしまうジョン。それは“レガシー”と呼ぶパワーの覚醒だった。ヘンリーはジョン自身がコントロールできるようになるまでそのパワーの使用を禁じる。
だがカーニバルの夜、サラの元恋人のマークたちによって彼女の身に危険が迫ったとき、パワーが再び溢れ出す。怒りに身を任せてしまったことを後悔するジョン。さらに、友人でUFOオタクのサムにもそのパワーを目撃されてしまう。数年前に謎の失踪を遂げた宇宙研究家の父を持つサムは、失踪の原因とジョンの正体の関係を疑う。ジョンがパワーを使用したと知り、一刻も早く町を出るよう促すヘンリー。だが彼には、運命に立ち向かう決意が生まれていた。さらに、仲間を求め続けてジョンの足跡を探し出した者がいた。幼いときに守護者を殺され、1人で生き抜いてきた女戦士ナンバー6だった。やがて、謎の敵との壮絶な戦いの火ぶたが切って落とされる……。

この映画、これで完結とは行かないようだ。取りあえず、今回はこれで終わりだけどナンバー5,7,8,9は未登場だし、本作の評判や興行収入次第では続々とパート2やら3が製作される可能性は大。
マイケル・ベイが製作者として名を連ねているがどこまで関わっているかは不明だが、宇宙人が地球に「亡命」してきてひっそりと?英語を喋って生活しているという辺りは違和感あるけど、宇宙での出来事とかは余り取り上げていないので、モガドリアンとのラストでの決戦?も背景や特徴が分からずただ観ているだけ。
田舎町が舞台という設定だからスケール感は感じないけど、ナンバー4が人間の年頃の青年のように美少女サラに好意を持ったり、更にちょっかいを出す輩と対決したり、UFOオタクの同級生に正体を見破られたりと、青春ドラマの様な要素もあり単調にならない工夫もされていた。
出演陣では主役のナンバー4を演じるアレックス・ぺティファーは英国のモデル出身の若手俳優で中々のイケメンだから、今後注目作への出演が増えれば日本でも人気が出そう。サラ役のダイアナ・アグロンも可愛いし清楚な感じで、米国的肉体派女優とは一線を画しているようで、こういうキャラの女優としての路線を歩むのだろうか?
無名の若手俳優が多い中で、ナンバー4の守護人を演じていたティモシー・オリファントは良かった。ナンバー4の父では無いが、父のような存在感で揺れ動く若者の行動を制していたが、最後はモガドリアンとの戦闘で命を落としたのは残念だった。 


映画『メタルヘッド』を観て

2011-07-10 23:02:54 | アメリカ映画 2011

11-45.メタルヘッド
■原題:Hesher
■製作年・国:2010
年、アメリカ
■上映時間:106分
■字幕翻訳:山門珠美
■鑑賞日:7月10
日、シアターN渋谷(渋谷)
■料金:1,800円

