事件記者のページ

遠い昔のTV番組を再現しようというムチャな試み

ウィルスと生物の間

2015-05-26 16:35:13 | 本と雑誌
この本をAzonが薦めてくれてソニーストアにあったので即購入して読了した(Azonとソニーじゃ品揃えが1ケタ違うっぽいのだが私的にはソニーの健闘ぶりがうれしい、ホント応援してるよ)

以前「生物の定義」なんてものを書いていた(こちら)、基本的には今もこれでほぼマチガイないと思ってる、脂質二重膜でできた泡の中でRNAを組み立てたものが生物の始まり、「進化を数学で」のヒトもおおむねそんなことを書いてくれていた、がこれが世界の潮流になったかといえばそう決まったわけでもないようである、まあそらほとんど再現不可能(だって地球に海ができ始めた頃大気と水と地殻の組成がどうなってたかわかるヒトいる?ちょっと条件が違えば永久にRNAはできて来ないし、同じ条件でも生き残るのは別の高分子かもしれないし)なこと故みんなの意見が一致することはあり得んとは言え、これはちょっとなあ・・・

いわく、アメーバに新しい寄生体がみつかった、バクテリアかと思われたが出たり消えたりする、そんなバクテリはない、バクテリアにまごう巨大なDNAウィルスだったのだ、持ってる遺伝情報は並のバクテリアより多い、このモノが「生きてない」と言えるんだろうか?そも生きてるってどういうことだ?

あのさ、「生きてる」と「生物である」は同語反復だと思うよ、どっちもliveかlifeじゃないか・・・というしょーもない揚げ足鳥はさておいて、ここには非常に興味深い情報がある(実は前から知ってたけど深く考えてなかった)

真核細胞にはいろんな膜系がつまり細胞内小器官があるがこれらは基本2つに分けられる、1つは細胞膜そのものとミトコンドリア、こいつらは分裂して2つになることはできるが、バラバラに壊れたり穴を空けられたりしたら再生できない(つまり死ぬ)、自前のDNAとリボソームを持っててタンパクを合成できる、もう1つは核膜と小胞体(つながってる)、こいつらは細胞分裂の時とかにいったん消えて細胞内でまた組み立てることができる、穴が開いてて高分子が出入り自由、核はDNA、小胞体はリボソームという分業状態

生物の定義は(1種類しかない故)事実上不可能だが「分裂して増えること」と「DNAとリボソームを持ってること」で半分ぐらいの定義にはなると思う、こうしてみるとミトコンドリアは生物(バクテリアの1種)だし、核はいったん分解して組み立てなおさないと増えられないし自分のリボソームも持ってないから生物じゃない(ウィルスに近い)と言えるのじゃなかろうか、ミトコンドリアは真核細胞にバクテリアか入りこんだものだし、核はウィルスが入り込んだもの・・・じゃなくてウィルスは真核細胞から核だけが逃げ出したもの、真核細胞の先祖はバクテリアじゃなくてアーキアというものらしいから(どうしてそう断定できるのか私は実はよくわからん)、順序としてはアーキア→真核細胞→ウィルスなんじゃないのか、真核細胞の前にウィルスなし

なぜそう思うかって・・・細胞を持つ生物以前にDNAとタンパクからウィルスが完成してそいつらが膜系を合成して細胞生物に進化したなんてそら物理的にたとえありえたとしても(つまりエネルギー的には可能だとしても、いやほとんど不可能だと思うけど)数学的にありえないんじゃない?

↓続き

2015-05-26 08:00:39 | 本と雑誌
振られ男の善さんと違って色男の平田はまるで存在感がない、こいつはその後どうしたと思う?

1.後を追って死ぬ(男が恋に死ぬことだってないとは言えまい)
2.世をはかなんで坊主になる(古過ぎ?)
3.結婚したがすぐ離縁(豊太郎の将来は絶対これ)
4.西宮を殺しに来る(鏡花ならこれかと・・・)
5.しばらくしたら「あれ、オレは何で岡山まで逃げて来ちゃったんだ、わけわからん」と思う(荷風ならこれじゃあるまいか)

西宮(=二宮)は当然知ってたハズで柳浪も聞かなかったわけがない、何も書いてないところを見ると5だったんじゃないかな?

