物理と数学:老人のつぶやき

物理とか数学とかに関した、気ままな話題とか日常の生活で思ったことや感じたこと、自分がおもしろく思ったことを綴る。

微分形式をどう教えるか

2019-03-19 10:25:20 | 数学

「微分形式をどう教えるか」は議論のあることだろうか。広田良吾さんのように「微分形式」の便利さに懐疑的な人もおられるのだが、それは別に彼が「微分形式」に否定的ということでもないのだろう。

あまり簡単に微分形式では計算ができてしまうので、意味を考えなくなることへの警告をしたいという意図が広田さんにはあったのだろう。

教え方としてあまり厳密でなくてもいいのではないかというのは志村五郎さんの『数学をいかにして使うか』(ちくま学芸文庫)である。これによるとdxとdyとが反交換であることくらいを認めてやれば、微分形式へと導けるという考えである。もっとも彼は最少限の説明をしてはいるのだが。

純粋数学者である、志村さんからこういう提案を受けると心強い。もっともdxとdyとの反交換くらいなら、ヤコビアンの計算から導くことができる。これはフランダース『微分形式の理論』(岩波書店)の微分形式への導入でもあった。

私が最近1月ほど悩んでいたのはこの外積とベクトルのベクトル積とがよく似ているが、同じものなのか、どちがうものなのかがわからなかったことだった。

同じようでもあり、違うもののようでもあり、その辺があやふやであった。結論としては、外積とベクトル積とは、ちがうものだが、この2つの間には、ある種の対応があるということだった。

数日前にそれぞれを書き出して並べてみて、ようやく違うことがわかった。そしてその違いを知った後ではHodgeのスター演算子がようやく理解できると感じた。

その前にベクトル積の性質と外積との公理的な違いの説明を横田一郎『わかりやすいベクトル解析』(現代数学社)で読んだ。もっともその証明はまだ知らない。

わかりやすい「微分形式」の導入エッセイを書いてみたい。