 
□監督・脚本・製作・編集:スペンサー・サッサー
□脚本:デヴィッド・マイコッド
□撮影監督:モーガン・ピエール・サッサー
□編集:マイケル・マクスカー
□衣装:エイプリル・ネピア
□音楽:フランソワ・テータ
◆ジョセフ・ゴードン=レヴィット(ヘッシャー)
◆ナタリー・ポートマン(ニコール)
◆デヴィン・ブロシュー(TJ)
◆レイン・ウィルソン(ポール・フォーニー)
◆パイパー・ローリー(マデリン・フォーニー)
◆ブレンダン・ヒル(ダスティン)
◆キャロル・リンチ(中古車ディーラー)
◆モニカ・スタッグス(ママ)
◆フランク・コリソン(葬儀進行係)
【この映画について】
アナーキーで変わり者のヘッシャーと名乗る男が、母の死から立ち直れない13歳の少年とその父や、人生を見失った女の前に突然現れ、彼らの傷ついた人生を彼なりのワイルドな行動の数々で過激に再生していく過程を、ヘビーメタルの爆音サウンドと共に描くヒューマンドラマ。若手映像作家スペンサー・サッサーがメガホンを取り、愛と再生の寓話(ぐうわ)で長編デビューを果たした。
『ブラック・スワン』のナタリー・ポートマン、『インセプション』のジョセフ・ゴードン=レヴィットら演技派スターたちの共演も見逃せない。(この項、シネマトゥデイより転載しました)
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
自動車事故で母を失い、心に大きな傷を負った13歳の少年TJと、妻の死から立ち直れないその父親ポール。二人は今はポールの母マデリンと一緒に三人で生活しているが、ポールは抜け殻のようになって妻の死が受け入れられなず、息子TJも母を失ったことで心に傷を負っている。
ポールは事故車を中古車ディーラーに売却し生活の足しにしようとするが、TJは母との思い出が詰まった車がディーラーの手に渡るのは阻止したかったが、彼には車を買い戻す術は無かった。しかも、ディーラーの息子ダスティンは、TJと同じ学校に通う上級生で、学校で陰湿ないじめを受けていた。

そして、人生を見失い、スーパーのレジ係として働く女性ニコール。彼らの前に突然、長髪で半裸の謎の男ヘッシャーが現れる。大柄なヘッシャーはTJが自転車を走らせていたある日工場現場で転倒してしまう。その怒りを建築中の建物に向かって石を投げてガラスを割る。すると、そこをねぐらにしていた長身で長髪の男が現れTJに制裁を加えた。
その時、警備員の車がやって来るがその男はオンボロのバンで去って行った。

だが、その日以来、ヘッシャーと名乗るその男は、TJの祖母の家に勝手に住みついて、大音響でヘヴィメタルを流しながら、下品で乱暴な言動によって様々なトラブルを起こす。だが、過激でパワフルな彼のバイタリティは、暗く沈んでいた者たちを勇気づける。それによって、彼らはもう一度前を向き、新たな人生を歩み始める……。

スーパーのレジ係で、スーパーの駐車場でダスティンに暴行されていた所を二コールに助けられたTJ。自分の人生に二コールとヘッシャーの二人が関わって来て、更に、一緒に住む祖母マデリンとヘッシャーにも新たな関係が出来始める気配が。何時まで経っても立ち直れない父ポールに嫌気が差して自力で何とか車を取り戻そうと努力するTJ、そんなTJを自分なりに見守るヘッシャー、仄かな恋心を二コールに対して感じながらもヘッシャーに裏切られるTJ。

そんなこんなである日、突然現れたヘッシャーに堪忍袋の緒が切れて絶交を宣言し家から追い出したTJ。そこに、心臓病を患っていたマデリンが自宅で倒れて急死する。妻の死からの悲しみが抜けきれないうちに、今度はマデリンの死。そのマデリンの葬式に、姿を消していたヘッシャーがいきなり会場に現れ...ヘッシャーはマデリンとの約束を果たしに来たと言い、参列者を唖然とさせる行動に出た。

ストーリーはこんな感じですが、このヘッシャーを演じたジョセフ・ゴードン=レヴィット、彼は、「(500)日のサマー」で好きな女性に失恋してしまう頼りない青年役を演じていたのだが、ここでは一転して正反対な「パンク野郎」を好演している。いったいどちらが彼の個性なのか迷うほど、ここでは「ヘッシャー」で強烈な個性を発揮している
そもそも原題の「ヘッシャー、Hesher」とは名前ではなく「大のヘビメタ好き」を意味する俗語だそうで、劇中でもヘビメタバンドの「メタリカ」の曲が数曲使われていて映画の良いアクセントになっている。
この映画にはヘッシャー対TJ親子、ヘッシャー対マデリン、TJ対中古車ディーラー父子、二コール対TJ、ヘッシャーといった関係が違和感なく描かれている点は脚本の上手さを感じる。だが、あくまでも中心は母であり妻を失ったTJ親子の心の葛藤がメイン。二コール・キッドマン演じるレジ係の女性の物語は、あくまでもサイドストーリー的な位置付けで、「ブラック・スワン」でアカデミー賞主演女優賞を受賞した彼女が主演では無いので、彼女の演技や主役的な位置付けを期待して観にいくと「肩すかし」を喰らうかも。
ニコール・キッドマンがこういう小品?的な作品に出演していると言う話題性で観た方ががっかりしないが、孤独な人生を送るアラサー独身女性ってこんな感じ?ってな演技は良かった。彼女の登場シーンは出るシーンと出ていないシーンがはっきりしていて、あくまでも、TJとヘッシャーが中心です。

