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バットマン「ダークナイト」シリーズや「インセプション」、「インターステラー」のクリストファー・ノーラン監督の2017年一番の話題作。
イギリスでは「ダンケルク スピリット」と言う言葉にもなっている第二次世界大戦に、大きな影響を与えた実際のエピソード。
戦地で恐怖と戦いながら必死に生きようとする二等兵の主人公トニーを演じるのは、まだ無名のイギリス人俳優のフィン・ホワイトヘッド。
周りを固めるのは、「マッドマックス 怒りのデス・ロード」、「レヴェナント: 蘇えりし者」のトム・ハーディ、僕の好きな役者。
スピルバーグ監督の「ブリッジ・オブ・スパイ」で2016年の助演男優賞を総取りしたマーク・ライランス。
「パニック・フライト」の犯人役が印象的だったキリアン・マーフィー。
見るからにイギリス紳士、サーの称号をもつケネス・ブラナー。
トム・ハーディとキリアン・マーフィーは「ダークナイト ライジング」と「インセプション」でもノーラン監督と仕事をしている、監督お気に入りの役者のようだ。
1940年、第二次世界大戦の初期、イギリスとフランス連合軍の兵士40万人が、侵攻して来たドイツ軍によってフランス北部の海辺の街ダンケルクまで追い詰められ包囲されていた。
この街は、ドーバー海峡をはさんで、イギリスのドーバーまで70キロ。
イギリスから軍艦が救出に向かうが、ドイツ軍は空からの攻撃でこれを阻止しようとした。
当時、まだ大統領になったばかりのチャーチルの指令もあって、民間の漁船、ヨット、商業ボートの船員達も、40万人の兵士救出の為にダンケルクに向かう。
空からはイギリスの空軍が、ドイツ戦闘機とドッグファイトを繰り広げていた。
もう、だただた凄い作品。
この作品の特徴は、セリフが極端に少ない、それぞれのキャラクターの設定説明がない、戦争映画なのに敵の姿が出てこない、そして恐怖たっぷりの戦闘シーンなのに血が一滴も出てこない。
その「ない」事ばかりなのは、映画の原点である映像と、俳優の演技と、音響を最大に活かすためだと思う。
最初の市街地での銃撃戦のシーンから、一気に映画の中に連れて行かれる。
監督は、観客に、この作品を俯瞰で見させない。
兵士たちが逃げ惑う海岸、桟橋、船の甲板や、船底の狭い空間に、常に自分がいる感覚になる。
その臨場感が半端ない。
この作品は、三つのシチュエーションから成っている。
ドイツ軍空爆に恐怖し、逃げ惑う40万人の兵士達の海岸でのストーリー
自国とフランスの兵士を助けるため、立ち上がる名もない海の男たちの航海のストーリー
ドイツ軍機とドッグファイトするパイロットの空のストーリー
この三つのストーリーが、上手いこと切り替わっていくのも、監督と脚本の上手さ。
浜辺では、二等兵のトニーが何とか、戦闘機の銃撃に怯え、救助船の船が空爆され火の海に放り出され、死に物狂いで生きようとする。
マーク・ライランス演じる愛国心溢れるヨットの船長は、船上の不幸な事故にも怯まず、救助を待つダンケルクに船を進める。
イギリス空軍のパイロット役トム・ハーディは、帰還するための燃料がなくなるのを覚悟で、船の上でドイツ機の危険にさらされる何百という兵士を救う。
彼は、セリフが少ないどころか、目以外は顔の露出もほとんどない。ただ、その眼の演技が凄い。
この作品は間違いなく今のところ2017年トップ。
アカデミー賞にも、必ず賞に絡んでくるだろう。
トム・ハーディとマーク・ライランスのどちらが助演男優賞候補になるか。
作品賞、監督賞にも、今のところ一番近い作品。
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93%
ノーラン監督は、このフィン・ホワイトヘッドをはじめ、無名の若者達を多く起用した
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トム・ハーディの数少ない目以外が出ている場面
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トム・ハーディの眼の演技も凄かった
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どこにでもいるおじさん風なのに、作中の存在感が凄いマーク・ライランス
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いかにもシェイクスピア俳優のケネス・ブラナー
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CG一切なし、本物の飛行機を使った空中戦シーン
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兵士はドイツ機の格好の的にされる
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本来攻撃の的にならない赤十字をつけ、怪我人を乗せた船も爆撃される
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小さな民間船が、イギリスから救助に駆け付ける
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トリビア
クリストファー・ノーラン監督は、当時の民間船の経験をするために、彼の妻と友人と実際にイギリスからダンケルクまで船で渡った。天候の関係で19時間かかった。
マーク・ライランス演じるドーソンは、ライト―ラーという当時66歳で実際に救助に行った人物。
クリストファー・ノーランとマーク・ライランスのTODAYショーのビデオ
クリストファー・ノーランは、ダンケルクのストーリーと育ったと語ってる。イギリス人のカルチャーだと。
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