ランキングに参加してます。 クリックお願いします。
この作品で、2010年アカデミー賞主演男優賞を初受賞したジェフ・ブリッジス。
過去に4度ノミネートとされ、最初のノミネートは1971年の「ラスト・ショー」だそうだから、実に39年の待ちに待った受賞だった。
本当にアル中ではないかと思える自然な演技で、長く待ったアカデミー賞受賞も納得。
僕は、彼の作品には縁がなく「アイアンマン」の禿頭の悪役が印象的だ。
と思ったら、1980年代にテキサスに暮らしている頃に観た、当時初めて本格的にCGを取り入れた「トロン」の主役だった。
今年、その「トロン」が新作として上映されるのが楽しみだ。
相手役は、「ダークナイト」のヒロイン役で、ルックスより演技力が売りのマギー・ジレンホール。
しっかりしたシングルマザーだが、飲んだくれの落ちぶれたカントリー・シンガーに惹かれる母性愛豊かな女性を演じている。
そして、目立った役ではないがコリン・ファレルがアクションとマッチョ姿を封印して、昔の先輩をいつまでも尊敬する若きカントリースターを演じている。
やはり去年のミッキー・ロークの「レスラー」とダブってしまう。
どちらの主人公も、過去に素晴らしい栄光と実績がありながら、時代に取り残されてうらぶれたドサ回りの生活を送っている。
「レスラー」とこの作品の共通点は、過去に栄光を持つ男、今はその日暮らし、自分の仕事に誇りを持っている、本名を超えた愛着のあるニックネームがある、家族をないがしろにした我侭な私生活、体がボロボロ、シングルマザーとの愛、といったところか。
主人公のバッドは、田舎町のバーを転々とするドサ回りのカントリー・シンガー。
かつては人気のある彼も、時代に取り残され、過去の我侭な私生活のつけで家族もなく、酒に浸る毎日。今では演奏の直前まで酒を飲み、演奏中に席を外し裏の駐車場に吐きに出るほどだ。
そんな破滅的な男に惹かれていく、地方誌の記者のジーン。
彼女の母性本能の強さが、どうしようもないバッドに惹かれていく要因だと思うが、その過程の描き方がちょっと弱いように思う。
お互いに自分にないものに惹かれた2人は、その距離を縮めようとするが...
やはりこの作品は2人の演技、特にジェフ・ブリッジスに負うところが多い。
彼は、どこから見ても立派なアル中だし、ああいうカントリー・シンガー絶対にいると思わせる。彼の歌もとても上手いし、心にしみわたる。
そして愛した人のために変わろうと思っても、やはり自分が出てしまう。
子供なんて育てたことがないのに、彼女のために無理をしてボロを出す。
女は男には惹かれながら、家族、生活を考えた時、自分と違う世界にいる男と人生を共有する事をためらってしまう。
淡々として、切なくて、心に響く作品。
クレイジー・ハート - goo 映画
トリビア
たった24日間で撮影された。
バッドは、スティーヴン・ブルートン、クリス・クリストファーソン、ジョン・グッドウィンの3人のカントリー・シンガーがモデルになっている。
テーマソング