それにしてもジョセフ・ゴードン=レヴィットは「(500)日のサマー」で演じた草食系男子からは想像も付かない役所で、これ程までに極端なキャラをよくぞ演じたと賛辞を個人的に贈りたい。脇役ではTJの父を演じたレイン・ウィルソンも良い味出しています。
ミニシアター系での上映だったので、DVD発売時に観る方が多いでしょうが是非ご覧ください。


映画『127時間』を観て

2011-07-08 21:44:30 | アメリカ映画 2011

11-44.127時間
■原題:127Hours
■製作年・国:2010
年、アメリカ
■上映時間:94分
■字幕翻訳:林完治
■鑑賞日:7月1
日、TOHOシネマズシャンテ(日比谷)
■料金:1,000円

 
□監督・脚本・製作:ダニー・ボイル
□脚本:サイモン・ビューフォイ
□撮影監督:アンソニー・ドッド・マントル、エンリケ・シャディアック
□編集:ジョン・ハリス
□美術:スティラット・アン・ラーラーブ
◆ジェームズ・フランコ(アーロン・ラルストン)
◆アンバー・タンブリン(ミーガン)
◆ケイト・マーラ(クリスティ)
◆クレマンス・ポエジー(ラナ)
◆ケイト・バートン(アーロンの母)
◆リジー・キャプラン(ソニア)
【この映画について】
『スラムドッグ$ミリオネア』でアカデミー賞8部門に輝いたダニー・ボイル監督が、断崖に腕を挟まれ動けなくなった男性の実話(アルピニストとして活動しているアーロン・ラルストン氏の実体験をもとにした原作「127時間」)を映画化。
落石に運命を決められた瞬間から、生命の限界を迎えるまでの127時間、死の恐怖に直面し、絶望の底で“人生”を体験する。そして遂に彼はある“決断”を下す―何が何でも生きるために…。
第83回アカデミー賞で作品賞、主演男優賞をはじめとする6部門でノミネートされた。“生きたい”という情熱を体いっぱいで演じ切ったジェームズ・フランコの陽気さとクールさ、そして並はずれた演技力は驚嘆の一言だ。
(この項、gooより転載しました)
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
タフなヒーロー気取りで人と深く関わらずに生きてきたアーロン・ラルストン。開放的な陽気さとクールな一面を合わせ持つ魅力的な青年だ。2003年4月25日の金曜の夜、彼はいつものように1人でロッククライミングを楽しむため、慣れ親しんだユタ州、ブルー・ジョン・キャニオンに向けて出発する。妹のソニアからの留守電メッセージが流れるが、準備に忙しいアーロンは電話に出ることは無かった。

朝、車から降ろしたマウンテンバイクにまたがり、ビッグ・ドロップへと向かう。道に迷ったクリスティとミーガンに出会ったアーロンは洞窟へのガイドを買って出る。岩と岩の狭い隙間から、真下に広がる泉にダイブするアーロンに驚き、心から楽しんだ彼女たちから、別れ際に明日のパーティに誘われる。
2人と分かれたアーロンは、目的地のビッグ・ドロップに向かう途中、落石に右腕を挟まれ、狭い谷底から一歩も動けなくなってしまったのだ。助けを求める叫び声は無人の荒野に虚しく響き渡る。知識と経験を総動員して岩を撤去しようとするが、ガッチリと挟まった岩はピクリとも動かない。死を目前にして初めて自分の人生と向き合うアーロン。自分勝手に生き、両親にも、友達にも、恋人にも決して心を開かなかった。

