goo blog サービス終了のお知らせ 

kintyre's Diary 新館

野球(西武ファン)や映画観賞記等を書き綴っています。野球のオフ期には関心の高いニュース等も取り上げています。

映画『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命(いのち)の泉』を観て

2011-06-28 21:53:52 | アメリカ映画 2011

11-42.パイレーツ・オブ・カリビアン/生命(いのち)の泉
■原題:The Pirates Of Caribbean On Stranger Tides
■製作年・国:2011
年、アメリカ
■上映時間:138分
■字幕:戸田奈津子
■鑑賞日:6月23
日、TOHOシネマズ六本木ヒルズ(六本木)
■料金:1,800円


□監督
:ロブ・マーシャル
□脚本・製作総指揮:テッド・エリオット、テリー・ロッシオ
□製作:ジェリー・ブラッカイマー
□撮影監督:ダリウス・ウォルスキー

□衣装:ペニー・ローズ
□音楽:ハンス・ジマー
◆ジョニー・デップ(ジャック・スパロウ)
◆ペネロペ・クルス
(アンジェリカ)
◆イアン・マクシェーン(黒ひげ)
◆ジェフリー・ラッシュ(バルボッサ)

◆サム・クラフリン(フィリップ)
◆アストリッド・ベルジェ=フリスベ(シレーナ)
◆ケヴィン・R・マクナリー(ギブス)
◆ジェマ・ウォード(タマラ)
◆キース・リチャーズ(ティーグ・スパロウ)
【この映画について】
シリーズ第3作目『パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド』のラストで“生命の泉”の地図を手に入れたジャック・スパロウ。しかし彼の愛船ブラックパールは、甦った宿敵バルボッサによって奪われてしまった。
その続編となる本作では、その“生命の泉”を捜し求めるイギリス、スペイン両国、そして黒ひげらの戦いに巻き込まれたジャックの冒険が描かれている。派手なアクションやSFXシーンも多いが、映画の一番の見どころは、やはりジョニー・デップ演じるジャックそのものと言っていい。遊び心に溢れたデップの演技は、何気ないシーンでも楽しく惹きこまれてしまう。そしてむさくるしい海賊たちの中で、花を添えるのがペネロペ・クルス演じるアンジェリカ。今後、シリーズの主要キャラになりそう。シリーズ初の3Dも、作品のエンタテイメント化をパワーアップさせている。
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
永遠の命を与えるといわれる“生命の泉”…

イギリスのロンドンには、ジャック・スパロウとその相棒ギブスが潜伏していた。彼らの前に、かつて同じ名海賊としてジャックと幾多の抗争を繰り広げ、不滅の海賊魂を持っていたバルボッサが現れる。だが、彼はスペイン王に対抗して“生命の泉”を探す英国王ジョージ2世に忠誠を誓い、いまや英国海軍に属し「サー」の称号を持つ公賊へと変貌していた。 時同じくしてジャックは、かつての恋人だった女海賊アンジェリカが、「ジャック・スパロウ」の名をかたりバー「船長の娘」で船員を募集していると知り乗り込み、そこで再会したのを機に史上最恐の海賊・黒ひげの“生命の泉”を巡る航海に巻き込まれる。

永遠の命を狙う海賊黒ひげ、国王の命を受け、今では寝返って「公賊」となったバルボッサ率いる英海軍、永遠の命という異教の対象を破壊せんとするスペイン海軍、そしてジャック。史上最強の海賊たちと国家権力の思惑が錯綜し、“生命の泉”を巡る波乱の航海が幕を開ける。

今回はキーラ・ナイトレイやオーランド・ブルームといったキャストが不出場で、その代わりにペネロペ・クルスがキーラ・ナイトレイそっくりのメイクで登場したので、次回作より彼女がジャックの相手役として活躍することになりそうな気配だ。
また、新たに黒ひげとしてイアン・マクシェーンが登場するなど、マンネリ化を防ぐ新たなキャラで人気を繋ぐ意図がありそうだ。
そして、今回の見所は「生命の泉」探索を巡って、ジャックだけがその在処を知っていると言う設定で、海賊から「公賊」へと身分を変えたバルボッサや黒ひげも含めてそれぞれの思惑で事が進むのが特徴。そこにアンジェリカが黒ひげの娘であると名乗ったりして、彼女自身がジャックの味方なのか敵なのかも思わせぶりな設定。
「生命の泉」に辿り着く前に人魚が生息すると言う湾に上陸するも、この人魚たちは美女揃いなのだが、実は恐ろしい存在で、その奏でる美声に魅入られると水中に引き込まれてしまう凶暴な性格の持ち主なのだが、生命の泉へ辿り着いて永遠の命を戴くには「人魚の涙」が必要なので、何とか一匹の人魚を捕獲して涙を流させることに成功。その囚われた人魚に軟弱な宣教師のフィリップが恋する下りは、取ってつけたようなシーンだったのは残念。

最後は、この永遠の命をもたらす泉で余命幾ばくもない黒ひげの命を救おうとアンジェリカらは洞窟へと向かうのですが、生命の泉でアンジェリカの寿命を使って黒ひげが助かろうとするけど、ジャックがすり替えていたおかげで黒ひげの寿命がアンジェリカに使われてジ・エンド。
消えてしまったブラックパール号のキャプテンとして復帰するのに執念を燃やすジャック、そのブラックパール号は意外な場所に...。
余談ですが、ジョニデが海賊の扮装をする際に参考にしたと言うザ・ローリング・ストーンズのキース・リチャーズがパブのシーンで登場しますが、ここだけでのシーンですが何時の間にか消えていてニンマリとする登場シーンでした。

このシリーズお決まりの、エンドロールの中でも別の映像があり、何だか次作への布石の様な気もします。エンドロールと同時に席を立たないことをお勧めします。


映画『スカイライン-征服-』を観て

2011-06-23 18:48:59 | アメリカ映画 2011

11-41.スカイライン-征服-
■原題:Skyline
■製作年・国:2010
年、アメリカ
■上映時間:94分
■鑑賞日:6月18
日、TOHOシネマズ六本木ヒルズ(六本木)
■料金:1,800円

 
□監督・製作:グレッグ・ストラウス、コリン・ストラウス
□脚本:ジョシュア・コルデス
□脚本・製作:リアム・オドネル
□製作:クリスチャン・ジェイムス・アンダーセン

□撮影監督:マイケル・ワトソン
□編集:ニコラス・ウェイマン・ハリス
◆エリック・バルフォー(ジャロッド)
◆スコッティ・トンプソン
(エレイン)
◆ブリタニー・ダニエル(キャンディス)
◆クリスタル・リード(デニース)

◆二ール・ホプキンス(レイ)
◆デヴィッド・ザヤス(オリヴァー)
◆ドナルド・フェイソン(テリー)
【この映画について】
ロサンゼルスの高級マンションに集まった、ごく普通の人々が目撃した、刻一刻と進行する地球征服の3日間――戦うすべのない人たちへのエイリアンの襲撃を描いたSFディザスター・ムービーだ。『アバター』や『2012』を手掛けたVFXチームによる圧倒的な驚愕映像が見どころだ。メガホンをとったのは『AVP2 エイリアンズvsプレデター』のグレッグ&コリン・ストラウス兄弟、主演は『24 TWENTY FOUR』のエリック・バルフォー。
平穏な日常が、一瞬にして崩れ去る恐ろしい世界……絶望的な極限状況の中、何が起こり、そして人々は何を考えるのか、リアリティーを重視した視点で描きだす“人類滅亡の危機”が斬新に映る。
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
ロスに住む親友のペントハウスを訪ねていたカップル、ジャロッドとエレインは、その日の早朝、最上階の部屋のブラインドから差し込む青白い光と不気味な音で目を覚ます。そして、その光を見た友人の一人が、一瞬にして光の中に吸い込まれて姿を消すのを目撃する。更に、窓の外に広がる光景に彼らは呆然と立ちつくした。目前に迫るこれまで見たことのない巨大飛行物体。しかも、それは1機だけでなく、空を埋めるほどの数の飛行物体が、地上から人間を吸い上げていたのだ。だが、それは絶望的な3日間の始まりにすぎなかった……。

突然の事態が全く呑み込めない彼らだが、さらに、窓の外に広がる光景に呆然と立ち尽くした。目前には、これまで観たことの無い巨大飛行物体が迫っていた。
ジャロッドたち5人は、訳も分からず地下の駐車場から脱出を試みるが、テリーの運転するフェラーリは、駐車場の出口で、巨大な足に無残にも踏みつけられた。
脱出を諦め、マンションの一室に立てこもる彼らの前に、軍隊の戦闘機が編隊を組んで現れたが、戦闘機から放たれたミサイルが飛行物体に命中したが、そこから現れたのは無数の巨大生物と小型捕獲マシンだった。

ここで不思議なのは、彼らが居たマンションの住人が全く登場しないのと、何時の間にかTVニュースの放送が無くなったこと。メンバーの一人がカメラマンで、マンションの屋上からデジカメで撮影した映像をみて他の4人は事態を想像するしかなかった。
配役的にも無名な俳優ばかりで、辛うじて一行のリーダー的存在のオリヴァーを演じたデヴィッド・ザイヤスを知っている程度で、俳優に感情移入が出来ないのだが1000万ドルという低予算で作成したそうなので無名ばかりが集まったのだろう。
宇宙船から放たれたクリーチャーだが、イカやタコのお化けみたいなものから「エイリアン」を思わせる宇宙船内部の映像やら、ストラウス兄弟の作ったクリーチャーだが、どれも安物ゲームの創造物体みたいでイマイチだ。ストーリー的にも、ラストで宇宙船内に吸い上げられ怪物になったジャロッドと、彼の恋人であるエレインの関係が最後に描かれていて、ここで唐突に終わってしまうのはどうやら「続編」を前提とした製作だったようである。
怪物になってしまったジャロッドは、妊娠しているエレインを救おうと何とかふるまうのが涙を誘うのだが、そこに至るまでの二人の関係はそこまで描かれておらず、どれもが単体の作品としては中途半端なイメージだ。だが、ストラウス兄弟は、最初から続編を含めて一つの作品として今回の作品も位置付けているそうだが、果たしてこの内容で「続編」を製作するに至る配給会社が現れるのだろうか?


