物理と数学:老人のつぶやき

物理とか数学とかに関した、気ままな話題とか日常の生活で思ったことや感じたこと、自分がおもしろく思ったことを綴る。

明倫館書店での発見

2023-05-16 13:05:47 | 数学
昨日、神田神保町の明倫館書店に行ったとき、店主の社長との話がすんだ後で数学とか物理の本を見ていたら、妻が『四元数の発見』が床の上にある、と叫んだ。よく見ると確かに私の本である。

新しそうな表紙の本なので、ひよっとして第2刷なのかと思って奥付を見たら、さすがに第2刷ではなくて、初刷ではあったが、表紙もきれいであり、1,800円の定価がついていた。お買い得だろう。

もっともこの値段は税込みではなかろうから、1,980円での購入とはなるが、新本の2,200円と比べれば、いくらかお安くなる。

亭主の本が床におかれているのを見て、亭主の私の価値が少しは上がったらいいのだが、果たしてどうだろうか。これくらいのことでは私の価値があがりそうにもないのは私の日ごろの行いがあまりよくないせいだから仕方がない。


お久しぶりです

2023-05-15 21:34:38 | 物理学
ほぼ毎日ブログを書いていた者が1週間以上ブログを書かないとなるとブログを書いている者のまずは健康状態が気になるというのは当然の反応だろう。

それにその筆者は今年5月中には84歳を迎えるという老齢である。自分では18歳の青年のように思っていても階段の上り下りで膝が痛くて困る。

それが所用で東京に出かけたのだからどうかしている。それも急に思い立って神田神保町の自然科学の古書店として有名な明倫館書店を訪れるということを急遽したりした。

店主の社長は実は同郷の人であるということが判明するというハプニングもあった。これは自費出版で出した『物理数学散歩』(国土社)の残部の数百部の処理を相談に行ったのである。

これは昨晩ホテルで急に思いついたことなので、まったく用意などしていない。それでも好意的に受け止めて下さったのは、社長の懐の深さによるだろう。しかし、どういう風にことが進んで行くかは予断を許さない。


今日はじめてブログ

2023-05-05 18:24:42 | 本と雑誌
今日はじめてブログだ。

いままでパソコンの前には座っていたが、ブログを書くことには気が向かなった。これは他にしたいことがあったからだ。

昔書いたベクトル解析についてのエッセイを見直していた。実は狭い意味のベクトル解析についてエッセイをあまり書いたことはなく、ほとんどベクトル代数に関することだったのだが。

それで最近はStokesの定理に勉強の焦点が移っていた。少し自分でもベクトル解析についての見通しがよくなってきたので、昔の原稿を見直ししたいと思うようになった。

それで昔の原稿をまずはプリントして読み返そうとしたが、書きかけで完成していない原稿がいくつかけっこう多くあることに気がついた。それで簡単に完成しそうなものから書き加えをしようかとしていたためである。

rot A, div Aの物理的意味

2023-05-04 14:57:16 | 本と雑誌
ベクトル解析の学習上の困難についてはいろいろある。

私にとって一番難しかったのはSokes定理の導出であったが、『物理数学の直観的方法』だったかにあらわに書かれてはじめて意識されるようになったのは、rot Aの物理的意味がなかなか意識されなかったことであった。

最近ではさすがにこのことに言及するベクトル解析のテクストが大半を占めるようになった。それに反してdiv Aの物理的意味の方はそれほど難しいとは思われない。

また、ベクトル代数の公式がたくさんあることなどもベクトル解析の固有の問題ではないかもしれないが、やはりその一部に入るであろう。

こちらはベクトル積とスカラー積を重複して使うために複雑な公式が出てくるのだが、それらはベクトル積を何か別の一つのベクトルと置くといった処方でその困難さを回避できると思う。



ベクトル代数でも難しいところがある

2023-05-03 16:43:27 | 数学
ベクトル代数でも難しいところがある。

例えば、ベクトル積の定義である。これがなかなか私のような頭のわるいものにはわかり難い。

 A*B=(A_{y}B_{z} --A_{z}B_[y}, ・・・・・)

