事件記者のページ

遠い昔のTV番組を再現しようというムチャな試み

ぞうさん、はな、ながい

2006-11-02 16:30:33 | 学問
 意味不明のタイトル。動物のゾウは鏡に映った自分を自分だと認識できるかどうか 確かめたという研究がネットで紹介されていたので、ついマジに元の論文を読んでしまいました。

 研究にご協力くださったのはブロンクス動物園に住む3頭の30代女性(マキシーン、 パティ、ハッピーという名前のゾウさんたち)と担当職員の皆さん。ここのゾウ舎は見物人から見えないところに広い放し飼いスペースがあるので、そこの壁に大きな鏡を 据え付けて、いろんな方向からゾウさんたちの行動を撮影しました(彼女らがカメラを意識していたかどうかは不明)。

 まず鏡に対するゾウさんたちの行動
 マキシーンとパティは鏡を張り付けた囲いの裏側に何があるか見ようと壁に足をかけて立ち上がったり(動画付)、ヒザをついて囲いの下を覗こうとしたりした。職員さ んによればゾウが塀の向こう側を気にすることはまずないとのこと。
 ハッピーはそういうことはしなかった。
 ともあれ3頭とも鏡に写った像を生きたゾウだとは思っていないらしく、仲間あるいは敵のゾウに対するような行動はしなかった(ゾウのこういう行動はよく調べられてい る)。

 そのうちゾウさんたちは鏡に向かってあれこれボーズをとったり(動画付)、口を開けて中を見たり、鼻で耳を広げてみたり、要するに鏡を使って自分の体を観察するようになった(3-4日かかったとのこと)。これらの行動は鏡がない時にはしなかった(こ こが肝心な点)。

 さてここでゾウさんたちはヒフを刺激せず臭いもほとんどない-つまり見なくては描いてあることがわからない-顔料で顔のどっちかの側にXマークを描かれた。反対側にはほぼ同じ成分の無色の素材でマークを描かれた。この作業は職員にやってもらっ た。

 実験の1日目にハッピーは鏡を見て何回も鼻で顔のマークに触った(動画付)。マーク が見えない方の側には全く触らなかった。だがこれは1日目だけで2日目以後は顔のどっち側にも触らなくなった。
 マキシーンとパティは初日から全くマークに触ろうとしなかった。
 彼女らはその後も鏡があれば鏡の前で長時間を過ごし、自分の像への関心を失った わけではないらしかったのだが、顔のXマークのことは無視していた。

 データはこれだけ。顔に何か描かれた時の態度はサルでも個体差があるそうです。 また何回も同じことをやられるとそのうち気にしなくなるということもあるとか。おおむねのところゾウさんは鏡に写った自分を自分だと思っていると考えてよい結果だとのことです。
 それがどうしたって?いやたまには目先を変えてみてはどうかと・・・・