映画『アウェイク』 を観て

2011-06-10 11:02:47 | アメリカ映画 2011

11-40.アウェイク
■原題:Awake
■製作年・国:2007
年、アメリカ
■上映時間:85分
■鑑賞日:6月4日、武蔵野館(新宿)
■料金:1,800円

 
□監督・脚本:ジョビー・ハロルド
□美術:ディナ・ゴールドマン
□撮影監督:ラッセル・カーペンター
□編集:クレイグ・マッケイ
□音楽:グレーム・レヴェル
◆ヘイデン・クリステンセン(クレイトン・ベレスフォードJR.)
◆ジェシカ・アルバ
(サマンサ・ロックウッド)
◆レナ・オリン(リリス・ベレスフォード)
◆テレンス・ハワード(ジャック・ハーパー)

◆クリストファー・マクドナルド(ラリー・ルーピン)
◆フィッシャー・スティーヴンス(パットナム)
◆ジョージナ・チャップマン(ペニー・カーヴァー)
【この映画について】
実際の医療現場でも起きることのあるアネセシア・アウェアネス(術中覚醒)をモチーフに、全身麻酔の手術中に意識を取り戻してしまった青年の恐怖を描くサスペンス・スリラー。意識はあるが麻酔で体の自由が利かず、激痛の中で衝撃の事実を知る主人公を、『スター・ウォーズ』シリーズのヘイデン・クリステンセンが熱演。彼の恋人に『アイズ』のジェシカ・アルバがふんするほか、『アイアンマン』のテレンス・ハワード、『愛を読むひと』のレナ・オリンら実力派が共演する。
(この項、シネマトゥデイより転載しました)

【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
亡き父から大会社を継いだクレイトンは、ウォール街の新たなやり手と噂される程の実力者。しかし、今彼は人生の大きな岐路に立たされていた。秘書サムとの身分違いの恋をマザコンのクレイトンは母リリスに打ち明ける勇気が無く、、サムからは結婚を懇願されるという板挟みの状態だった。その上、すぐにも移植手術が必要な心臓疾患を抱えていた。

友人の心臓専門医ジャックは、クレイトンの珍しい血液型に適合するドナーを探すために奔走している。ジャックを信頼しているクレイトンは、恋の悩みも打ち明けていた。クレイトンはジャックに背中を押され、母の反対を押し切り、サムと二人だけで結婚式を挙げる。奇しくもその夜、ドナーが見つかったとジャックから連絡が入る。
クレイトンがサムに付き添われ病院へ行くと、リリスが心臓医療の権威ナイヤー医師を連れていた。医療ミス疑惑でいくつかの訴訟を抱えているジャックに、一人息子の手術を任せられないとリリスは訴えるが、クレイトンはジャックの腕に委ね、手術室へ運ばれていく。全身麻酔が施され、クレイトンの感覚は鈍っていくが、なぜか意識だけは目覚めた「術中覚醒」のままだった。全身に電流のように激痛が走る。さらにクレイトンは、心もズタズタにされる衝撃の事実を知らされる。

前半はウォール街のやり手と目されているクレイトンとサムのロマンス話が中心なのだが、後々考えるとこの前半部分の一部にサムの本当の狙いと正体が映像でチラリと映るのだが、ロマンス話に気を取られていると見逃してしまいそうだったがやはり布石が打たれていた。
そのサムが秘書として採用される前の人間関係と、医師ジャックとの関係が徐々に表面化すると同時に、何故サムがクレイトンに接近したのかが分かるようになる設定。リリスは医療過誤で複数の訴訟を抱えているジャックを信頼しておらず、嫁のサムに対しても「女の勘」で胡散臭さを嗅ぎ取っていた。そのサムの本性があらわになるシーンが、クレイトンが手術室へと消えた後にロビーで待っている時のこと。予定されていた医師チームの中の一人が急遽交代したのだが、サムはそれを不審に思い「あなたここの医師ではないでしょう?」みたいに問い詰める。まだ、この時点ではサムが怪しいとは100%感じていなかったので、サムは何でそんな事を言い放ったのか不思議だったが、直ぐにその謎が解けた。

サムはジャックと共謀してジャックの訴訟費用を工面する為に、大金を相続したクレイトンの資産に目を付けたのだった。サムとジャックは以前同じ病院に勤務していた関係で、今回の手術チームも全てこの線で仕組まれたものだった。計画通りクレイトンは「死」んだ筈だったが...ここで母親リリスが機転を利かせる。
サムを怪しんでいたリリスは自分の命を投げ打ち、更に、悪事を見破ったナイヤー医師がジャックらを追い払い、自らが執刀してリリスの心臓をクレイトンに移植する手術を担当した。クレイトンはナイヤー医師の見事な腕前で息を吹き返し、ジャックやサムらのチームは呆気なく警察に御用となった。

この映画、「術中覚醒」というのがテーマなのだが結局は金に目がくらみ悪事を働いたグループの話でもあり、麻酔中にクレイトンが医師の会話から自分が死んでしまうと分かりながらも何も出来ないという下りは、クレイトンが涙を流しながらも無視されたりして映像的にもインパクトがイマイチ。
美男子ヘイデン・クリステンセンのマザコン男っぷりも、彼の個性と言えばそれまでだが、母リリスの自分の心臓を自ら提供することで息子を救うという女の意志の強さが最後に印象に残り、サムには女の怖さと色仕掛けで男をモノにする意志の強さが前面に出て、結局、ヘイデン・クリステンセンのひ弱な(役の上での話ですが)イメージがここでも覆されずに終わった感じ。
ヘイデン・クリステンセンはどうも出演作に恵まれていないのか、それとも敢えてアナキンのイメージを払しょくするためにマイナーな作品を選んでいるのか知らないが、どの作品も中途半端な役所ばかり。折角の美男子ぶりを活かす作品だったり、逆にコミカルな作品に出るとか、演技の幅を広げると同時にメジャーな作品への出演も考えないと、ハリウッド映画界で埋没しそうな気も。


映画『アジャストメント』を観て

2011-06-06 10:41:03 | アメリカ映画 2011

11-39.アジャストメント
■原題:The Adjustment Bureau
■製作年・国:2011
年、アメリカ
■上映時間:106分
■鑑賞日:6月4日、TOHOシネマズ・六本木ヒルズ(六本木)
■料金:1,800円


□監督・脚本・製作:ジョージ・ノルフィ
□原作:フィリップ・K・ディック
□撮影監督:ジョン・トール
□編集:ジェイ・ラビノウィッツ
□音楽:トーマス・ニューマン
◆マット・デイモン(デヴィッド・ノリス)
◆エミリー・ブラント
(エリース・セラス)
◆アンソニー・マッキー(ハリー)
◆ジョン・スラッテリー(リチャードソン)

◆マイケル・ケリー(チャーリー・トレイナー)
◆テレンス・スタンプ(トンプソン)
【この映画について】
『ブレードランナー』『トータル・リコール』『マイノリティ・リポート』『ペイ・チェック消された記憶』などの原作者フィリップ・K・ディックの短編小説を、『ボーン』シリーズのマット・デイモン主演で映画化したサスペンスアクション。
第三者によって運命を支配された現実を舞台に、巨大な陰謀に立ち向かう男の奮闘を描く。監督は『ボーン・アルティメイタム』などの脚本家ジョージ・ノルフィ。主人公と愛し合うヒロインを『プラダを着た悪魔』のエミリー・ブラントが演じる。独創的かつ衝撃的な設定と予測が困難な展開に注目だ。(この項、シネマトゥデイより一部転載しました)
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
ブルックリンのスラム街で育ったデヴィッド・ノリスは幼いころに家族全員を亡くした経歴と型破りなキャラで人気を博していたが、そのキャラに注目していたマスコミに、ある日、不注意からスキャンダルを起こしてしまいライバルに逆転され上院議員選挙に敗れた。

敗戦会見のスピーチの準備をトイレでしていた彼は、何故か男子トイレに潜んでいた見知らぬ女性エリースと出会い、たちまち意気投合する。従来の自分のイメージを覆す会見で無事に切り抜けたデヴィッドは、選挙参謀でもあったチャーリーから全米一のベンチャー企業に役員として迎えられ、次回上院選の有力候補として再浮上する。

だが、そんな彼の行動を逐一モニターする謎の集団があった。社会の裏で超人的な能力を駆使して、人間の運命を操作する運命調整局のエージェントたちだった。その1人、ハリーは、出勤するデヴィッドがバスを乗り過ごすように操作を試みるが、目を離したすきから失敗。バスに乗り込んだデヴィッドは車内で偶然にもエリースと再会し、彼女の携帯番号が書かれたメモを手に入れる。

出社したデヴィッドは、調整局から派遣された干渉班が社員の意識改変を実施する現場に遭遇し、捕えられてしまう。エリースとは2度と会わないようデヴィッドに忠告したエージェントたちは、携帯番号のメモを燃やす。さらに、調整局の背後にはすべての運命を司る“チェアマン”の存在が……。
それから3年。デヴィッドはエリースとの再会を願って、毎日出会った時と同じ時間の同じバスに乗っていたが、偶然の再会を果たした。エリースはシーダーレイク舞踊団のバレーダンサーだったのをデヴィッドは初めて知り、エリースのリハーサルを観にいく約束を交わすが、再会を知ったエージェントは2人を引き離そうと様々な策を講じる調整局。繰り返し再会する彼らに疑問を持ったリチャードソンは、2人を調査。
過去に2度も結ばれる運命にあった2人が、その運命に引きずられて互いに呼び合っていたことが明らかになる。一方、デヴィッドの元には調整局が派遣した“ハンマー”の異名を持つトンプソンが現れ、彼が政治家になった理由は真のリーダーとして人類を統率させるためだったと説明。さらに、これ以上エリースと接触すると、彼女のダンサーとしての夢も消えると告げる。選択を迫られたデヴィッド。果たして彼はどのような決断を下すのか……?
 

この二人の運命を左右する「調整局」のエージェントですが、劇中では歴史の彼方から存続しているそうなのですが、一体その謎の存在は何の為に存続しているかが鍵なのですが、調整局には地球上の重要人物になるだろう一人の人間の運命を「正しい方向に導く」のが仕事らしいのは台詞の中で語られ、過去に過ちがあって人類が存亡の危機に陥ったそうなので、将来のアメリカ大統領であるデヴィッドの運命にエージェントからすれば「邪魔な存在」であるエリースをデヴィッドから引き離すのが仕事となった。
エージェントの書いたシナリオ通りに進む上で、彼が彼女に恋愛感情を持ったのは「想定外」であり、タクシーを止めなかったり携帯電話を圏外にして邪魔するなどあらゆる手段を用い、遂には、エリースに別の男性が求婚すると言う設定にまで及んだが、惹かれあう二人の心を操ることは最後まで出来なかった。
エージェントの謎のトップである「チェアマン」によって人類を統率させる為の地位(アメリカ大統領)へ導かれる筈だったデヴィッド、しかし、彼をNYの高層ビルの屋上にまで追いかけ運命に従うように強制したが、二人の意思は変わらずチェアマンも諦めるしか無かったと言うのがオチでした。

調整局なる謎の組織が遥か歴史の彼方から続いているとの設定は「ダヴィンチ・コード」を感じさせ、運命を左右する存在というのが「運命のボタン」のようでもありました。
しかし調整局のエージェント達には街中の扉を使って自由にあらゆる場所を行き来できると言う能力を与えられているけど、所々、チョンボもあってデヴィッドの運命を自由に操るのに苦労します。この辺はマット・デイモンとエミリー・ブラントが調整局から逃がれるというストーリーと合致するのですが、エミリー・ブラント演じるエリースの職業がバレーダンサーなのだがこれ自体には余り大きな意味は無い。
ストーリー的にはデヴィッドがそんなに大きな器なのかに疑問を感じるのですが、それはマット・デイモンのキャラが上手く作用していたと私は思う。これがジョージ・クルーニーやブラピやトム・クルーズだとどうだったか? 

