久しぶりに「味しらべ」を食べた。
甘じょっぱい粉をまぶした美味しい煎餅。
岩塚製菓のヒット商品で、北海道銘菓のひとつである。
これを食べると15年以上昔の経験を思い出す。
友人から、岩塚製菓の工場で直売していたという、味しらべの「割れせん」を頂戴した。
それは、ひと抱え以上もある段ボール箱入りで、フタを開くと巨大なポリ袋ひとつに割れせんがぎっしり詰め込まれていた。
製造ラインで大量に出た規格外れを、スコップなどでザザーと詰めたような姿だった。
この大箱がたったの数百円だったと聞いてまた驚いた。
味しらべは開封すればすぐにしける。
大量すぎて食べても減らないし、残りはたちまち湿気を吸ってしまう。
大きな箱が荷物室に入らず、日中はバンクベッドに載せて、夜間は助手席に置いたことを覚えている。
その数年後に、岩塚製菓の千歳工場に立ち寄ってみた。
あの割れせんはないかと探したら、あったのは手のひらに乗るような300円台の袋だけ。
店のスタッフに段ボール箱の経験を話したら、「今は機械が良くなったので、割れせんはほとんど出なくなりました」と笑った。
昔話で恐縮だが、味しらべを見るたびに思い出す奇妙な経験である。
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