岩波書店のPR誌「図書」はもう50年以上購読している雑誌だが、2月号にlectureという語が英語とフランス語でつづりは同じなのに意味が違うと載っていた。そういえば、発音もちがう。カタカナ表記をすれば、英語ではレクチャーだろうが、フランス語ではレクチュールだろうか。
英語ではlectureはもちろん講義とか講演という意味だが、フランス語では読書を意味するという。このlectureという語はもともと教会の牧師が聖書を音読した後でその内容を解説するという「説教」に由来するそうだ。
ドイツ語で読むとか読書はlesenだろう。名詞のときはLesenと大文字で書く。また、講義は教室の前で先生が講義の内容を音読したことからか、vorlesenと文字通りにとると「前で読む」という。講義という名詞はdie Vorlesungであろう。
これも昔に『図書』で読んだ受け売りだが、lesenは摘むとか選ぶという意味もある。ドイツワインでは遅摘みのワインをSp"ateleseという。また多分えりすぐりのワインという意味だろうか、Ausleseというのもある。
これらはドイツワインのmit Pr"adikat(称号つきの)のついたワインの等級を表している。mit Pr"adikatのワインには法律的に加糖が許されず、むしろ素人の私たちがワイン飲んだときには、人工的に加糖の許されるQBA(Qualit"at Wein)の方が甘くてうまいと感じられることもある。QBAよりも等級の下のワインとしては水の代わりに飲むといわれるTafel Wein(table wine)がある。これらのことはその当時日本人の先輩に教わったことである。自分で進んで勉強したことではない。
さらに昔を思い出せば、住んでいたことのあるMainzの近くにはSp"ateleseの発祥の地として知られる、Johannesbergというワインの栽培地がある。ここはライン右岸の河畔の丘陵地で南向きの斜面であった。この銘柄のワインは近くのワインよりも少し値段が高めである。これはこの近くのRhein Gauのワインと同様によく太陽の日があたるから、いいワインができるという定評があるからであろう。