一人の人間の将来を謎の組織が追いかけるものの、男女の恋愛感情は何者の干渉があっても自由に操ることは出来なかったというのがテーマ。その後、調整局は第二のデヴィッドを捜すのかな?それとも、そんな人物が現れるまで活動は闇に葬られるのか?でも、あの本部ビルの中の様子では、組織が扱っている人物の数はかなりの数がありそうで...。


映画『ブラック・スワン』~アカデミー賞受賞作品を観て

2011-05-25 10:05:29 | アメリカ映画 2011

11-38.ブラック・スワン
■原題:Black Swan
■製作年・国:2010
年、アメリカ
■上映時間:110分
■鑑賞日:5月22日、TOHOシネマズ・六本木ヒルズ(六本木)
■料金:1,800円
 
□監督:ダーレン・アロノフスキー
□脚本:マーク・ヘイマン、アンドレ・ハインズ、ジョン・マクローリン
□撮影監督:マシュー・リバティーク
□衣装デザイン:エイミー・ウェストコット
□振付:ベンジャミン・ミルピエ
◆ナタリー・ポートマン(ニナ・セイヤーズ)
◆ヴァンサン・カッセル
(トマ・ルロワ)
◆ミラ・クニス(リリー)
◆バーバラ・ハーシー(エリカ・セイヤーズ)

◆ウィノナ・ライダー(ベス・マッキンタイア)
【この映画について】
ナタリー・ポートマンが第83回アカデミー賞の最優秀主演女優賞に輝いた話題作。監督は、『レスラー』でミッキー・ロークを見事に復活させた鬼才ダーレン・アロノフスキー。
本作では独創的な映像演出で、極限の高みに上り詰めようとするアーティストの孤独と苦悩を描き出している。子供時代にバレエを習っていたナタリーは、10ヶ月の猛特訓の末、本格的な舞踏シーンに挑戦。しかしそれ以上に、激しい内面の葛藤に耐えながら、孤独な闘いを続けるバレリーナになりきった、鬼気迫る演技は必見だ。またライバルのリリー役を演じたミラ・クニス、娘に異常な愛情を注ぐ母親役のバーバラ・ハーシー、ニナに主役の座を追われ、精神が崩壊していく元プリマ役のウィノナ・ライダーと、共演陣のチカラのこもった演技も見事。ヘタなホラー映画よりもよほど背筋にゾクっとくる、衝撃のサイコスリラーだ。
(この項、gooより転載しました)
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
ニューヨークのバレエ・カンパニーに所属するニナは、元ダンサーの母親・エリカの寵愛のもと、人生の全てをバレエに捧げていた。そんな彼女に新作「白鳥の湖」のプリマを演じるチャンスが訪れる。だが純真な白鳥の女王だけでなく、邪悪で官能的な黒鳥も演じねばならないこの難役は、優等生タイプのニナにとってハードルの高すぎる挑戦であった。さらに黒鳥役が似合う奔放な新人ダンサー、リリーの出現も、ニナを精神的に追いつめていく。やがて役作りに没頭するあまり極度の混乱に陥ったニナは、現実と悪夢の狭間をさまよい、自らの心の闇に囚われていくのだった……。

ニナの重圧から来る幻覚が度々映像として現れるが、果たしてどこまでが現実なのか、それとも幻覚なのかは観ている観客にも不思議な感覚をアロノフスキー監督は投げ掛けてくる。そして再三、鏡がキーポイントとなってくるのも特徴。この鏡を通した映像や出来事がクライマックスへと繋がっている。
第一幕は順調に滑り出したかに見えたが、やがてニナは幻覚を見始め、しまいには王子役のバレエダンサーがニナを受け損なって、彼女を落としてしまう。その直前のシーンでリリーが王子役のダンサーを誘惑しているかのようなシーンがあり、それ自体が幻覚なのか現実なのかさえ微妙に感じた。
すっかり憔悴して楽屋に戻ると、そこにはブラック・スワンの化粧をしているリリーの姿があった。そして眼前でリリーがニナ自身の姿へと変容する幻覚を見ながら、彼女ともみあいになり、割れたガラス一片でリリーを刺殺してしまう。ニナはリリーの死体をトイレに隠し、第三幕を踊るため、ブラック・スワンとして舞台に登場した。

ニナはまるで身も心もブラック・スワンとなったかのように、情熱的にそして官能的に踊り、観客は総立ちで拍手をしてニナをほめたたえた。舞台を下りると、ニナはトマと抱き合いキスを交わす。しかし、ニナが楽屋で待っていると、そこにニナの踊りに感動したリリーが激励の言葉をかけに現れた。この時、ニナはリリーと争ったことは現実ではなく幻覚だったこと、鏡の破片で刺したのもリリーではなく、自分自身だったということに気付く。

第四幕(最後幕)舞台が始まり、ニナはフィナーレを完璧に踊りこなした。最後のホワイト・スワンが崖から跳び下りて自らの命を断つ場面(当然、舞台には衝撃を和らげるマットが敷いてある)を演じながら、ニナは観客の中に母がいて感動してすすり泣いていることに気付いた。観客はまた総立ちになり劇場全体に割れんばかりの拍手が響き渡った。
観客席が感動に包まれ、トマもニナを褒めたたえて抱きあげるが、ニナの腹部からは大量の血が滲み出していた。ニナが楽屋でリリーと揉み合って刺したと思っていたのだが、実は、自身を刺していたのだった。完璧なバレエを舞いきったニナは、恍惚とした表情で宙を見上げるが、その視界は徐々に白んでいくのだった。

この作品はやはりナタリー・ポートマンの迫真の演技が最大のみどころであり、企画段階から実際に映画完成まで10年近い年月を要しているが、その間にナタリー・ポートマンは様々なスタイルの演技に挑戦し演技の幅を広げていた。バレーのシーンは100%彼女の演技では無い(85%位だそうだ)そうだが、それでもスクリーンを通して彼女の頑張りは伝わってくる。
ストーリー的には「白鳥の湖」をベースにしたサスペンス・スリラー仕立てなのだが、ニナと母エリカとの関係も微妙だ。エリカ自身もバレー・ダンサーだったが、ニナの出産に伴い現役を諦めたことでニナに自分の夢を託すようになる。しかし、いつしかニナの成功を祈りつつも、娘に対する嫉妬心を抱えるようになるなどエリカの複雑な心境も描かれている。そのニナの父が誰なのかは語られないのだが、この辺も妙な想像を駆り立てられる。

ニナとライバルであるリリーとの関係もスリリングだった。リリーはべスの次は自分が後継者に選ばれると信じていたのにニナに奪われたことで、トマにも嫉妬して何とかニナから役を奪い返したい一心の行動に走る。ニナもリリーの嫉妬心を感じており、最後は、リリーに役を奪われたくない一心で楽屋でもみ合いになりながら、実は自分を刺してしまうと言う衝撃のラストへと繋がって行く。
ニナを巡る母エリカとリリーとの関係、また、役を奪った形になった前任のべスとの関係をアロノフスキー監督は上手くまとめたのだが、これはやはり脚本が良かったからだろう。ニナが入院中のベスを見舞いに行くシーンも怖かったです。

ナタリー・ポートマンは、この映画で念願のアカデミー賞主演女優賞を受賞した上に、振付師のベンジャミン・ミルピエとも恋仲になりメデタク結婚し、一児を最近出産した。


映画『アンノウン』を観て

2011-05-22 22:46:56 | アメリカ映画 2011

11-37.アンノウン
■原題:Unknown
■製作年・国:2011
年、アメリカ
■上映時間:113分
■鑑賞日:5月22日、TOHOシネマズ・六本木ヒルズ(六本木)
■料金:1,800円
 
□監督:ジャウム・コレット=セラ
□脚本:オリヴァー・ブッチャー、ステイーブン・コ-ンウェル
□編集:ティム・アルヴァーソン
□撮影監督:フラヴィオ・ラビアーノ
□衣装デザイン:ルース・マイヤーズ
◆リーアム・ニーソン(マーティン・ハリス博士)
◆ダイアン・クルーガー
(ジーナ)
◆ジャニュアリー・ジョーンズ(エリザベス・ハリス)
◆エイダン・クイン(もうひとりのマーティン)

◆ブルーノ・ガンツ(ユルゲン)
◆フランク・ランジェラ(ロドニー・コール)
【この映画について】
『シンドラーのリスト』などで知られる名優、リーアム・ニーソン主演のサスペンス・アクション。確固たる記憶のない中で、正体不明の暗殺者たちと対峙し、自分のアイデンティティを取り戻そうとする男の戦いを緊迫感あふれる演出で描く。自分の身元を失った主人公に味方するのは、ボスニアからの不法移民、旧東ドイツの秘密警察メンバーと言った一癖ある人間たち。東西分断の過去を持つベルリンのほの暗い雰囲気も、主人公の困惑した心情によく似合っている。次から次へ主人公を襲う暗殺者など、息をもつかせない展開は正にエンターテインメント作品と呼ぶに相応しい。
共演は「イングロリアス・バスターズ」のダイアン・クルーガー、「ヒトラー 最期の12日間」のブルーノ・ガンツ。監督を手掛けたのは『GOAL!2』のジャウム・コレット=セラ。
(この項、gooより転載しました)
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
植物学者マーティン・ハリス博士は、学会に出席するために、妻エリザベスとベルリンへ旅立つ。ホテルに着いたところで忘れ物(スーツケース)に気付いたマーティンは、ホテルでチェックイン中の妻に何も告げずにタクシーで空港へと引き返すが、途中で交通事故に遭遇し車は川底へと沈んだ。
彼が目を覚ましたのは病院のベッドの上だった。医師の制止を振り切って強引に退院して、急いでホテルへ向かい、妻の姿を認めて安心したのも束の間、彼女は自分を知らないと言う。そればかりか、自分の名を名乗る見ず知らずの男が彼女の傍らに……。
マーティンの所持品は、携帯電話と一冊の本だけ。一方のマーティンを名乗る男は、パスポートはもちろん、妻との新婚旅行の写真まで持っていた。当然、警察はマーティンの訴えに耳を貸そうとしない。自らの正気を疑い始めるマーティン。だが、何者かに命を狙われたことで、陰謀の存在を確信する。マーティンはボスニアからの不法移民であるタクシー運転手ジーナと元秘密警察の男の協力を得て、謎に立ち向かうことになる。果たして彼は、自分の人生を取り戻せるのか……?