衰弱してゆく身体を引き裂くように襲い掛かる後悔、それと同時に湧き上がる“生きたい”という生への執着と情熱。そして生命の限界を越えた127時間後、遂に彼は決断する……。

うんともすんとも言わない巨岩に挟まれた腕、彼の生への執念からあらゆる知恵と経験から手段を講じたが、遂に、アーロンは究極の措置を取った。それは...持参した登山ナイフで自らの腕を切り落とすという決断だった。登山ナイフという本来の目的外の使用に、彼の腕は感覚を失ったままひたすら生の為に腕にナイフを突き刺すアーロン。
彼の執念が実り、腕と引き換えに何とかこの窮地を脱出し、地上に到達した彼は途中通りかかった二人に救助された。
彼は岩に閉じ込められていた127時間、この間に彼の脳裏には自分の人生についてあらゆる場面が走馬灯のように駆け巡っていた。親に対する感謝や妹の結婚式をすっぽかしてしまったことや、アルバイト先の店長が救助要請を出してくれることへの期待や、クリスティとミーガンとの再会など。
その後、彼はこの体験を元に各地で講演活動に忙しいそうだが、それでも、キャニオニング(渓谷歩き)は今でも一人で続けているそうだが、行く前には必ず家族に行き先と予定を告げてから行くことにしたそうだ。

映画としては大部分が主演ジェームズ・フランコの独演で、共演者の登場シーンも冒頭の二人の女性程度。更に、場面も殆どが岩山と岩石に挟まれて窮地に陥るシーンだけ。こういう限定的なシーンの連続でも、ボイル監督はアーロンが生への執念を見せる場面を工夫し退屈させない。
ジェームズ・フランコの演技も、絶望的な場面ばかりの演技では得てして暗くなりがちだが、彼の個性で決してめげない明るさと生への執念をみせる演技はアカデミー賞主演男優賞候補に相応しいものだった。最後に、本物のアーロンが登場したのも、本作の出来ごとに真実味を持たせる意味でも正解だった。


映画『テンペスト』を観て

2011-07-01 13:51:00 | アメリカ映画 2011

11-43.テンペスト
■原題:The Tempest
■製作年・国:2010
年、アメリカ
■上映時間:110分
■字幕翻訳:佐藤恵子
■鑑賞日:7月1
日、TOHOシネマズシャンテ(日比谷)
■料金:1,000円


□監督・脚本・製作:ジュリー・テイモア
□原作:ウィリアム・シェイクスピア
□撮影監督:スチュアート・ドライバーグ
□衣装デザイン:サンディ・パウエル
□美術:マーク・フリードバーグ
□音楽:エリオット・ゴールデンサール
◆ヘレン・ミレン(プロスペラ)
◆ラッセル・ブランド(トリンキュロー)
◆リーヴ・カーニー(ファーディナンド王子)
◆トム・コンティ(ゴンザーロ)
◆クリス・クーパー(アントーニオ)
◆アラン・カミング(セバスチャン)
◆ジャイモン・フンスー(キャリバン)
◆フェリシティ・ジョーンズ(ミランダ)
◆アルフレッド・モリナ(ステファノー)
◆デヴィッド・ストラザーン(アロンゾー)
◆ベン・ウィショー(エアリエル)
【この映画について】
ミュージカル「ライオンキング」の舞台で斬新な演出を施し、世界に一躍名をとどろかしたジュリー・テイモア。映画界にも進出した彼女は、シェイクスピア原作の『タイタス』で先進的な映像スタイルを見せる。続く『フリーダ』『アクロス・ザ・ユニバース』といった監督作品で、映画にも才能があることを示した。本作では『クイーン』でアカデミー主演女優賞を得たヘレン・ミレンを起用し、原作のシェイクスピア作品では男性だった主人公プロスペローを女性のプロスペラに変更。
本年度アカデミー賞衣装デザイン賞にもノミネートされた見事な衣装、実力派の俳優たちが織り成す演技のアンサンブルと、見どころには欠かない出来上がりになった。(この項、gooより転載しました)
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
娘の婚礼からの帰途にあったナポリ王アロンゾーは、海上で突然の大嵐に襲われる。王弟セバスチャン、忠実な老顧問官ゴンザーロ、ミラノ大公アントーニオらが乗った難破船は、命からがら孤島に流れ着く。
しかし、アロンゾーの息子ファーディナンドを見失っていた。この嵐は、この孤島に住むプロスペラが魔術を使って起こしたものだった。プロスペラは名君だったミラノ大公の妃で、夫の亡き後は女大公として民に愛されていた。

