か ら け ん


ずっと走り続けてきました。一休みしてまわりを見ます。
そしてまた走ります。

頭がいいとはこういうことか。  1

2013年01月30日 | 学問

ちょっと長いが九州大学もお役所だ。因縁のつかないように考えるとどうしても名前は長くなる。「精神神経疾患における病態機構・遺伝負担、発病危険因子及び発病抑制因子、治療薬反応性・副作用感受性等の解明、及び新規診断法及び予防法、新たな治療法の開発を目的としたヒトゲノム・遺伝子解析実験」

長いなあ。とにかく、そんなことをやってるところに行ってドクターからじっくり話を聞いた。僕みたいなニセモノのドクターと違い本物との会話は気が抜けない。たいてい帰りは劣等感の塊になって帰る。

あたりまえだな。努力が足りない、頭は悪いじゃどうしろというんだ。

でも少しはいいこともある。日常の些末な事柄に気をとらわれていた自分を反省するいいチャンスになる。

「鋭い質問ですねえ」とか、ほめてもらいたくて必死に考える。で、その時は分かった気分になるが、家に帰るとたいてい忘れてしまっている。

そんななかでこれだけは脳裏に刻んでおこうと思ったことがある。死なないウイルス。

Epstein-Barr virusというウイルスがアフリカの子供のガンから発見された。(1958年)エプスタインとバールはこのがん化した細胞の中からリンパ芽球を発見した。このウイルスはガンマヘルペスウイルス亜科に分類され、Bリンパ球に感染して不死化するという特徴をもっている(トランスフォーメーション)。

赤血球は壊れやすいので、白血球の中でもとくにリンパ球にこのEBウイルスをわざと感染させることを思いついた奴がいる。要するにがんは死なないウイルスだ。母体が死なない限りどこまでも増殖を続ける。EBウイルスも死なない。ならば無毒化したこのEBウイルスをあえてリンパ球に感染させた。これは血液保存の方法として現在定着している。

死なないウイルス=がんと闘う人類は、巧妙にもその死なないウイルスを利用して画期的な血液保存の方法を編み出した。

学問はすべてコロンブスの卵だ。できたあとでグダグダぬかす奴は多い。問題は、パイオニアとしていかにかかわったかである。

EBウイルスに感染し不死化したリンパは-150℃の貯蔵庫の中で永遠の生命を得た。株化されたリンパはいつでも研究者に生き生きとしたゲノムを提供する。

カネと女のために医者になったそこらの町医者よ。研究者の清貧さを学べ。

Posted at 2012/11/19

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