自分をマーティン・ハリスと信じて疑わない(当り前だけど)訳だけど、もう一人の自分を名乗る人物まで現れ、挙句の果てに妻までが自分の存在を否定する展開に。この状況を打破すべく事故当時のタクシー運転手ジーナの協力を得て捜査をするのだが、彼女自身も不法移民の立場がばれれば強制送還が待っているだけに、複雑な状況ではあるが「真の自分探し」に同行する。
そもそも「植物学者」が何故狙われるのか?の疑問が解けないうちにストーリーはドンドン進行していくのだが、徐々にマーティン・ハリスなる二人の人物像がその輪郭を現してくる。どうやら学会出席に何かしらの大きな意図があることが判明、ハリス博士は旧知のブレスラー教授なら自分のことを分かってくれると思っていたが、どうやらこの学会では地球規模的プロジェクトが進行していて、その秘密が何かを探っていることが判明。

そして、遂に、マーティン自身の身分がある組織に属する「腕利きの殺し屋」だと判明。記憶喪失だったマーティンにも徐々に記憶が蘇り、彼を追ってきた組織と対峙することに。会場には「もう一人のマーティン」が何食わぬ顔で潜入し、マーティンの「妻」が
ブレスラー教授が発表するスピーチ内容のUSBを不正にコピーすることに成功。この内容を入手するのが目的で、組織は会場のホテルもろとも爆破し、その混乱に乗じて姿を消す計画だった。
でも、記憶が戻った「マーティン」はすっかり組織と対峙する正義の人になってしまい、「妻」も実は組織から派遣されたなりすまし夫婦で、もう一人のマーティンも、最初からスペアとして行動していたなど次から次へと身元が割れて行く。この辺の身辺調査にはジーナの線でユルゲンの存在が大きく、元秘密警察の彼の人脈がフルに活用されたけど、乗り込んできた組織のボスであるコールと対面する場面で「青酸カリ」を服用し絶命してしまう。ユルゲン役のブルーノ・ガンツとフランク・ランジェラのこの対決、中々味がありましたよ。

最後は、「妻」だった女性は誤爆し爆死してしまい、計画自体も失敗に終わり、スーツケースを取り戻し、偽造旅券で新しい名前を得てジーナと二人で新天地?へと向かったのでした。

ドイツが舞台の作品と言う事でダイアン・クルーガーはやはり外せないキャスティングで、スイス出身ながらドイツで活躍するブルーノ・ガンツも存在感たっぷりの演技力はさすがだし、実生活では妻をスキー場の事故で亡くしているりーアム・ニーソンの渋さも発揮されていた。
ストーリー的には学会そのものに裏があり、そこに組織が長い年月をかけて漬け込んで行ったのだが、空港へと引き返す途中でタクシー事故に遭遇するのはちょっと強引な展開のような感じだが、そのタクシー運転手がダイアン・クルーガーという設定も不思議な気がするが何故かボスニアの不法移民という訳の分からない身分。
俳優陣は誰もが演技派の実力者で、個々の演技に引き込まれてしまいました。最近、再び出演作が増えてきたフランク・ランジェラの個性も存分に発揮されていて、これからもこういう役でドンドン出演してもらいたいと思いました。


映画『ジュリエットからの手紙』を観て

2011-05-16 21:16:58 | アメリカ映画 2011

11-36.ジュリエットからの手紙
■原題:Letters To Juliet
■製作年・国:2010
年、アメリカ
■上映時間:105分
■鑑賞日:5月15日、ル・シネマ(渋谷)
■料金:1,800円
 
□監督:ゲイリー・ウィニック
□脚本:ホセ・リヴェラ、ティム・サリヴァン
□編集:ビル・パンコウ
□撮影監督:マルコ・ポンテコルヴォ
□音楽:アンドレア・グエッラ
◆アマンダ・セイフライド(ソフィ)
◆クリストファー・イーガン
(チャーリー)
◆ガエル・ガルシア・ベルナル(ヴィクター)
◆ヴァネッサ・レッドグレイヴ(クレア)

◆フランコ・ネロ(ロレンツォ)
◆ルイーザ・ラニェリ(イザベラ、ジュリエットの秘書)
◆ルイーザ・デ・サンティス(イザベラの母)
【この映画について】
不朽の名作「ロミオとジュリエット」。イタリア、ヴェローナの「ジュリエットの家」には、今も世界から恋の悩みを相談する“ジュリエット・レター”が届くとか。
ロンドンに住むクレアの下に1通の手紙が届く。それは、50年前、クレアが書いたジュリエットへの手紙への「ジュリエットの秘書」なる人物からの返事だった。「ジュリエットの秘書」とは誰か。そして、50年前の初恋を再生させたその手紙には何が書かれていたのか。長い年月を越えて結ばれた真実の恋に涙。『英国王のスピーチ』同様、ネットとメール全盛の現代に、言葉の力を再認識させられる。出演は、『マンマ・ミーア』のアマンダ・セイフライド、ヴァネッサ・レッドグレーヴほか。
(この項、gooより転載しました)
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
ニューヨーカー誌の事実調査員(記事の内容に間違いが無いか精査する仕事)ソフィは、婚約者ヴィクターとともに旅行でイタリアのヴェローナを訪れる。だが、料理人のヴィクターは、間もなく開店する自分のレストランのためにワインや食材の仕入れに夢中。ほったらかしにされたソフィは彼と別行動を取る。
ヴェローナには、『ロミオとジュリエット』のジュリエットの生家と言われる家があり、恋の悩みを綴ったジュリエット宛ての手紙が、世界中から年5000通も届いていた。ジュリエットの家を訪れたソフィは、壁一面の“ジュリエット・レター”に目を見張る。やがて、カゴを手にした女性が、手紙を集めて去ってゆくと、好奇心に駆られたソフィはその後を追う。

そこでは、“ジュリエットの秘書”と呼ばれる女性たちが集めた手紙に返事を書いていた。偶然、壁の中に眠っていた50年前の手紙を発見したソフィは、返事を書きたいと申し出る。
その手紙の差出人は、クレアという英国の女性。50年前に訪れたイタリアでロレンツォ(・バルトリーニ)という青年と恋に落ちた彼女は、両親の反対を恐れて1人で帰国してしまったのだ。それから50年、思いがけずにジュリエットからの手紙を受け取ったクレアは、改めてロレンツォを探すためにイタリアへやってくる。

ロレンツォに会って謝りたいと語るクレアに心を動かされたソフィは、記事を書きたいのでロレンツォを捜す旅に同行させて欲しいと頼み込む。旅に反対するクレアの孫チャーリーも同行し、3人の旅が始まる。当のロレンツォはなかなか見つからなかったものの、それでも数日間、クレアは旅を楽しむ。
3人は次第に互いの人生を語り合い、絆を深めてゆく。しかし、遂にロレンツォは見つからないまま、帰国の時が訪れる。そして最終日、ブドウ畑を通りかかったクレアは目を疑う。不安と後悔、そして期待に揺さぶられるクレア。ジュリエットからの手紙を信じてイタリアを訪れた彼女が、最後に見つけたものとは……。

ロレンツォの名前を持つイタリア人男性を事前に検索し片っ端から車で駈けて訪ねたものの、故如く空振りに終わり、中には既に亡くなっていた「ロレンツォ」まで登場し、クレアの恋の行方はハラハラドキドキの連続で、その間に、当初は関係がギクシャクしていたチャーリーとソフィにも心の変化が現れてくる。
そして、ロレンツォ探しの旅は、諦めかけていた時に遂に実ることに。ふと訪れたワイナリーで収穫をしていた若者を見てクレアはピンと来たようだ。若者の名前もロレンツォ、そして、父も、その父もロレンツォ。そして、遂に、クレアの探していたロレンツォがそこには居たのだった。いや~、メデタシメデタシ。で、それはこの3人の旅が終りを告げる瞬間でもあり、NYに戻ったソフィはこの旅を記事にし、婚約者のヴィクターにはイタリア旅行で自分のことを構ってくれないことに疑問を抱いて別れを告げる。
その後、クレアとロレンツォにの結婚式の招待状がNYのソフィへ届き、ソフィは二人の結婚式に出席し、そこでクレアがチャーリーにソフィとの交際を強く推し進め、ここに二組のカップルが誕生した。
チャーリーにはクレア自身が言い出せなくて恋が一度は実らなかったことから、このチャンスを逃したら二度と成就しないと言い聞かせるようにしてソフィをモノにする。

映画全体の印象としては観光映画の様子が強いが、綺麗な映像と共にストーリーも実際に存在する「ジュリエットの秘書」をベースにしていて親しみやすい内容に仕上がっている。主演のアマンダ・セイフライドは「マンマ・ミーア」でブレークして以来、個人的にはファンなのですが、彼女の明るく屈託のない雰囲気と、実生活では夫婦であるロレンツォ役のフランコ・ネロとクレア役のヴァネッサ・レッドグレイヴの相性も見事で、ヴェテランの上手さと若手の明るさが見事に溶け合っていた。
この辺は、ゲイリー・ウィニック監督の演出の良さでもあるのでしょうが、アカデミー賞授賞式の2月27日に49歳の若さで亡くなってしまったそうです。残念です。

余談ですが、原題は「ジュリエットへの手紙」と言う意味ですが、邦題では「ジュリエットからの手紙」。この微妙な違いは何故?


