か ら け ん


ずっと走り続けてきました。一休みしてまわりを見ます。
そしてまた走ります。

バート・マンロー The world fastest Indian

2012年12月15日 | 技術

NZ(ニュージーランド)の南島はまるでスコットランドのようだ。田舎だ。佐賀県より。寒さに耐え町から遠くはなれて農地を耕す。

しかも彼らは他人が自分の領域に入ることを極端にいやがる。彼らにとっては国家すら自らに対峙するものと考える。自分を助けてくれるものではないのだ。彼らは相当に困らないと、いや相当に困ってもPityという言葉をきわめて唾棄すべきものと考えている。

NZの南島にある老人が住んでいた。62歳。バイク好きの変人は村民からうとまれていた。気絶するようなエンジン音を立て、火事をおこし、汚い小屋は村の外観を乱す。

しかしここがNZが大人である点だ。僕はラグビーやアメリカスカップでNZと縁がある。チームプレイとなると絶妙に気が合った動作を見せる。人口わずか数百万人のNZがアメリカを打ち負かす。なかなか痛快だ。しかし今日はたった一人の老人にフォーカスを当てる。

日本と違いほっといてくれる国だ。社会福祉の国ではない。じっとしているしか能のないバカはそのまま死になさい、という国だ。

その代わり好きなことをさせてくれる。

彼は順風満帆の人生だったのではない。オーストラリアに渡るが1929年だ。世界大恐慌は彼さえも容赦しない。失意のうちにNZに帰国するしかない。子供は死ぬ。女房は出ていく。経済的に困窮する。

彼のバイク(車名インディアン)に対する情熱はいささかも色あせることはなかったが、日本の美談と違うのは彼は科学的根拠を持って事にあたったということ。やみくもにバイクを走らせてついに世界記録を出しましたというのが日本人は好きだ。頭を使わないからだ。

僕はそんなの全然興味ない。バカが痙攣おこしてバイクに乗っただけだ。

彼には科学的合金の理論とカット&トライがあった。でなければ2ストを4ストに改良できるはずない。

アメリカのボンネビルに向かい、世界記録に挑戦する大会に出た。彼はもう67歳になっていた。いいか、日本の枯れ葉マークたちよ。お前たちは映画館でごそごそ騒いで100円寿司で女房に威張ることしか知らんだろうが。生きている大脳細胞があるか。

アメリカ人ですら嘲笑する中、彼のインディアンは世界最速になった。その記録はいまだに破られていない。

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Posted at 2012/03/20

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