アルゴ / Argo

2012-11-02 | 映画






この映画は実話を元にしている。
1979年に起きたイラン革命で、イスラム過激派グループがアメリカ人大使館を占拠して50人以上の外交官が人質となった。
彼らは1981年に解放されるまで、一年以上も監禁された。
一方、イスラム過激派が大使館に乱入する直前に、密かに脱出した6人の外交官達がいた。
彼らはカナダ大使の公邸に逃げ込み一度は難を逃れるが、街中で過激派のアメリカ人狩りがはじまり、見つかるのは時間の問題だった。
彼らを救出するためにCIA局員で人質奪還のエキスパート、トニー・メンデスが立てた計画は、まるで冒険小説のような作戦だった。
それは、ハリウッドで「アルゴ」というSF大作映画をでっち上げ、撮影のロケハンと称してイランに入り、6人をカナダ人のロケハンクルーとして脱出させるという、映画界とイランを騙す壮大な計画。



髭がよかった


ベテラン、アラン・アーキンは胡散臭いが大物プロデューサー


ジョン・グッドマンは、ハリウッドの大物メーキャップアーティスト


理解のある上司にはブライアン・クランストン


彼はハリウッドの、知人である特殊メイクの権威のジョン・チャンバーズを介して、レスター・シーゲルというプロデューサーに会い、「アルゴ」の企画を進めてもらう。
偽のオーデションなどで、世間に派手に「アルゴ」を印象付け、カナダ政府が発行した偽物のパスポートを持ってトニー自らがイランに入り、ロケハンの許可を申請し、潜伏している6人に対面する。
彼が、イランに入ってから脱出までの許された時間は72時間。
その間に、CIAが作り上げた架空のカナダ人クルーに成りすますために、6人のそれぞれのキャラ、映画の仕事の詳細、カナダについて、徹底的に覚えさせなければならなかった。

イラン過激派の諜報部は、アメリカ大使館の記録と人質の数が合わないので、脱走者を血眼になって探していた。
この6人のカナダ人クルーにも疑いの目が向けられて、密かに一人ひとりの写真が撮られ、大使館から押収した書類と照合されていた。
いよいよ、脱出を翌日に控え、アメリカのCIA本部からトニー・メンデスに、軍が大使館の人質の救出に乗り出したため、作戦を中止して6人を見捨てて逃げろという命令が下った。
彼は、一晩迷った末、彼の上司に、これから作戦を遂行すると連絡をする。



ある日、上司から呼び出されて


イランは反アメリカ一色


6人は、救出作戦には懐疑的


もともと、脚本や映画の制作側で実力のあるベン・アフレックが制作、監督、主演の作品。
ジェニファー・ロペスと付き合い、仕事をおろそかにしてハリウッドでは一時干されたような彼だが、見事に復活したみたい。
僕が観た、最近の彼の作品は、ラッセル・クロウと共演した「消されたヘッドライン」、4人のアカデミー賞俳優が共演した「カンパニー・メン」、やはり監督、脚本、主演の「ザ・タウン」で、どれもいい映画だ。

この映画は、彼の映画に関する全ての才能が最大限に発揮された。
実話をもとにしているので、6人が無事イランを脱出できたのは、映画を見る前からわかっている。
それなのに、終盤のあの緊張感というか、ハラハラ感。
人生にやけを起こしていた人間が、死の恐怖と戦う6人と出会ってから3日間で信頼関係を築きあげる人間ドラマ。
CGでは表せない、ざらついたリアルな映像。
どれをとっても、脚本、制作の力がうかがわれる。もちろん彼の演技も良かった。
そして、ちょっと大きな顔を覆う髭が、いつもより彼をハンサムに見せている。

エンディングロールに、実際の人物の写真と役者の写真が流れてくるが、よくもここまで似ている、そして演技力のある人をキャストしたもんだ。
アカデミー賞の呼び声が高い作品。
星は、/5



処刑されてしまうのか


この人は、最後まで作戦の成功を疑っていたが


顔写真が照合されてしまった


飛行機に乗り込んでからもまだハラハラが続く


トリビア
1970年代の雰囲気を出すために、ベン・アフレックは撮影に普通のフィルムを使い、フレームを半分にした後200%引き伸ばしてザラザラ感を出した。


  


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