広津柳浪2

2015-05-25 16:38:23 | 本と雑誌
「今戸心中」はこちら、誰しも考えると思うけど「にごりえ」とよく似てる、「布団屋の源さん」と「古着屋の善さん」が奥さんと別れて入れあげた女郎と(無理か合意か)心中して果てる、とても偶然の一致とは思えない、一葉の方が1年先輩で載った雑誌も同じ

こちらの解説によれば柳浪は実際の事件をモデルにしたという、彼の言う通りとすれば事件が起きた当時一葉はほぼ美登利の年頃、印象に残らんかったハズはない、あえて舞台を(吉原ではない)場末の飲み屋に移したと・・・

いうことなんだがどうやらこの事件ウラがとれない、たった十数年前のことなのに柳浪以外には証人がいないようなのである、吉原をよく知る荷風が柳浪のリアルな描写を高く評価しつつ事件のストーリーは「実録らしくない」と言ってる、これ傾聴すべき意見じゃあるまいか

以下は私の想像(だから絶対当たってない)、時は明治20年代後半
二宮(西宮のモデル、柳浪の友人)「昔(明治17年頃)、若い友人を吉原へ連れてったら花魁に本気でホレちゃってね、このまま通い続けたら破産しかねない、まして身受けなんかできるわけもない、朋輩に聞いたら女の方も本気らしいんだ、これはマズいと因果含めて別れさせたんだが」
広津「どっちも夢中になってたというとむずかしそうですね、どうやったんですか」
二「友人を一時的に田舎へ帰らせた、離れれば熱も冷めるだろうし」
広「あれ、どっかで聞いた話だなあ、舞姫(明治23年)じゃないですか」
二「そう、僕は相沢の役-ってあの小説が世に出るより僕らの方が先だよ、で、本物のエリスはその後どうしたんだ?」
広「伝え聞くところではドイツで元気に暮らしてるとか」(何で知ってるって狭い業界のこと故聞こえて来ることはあったハズ)
二「何だつまらん、じゃなくて不幸中の幸いかな、こっちの花魁はしばらくして嫌ってた客といっしょに大川へ飛び込んで死んじゃったんだ、僕が殺したようなもんじゃないか、何とも後味悪いよ」
広「角な卵と遊女の誠、あれば晦日に月が出るって言うけど」
二「今じゃ30日に月が出たっておかしくもなんともないし」
広「遊女の誠もあるのかも」

ともあれいくら何でもと思った一節、吉里が上野から出る汽車の音を聞いて「神戸へ着くのは何時頃?」と言う、あんまし女をナメんでよね、広津のダンナ?

↓ナゾ解き

2015-05-24 01:33:29 | 本と雑誌
いろんな方のレビューを読んでて「なるほど」と思ったことがある、「たけくらべ」の「美登利の変貌は客をとるようになったから」という解釈は(彼女がまだ14歳で舞台が公式の遊郭である故に)いかにもムリだと思う(全く「信如を失ったから」じゃ何でいかんのだよ?)けど、「にごりえ」の「お力は今も源さんを愛してる」は言われてみればそれしかないかもしれないね、ベテラン遊び人の結城はズバリそれを見抜いたのだ、生きることに不器用で甲斐性のない源さんはお力の死んだオヤジさんによく似てる、彼はお力の亭主になれないだろうけど(つまり彼女が「味噌漉しの女房」になるのはムリだけど)、ヤツがカミさんを捨ててお力の情人(=イロつまりはヒモ)になることはできるのじゃないか、そうすれば彼女は(今よりはまだ)ハッピーになれるハズ、カミさんだっていつまでもダメ亭主にくっついてるより新しい人生へ踏み出した方がいい(それは酌婦になることかもしれないが)、「よーし、動き出そうぜ、まずはあの子供を手なづけようじゃないか」とカステラを買ってやったところが事態は意外な方向へ、まさか源さんが心中を持ちかけて来ようとは、タハハ、マズった、いや、ま、こんなこともあるかもな・・・

ああ、これは子供にわかるわけがない、だけど逆に「たけくらべ」は子供なればこそわかる一面があるんじゃなかろうか、世界中の誰も賛成してくれんでも私はそう信じるもんね

追記-何で彼だけ源七じゃなくて源さんなんだって?ずいぶん昔の話、とある年長の友人が「源さんが住んでるような裏長屋」と言ったのだ(文脈忘れた)、私は「ああ、あれね」とは思ったもののそれがどんな住居なのか全くイメージわかない、彼女は映画(こちら)を知ってたから宮口精二と杉村春子が住む長屋のセットを思い浮かべたんだと思う、この二人(当たり前だけど)評価高いよね、4歳の息子がいる夫婦にしてはちょっと年齢高い気もするけど(どっちも実年齢40半ば、いや苦労したから老けてみえるって設定なんだろよ)、考えてみれば(みんくても)スゴい豪華キャスト、当時私は・・・とにかくも生まれてはいたよーな

樋口一葉

2015-05-23 11:21:58 | 本と雑誌
久々に通読(こちら)、前読んだ時は高校生だったかな、お力が小さい時すごく貧乏だったこととか源さんが些細なことから奥さんと息子を追い出しちゃうくだりとかははっきり記憶してたが、お力と結城の仲はこんなもんだったのか、商売女と遊び慣れたご贔屓のいい関係っての?こういうのは(子供にわかるわけないのは当然だけど)この年になってもどうもよくわからん

いきなり何事ってこれも荷風つながりなんだがそれはまたいずれ(書かないかもしれない)