映画「抱きたいカンケイ」を観て

2011-05-13 21:50:46 | アメリカ映画 2011

11-35.抱きたいカンケイ
■原題:No Strings Attached
■製作年・国:2011
年、アメリカ
■上映時間:108分
■鑑賞日:5月7日、新宿バルト9(新宿三丁目)
■料金:1,800円
 
□監督・製作:アイヴァン・ライトマン
□原案:マイク・サモネック
□原案・脚本:エリザベス・メリウェザー
□撮影監督:ロジェ・ストファーズ
□美術:アイダ・ランダム
◆ナタリー・ポートマン(エマ)
◆アシュトン・カッチャー
(アダム)
◆ケイリー・エルウィス(メツナー医師)
◆ケヴィン・クライン(アルヴィン)

◆グレター・ガーウィグ(パトリース)
◆レイク・ベル(ルーシー)
◆オフィリア・ラヴィボンド(ヴァネッサ)
◆ベン・ローソン(サム)
【この映画について】
『ブラック・スワン』のナタリー・ポートマンが主演、製作総指揮を務めたラブストーリー。自由なセックスフレンドの関係から始まる男女の恋の行方を描く。監督は『Gガール 破壊的な彼女』のアイヴァン・ライトマン。ヒロインとセックスのみの関係で結ばれる男友達を『ベガスの恋に勝つルール』のアシュトン・カッチャーが演じる。刺激的かつ予測不能なストーリーの行方に注目だ。(この項、シネマトゥデイより転載しました)
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
今から15年前のサマー・キャンプの夜。14歳のエマは言い寄って来たアダムをはねつける。エマとアダム、それが初めての出会いだった。
それから何度か偶然の再会を重ねるが、決してトモダチ以上にならなかった二人。だがある日突然、その場の勢いで男女の一線を越えてしまう。元カノのヴァネッサが、人気TVスターだった父親と付き合っていると知ってショックを受けていたアダムは、新しい恋の始まりを感じる。だが、エマの口から出たのはセックス・フレンドにならないかという提案だった。

エマは病院に勤める医師で週80時間労働、恋の駆け引きをしているヒマなどなく、人を愛して傷つくのが怖い、自称“恋愛アレルギー”だった。抱きたい時だけメールで呼び出す。それ以外はデートも恋愛感情も一切ナシ、嫉妬や束縛は厳禁、どちらかが恋したら即カンケイ解消。アダムの同意で契約は成立。互いの部屋、車のシート、病院のロッカールーム、果ては診察台で二人の刺激的で楽しいカンケイが始まった。
ところが、アダムはエマの同僚サムから「君は便利な一時しのぎ。将来のパートナーは彼女を幸せにできる僕だ」と言われてしまう。確かにTV番組のアシスタントのアダムは、社会的には半人前だ。そんなある日、アダムは生理痛のエマのお見舞いにとカップケーキ、手作りスープ、そしてマイセレクトのヒーリングCDを持っていく。
しかし翌朝、エマがキレた。うっかり恋人同士みたいに一緒に抱き合って眠ってしまったことが「サイアク中のサイアク」だという。ところが、今度は他の女と一緒にいるアダムにエマが嫉妬、二人は仲直りする。もはや恋心を抑えられないアダムは、本物のデートをしようと頼みこみ、1回だけならと承諾するエマ。そんな二人のカンケイが、胸を締めつける切ない恋になるとは二人はまだ知らなかった……。

元々はエマ主導でスタートした二人の関係は、あくまでもエマの多忙な仕事の合間にだけ会ってカンケイを続けるだけで、アダムにとっても男として都合のいい関係であり、双方の思惑が一致した関係だったのだが、やはり、そこはハリウッド映画。このままこの関係が平凡に続いていてはストーリーとして成立する訳も無く、父の死以来男性関係に臆病になっていたエマの妹の結婚式にアダムが車で駈けつけて最後はハッピーエンドで終了。
ストーリー的には見所は少ないけど、ナタリー・ポートマンが出産前に出演する作品という意味でも、これと「マイティ・ソー」で暫くの間育児休暇に入るので観ておきたい作品。ナタリー・ポートマンのコミカルな作品への出演はあまり記憶にないが、20代に様々な役どころを演じてきた彼女に取っては「ブラック・スワン」とは全く異なる作品でもあり、一度、こういう作品で存在感を発揮しておくことは彼女の今後続くであろう長いキャリアにおいてマイナスにはならないでしょう。
相手役のアシュトン・カッチャーは「キス&キル」に続いて観たけど、相変わらずこういう情けない?恋人役での出演で、これはこれで悪くはないが、ナタリー・ポートマンのように演技幅を広げるような作品へ出演しないと、このまま彼のイメージが定着する可能性が高い。ラヴ・コメディを得意の分野?としてひた走るのか、それとも本格俳優としてベテラン俳優との共演を重ねてイメージアップや演技力向上を図るのか?次作として彼が選ぶ作品を注目してみたい。


映画『ザ・ホークス~ハワード・ヒューズを売った男~』を観て

2011-05-10 10:58:39 | アメリカ映画 2011

11-34.ザ・ホークス~ハワード・ヒューズを売った男~
■原題:The Hoax
■製作年・国:2006年、アメリカ
■上映時間:116分
■鑑賞日:5月7日、シアターN渋谷(渋谷)
■料金:1,800円
 
□監督:ラッセル・ハルストレム
□原作:クリフォード・アーヴィング「The Hoax」
□脚本:ウィリアム・ウィーラー
□撮影監督:オリヴァー・ステイプルトン
□美術:マーク・リッカー
◆リチャード・ギア(クリフォード・アーヴィング)
◆アルフレッド・モリーナ
(ディック・サスキンド)
◆マーシャ・ゲイ・ハーデン(エディス・アーヴィング)
◆ホープ・デイヴィス(アンドレア・テイト)

◆ジュリー・デルピー(ジーナ・ヴァン・パラント)
◆スタンリー・トゥッチ(シェルト・フィッシャー)
【この映画について】
『サイダーハウス・ルール』『ショコラ』など数々の名作を世に送り出した名匠ラッセ・ハルストレム監督が、名優リチャード・ギアほかハリウッドを代表する豪華キャストと実力派スタッフを迎え、膨大な史実調査を基に、クリフォード・アーヴィングとハワード・ヒューズという本来は何の関係も無かったはずの2人の男の存在を通して、政治の混乱や不正がメディアに蔓延していた70年代アメリカの時代思潮を巧みに映し出す。時代と政治社会に翻弄された人々を壮大なスケールで綴り、観る者の心を揺さぶる人間ドラマ。
出演は「アメリア 永遠の翼」のリチャード・ギア、「魔法使いの弟子」のアルフレッド・モリナ、「ローラーガールズ・ダイアリー」のマーシャ・ゲイ・ハーデン、「脳内ニューヨーク」のホープ・デイヴィス、「パリ、恋人たちの2日間」のジュリー・デルピー。
(この項、gooより転載しました)
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
1971年ニューヨーク。売れない作家クリフォード・アーヴィングは、新作を出版社に売り込んでは却下される日々を送っていた。自ら書き上げた著書が出版直前に却下された彼は、ある日、マグロウヒル出版のアンドレアに、今世紀最大の作品を持ってくると言ってしまい窮地に立たされるアーヴィングだったが、変わり者で隠遁生活を送っている有名な大富豪ハワード・ヒューズのニセ自伝を書くことを思いつく。
実際に彼に会ったことのある人間はほとんどおらず、表舞台にも出てこない。早速、ヒューズの筆跡をまねた依頼の手紙を手に、アーヴィングはマグロウヒル社に乗りこみ、筆跡鑑定で本物と出たことで話を進めていく。並行してアーヴィングの親友でリサーチの腕があるディック・サスキンドと共にヒューズの情報収集に走る。二人は、ヒューズに関係するリサーチを進める。その過程で、国立公文書館で監視の目を盗んで書類を撮影したり、国防省で将官と面会中に巧みにサスキンドが書類を盗んだりするなど、スリリングな場面に遭遇するが、この辺は如何にも40年以上も前の世界の出来事と言った感じだ。

アーヴィングはウソを散りばめた巧みな話術で、マグロウヒル社会長のシェルトンらを説得、ついにヒューズの分と合わせて110万ドルの報酬を得ることに成功する。ヒューズ名義の小切手は、ヒューズ自身が限られた側近以外には滅多に会わない事から、アーヴィングの妻エディスが偽名でスイスに口座を作り換金することとなった。アーヴィングはこの時、受け取りを自身の名義にしなかったのが最後まで誤算となってしまう。

同じ頃、アーヴィングの家に段ボール箱が届く。中身はニクソンらに対してヒューズが渡したワイロなどの記述だった。だが、ヒューズの顧問弁護士から抗議があったことで、アーヴィングのウソは少しずつほころびを見せていく。一方、ヒューズの自伝の話はホワイトハウスにも届いていた。資金提供などの情報が漏れることを恐れたニクソン陣営は、民主党本部が本を手にしているかを偵察させる。ヒューズは自身が設立した航空会社の参入を巡って、ニクソン政権側へ資金提供をしその見返りとして参入を認められた経緯があるため、この事実が公にされスキャンダルとなるのをニクソンは恐れていた。
これが後の“ウォーターゲート事件”の発端である。そんな中、アーヴィングはエディスから家を出ていくと告げられ、別れたはずの愛人ニーナ・ヴァン・パラントとの復縁について聞かれた彼は、妻を繋ぎとめるためここでもウソをつく。ウソにまみれた彼の精神は異常を示し始め、アーヴィングは自分がハワード・ヒューズそのものであるかのような錯覚に陥っていく……。

嘘を更に嘘で何層にも塗り固めたアーヴィング、遂には妻にも見捨てられ、更には自分の嘘がヒューズ自身にもばれてしまい、彼にかつてインタビューした男が登場しアーヴィングは窮地に陥る。そして、当初は真正とされていた筆跡も再度の鑑定で偽物と判定され出版直前だった著書も差し止められる。最後に、彼の右腕として付き合ってきたサスキンドも、彼がついた嘘に堪忍袋の緒が切れて去って行った。

この作品、結局ヒューズという謎の多い人物像に触れるのは同時期に公開されたディカプリオ主演の「アビエーター」で描かれているが、ここでは、アーヴィングというインチキくさい作家が実際に取り上げた題材として登場する。ヒューズはかつての側近が所持していた機密書類の一部がアーヴィングに渡り、それを知ったニクソン政権が秘密暴露を恐れたことで結局はウォーターゲート事件へと繋がるのだが、このニセ伝記騒動でアーヴィングもニクソンも表舞台?から消えることになり、元々、表舞台で派手に立ち回ることが苦手なヒューズは何も失うものは無かった。

アーヴィングを演じたリチャード・ギア、意外とこういう役柄って彼の個性に合っているのかも。でも、2006年作品が5年後のこの時期まで、しかもリチャード・ギアやアカデミー賞受賞女優マーシャ・ゲイ・ハーデンまで登場するのに公開されなかった理由は何だろう?
配給会社の意向もあるのだろうが、日本では作品テーマが一般には分かり辛いことと作品の完成度とか全体としてのアピール点が弱いからでしょうか?


