『数の「発見」の物語』(ジュニアスタートブックス)という本が岩波書店から出版される。これは今朝の朝日新聞の岩波書店の広告で見た。
その広告の紹介文の中には四元数のことにはまったく触れてはいないが、中味としてそのことを書いていないとは思い難い。だから短いかもしれないが、なんらかの言及がされているのではあるまいかというのが私の想像である。
そしてひょっとしたら八元数についても何か書いてるかもしれないなどと想像を逞しくしてしまう。さて現実はどうなんだろうか。私の好奇心を満たしてくれるようなことが書かれているんだろうか。この本を買って読んでみたいという気がとても強く起こっている。
大体、私は数にはあまり関心がなかった。いまでもどちらかといえば、関心がある方だとはいえない。それだのに『四元数の発見』だなどという数に関する本を書いてしまった。およそ10年ほど前のことである。
もともとの関心はCauchy-Lagrangeの恒等式といわれる恒等式があって、その恒等式の証明にどのようなものがあるのかを調べていて、四元数による証明を見出したということから話が始まっているのだから、アニメに関心があってアニメのフィギュアを動かすことに関心がある人から見れば、およそ異端のきっかけである。
いまではインターネットを見れば、私が日本ではじめてどこかから得た知識で書いた「球面線形補間」の説明をさも自分が導いたかのごとく堂々と述べているサイトまである。それも記号まで同じだが、私の本から学んだとかはどこにも書かれてはいなかった。
もっとも私もイギリス人だったかの3Dグラフィックスの本のインターネットで読めた箇所に出ていたコピーを読んで知ったことだったが。しかし、私は情報の出所はきちんと書いたつもりである。
もっとも最近読んだ、私の古くから持っていた資料のコピーによるとその考えもどなたかがすでに論文に書いてあったものらしい。もともと「球面線形補間」の式はShoemakeという方が論文で発表されたのであるが、この論文には結果の式は出ているが、その導出法の記述はなかったと思う。聞くところによれば、Shoemakeはこの「球面線形補間」の式を会社の数学のよくできる同僚に導いてもらったらしい。もちろんその式を導く意義はShoemakeがその同僚に十分に説明をしたのだろうが。
それでいろいろな方がいろいろな考え方で「球面線形補間」の式を導いているのだが、それらをまとめて『四元数の発見』で紹介してある。
たぶん、きちんと日本語で書かれた最初の「球面線形補間」の補間式の導出であったと思う。もっとも訳書ではいくつかの訳書で説明があったのだが、細部まできちんとした説明はなされていなかったと思う。それらをだれでも理解可能な形で説明をしたつもりである。
金谷一朗さんという方がクォターニオン(四元数)のこの分野では日本語で解説の本とかインターネットのサイトで解説を先駆的に書かれていて、この分野の日本における先駆者なのだが、彼の説明はなかなかわかりずらかった。少なくとも私には理解が長い間できなかった。
どうも単なる本の紹介のつもりがなんだか恨みつらみをまたまた書き連ねてしまった。そういう鬱屈した心を抱いているという証拠でもあるのだからしかたがない。