「微分形式を10ページで学べるか」
これに挑戦したようなのが、吉本武史『数理ベクトル解析』(学術図書)である。この本の付録Aに11ページで微分形式を説明しようとしている。フランダースの著書では最低100ページは読まなくてはならない。私も以前にフランダースの著書を数十ページは読んだと思うが、残念ながら100ページもは読んだことがない。
もっとも吉本さんはdxdyの交換に対する反対称性は公理的に要請しており、フランダースのようなヤコービアンによる説明ではない。フランダースでは、それほど天下りではない。そういうことにひっかからない人は公理的に要請したのでいいのかもしれない。
私にはベクトルのべクトル積とwedge積とが似ているが、違うものだということはつい先ごろまで知らなかった。これらがHodgeの星演算子でつながっていると知って、ようやくこれは違うものだとわかった。
志賀浩二先生の『ベクトル30講』(朝倉書店)によると、この二つのちがいは奥歯にはさまった感じだったが、横田一郎『ベクトル解析』(現代数学思想社)で星演算子の存在を知り、ようやく違うものだと知った。もっとも、これはフランダースの本で読んだはずだったが、まったく覚えていなかった。