ワルキューレ/Valkyrie

2009-04-05 | 映画
今回は、トム・クルーズ主演、ヒットラーの暗殺を描いた実話「ワルキューレ/Valkyrie

ネタばれの部分は反転してますので、ご安心を




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反乱組織の首謀者・シュタウフェンベルク大佐(トム・クルーズ)はこの作戦を利用して、ヒトラー独裁政権の崩壊を目論んでいた。様々な思惑が交錯し、40回もの暗殺計画を潜り抜けてきた厳重な警戒に守られた独裁者を倒すことが出来るのか...(CinemaCafe.netより)

     
     チャップリンではありません。

     
     この顔をいかして「イエスマン」や「ゲット スマート」で笑いをとっていた人。

最近、一時の奇行も影を潜めたトム・クルーズが、結構意外な作品を出してきた。
ヒットラーを扱ったサスペンスとは言え、実話だし、結末もすでに知られているので、演技、脚本、演出の腕が試される作品だ。

前作は、「トロピック・サンダー 史上最低の作戦」という、トコトン真剣にふざけたコメディーの脇役で、しかも禿げ、デブ、チビで性格の悪いディレクターをほとんどぬいぐるみを着たような状態で演じていた役もインパクトがあったが、今作は直球勝負だ。

     
     軍人というよりは政治家

     
     こちらは、真の軍人

第2次世界大戦末期のドイツ、迷走する独裁者ヒットラーに反対する兵士たちが、密かに暗殺計画を立てていた。

ここからネタばれ反転
その暗殺の実行者に選ばれたのが、トム・クルーズ演じる、クラウス・フォン・シュタウフェンベルク大佐だった。

計画は、大佐が、ヒットラーも出席する定例の作戦会議に、硫酸を用いた10分間の時限装置を施したプラスチック爆弾をしかけ、時間を見計らって会議室から抜け出すというものだった。
幾度か機会を逃したが、いよいよその時がきた。
大佐は、爆弾の入った鞄を、なるべくヒットラーに近い位置のテーブルの下において、仲間がかけて来た電話に呼び出されて、会議室を抜け出す。

建物を少し離れたところで、会議室が爆発する。
しかし、その少し前に会議室では、邪魔になった鞄がヒットラーの近くから部屋の隅に片付けられて、ヒットラーに対して致命傷となる傷を負わすことは出来なかった。

大佐は、その出来事を知らずにベルリンに向かい、計画の第二段の本来は反乱軍を制圧する非常事態を想定した「ヴァルキューレ」作戦を、発令させた。
制圧部隊が、ベルリンの各所に配置され、作戦は順調に進んでいるかに見えたが、その時ラジオから、ヒットラーに無事が発表され、暗殺は失敗したと放送された。
そして、治安部隊は大佐らが作戦本部にしていた建物になだれ込んできた。

ここまで

     
     作戦失敗

     
     石畳が雰囲気出してるね

     
     立ち位置オーケー

結果が分かっていても、ハラハラさせられた。
シャツを替えると偽って爆弾をセットする場面、暗殺を終えて検問を通過する場面、そして指令本部の中で刻々を状況が変わっていく場面等、イライラ、ドキドキのシーンがいいタイミングで盛り込まれている。
そのアクションとは別に、人間描写も丁寧に描かれている。
トムが演じる大佐は、強い愛国心を持つ軍人だが、ヒットラーの非道なやり方に憤りを感じている。
だが、軍人だからか国のためには、命も惜しまず戦う抜く覚悟は出来ている。
そんな彼の考え方に賛同する多くの部下や上司たち。
それとは別に、どっちつかずで暗殺が上手くいったらその尻馬に乗ろうとする、大ベテラン俳優のトム・ウィルキンソン演じるフロム将軍。この人の役は、日本のかなりの政治家は好演出来ると思う。
こうしてみると、脇役人が豪華だ。
通信部隊の司令官で、作戦に加わることを悩むエディ・イザード。
最近は、強面の顔でコミカルな役も演じる、この作戦の総司令官テレンス・スタンプ。
少し頼りなさげで、ワンキューレ作戦を発令するビル・ナイ。
この人は「パイレーツ・オブ・カリビアン」のデイヴィ・ジョーンズ役のCG顔しか知らなかったので、今回は、初めて素顔の演技が見れた。

こういうベテラン俳優たちの熟年の静の演技と、なんだかんだ言ってもハリウッドスターとしてのオーラを放つトム・クルーズの動が上手く重なり合っていた。
そして、とても短い時間だが、ヒットラーを演じた無名のデビット・バンバーのその憎たらし悪役の演技も良かった。

いつになったら、日本での第2次世界大戦の裏側を描いた作品が出来るのやら。


     
     ちょっと痩せて老けたかな

     
     何でうちの娘と同じポーズを。

     
     隣の女性は、ベラ?

トリビア
ドイツではシュタウフェンベルク大佐は反ナチ運動の英雄であり、敬虔なカトリック信者として知られていた。そのためサイエントロジーの信者であり、広告塔と見られているトム・クルーズが大佐の役を演じることには強い反発があった。

ドイツの政治家も不快感を示し、シュタウフェンベルクの息子であるベルトルトも「クルーズ氏が演じると聞いた時には宣伝のための冗談と思っていた。彼が演じたら台無しになる。父とは関わらないでほしい。」と拒絶感をあらわにした。

これはドイツ版なのかな?