行列というと普通の人はコンピュータの新しいソフトを買い入れるための行列とか日本シリーズで球場に入るための行列を想像するであろう。
しかし、行列は数学用語でもある。英語ではマトリックスmatrixという(もっとも英語風に発音するならば、メィトリックスだろうか)。元はドイツ語でMatrizeという。複数だとMatrizenである。ドイツ語でもMatrixという語もあるようだ。Matirzeは印刷用語で字母という意味もある。
行列は方形に数字を並べた集まりのことで、これには、たす、ひく、かけるといった演算ができる。そして、この方形に数字や文字を並べた横の列を行(row)とよび、縦の列を列(column)とよぶ。
英語 で行をrow, 列をcolumnとよぶことを知らない人はちょっと数学を学んだ人にはいないと思うが、さてドイツ語ではどういうのだろう。ということでいつものドイツ語のクラスで先週聞いてみた。
R氏は線形代数を学んだことがないらしく、実際に数学でどういうかは知らないがといいながら、英語のrowにあたるのはReihe, columnにあたるのはSpalteだといわれた。
昨日の午後、先週のドイツ語のクラスの要約をつくっていたときに、気になって最近自宅からもってきた藤原松三郎著『行列と行列式』(岩波全書)を開いてみたら、11ページに行はZeileとあり、列はKolonneとあった。
それでその語を採用していたが、ちょっと気になったので、高木貞治著『代数学講義』(共立出版)を見てみたら、行はZeileだったが、列はSpalteであった。
それで高木先生の権威にしたがって、ドイツ語の要約をつくった。しかし、クーラン・ヒルベルトの『数理物理学の方法』のドイツ語版をもっていることを思い出したので、それを見て確かめてみようとは思ったが、今朝はそれを探して読んで来ることを忘れて仕事場にきた。
岩波の『数学辞典』ならrowとcolumnのドイツ語訳を見つけられるかと思って昨日調べたが、どこにも出ているようではなかった。インターネットの和独辞典もひいてみたが、どうも数学用語としての行と列の用語に対応した語を見つけることができなかった。いまインターネットの英独辞典をひいてみたら、、さすがに訳が出ていたが、複数の候補があり、一つに絞ることができなかった。
訳の候補として有力なのはrowでは-e Reiheと-e Zeileである。またcolumnではKolumne(これは性が書いてない)と-e Spalteである。
(2014.11.1 付記)今朝、クーラン・ヒルベルトの「数理物理学の方法」のドイツ語版を調べたら、やはり行は-e Zeileであり、列は-e Spalteであった。
直接にはこの語を使っていないが、ZeilenindexとSpaltenindexという語を見つけたので、間違いがない。
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