事件記者のページ

遠い昔のTV番組を再現しようというムチャな試み

奥泉光

2015-05-17 13:23:55 | 本と雑誌
この作者いまいちとか言いながら創元社の文庫になってたら買わずにいられない(こちら)、タイトルのつけ方うまいよね、でもやっぱこれは純文だと思う、浅田の作品はエンタメでノンミステリ、奥泉のは純文でやっぱしノンミステリ(だと思う)、まだ「ノヴァーリス」の方しか読んでないけど
時は(たぶん)1991年の3-4月
登場人物
松田-33歳独身、ICU(作者の母校)と思しき大学経済学部の講師だが研究よりミステリが好き、ノックスだかヴァン・ダインだかの原則を金科玉条と思ってるらしい、古過ぎ、よくそれで学者が勤まるなあ、若い頃は過激派だったがある時身の危険を感じて他の大学からここの(たぶん)2年に転入したという
新藤-松田の先輩、36歳、経済学部のマスターを2年の前半で中退して結婚、今は編集プロダクションを経営しつつ雑文を書いている、奥さんと2年前に別れた、その間の事情多くを語らず
榊原-38歳、他大学の出身で新藤とマスターの同期、3年まで医学部に在籍してから経済へ転部したとのこと(どっかで聞いた経歴だと思ったら豊田有恒じゃない?)、今は名古屋の大学に勤めている、ハゲで糖尿病、家ではよいお父さん
-新藤と同級、経済のマスターを終了したらしいが今何をしてるのか不明(大学教員?)、そも名前すら不明(奥泉だったりして)、2年前に結婚して奥さんは出産間近、昔は細かったが今はデブ
石塚-生きてれば34歳、帰国子女だったのでこの大学の経済へ9月に入学し12年前の6月に卒業するハズだったが桜の季節4月に図書館の屋根から転落して死亡、なぜかリュートというむずかしい楽器を弾いていた

石塚の死は事故か自殺かはたまた殺人か、久々に現場を訪れた私は次々と説明不可能な椿事(事件の再現?)に襲われる、もしやあの時の犯人は私たち?

典型的な「信用できない語り手」ミステリと一度は思わせて何とはなしのうやむや解決(というか不解決)、結局何があったのか(たぶん)作者も知らないのである、一人称で書けば知らないことは知らないですませられるから便利だと昔サマセット・モームが言ってた、ミステリってのは「知らない」じゃすませられないジャンルなのだよ、やっぱ純文作家だよな、このヒト・・・・・

どーでもよい追記-研究室の直通電話、え、市内局番2ケタ?と一瞬い思ったが、そっか都内じゃないのね