平和記念公園の正面・・といえば、原爆資料館のある、通称”100m道路”こと、平和大道りに面した南側。
その公園入り口のど真ん中、1番手前に、一際目立つ像がある。
それが「嵐の中の母子像」である。
「右手で乳飲み子を抱え、左手で幼児を背負おうとしながら、前かがみ姿勢で生き抜こうとする母の姿を表す」この像は、「わだつみの像」をはじめ、人間愛に満ちた多くのモニュメントを残している札幌出身の彫刻家、本郷新によるもの。
1959(昭和34)年、第5回原水爆禁止世界大会が開かれた際、原水爆禁止日本協議会から、当時の浜井広島市長に、原水爆禁止運動推進への感謝のしるしとして、この像の原型となった石こう像が贈られ、その後、この大会の成功のために尽力した広島市婦人会連合会が、平和記念公園への設置を呼びかけ、ブロンズ像にするための募金活動を行って1960年8月5日に建立され、広島市に寄贈されたものだという。
原型となった石こう像は、現在、札幌市にある本郷新記念館(札幌彫刻美術館)に展示されている。
「核兵器廃絶への限りない努力を呼びかける」のが建立の目的とある。
身を挺して我が子を守るように、覆いかぶさるように子を抱く姿、さらに後ろにもう1人の子をかばいつつも、前へ進もうとする姿は、母親の力強い愛情を感じさせる。
自らを犠牲にしながら、か弱き者を守りつつ、困難の中、前進する・・。
平和への歩み、復興への歩みは、この「嵐の中の母子像」の母親の姿のように成されるものなのだろう。