物理と数学:老人のつぶやき

物理とか数学とかに関した、気ままな話題とか日常の生活で思ったことや感じたこと、自分がおもしろく思ったことを綴る。

独創性は少数者にあり

2008-07-27 23:30:18 | 学問

昨日、インターネットの理論物理というサイトで湯川秀樹博士の出たテレビの放送の一部が出ていた。それを見ていて直接に湯川博士から聞いたことを思い出した。

「独創性をもったものはあくまで少数者である」という信念は終生、湯川博士のもち続けたものであった。物理学の研究においても流行があるが、その流行を追うことを彼はよしとはしなかった。

自分がよしとしなかったのみならず、若い学者が流行を追うことを快くは思っていなかったと思う。東大の物理の研究者に違和感を持ち続けたのはそのためでもあったろう。

東大ばかりではない。アメリカの物理のその当時の先端をきっていた物理学者のGell-Mannについてもあまり評価は高くなかったと思う。それは一つには道なきところに道をつけたいと思ってひたすら困難に立ち向かっている自分への自負心のせいかもしれない。

将来の評価はわからないが、湯川博士の後半生の仕事は実を結ばなかったし、将来に生きるとも現在のところは考えられていない。しかし、それでも自分の信じるところを貫き通すという気概はすごいものがある。天才といわれる由縁であろう。

(2024.4.8付記)湯川と呼び捨てで書いていたのだが、いくら歴史上の人物とはいえ、ちょっと私自身が偉そうに思われてもいけないので、博士と敬称をつけた。

気持として歴史上の偉大な人物と感じていることはまったく変わらないのだが。