safety netが必要だ。3月末までに85,000人の派遣労働者が職を失うという。企業は業績が悪化すれば、派遣労働者の首を切ればすむが、社会としてはそれではすまない。小泉改革の内幕がこんなに不人情のものであったのはこの頃では社会全体の周知の事実となったが、政治として問題なのはそういう事態に備えたsafety netがまったく考えられていなかったことだ。
これは政治の責任でそれを放置した自民党は責任をとらなければならない。しかし、どうみてもその責任をとろうとはせず、2兆円の給付金でごまかそうとしている。それが不人気なのは自民党の政治家の多くもわかっているらしいが、それを率直には認めようとはしない。
科学的な論争に負けたときにはそれを率直に認めるということを私は科学者に必要な資質と考えているが、それをもっている人はすくない。もちろんこのこととはまったく矛盾するが、一度言い出したことはそれを容易なことでは撤回しないというのも科学者に必要な資質である。
社会の識者の間では資本主義が行き過ぎたことはもう十分に認識されてきてはいるが、まだそれを認めたがらない人たちも多い。また、資本の論理はあくことなき利潤の追求であり、そのためには人がどこかで餓死をしようが、またガザで起こっているような砲撃によって一般の人が死亡することも辞さない。人はどこまでも非情なものである。