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■■【経営コンサルタントのお勧め図書】2019~世界と日本経済の真実「米中貿易戦争で日本は果実を得る」

2019-03-26 12:03:00 | 経営コンサルタントの本棚

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】2019~世界と日本経済の真実「米中貿易戦争で日本は果実を得る」

 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。

■  今日のおすすめ

 『2019~世界と日本経済の真実「米中貿易戦争で日本は果実を得る」

   (高橋洋一著 悟空出版

    日本を取巻く世界の政治・経済情勢のメタを知ろう(はじめに)

 

 著者の高橋洋一氏は、自らを「数量政策学者」と称しています。著者は「2019~世界と日本経済の真実」を、数量的分析と著者の経歴で積み上げた人脈からの情報により、他の著書では得られない、メタ情報として紹介本を通して発信しています。紹介本により、私達が持っている常識的な情報が、より深い新たな発見として見出す事が出来たり、全く違った認識に変えられたり等、新たな知見を与えてくれます。

 

 紹介本には、アメリカ、EU・イギリス・ロシア、中国・北朝鮮・韓国、日本について貴重な知見、しかも、それは著者独自のデータに基づいた知見をベースとした「世界と日本の真実」が書かれています。紹介本を読むことで“エッ!そうなのか”と新たな気付きを見出すことができます。

 

 紹介本の中で語られている“真実”のいくつかを次項でご紹介しましょう。

 

 

 

■  これだけは知っておきたい「2019~世界と日本経済の真実」

 

【紹介本の題名「米中貿易戦争で日本は果実を得る」とは何?】

 

 アルゼンチンで行われたG20財務相・中央銀行総裁会議で議論するための参考資料として、2018年7月にIMFから発表された「The Global Impact of Escalating Trade」を基に、著者は、米中貿易戦争の日米経済への影響を試算しています。それは、「①鉄鋼、アルミへの関税及び2018年6月と7月に実行された対中輸入関税と中国による同額の報復関税による影響、②2018年9月に追加された対中輸入関税2,000憶ドル(10%)と中国による同規模の報復関税による影響、③自動車輸入関税:米国が全自動車輸入にかける追加関税(25%)と、各国の報復措置による影響」の3つの点に於いて1~5年後の日米両国のGDPへの影響比率を試算・算出しています。

 

 この試算は、米国が全ての項目において、GDPの減少の影響を受けるのに対し、日本は、③の自動車関税により、若干(最初の2年間は若干のプラス。5年後にマイナス0.1%程度のGDPの減少。)のマイナス影響があるものの、①②の項目ではGDPの若干の増加(プラス1.5%程度からプラス0.25%程度)と示しています。

 

 また、自動車については、日本はアメリカに174万台(約360億ドル)を輸出する一方で、アメリカ国内で377万台(アメリカからの輸出・国内販売を含め757億ドル)を生産し、150万人の雇用を生み出していると著者は指摘します。

 

 この様な観点から、著者は、米中貿易戦争に関しては、『日本は「高みの見物」でいい』と主張するのです。

 

【米中貿易戦争の根底にあるもの】

 

 昨年の12月のアルゼンチンで行われたG20の最中に行われた米中首脳会談では、米中貿易戦争の90日間の休戦とその間の交渉で合意した。しかし、米中貿易戦争の根底にあるものは、「資本の自由化」「公正な知的財産の保護」「公正な競争」です。

 

 著者は、その点について、『中国は一党独裁の社会主義国であり、自らが主張する「自由で公平な貿易、公正な国際秩序の継続」は、中国国内での「資本の自由化」「情報の自由化」引いては「司法の民主化」を求められる。しかし中国が一党独裁を続ける限りそれはできない。中国の主張(「自由で公平な貿易、公正な国際秩序の継続」)は口先だけである。米中貿易戦争の長期化は避けられない。』と言います。

 

 90日間の貿易戦争の休戦の期限(2019年2月)は延期され、3月月内には米中首脳会談が開催されると報道されています。一方、中国では中国全国人民代表大会が、3月5日から11日間、開かれます。この二つの政治的イベントは複雑に絡み合っています。この二つのイベントを終えた後に、米中貿易戦争の方向性が見えて来るのではないでしょうか。

 

 【中国に飲み込まれる韓国】

 

 「韓国の対中国輸出は2003年には、アメリカを上回り最大の輸出国になった。2017年には対中国輸出が1244億ドルと、韓国全体の輸出額の25%(韓国GDPの11%)を占め、更には、対中輸入額870億ドルを差し引いた対中貿易黒字は374億ドルとなっている。米中貿易戦争の影響で中国の景気が悪化すれば、韓国経済にとっては大きなダメージになる」と著者は言います。また政治的にも、『2017年5月に就任した文大統領も同年10月に訪中し「アメリカ主導のミサイル防衛システムには参加しない。日米韓の安保協力を軍事同盟に発展させない。THAADを追加配備しない」と合意した。文大統領が北朝鮮の金委員長との米朝会談に貢献したことは事実だが、その背景には常に中国と連絡を取り合っており、中国の意向を受けていることは間違いないだろう』と著者は付け加えています。

 

 この様な事実から、韓国も北朝鮮も中国の傘下にあると考え、今後の朝鮮半島情勢の動向には注目する必要があると思います。朝鮮半島がアメリカの傘下になるか、中国の傘下になるか、いずれにしても、もし、実現した場合には日本に大きな影響をもたらす事になります。

 

【その他の注目したい真実】

 

 紹介本には、上述以外にも注目すべき「真実」が記述されています。

 

  □  EUとロシアと日本の今後を読む。

 

  □  EPA(経済連携協定)とFTA(自由貿易協定)の違い。共産党支配の中国は、絶対にEPA(経済連携協定)を結べない。

 

等です。是非紹介本を手に取って読んで下さい。

 

 

 

■  「真実」追い求め、冷静に対応して行こう(むすび)

 

 2019年も世界と日本の経済・政治は一見波乱に富んだ年になりそうです。そのような環境の中で、「真実」は何かを真剣に追い求め、そして分析し、それに基づいた冷静な判断を行い、対応していくべき年と思います。

 その場その場の情報に惑わされずに、『世の中の「真実」を見る目』を常に養いつつ、その「真実」に対応する中で、経営のレベルの向上を図りたいですね。

 

【酒井 闊プロフィール】

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm

  http://sakai-gm.jp/

 

【 注 】

 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。

 

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