映画『キッズ・オールライト』を観て

2011-05-07 23:10:47 | アメリカ映画 2011

11-33.キッズ・オールライト
■原題:The Kids Are All Right
■製作年・国:2010年、アメリカ
■上映時間:107分
■字幕:松浦美奈
■鑑賞日:5月6日、TOHOシネマズ・シャンテ(日比谷)
■料金:0円(ポイント利用)
 
□監督・脚本:リサ・チョロデンコ
□脚本:スチュアート・ブルムバーグ
□撮影監督:イゴール・ジャデュー=リロ
□編集:ジェフリー・ワーナー
◆アネット・ベニンブ(ニック)
◆ジュリアン・ムーア
(ジュールス)
◆マーク・ラファロ(ポール)
◆ミア・ワシコウスカ(ジョニ)
◆ジョシュ・ハッチャーソン(レイザー)
【この映画について】
充実した脚本と演出、実力派の俳優たちによる的確なキャラクター表現、それらが見事にブレンドされた本作は、まさに大人の鑑賞にピッタリの作品だ。“2人の母親”という家庭で育った姉と弟。姉は大学進学を機に、まもなく家から巣立つ。弟も親と友人の狭間で、自分を見つけていこうとする年頃。そんな2人が、精子提供者である父親に会う事により、“家族とは何か”を考えていく。
2人の母親たちもまた、自分たちの元を離れようとする子どもたちの存在をきっかけに、現在の関係を見つめ直していく。家族が一度は直面する普遍的な話を、“血のつながった他人の出現”という少しひねった設定で、まず私たちをひきつける。登場人物はみな、ありきたりではない深みのあるキャラクターで、共感を呼ぶに違いない。
監督・脚本は「しあわせの法則」のリサ・チョロデンコ。出演は「愛する人」のアネット・ベニング、「シングルマン」のジュリアン・ムーア、「シャッター アイランド」のマーク・ラファロ、「アリス・イン・ワンダーランド」のミア・ワシコウスカ、「ダレン・シャン」のジョシュ・ハッチャーソン。
(この項、gooより転載しました)
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
同じ父親を持つジョニと弟レイザーは、同性愛者の医師ニックとその患者だったジュールスという二人の母親と一緒に仲良く幸せに暮らしていた。そんなある日、自分たちの父親の存在が気になり始めた姉弟は、親には内緒で2人で彼を訪ねる。父親は意外と近くに住んでいたことが分かり、彼はポールと名乗り有機栽培の野菜を出すレストランのオーナーとして気楽な独身生活を営んでいた。初めて遺伝子上の父ポールと会ってジョニは気を許すが、レイザーはどこか複雑な心境で面白くない様子。

ポールと会っていたことがニックとジュールスに知れたことから、家族の関係がきしみだす。ニックとジュールスは、ポールを自宅に招いて食事会を開き、お互いのことを話しながら打ち解けて行く。その中で、ジュールスは新たに始めた景観デザインの仕事を始めたことを話したところ、ポールから自宅の庭を改造してもらいたいと依頼される。
この頃から、いままで平穏だった家庭にポールという存在が認知されてから徐々に新たな風が入ってくる。ジュールスとポールは庭の計画を巡って意気投合し、遂には一線を越えてしまい、やがて、二人の関係がひょんな事からニックに知れてしまい平和だった家庭に波風が立つ。

ジョニが郊外の大学に入学し引っ越しが決まり家族で寮まで一緒に行き、そして4人家族から3人家族になる不安と絆の再確認。一方、気ままな独身生活を営んでいたポールは、家庭の良さに気が付いたものの、精子(子種)提供者でしかない彼にニックは彼に決定的な一言を浴びせた。それは、家族の絆とは、例え父親が居なくても成り立つものであり、絆の深さにポールの入り込む余地は無かったことが改めて知らされた。そんな結末を迎え、ポールは家族の温もり体感したことで、彼のこれからの人生はどう変わるのか?ラストシーンでのマーク・ラファロの表情は、そんな彼のこれからを暗示しているかのようでした。

この映画はアカデミー賞の「作品賞」「主演女優賞」(アネット・ベニング)「助演男優賞」(マーク・ラファロ)「脚本賞」の4部門でノミネートされていたが残念ながら受賞は全て逸した。中でもアネット・ベニングはアカデミー協会の理事でもあり受賞が期待されたが、「ブラック・スワン」のナタリー・ポートマンにさらわれた。
ジュリアン・ムーアはノミネートされていないが、彼女も含めてアネット・ベニングとマーク・ラファロの3人の演技は自然で良かった。そもそも役名のジュールスはジュリアン・ムーアのジュリアンの愛称でもあり、監督の彼女への思い入れが感じられ、ポール役のマーク・ラファロ(私も好きな俳優)起用はジュリアン・ムーアの希望で実現したそうだ。
作品は家族の絆がテーマで、優秀な娘が大学入学を控えて自分のルーツに興味を持つことから始まるのだが、ストーリーの流れとしては最後まで自然で楽しめる。また、音楽ネタも随所に出て来て、ジョニの名前はジョニ・ミッチェルから拝借したとか、ポールの音楽趣味とニックの音楽趣味の共通点がジョニ・ミッチェルでお互いに盛り上がったりしていた。タイトルの「The Kids Are All Right」もThe Whoのアルバムタイトルと同じであり、BGMとしての選曲もどれも良かったです。


映画『ブルーバレンタイン』を観て

2011-04-29 20:21:34 | アメリカ映画 2011

11-31.ブルー・バレンタイン
■原題:Blue Valentine
■製作年・国:2010年、アメリカ
■上映時間:112分
■字幕:岸田恵子
■鑑賞日:4月29日、TOHOシネマズ・シャンテ(日比谷)
■料金:1,600円
 
□監督・脚本:デレク・シアンフランス
□脚本:ジョーイ・カーティス、カミ・デラヴィーン
□撮影:アンドリュー・パレーク
□衣装デザイン:エリン・ベナッチ
□編集:ジム・ヘルトン、ロン・ペイテーン
◆ライアン・ゴスリング(ディーン)
◆ミシェル・ウィリアムズ(シンディ)
◆フェイス・ウラディカ(フランキー)
◆マイク・ヴォーゲル(ボビー)
【この映画について】
あるカップルの出会いから結婚、そして破局までを描き、サンダンス映画祭やカンヌ国際映画祭など世界各地の映画祭で注目されたラブストーリー。壊れかけた夫婦には、『ラースと、その彼女』のライアン・ゴズリング、『ブロークバック・マウンテン』のミシェル・ウィリアムズがふんし、過激な性描写や体重増量も辞さない迫真の演技を披露。10年以上も脚本を練り上げたデレク・シアンフランス監督による、愛が終わる痛みを巧みな演出で紡いだ切ないストーリーが胸に迫る。(この項、シネマトゥデイより転載しました)
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
結婚7年目を迎え、娘と共に3人で暮らすディーンとシンディ夫妻。努力の末に資格を取って看護師として忙しく働く妻シンディに対し、夫ディーンのペンキ塗りの仕事は順調ではない。お互い相手に不満を募らせながらも、平穏な家庭生活を何とか守ろうとする2人だったが、かつては夢中で愛し合った時期があった……。
そんなある日、愛犬が交通事故死してしまい、そのことを可愛がっていた娘のフランキーに気付かれないように庭に埋葬する。悲しみに耐えきれないディーンは、気分転換に郊外のラヴホテルに行こうと、嫌がるシンディを半ば強引に誘うが、途中立ち寄ったスーパーでシンディは学生時代の恋人だったボビーと偶然再会する。その場は挨拶程度で済ませた二人だったが、車内でディーンにそのことを話すと途端に彼は不機嫌に。

ホテルについても不機嫌なディーン、シンディは夫に対してもっと自分を高める仕事について欲しいと願いながらも、家族との時間を大切にしたいからと主張しいつものように平行線で終わる。結局、酒に酔って目覚めた時、ディーンはシンディが自分を残して仕事に出かけたことに激怒し、職場に押しかけ夫婦ケンカが始まりシンディは挙句にその場で騒動の責任を取らされ解雇される。
切れてしまったシンディは、フランキーを実家に連れて帰りディーンに対して離婚を突き付ける。何とか、妻をなだめて元の鞘に戻るように説得するが、妻の気持ちは揺るがず、最後はフランキーにも去られディーンはトボトボと妻の実家を後にするしかなかった。

ストーリー的には、この間の出来事はある一日の間に全て起きた設定になっているが、夫婦の出会いと現在をシンクロさせる形で展開する。お互いに不満を持ちながらも子供の為に我慢してストレスを溜めているのだが、その出会いの時から現在の状況は予測されていたような映像展開に終始する。
シンディは自分の両親の関係をみて反面教師として男性と親密な関係を築けずに悩みながらも、自らは勉強の甲斐があって看護師の資格を取得するが、対するディーンはそんなシンディの目からは頼りない夫としか映らなかった。それでもお互いの愛情が深まっていた時期にはそんな不満も表面化しないが、徐々にすれ違いが大きくなると、気ままな生活に終始する夫への不満が爆発する。
しかし、そのきっかけを直接作ったのはむしろシンディの方であり、偶然にも数年ぶりに再会した元カレの存在がディーンを不安に陥れたにも関わらず、しかもフランキーは元カレボビーとの子供の可能性までありながら、結局は最後は感情的に夫を受け入れ難くなり離婚を申し出る。と言うより日本風に言えば「三行半」を突き付けたのはシンディの方だった。

ラストシーンで、娘フランキーと抱き合いながらも娘は母と留まることになり、ディーンは寂しそうに立ち去るのだが、この時の彼の背中には陳腐な表現だが「男の哀愁」が漂っていた。男の視点からすれば、確かに優秀で稼ぎの良い妻を持っていて肩身の狭い思いがあるのだろうが、ディーンはあくまでも娘と一緒にいたいからという理由でペンキ屋の仕事をするのだが、妻からすれば男ならもっと良い仕事についてもらいたいという願望もあるのは理解できる。
夫婦関係がたった一日で崩壊してしまうのだが、これを演じたライアン・ゴスリングの情けない男の風情漂う演技に対してミシェル・ウィリアムズのどこか夫を上から目線でみる演技、この映画の登場シーンの大部分はこの夫婦関係なのだが二人は上手く演じ分けていた。
奔放な性格でありながら上昇志向も強い妻と、生活が成り立って娘と一緒にいたいからとペンキ屋の仕事をしながらも、最後はその娘とも離れ離れになってしまうディーン。管理人は男なので、ディーンのあのラストの寂しそうな背中...グッときますね。


映画『ザ・ライト エクソシストの真実』を観て

2011-04-18 17:27:02 | アメリカ映画 2011

11-29.ザ・ライト エクソシストの真実
■原題:The Rite
■製作年・国:2011年、アメリカ
■上映時間:114分
■字幕:松浦美奈
■鑑賞日:4月16日、新宿バルト9(新宿三丁目)
■料金:1,800円
 
スタッフ・キャスト(役名)
□監督:ミカエル・ハフストローム
□脚本:マイケル・ペトローニ
□撮影監督:ベン・デイヴィス
□美術:アンドリュー・ロウズ
□編集:デイヴィッド・ローゼンブルーム