である。私はこれを覚えるのにLevi-Civita記号でやっと切り抜けられたが、ファインマンはどう書いているのか最近知った。いわゆる『ファインマン物理学』(岩波書店)第3巻によれば、要するに

 (A*B)_[x}=A_{y}B_{z} --A_{z}B_[y}, ・・・・・

と書かれてあった。これでわかる人はわかるのだ。

私みたいな頭のわるいものでもこれでわかる。要するにベクトル積のたとえば x 成分は後ろの第1項には添字の y,z が来る。そしてーの後ろの第2項では z, y とひっくりかえせばよい。こうなると y 成分は y, z, x のサイクリックな順番となる。z 成分は z, x, y の順になればよい。これはもちろん第1項についてで第二項は第1項の成分は順番が入れ替わる。

たったこれだけのことだが、私にはわからなかった。それでLevi-Civital記号まで必要としたのだ。

私はLevi-Civita記号の発明はたぶん上にような x 成分がなぜ x で始まらないのかという素朴な疑問からちゃんと成分を xyz を1, 2,3として1から始めたいと思ったLevi-Civitaがこういう記号を考え出したと思っている。

そういうことをひとこと申し添えてくれると気持ちがわかっていいのだが、そんなことをおくびにも申し出てはくれない。このことから無味乾燥な記号だと思われてしまうのだ。


毎日、毎日何か新しいことを書くことなどできない

2023-05-02 15:17:44 | 本と雑誌
毎日、毎日何か新しいことを書くことなどできない。いや、そういうことを目指したいとは思っているけれども。

今日は3年に1度の自動車の免許の更新に出かけた。何度目の更新かは覚えていない。もう3年間は免許を持っておきたいと考えている。次の免許更新はたぶんしないつもりである。

コロナのせいもあるが、免許更新の手続きも簡素化されており、以前に何時間もかかったのから見れば、簡単に免許の更新ができるようになっている。

もっとも自動車講習所での講習が義務付けられているので、本当に簡単になったのかはわからないところだ。

大学の基礎数学の展望は?

2023-05-01 12:37:40 | 本と雑誌
民間数学教育団体「数学教育協議会」に関心のある方だったら、大学の基礎数学の展望として森ダイアグラムというのをご存じであろう。

        微分積分学(局所比例として)
  正比例                   ベクトル解析
        線形代数学(多次元比例として)

というのであった。

大学での基礎数学の最終目標はベクトル解析ということになる。そしてベクトル解析にはベクトル代数の部分と本当のベクトル解析の部分がある。

ベクトル代数の部分はテンソル代数とかLevi-civitaの記号を用いてかなり面倒なところを回避できる。一方、ベクトル解析の部分の最終目標はStokesの定理とGaussの定理であろう。これがベクトル解析にとどまって議論しようとするとあまり見通しがよくない。

それでそこを回避する方法として、微分形式を学ぶということがあろう。微分形式を学べば、このStokesの定理とGaussの定理がまことに見通しがよくなる。それで微分形式を学ぶことはベクトル解析の最終目標をStokesの定理とGaussの定理とする限りは必須となろう。

こういうことで志賀浩二『ベクトル解析30講』(朝倉書店)や和達三樹『微分・位相幾何』(岩波書店)等では微分形式を積極的に学ぶことにしたと思われる。後者ではさらに多様体と多様体上の積分という章があり、ここにStokesの定理とGaussの定理が扱われている。

(2023.5.4付記)和達三樹さんにはお会いしたことはないが、優れた物理学者であった。非線形波動とかソリトンとかの研究者であったと思う。私などよりも若い方であったと思うが、もう物故されていると思う。

彼が編者の一人となっている岩波書店の「理工系の基礎数学」シリーズにはベクトル解析のテクストはなく、その代わりに『微分・位相幾何学』(岩波書店)の第10巻がある。これは和達さんの一つの見識を示しているといっていいだろう。