か ら け ん


ずっと走り続けてきました。一休みしてまわりを見ます。
そしてまた走ります。

心斎橋の悪魔へ 2

2012年06月17日 | ニュース
 
水曜日は判決公判があることが多い。僕は学生を連れてよく傍聴に行った。傍聴席と被告人席との間は、とくに危険性があるときは防弾ガラスが立てられる。あるとき、防弾ガラスもなしに僕は被告人と1メートルも離れないところで判決を聞いた。

僕は女子学生にきわどい話が出るが大丈夫かと聞いた。女子はそんなことより僕が怒って被告人とトラブルをおこすことを心配していた。

被告人が入廷する時、もう自分一人では立てない状態で刑務官が両脇から抱えていた。罪状の中心は強姦殺人だ。ほかにも余罪があった。ところがこの強姦が変わっている。70歳の女性を犯して殺している。死刑を恐れていた。

真っ青な顔になって震えていた。なかなか殊勝だ。どうせもう何も変わらないのに。判事以外の全員が死刑を予想していた。被告人から暴力と強姦と刑務所を除いたら何も残らない。これほど情状酌量の余地がない事件があろうか。またこれほど更生の可能性のない、つまり再犯性の確実な事件はあろうか。

被告人が立てないでいるのを見て裁判官は座って聞いてもいいと被告人席に座らせた。刑務官たちは捕縄(腰縄)を解き両脇にたった。

僕は悪い席に座ったなと思った。被告人が死刑判決に暴れだすことは十分に予想される。学生はおぼっちゃまだな。怯えきっている。

裁判官は判決理由を飛ばして主文から入った。判決理由は罪名が多いため長くなるのだ。

「被告人を無期懲役に処す。」

僕は後ろにいても被告人の首から頬に赤みがさしていくのが分かった。判決理由の途中で彼はうしろをふりかえった。そしてながーくにゃっと笑った。遺族と思しき人には肩をゆすって威嚇した。

『無期だとよ。生きて刑務所を出るということだ。お前らさんざん不利な証言したな。10年後はお前らを殺すぞ。』とは言わなかったが、あの蛇の笑いがそう言っていた。

僕は真後ろでこわかった。飛びかかるどころではないのに学生が僕をつかんで離さなかった。

哀れ遺族の人権。左巻きは悪を知らない。不条理を知らない。悪魔に人権を認めることはサタンに心を売り渡すことだ。

磯飛容疑者。沈黙してはならない。ケンカに勝ったら地面を舐めさせてきたろう。ほんの5分は世の王者である錯覚を抱くことができた。バイク50台をしたがえることは気持ちいい。

自分の家ほどいごごちの悪いところはなかった。人は最大の安らぎの場所たる家庭が消えたことを想像できない。磯飛。お前の安らぎは暴力と薬だったろう。ほかの選択肢は全くない。ここが大事だ。磯飛は道を誤ったか。いや一度も彼の前に分かれ道はあらわれなかった。彼はただ一本道をまっすぐに死刑台へと進んだ。もう日本の世論は薬のフラッシュバックだということを勘案する社会ではない。
Posted at 2012/06/13 00:26:22

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