◆アンソニー・ホプキンス(ルーカス神父)
◆コリン・オドノヒュー(マイケル・コヴァック)
◆アリース・ブラガ(アンジェリーナ)
◆トビー・ジョーンズ(マシュー神父)
◆キアラン・ハインズ(ザヴィエル神父)
◆ルトガー・ハウアー(イシュトヴァン・コヴァック)
【この映画について】
エクソシストとは、バチカン公認の正式な職業である。バチカンにはエクソシスト養成講座が存在し、そこで学んだ者たちが、悪魔祓いの儀式を遂行する。中世ではなく、21世紀の話だ。実際にイタリアでは、悪魔祓いを必要とする人々が急増し、エクソシストが不足したために、広く募集した時期もあったという。
そして2010年11月、ますます高まる世論に応じ、カトリック司教たちが召集された。その時のある司教の「戦いに備えよ」という呼びかけが、ニューヨーク・タイムズの紙面を飾り、アメリカの人々を驚かせた。我々が日本で何も知らずに時を過している間に、海を超えた地の少なからぬ人々が、かつてない戦いの季節に突入しようとしているのだ。そして、全世界にその実態を知らしめるかのような衝撃作が誕生した。
今まで描かれることのなかった、ごく普通の青年がエクソシストになるまでの過程。今なお行われている儀式とエクソシストの全貌が描かれているだけに、否応もなく闇の世界へと呑み込まれていく物語はあまりにもリアルだ。主演は、アカデミー賞に輝く真の名優アンソニー・ホプキンス。監督は「1408号室」のミカエル・ハフストローム。(この項、gooより転載しました)
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
信仰を見失ったアメリカの神学生マイケルは、卒業を間近に控え、司祭になる道を捨てようとしていた。生まれ育った街を出る口実が欲しかっただけで、信仰心に篤いどころか疑問さえ持っている。父は死体処理を本業とすることから家業を継ぐ気も無かったのだが、ある日、マイケルは恩師のマシュー神父に声をかけられた、まさにその時彼の目の前で交通事故に遭遇しながらも、即死状態の被害者に向かって祈りを捧げる。
マイケルのこの行為を目撃したマシュー神父は、マイケルにローマに渡り2ヶ月間、バチカンのエクソシスト養成講座を受ける様に勧めイタリアに渡った。やがてマイケルは、講師のザヴィェル神父より、異端だが“一流のエクソシスト”だと讃えられるルーカス神父を紹介され、悪魔祓いを手伝うことになる。一方でこの講座に参加していたジャーナリストのアンジェリーナと知り合い、彼女はエクソシストについての取材で参加しているとのことで意気投合する。

そんなある日、父親が誰だかわからない子供を妊娠している16歳の少女の悪魔払い儀式に立ち会い、悪魔の存在を疑うマイケルだったが、彼を待ち受けていたのは、その疑惑を完璧に打ち砕くような数々の恐るべき出来事であった……。
当初は、悪魔の存在そのものを疑問視していたマイケルも、ルーカス神父の儀式に参加するうちに心境の変化を感じていた。そして、病院の一室に運ばれていた少女が、二人が廊下で休憩している隙に体調が急変し原因不明の大量出血で死亡してしまう。
少女を死に追いやった悪魔の次のターゲットは何とルーカス神父だった。マイケルは儀式に立ち会いたいとの希望を持つアンジェリーナを招き入れ自らがルーカス神父の儀式を執り行う。

ストーリーとしては大体こんな流れで行き着き、マイケルの儀式は成功しルーカス神父も助かり、彼はアメリカへ帰国しアンジェりーナもこの貴重な体験を著書に纏め、マイケルはその後、神父の道を歩み現在もエクソシストとして活躍しているそうです。

全体の展開としては無理無く進んでいき、マイケルが如何にしてエクソシストへの道を歩んだのかが分かる作りであり、サイドストーリーとしても父との関係や、エクソシストを徹底取材しているアンジェリーナとの関係も盛り込まれていて程良く分かりやすい作品に仕上がっている。
但し、エクソシズムはキリスト教世界の話であり、宗教観の事なる日本人には背景とか憑依する過程とか分かり辛いパートが多いのも事実です。そういう場面を抜きにしてアンソニー・ホプキンスの演技は相変わらず流石の一言以外に思い浮かばないけど、難しい役をまるで本物の神父の様にイタリア語を操り儀式を執り行う表情は鬼気迫るものがある。派手な仕掛けや悪魔の姿は出てこない分、彼の演技で魅せているのは正解でしたね。変にCGを駆使したりしてえげつないシーンを強調しては単なるB級ホラー映画ですから。


映画『トゥルー・グリット』を観て

2011-04-05 17:30:33 | アメリカ映画 2011

11-27.トゥルー・グリット
■原題:True Grit
■製作年・国:2010年、アメリカ
■上映時間:110分
■字幕:松崎広幸
■鑑賞日:4月2日、TOHOシネマズ六本木ヒルズ(六本木)
■料金:1,800円
 
スタッフ・キャスト(役名)
□監督・脚色・製作:ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン
□製作総指揮:スティーヴン・スピルバーグ、ロバート・グラフ、デヴィッド・エリソン、ポール・シュウェイク、ミーガン・エリソン
□撮影監督:ロジャー・ディーキンス
□衣装デザイン:メアリー・ゾフレス
□編集:ロデリック・ジェインズ

◆ジェフ・ブリッジス(ルースター・コグバーン)
◆マット・デイモン(ラビーフ)
◆マティ・ロス(ヘイリー・スタインフェルド)
◆ジョシュ・ブローリン(チェイニー)
◆バリー・ペッパー(ラッキー・ネッド・ペッパー)
◆ブルース・グリーン(ハロルド・パーマリー)
◆マイク・ワトソン(スタント)
【この映画について】
本年度アカデミー賞に作品賞、主演男優賞ほか10部門でノミネート、監督にコーエン兄弟、製作総指揮にスティーヴン・スピルバーグという豪華布陣の話題作は、かつてジョン・ウェインが初めてオスカーを手にした『勇気ある追跡』のオリジナル原作を映画化したもの。
父親を殺された少女が、二人の男と犯人を追う復讐劇だ。壮絶な追跡のあとに訪れる感動の瞬間が、観る者の胸を熱くする。コーエン兄弟の集大成とも言うべき美しい映像とドラマチックな展開で、彼らの最高傑作との呼び声が高い。2年連続でオスカーノミネートのジェフ・ブリッジスやマット・デイモン、弱冠14歳で大役に抜擢された新星ヘイリー・スタインフェルドらの、いずれ劣らぬ名演を堪能できる一作だ。(この項、gooより転載しました)
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
牧場主の娘として産まれながらも責任感が強く信念の強い14歳の少女、マティ・ロスの父親が、雪の降るある夜、雇い人のトム・チェイニーに無残にも撃ち殺された。知らせを受けたマティは、遺体を引き取りにオクラホマ州境のフォートスミスへとやってくる。
一方、チェイニーは、わずか2枚の金貨のためにマティの父を殺した後、逃亡者となってインディアン領へ向かい、お尋ね者のネッド率いる悪党達の仲間入りをすることになる。フォートスミスで父親の形見の銃を譲り受け、同行してきたお付きの爺の忠告を無視して、犯人に罪を償わせることを心に誓った彼女は、“トゥルー・グリット(真の勇気)”があると言われる大酒飲みでアイパッチをした連邦保安官ルースター・コグバーンに犯人追跡を依頼。
最初は子供扱いで相手にもされないマティだったが、決して諦めない執念と報酬の魅力に負け、コグバーンはマティの依頼を受けることにするが、出発の朝、マティがコグバーンのもとを訪ねると、既に彼は旅立っておりマティには、
帰れと言わんばかりに列車の切符が残されていた。
納得出来ないマティは、馴れない馬を駈けてコグバーンの後を追い何とか追いついた。その執念に負けてマティを共にし、その後、別の容疑でチェイニーを追ってフォートスミスへ来ていた若きテキサス・レンジャーのラビーフも加わり、犯人追跡の過酷な旅が始まる。
マティにとっては人生初めての旅。しかも最も危険な領域に足を踏み入れることになる辛い経験であったが、チェイニーを捕らえ、罪を償わせることだけしか彼女は考えることができなかった。そして遂に、3人にとって各々の“真の勇気”が試される時が訪れる……。
この映画は、旬な俳優陣がずらりと並んでいる。例えば、ジェフ・ブリッジスは「クレイジー・ハート」でアカデミー賞を受賞したばかりで「トロン:レガシー」でも話題をさらっていたし、マット・デイモンは現在「ヒアアフター」が公開されているし、ジョシュ・ブローリンは「ウォール・ストリート」でのマイケル・ダグラスとの共演が記憶に新しい。
これだけの顔触れに交じって、新人で14歳のヘイリー・スタインフェルドは堂々としていて、映画デビュー作でいきなりアカデミー賞助演女優賞にノミネートされるなど、これからが楽しみな女優だ。
ストーリー的には、如何にも西武劇的な復讐劇で、父の仇を取るために自ら腕利きの保安官を雇い、強い執念を持って犯人を追いかけるという展開は分かりやすいと同時に、一人の少女の成長過程の物語でもある。
西部劇といえば「荒涼としたアメリカの大地」というイメージがあるが、この映画でもそうした映像の良さも目立った。どこまで進んでも砂漠と化した乾いた大地と川しかない中で、乗馬の経験も無かった少女の執念に大の男たちが協力し、最後は見事に復讐を果たす、これを回想と言う形で展開していったコーエン兄弟の演出は見事だ。
最後は、成長したマティがコグバーンが在籍していると思われる旅の一座を訪ねるのだが、会えないで終わる。この形も西部劇らしい終わり方だった。


映画『ザ・ファイター』を観て。。。管理人「ぴあ」に4度目の登場!

2011-03-31 13:49:10 | アメリカ映画 2011

11-26.ザ・ファイター
■原題:The Fighter
■製作年・国:2010年、アメリカ
■上映時間:116分
■字幕:林完治
■鑑賞日:3月26日、新宿ピカデリー(新宿)
■料金:1,800円
 
スタッフ・キャスト(役名)
□監督:デヴィッド・O・ラッセル
□脚本:スコット・シルヴァー、ポール・タマシー、エリック・ジョンソン
□撮影監督:ホイテ・ヴァン・ホイテマ
□衣装デザイン:マーク・ブリッジス
□編集:パメラ・マーティン

◆マーク・ウォールバーグ(ミッキー・ウォード)
◆クリスチャン・ベール(ディッキー・エクランド)
◆エイミー・アダムス(シャーリーン・フレミング)
◆メリッサ・レオ(アリス・ウォード)
◆ジャック・マッギー(ジョージ・ウォード)
【この映画について】
実在する伝説のプロボクサー、ミッキー・ウォードとその異父兄、ディッキー・エクランドが栄光へ至るまでの過程を描く感動作。アカデミー賞で助演男優、助演女優賞を受賞するなど、2010年度の各映画賞を席巻した。製作に加わりながら、何年もかけトレーニングを重ねて身体を鍛え上げ、迫真のボクシングシーンを披露したのは、『ディパーテッド』でオスカーにノミネートされたマーク・ウォールバーグ。その兄を『ダークナイト』のクリスチャン・ベールが演じている。特にベイルは大幅に減量し、髪を抜き、歯並びを変えるといった徹底的な役作りで臨み、見事オスカーに輝いた。その怪演ぶりにも注目だ。(この項、gooより転載しました)
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
マサチューセッツ州の労働者の街ローウェルに、性格もファイティングスタイルも全く違うプロボクサーの兄弟がいた。兄のディッキー・エクランドは、かつては実力派ボクサーとして活躍、当時、人気実力ともに評価されていたレナードからダウンを奪ったのが自慢で、現在は弟のトレーナーに専念している。
外向きにはユーモアとカリスマ性に溢れた男だが、実は傲慢で欲望に弱く、数年前に手を出した麻薬に今ではすっかり溺れていた。一方、父親違いの弟ミッキー・ウォードは、ボクシングの全てを兄から教わった。だがミッキーは、兄とマネージャー役の母アリスの言いなりで、彼らが組んだ明らかに不利なカードで一勝もできず、不遇の日々を送っていた。

