事件記者のページ

遠い昔のTV番組を再現しようというムチャな試み

広津柳浪2

2015-05-25 16:38:23 | 本と雑誌
「今戸心中」はこちら、誰しも考えると思うけど「にごりえ」とよく似てる、「布団屋の源さん」と「古着屋の善さん」が奥さんと別れて入れあげた女郎と(無理か合意か)心中して果てる、とても偶然の一致とは思えない、一葉の方が1年先輩で載った雑誌も同じ

こちらの解説によれば柳浪は実際の事件をモデルにしたという、彼の言う通りとすれば事件が起きた当時一葉はほぼ美登利の年頃、印象に残らんかったハズはない、あえて舞台を(吉原ではない)場末の飲み屋に移したと・・・

いうことなんだがどうやらこの事件ウラがとれない、たった十数年前のことなのに柳浪以外には証人がいないようなのである、吉原をよく知る荷風が柳浪のリアルな描写を高く評価しつつ事件のストーリーは「実録らしくない」と言ってる、これ傾聴すべき意見じゃあるまいか

以下は私の想像(だから絶対当たってない)、時は明治20年代後半
二宮(西宮のモデル、柳浪の友人)「昔(明治17年頃)、若い友人を吉原へ連れてったら花魁に本気でホレちゃってね、このまま通い続けたら破産しかねない、まして身受けなんかできるわけもない、朋輩に聞いたら女の方も本気らしいんだ、これはマズいと因果含めて別れさせたんだが」
広津「どっちも夢中になってたというとむずかしそうですね、どうやったんですか」
二「友人を一時的に田舎へ帰らせた、離れれば熱も冷めるだろうし」
広「あれ、どっかで聞いた話だなあ、舞姫(明治23年)じゃないですか」
二「そう、僕は相沢の役-ってあの小説が世に出るより僕らの方が先だよ、で、本物のエリスはその後どうしたんだ?」
広「伝え聞くところではドイツで元気に暮らしてるとか」(何で知ってるって狭い業界のこと故聞こえて来ることはあったハズ)
二「何だつまらん、じゃなくて不幸中の幸いかな、こっちの花魁はしばらくして嫌ってた客といっしょに大川へ飛び込んで死んじゃったんだ、僕が殺したようなもんじゃないか、何とも後味悪いよ」
広「角な卵と遊女の誠、あれば晦日に月が出るって言うけど」
二「今じゃ30日に月が出たっておかしくもなんともないし」
広「遊女の誠もあるのかも」

ともあれいくら何でもと思った一節、吉里が上野から出る汽車の音を聞いて「神戸へ着くのは何時頃?」と言う、あんまし女をナメんでよね、広津のダンナ?

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