路隘庵日剰

中年や暮れ方近くの後方凡走

大寒の曇りガラスに人の影

2010年01月21日 | Weblog


 朝から雨。優しいはずの春の雨、みたいな雨。
 それがだんだん強くなって、昼頃には強風ピューピューも付け加わった。 
 そのうちに強風ピューピューのほうが完全に強くなって、時々思い出したように突風。歩いていたら人家の壁に立てかけてあった雪かきが音立てて目の前に飛ばされてきた。
 さらに夕方にかけてあきらかに気温は低下。雪混じりの強い風になる。
 風が強いのは大嫌い。

 昨日から探している本は結局みつからない。
 見つけているものはみつからないが、見つけてないものはみつかる。というよくある状況。
 本棚の底の方から埃だらけに捩れた文庫本が出てきて、森田誠吾『中島敦』(文春文庫1995)
 ちょうど一月一刷となっていて15年前買ったことになるけれど、記憶があるようなないような。ほんの出だしを読んでみると、これまた記憶にあるようなないような。森田誠吾と中島敦がうまく結びつくようなつかないような。中ほどに中島敦の夫人の写真があって、けっこう美人だなと思い、中島夫人といえば後年お茶を売っていてけっこう大物で、というようなとりとめないかすかな記憶がよみがえって、さてそれを何で読んだのだっけ、さらにそのお茶を古田晃が買って、みたいなどうでもいい挿話が思い出されて、さてそれを何で読んだのだっけ、というどうでもいい記憶ばかり。
 ま、ともかく、もう何十年と小説を読まないワタクシですが、過去の記憶の中で好きな作家ベスト3には中島が入る(かなあ?)わけで、特に好きな作品ということなら、(特に今現在で)やっぱり「山月記」がベスト1と言いそうな気がするから、(明日になれば違うこと言いそうだけど)ちょっとコレ再読してみますか。
 そういえば昨年西端100年とか云ってたな。太宰とか大岡昇平とか松本清張とか。このへんワシ概ねみんな好きだな。

 で、夜半やっぱり風強し。
 李徴の虎が出てきそうな。
 トラ年だから出てきたか。
 なんか哀しくなる、そんな夜。