ウインド・リバー(原題) / Wind River

2017-08-26 | 映画






オフィシャルサイト


ネイティブアメリカンの保留地で起きたレイプ殺人のスリラードラマ
最後の追跡」、「ボーダーライン」とかなりハードなドラマの脚本を書いたテイラー・シェリダンの監督第二作目。 主演は「ハート・ロッカー」のジェレミー・レナー、共演にオルセン姉妹の妹エリザベス・オルセン。それに「最後の追跡」にも出ていたギル・バーミンガム。

合衆国魚類野生生物局の職員でプロのハンターのコリー・ランバートは、別れた妻がネイティブアメリカンだった事もあり、ワイオミング州ウィンド・リバー保留地で動物の保護する仕事をしている。
雪に閉ざされた高原で、いつもの様にパトロールをしていると、彼の親友マーティンの娘ナタリーの凍死死体を発見する。
ナタリーは、とても薄着で、しかも裸足だった。
雪の上には彼女の足跡しかなく、一番近くの家からも10キロ近く離れた奥深い場所での謎の死だった。
すぐにFBIに捜査を依頼するが、送られてきたのは、ワイオミングの気候の厳しさも、ネイティブアメリカン社会の複雑さも分からない、薄いFBIジャケットをまとったジェーン・バナー捜査官ひとりだった。
解剖の結果、ナタリーは暴行とレイプされた後があったが、死因は体温が下がった状態で冷気を大量に吸い込んだ為の肺出血だった。
ジェーンは、不慣れな場所の捜査を進めるため、コリーに捜査のサポートを依頼する。
捜査をはじめると、麻薬売人の家で一緒に逮捕した、ナタリーの兄のチップから、ナタリーは石油掘削所の警備員のマット・レイボーンという男と付き合っていたという証言を得た。
保留区の警察署長でコリーの友人のベンが6人の全警官を招集し、ジェーンと共に石油掘削所に向かう。
コリーは、別行動で犯人が残した可能性のある、雪の上に残った轍を、スノーモービルで辿るが、それは一山超えてやはり、石油掘削所に延びていた。 

日本人には全く未知の世界だが、メキシコ人、黒人差別以上に、アメリカ(白人)が虐げ、殺戮、虐殺してきたネイティブアメリカンは、今も強烈であからさまな差別を受けている。
ニューヨークタイムスによると、この保留地の平均寿命は49歳、失業率80%
また、毎年ネイティブアメリカンの女性が行方不明になる数は全米平均を大きく上回るそうだ。
レイプ被害の数は全米平均の4倍、また殺された件数は10倍。
その上、保留地はアメリカ連邦管轄のため、そこで起きるネイティブアメリカン以外の人間の性犯罪は、その州の州法では裁けられず、結局起訴もされない。
逆に、ネイティブアメリカンがネイティブアメリカン以外の人間に対して性犯罪を起こすと、連邦法とその部族警察の両方から裁かれることになる。
アメリカの法制度自体が立派な差別を作っている。
実際に撮影中のテイラー・シェリダンを訪ねたウィンド・リバーのショショーニ族の酋長は、今も若い女性の12件の殺人が未解決のままだと伝えた。全人口6000人の土地でだ。

ジェレミー・レナーの演技は最高だった。「ハート・ロッカー」を超えた。
昔、娘を失い、それが原因で家族とも別れ、保留地の自然の中で、淡々と生きるプロのハンター。
親友の娘が暴行をされた挙句、寒い雪の中で死んだのに、検視では犯人は殺人犯にもなっていない。
また、暴行の起訴さえも出来ないかもしれない。
その不条理に、犯人に対して、彼の方法で罪を負わせる。
エリザベス・オルセンは、最初は未知の土地と環境に戸惑う頼りなげな捜査官だが、保留地で起きている現実に心を痛め、犯人を追いかける健気な捜査官が彼女にピッタリだった。
終盤は果敢に犯人と対峙する、体を張った演技もよかった。
また、コリーを信頼して捜査をすすめる警察署長のベン役のグラハム・グリーンが渋い。
娘を失っても気丈に振舞うが、親友の前に泣き崩れるギル・バーミンガムもとってもよかった。
ギル・バーミンガムとジェレミー・レナーの絡みが、この作品の一つの見どころでもあった。
ストーリーは、中盤までは犯人捜しと、ネイティブアメリカンの社会を語ったドラマが続くが、終盤でいきなり壮絶アクションシーンになる。
そして最後に、また静かな山頂で事件が終わる。
ある意味、ウィンド・リバーという土地が、主人公の作品。
間違いなく今年のトップ3に入る作品。 



85%



おそらく今までで一番の演技を見せてくれたジェレミー・レナー


ひたむきに捜査をすすめるFBIエージェントを演じたエリザベス・オルセン


「最後の追跡」に次いで印象的な演技を見せてくれたギル・バーミンガム


この人が渋い


被害者の少女を演じたのは、中国系のケルシー・チョウ


舞台はワイオミング州のウィンド・リバー、ネイティブアメリカン保留地


雪の上を裸足で逃げる少女


遺体として発見される


捜査中にいきなり催涙スプレーを噴射する麻薬の売人


石油掘削所には多くの警備員が


終盤の衝撃シーン








遠くから犯人を狙う


犯人はこいつ

コリーは、犯人に逃げるオプションを与える



エリザベス・オルセンのジミー・キンメルショーのインタビュー
撮影中、雪目になったらしい


ジェレミー・レナーのモーニングショーのインタビュー
夏に撮影で腕を骨折した話
27の家をリフォームした話
ウィンド・リバーのスノーモービルの話



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