ある日、ミッキーはバーで働くシャーリーンと出会う。声をかけたのはミッキーだが、気の強いシャーリーンに押し切られるような形で二人の関係は始まった。そんな中、ディッキーが窃盗の現行犯で逮捕され、既に逮捕歴のある彼は実刑となり、監獄へ。
ミッキーの父は息子の将来を案じ、別のトレーナーに話をつけ、ミッキーは家族と決別、シャーリーンと共に新しい人生へと旅立つ決意をする。スポーツ経験のある彼女の献身的なサポート、新トレーナーの訓練メニュー、そしてミッキーをスターボクサーにするための対戦カードが功を奏し、ミッキーのまさかの連勝が始まった。
だがたとえ刑務所の中にいても、兄は弟の専属トレーナーのつもりだった。やがてミッキーの世界タイトルマッチへの挑戦が決定、時を同じくしてディッキーが出所する。当然のようにミッキーのトレーニングに参加しようとする兄だったが、弟は兄とはもう組まないと宣言。激しく言い争う家族とシャーリーン。だがディッキーの粗削りながら強い家族やボクシングへの想いに触れるうちにミッキーは兄に戻ってほしいと本心を伝える。そして遂に二人は、絆も新たに再び二人三脚で世界の頂点を目指し始める……。
実話に基づいて製作された作品で、主演のマーク・ウォールバーグ自身もプロデューサーとして関わっているのだが、完成までにはかなりの年月を要し何度もとん挫した末に、彼自身の熱演もありクリスチャン・ベールはアカデミー助演男優賞、母役を演じたメリッサ・レオはアカデミー助演女優賞を獲得するなど、作品のグレードは高い。
ローウェルという何の変哲もない田舎町から兄ディッキーは世界戦を経験するほどのボクサーとなり町のヒーローでもあるが、ボクシングから遠ざかる原因となった麻薬におぼれ、今では一家のお荷物になっているものの、異父弟のミッキーにはボクシングを始めたきっかけはディッキーであった。
ボクサーとしての素質は高くないミッキーだが、そこには母アリスが息子の売り出しに口を出すなど、家族の絆が裏目に出ていた。この映画ではその絆を丁寧に描いていて、ボクシングシーンはハイライトでもある最後に出てくるのだ、あくまでも兄弟や親子の絆がテーマである。
俳優陣の演技も素晴らしく、アカデミー賞を受賞した二人の俳優も見事だが、主演のマーク・ウォールバーグの鍛え抜かれた肉体は、まさにこの映画の撮影に合せて作り上げただけに素晴らしい。本当は彼にも主演男優賞を受賞してもらいたかった位の名演技だ。

【後日談】「ぴあ満足度ランキング」に管理人が登場!!!
この映画を観終わった後、ロビーで「ぴあ出口調査隊」のアンケート調査を受けた。「ぴあ」には公開直後の作品を、観終えた観客に直接印象を伺うコーナーがあり、映画館に行くと見かける。数人で腕章を付けているので目立ちますが、私は過去に3度掲載され、今年も正月早々に「スプライス」を観賞して、その時にインタビューされたのが掲載されたので、早くも今年2度目の掲載です。
このぴあのインタビューは、あらかじめ質問する内容がある程度決まっていて、それに沿って自分の感想を述べます。この時、ぴあ側の印象が良ければ、その場で写真を撮って名前と年齢と職業を聞かれます。
実際に掲載されるコメントは、その時喋った内容の2~3割程度で更に要約されています。掲載されるか否かは、発売日に購入して始めて分かります。もっとも掲載されても謝礼は一切ありませんが、私は今回で4度目の掲載ですが管理人の名字が難しいのか、今回もそうでしたが3回も誤植されていた。いつもは口頭で言うのだが、今回はきちんと免許証を提示して見せたのに...それでも間違えられてしまいました


映画『ランナウェイズ』を観て

2011-03-25 10:28:06 | アメリカ映画 2011

11-24.ランナウェイズ
■原題:The Runaways
■製作年・国:2010年、アメリカ
■上映時間:107分
■字幕:小寺陽子
■鑑賞日:3月19日、シネクイント(渋谷)
■料金:1,000円
 
スタッフ・キャスト(役名)
□監督・脚本:フローリア・シジスモンディ
□原作:シェリー・カーリー
□製作総指揮:ジョーン・ジェット、ケニー・ラグナ、ブライアン・ヤング
□撮影監督:ブノワ・デビー
□衣装デザイン:キャロル・ビードル
◆ダコタ・ファニング(シェリー・カーリー)
◆クリステン・スチュワート(ジョーン・ジェット)
◆マイケル・シャノン(キム・フォウリー)
◆ステラ・メイヴ(サンディ・ウェスト)
◆スカウト・テイラー=コンプトン(リタ・フォード)
◆アリア・ショウカット(ロビン)
◆ライリー・キーオ(マリー・カーリー)
◆ジョニー・ルイス(スコット)
◆テイタム・オニール(シェリーの母)
◆ブレット・カレン(シェリーの父)

【この映画について】
『トワイライト』シリーズのクリステン・スチュワートと、同シリーズ最後の2章に出演しているダコタ・ファニング共演の青春音楽映画。
1970年代の音楽シーンにすい星のように登場した実在のガールズバンド、ランナウェイズの内幕に迫る。当時のバンドのギタリストで、今も現役で音楽活動を続けるジョーン・ジェットが本作の製作総指揮を担当。ギタリスト役とボーカル役で圧巻のパフォーマンスを見せる2人の若手女優の熱演も見どころだ。
(この項、シネマトゥデイより転載しました)
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
1975年、ロサンゼルスで暮らす15歳のジョーンの夢はロックスターになること。ロックは男のものと相場が決まっていた時代、彼女は周りから変人扱いされていた。ギター教室に通い弾き方を習いに行くが、教師からは「女にエレキは教えない」と言われ教えられたのは退屈なカントリーソング(「On Top Of Old Smokey」)だった。
一方のシェリーはデヴィッド・ボウイに憧れ学校のコンテストに出場しボウイを演じたのだが、変人扱いされる。
双子の姉妹マリーと父と暮らすが母は愛人を作り家出してしまった。
ジョーンは地元のクラブで偶然、音楽プロデューサーのキムと出会い自らを売り込む。キムはその時、クラブにたむろしているサンディ・ウェストを紹介しガールズ・バンドを組むように勧める。

バンド結成を考えていたジョーンは、早速、サンディと共におんぼろトレーラーの中でリハーサルを繰り返す。キムはジョーンのヴォーカルに物足りなさを感じ、バンドの顔となれる存在が無いと切り捨てる。その時、偶然手にした雑誌に女優ブリジット・バルドーの姿を見て「まさにこれだ」と言わんばかりに運命の相手を探すのだった。
キムが出入りしているクラブのカウンターの隅っこで一人佇む少女を目にし、ピンと来たキムは少女にバンドをやらないかと誘う。
キムが名前は?と尋ねると「シェリー・カーリー」と少女は答え、キムは「本名か?」と再度尋ね、うなずいた瞬間にバンドの顔が誕生した。

キムはオーディションを受けるにあたり、シェリーをリード・ヴォーカルに据えて受ける覚悟を決めたが、ミュージシャンで無いシェリーが歌える曲を急遽作ることになった。トレーラーの中でキムとジョーンが歌詞の無いリフを繰り返しているうちに、シェリーの名前から「チチチチチチチチ、チェリー~ボム!」というフレーズを思いつき、後は、ジョーンが一気にメロディを完成させた。
この「チェリー・ボム」を引っ提げ、キムの勧めで前座としてライヴで各地を回るうちにマーキュリー・レコードとの契約が決まった。バンドは一気に上り詰めて行くが、シェリーには母が去ったあとで
父が病に倒れマリー一人に看病させていることが気になっていた。
 
 最後は、リハビリ施設にジョーンが訪ねて来ておしまい。原作はシェリー自身の著書だが、ジョーンが監修として参加しているだけに、映画としてはジョーンとシェリーの関係が主体で、ベースのロビンは何故か架空の人物だ。
ランナウェイズはベーシストが目まぐるしく短期間で交替していたが、日本公演時はジャッキー・フォックスだった。どのベーシストに許可を取るのか難しかったのか、それともシェリーの人気に嫉妬して脱退したジャッキーのOKが出なかったのかは定かではない。

ジョーンを演じたクリステン・スチュワートは映画出演に際してギター特訓をしたそうだ。しかも服装の着こなしや雰囲気まで本人にそっくりで、特に、ラストのラジオ局に出演した時の姿は本人と見間違えるほど似ていた。ジョーンというよりミュージシャンになりきっていたのが良かった。
シェリーを演じたのは天才子役少女の名前を欲しいままにしたダコタ・ファニングちゃん。「ランナウェイズのシェリー・カーリー」を「演じた」だけでは、当時を知るファンは納得しないだろう。金髪に染め、ドギツイ化粧を施し、ローディーと舞台裏のトイレでH行為に耽ったり、股を広げて歌っても、撮影時は16歳だったダコタちゃんはまだまだ少女体型で「胸も小さく、雰囲気も少女のまま」では、ジョーンになりきっていたクリステン・スチュワートの方がインパクトが強かった。
天才子役少女としてはハリウッド映画史上に残るダコタちゃんだが、少女から大人の女への変遷期にあたる15~18歳位の時期って難しいですね(アンナソフィア・ロブはどうかな?)。
登場シーンは数カットしかなかったけど、シェリーとマリーの双子の母役はテイタム・オニールだった。エンドロールで始めて気が付いたけど、ダコタちゃんの遥か前に「天才子役」として「ペーパー・ムーン」に出ていた女優ですが、今では単なる脇役なんですね。

ストーリー的にはジョーンとシェリーの関係がメインだが、やはり、ランナウェイズは日本での活躍は外せない。だが、日本へ行く飛行機内での薬物使用シーンは本当かな?それと、日本に着いてからのシーンも、明らかに撮影スタジオにセットを組んでの撮影が見え見えで、バンドが接待で日本食を食べるシーンや変なインタビューに違和感を覚えた。
更に、細かい点を言えば、日本公演前にシェリーを撮影する日本人カメラマンだがあれは篠山紀信氏だろうがヘアスタイルが違った。日本での熱狂的なライヴの様子も再現されていたが、観客の顔が何度かアップになるが、
明らかに中国系のエキストラが居てロス辺りのスタジオで撮影したのがバレバレですね。


時計