Peace Waveの平和な日々~行く雲、流れる水のように~

気が向いたら、ボチボチ更新しようかと・・。(笑)

盆灯篭

2009年08月14日 | 広島のオススメ!

お盆である。

だいたい毎年8月15日前後はお盆休みになるトコロが多いようだ。

実家に帰省される方も多いだろう。

 

毎年、この時期になると、広島ではあちこちで盆灯篭(ぼんとうろう)なるものが店先を飾る。

 

県外から来た自分にとってははじめて見る代物で、

 

「このゴテゴテした派手なモノは一体何なんだ・・?

 

・・と、最初はナゾだったが、いわゆる卒塔婆のようなもの。

 

スーパーや花屋なんかに置かれている。

派手さのわりには紙で出来ているので、値段はそれほど高いものでなく、だいたい600~1000円くらい。

最初、七夕飾り?のようなモノかと思った。

 

コンビニにも置かれている。 

浄土真宗本願寺派の、いわゆる”安芸門徒”が広めたもので、広島市周辺と香川県中西部でも見られるそうだ。

要は、全国でもこのあたりにしか見られない風習なのである。

 

由来は明確ではないが、江戸時代、広島城下・紙屋町の紙屋の夫婦が娘を亡くし、墓に手作りの燈籠を供えたとする古い言い伝えが残っているそうだ。

その言い伝えによると、娘が亡くなったのを悲しんだ父親が、その娘のために石灯籠を立ててやりたいと思ったが、お金がなく、代わりに竹をそいで紙を貼り、それを灯籠として供えたコトにはじまるとされ、今では安芸地方の夏の風物詩となっている。

 

紙屋町は現在も広島市内にある町名だが、伊予の国(現在の四国・愛媛県)から紙職人が移り住んでいたコトから名付けられ、傘屋や合羽屋、つり提灯屋など紙を扱う職人が多かったという。

 

 

竹を六角形のアサガオ型に組んだ物に、赤・青・黄などの色紙を貼って作られ、表面に金粉などをつけるコトもあり、さらに六角形の頂点から金紙などの飾りをつける。

装飾化・形式化した燈籠であり、紙製なので、当然、実際に火を灯すには適さない。

 

火災防止や、エコの観点から、数日立てただけで捨ててしまう盆灯篭は資源の無駄であり、後片付けも大きな負担になるとの理由から、盆燈籠を認めない寺院が、特に都市部では増えつつあるようだ。

しかし、郊外では現在も色とりどりの盆燈籠が多く見られるらしく、街中でも売られているのをよく見かけるトコロを見ると、こうした風習は、なかなかなくならないモノなのだろう。

 

広島では14世紀前半から浄土真宗の信仰が広がり、毛利氏によって1552(天文21)年、保護・利用され、”安芸門徒”と呼ばれる勢力を築いた。

そうした広島の信徒に支えられ、”金仏壇”とも呼ばれる広島仏壇のような金箔をふんだんに用いた華麗な装飾が施された伝統工芸が生まれた。

 

この盆灯篭も、そうした華美な装飾の影響が見られる気がする。

そういえば、えびす講こまざらえのきらびやかさにも通じる世界が・・。

(カテゴリー/広島のオススメ!:「えびす講」参照http://blog.goo.ne.jp/kinto1or8/e/15150f1c292dbd5543dd43beb5c23ede 

 

広島県民の、意外と派手好きな面が垣間見える・・。

 

しかし、そもそも浄土真宗は、お盆だからといって特別な飾りや行事はしないという宗派であり、卒塔婆を立てるコトもないという。

 

権力と結びつき、保護されるコトで、すばらしい芸術作品が生まれる・・という例はよくあるが、同時に豪奢、かつ華美な装飾に走る・・というのは、古今東西、同じみたいね・・。