しかし12年前、弟アントーニオとアロンゾーらの謀略で、一人娘のミランダと共に粗末な船で追放された。プロスペラは孤島で魔術の腕を極め、空気の妖精エアリエルを操り、怪物キャリバンに雑事をさせて暮らしながら、裏切り者たちに復讐を果たそうと目論んでいた。
ミランダは、エアリエルの歌声に導かれた王子ファーディナンドと出会う。お互いの美しさに一瞬で恋に落ちる2人だったが、これもプロスペラの計らいだった。アロンゾーたちは、森で王子を探していた。ゴンザーローとアロンゾーは、エアリエルの魔法で深い眠りにつく。アントーニオはセバスチャンに、ナポリ王座への野心をたきつけて、2人を殺すようそそのかす。しかし剣が振り下ろされる寸前、アロンゾーとゴンザーローはエアリエルの声で起こされ、計略は失敗する。プロスペラに不満を抱いていたキャリバンは、王の道化師トリンキュローと酒蔵係ステファノーと出会う。2人に飲まされた酒に感動したキャリバンは、2人を主人と仰ぎ、プロスペラを殺してこの島の王になれとけしかける。アロンゾーたちはエアリエルの罠にかかり、12年前の罪を咎める声を聞く。錯乱する一行。プロスペラの復讐の結末は? 若い恋人たちの運命は?

シェイクスピア作品の映画化は珍しくはなく、このテンペストも1991年にピーター・グリーナウェイ監督で製作された「プロスぺローの本」という題の映画をみた記憶がある。1991年作では「プロスペロー」を英国映画界の重鎮であり名優のジョン・ギールグッドが演じていて、当時開発中だったハイビジョンカメラを使っての映像が美しかった記憶があるが、グリーナウェイ監督作品は分かり辛さも残していた。
しかし、今回の作品では主役を「プロスペラ」(プロスペローの女性名詞)という女大公にしたことで、母プロスペラと娘ミランダの関係が自然に描かれているのが特徴。そのプロスペラを演じるのは「クイーン」でエリザベス女王を演じて見事にアカデミー賞主演女優賞を獲得した「デーム」の称号をもつヘレン・ミレンだ。彼女こそ、この主役を演じるのに適任な女優はいなかったと思えるほど、ここでの彼女の演技は素晴らしいの一言に尽きる。彼女は若いころからシェークスピア作品を舞台で経験してきており、今回の映画化に際してテイモア監督から直に主役を女性に置き換えるアイデアを聞かされた時に、自身もそのアイデアを温めていたとのことで意気投合し出演を決めたそうだ。
ヘレン・ミレンを取り巻く共演陣の顔触れもそれぞれの年代での演技派揃いで、ベン・ウィショーの演じたエアリエルも良かった。また、この作品では衣装の素晴らしさと映像の良さ(ロケ地はハワイ島など)も併せ持っており、この辺は女性監督ならではの感性が良い方向に出ていた。


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