高尾紳路十段に張(ちよう)栩(う)四冠(名人・天元・王座・碁聖)が挑戦する「第47期十段戦五番勝負」の第1局が3月5日、東京都千代田区で行われ、黒番の高尾が2目半勝ちし、初防衛に向けて好スタートを切った。
第2局は3月18日、新潟市の岩室温泉「高島屋」で打たれる。
トップ同士の決戦。立会人・小林覚九段の合図で、握って高尾の先番。両者、速いペースで打ち進むなか、「黒が厚い」「いや白が打てそう」と1手打つごとに金秀俊八段ら控室検討陣の形勢判断が揺れ動く難解な競り合いが続く。
「白、ややリード」の見方もあったが、終盤、高尾がわずかにリードした。「黒に負けはなさそう」と検討陣。張は秒読みに追われるなか、諦めることなくコウ争いを続けたが、結局、地合を1目1目計算しながら打つ、神経戦を高尾が制した。
<高尾十段 の話>
ずっと悪いと思っていました。最後までよくわかりませんでした。
<張四冠の話>
細かかったと思うけど、大ヨセでちょっとまずい、後悔する手を打ってしまいました。
(産経新聞より抜粋)
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高尾十段、手厚い打ちまわしで初戦を飾りました。
この勝利で通算700勝を達成し、達成時勝率・達成年少記録・入段から達成期間の3記録を塗り替えました。
一方、初戦を落とした張栩・四冠、足早に地を稼ぎ微細な展開のようでしたが、終盤はコウ材に泣いたようです。
3年ほど前に四天王のニックネーム募集という企画があり、次のように決まりました。
・高尾・十段 :「重厚戦車」
・張栩・四冠 :「韋駄天」
・山下・棋聖 :「フルスィング」
・羽根・本因坊:「忍の貴公子」
3年の月日が経過しましたが、高尾・十段の「重厚戦車」は今でもナルホドという感じです。
羽根・本因坊の「忍の貴公子」は年齢によって変化しそうですね。
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今回の対局地は東京都千代田区「ホテルメトロポリタンエドモント」。都心ホテルでの開催は十段戦としては珍しいと思います。
前日(3/4)に同ホテルで「女流名人戦第1局」が行われており、立会いの小林覚九段も連チャンで大変だったでしょう。
本シリーズ第2局(3/18)の新潟市・岩室温泉「高島屋」での対局も、女流名人戦第2局(3/17)と合同で行われるということです。新しい企画として新鮮な印象ですね。
第2局以降、新潟県・岩室温泉「高島屋」、長野県大町市「くろよんロイヤルホテル」、愛知県・西浦温泉「旬景浪漫銀波荘」は昨年の十段戦と同じ対局地となっています。
昨年の十段戦は高尾さんが趙治勲さん(前十段)を3-0で破り、十段位を獲得しましたね。