ゲストのむろさんさんから教えていただいた「美術手帳」のインタビュー記事がとても興味深い。(深謝!!>むろさんさん)
「なぜ日本初のアルチンボルド展は実現したのか? 担当学芸員にその舞台裏を聞く」
https://bijutsutecho.com/interview/6176/
今回の「アルチンボルド展」を含め、イタリア美術の展覧会の舞台裏を知ることのできる貴重なインタヴューである。イタリア美術展における企画者側の熱意とご苦労が率直に伝わってくる。
ちなみに、記事を読みながら、今回の「アルチンボルド展」が2011年のミラノ展と同じくシルヴィア・フェリーノ=パグデン女史が監修者になったのは良かったなぁ、と素直に思う。 ミラノ展の視点がそのまま今回の展覧会にも反映されていたように思えたのだ。
で、少々意外だったのは、企画側ではアルチンボルドが日本ではマイナーという認識を持たれていたようで(私的にはメジャー画家だったけど)...
>展示室に入る前に「アルチンボルドメーカー」がありますよね。あれも広く美術ファン以外の方にも来ていただこうと。
なるほど...で、私も撮っちゃいましたし(^^; 似ていませんが(笑)
>日本では2000年代以前、イタリア美術の展覧会はほぼやらなかった(できなかった)
1989年の国立西洋美術館・京都国立近代美術館「ヴァチカン美術館 特別展」で、古代からバロックまでのイタリア美術が展示されたはずだが、ヴァティカン絡みだからきっと例外だったのだろうね。 当時、残念ながら観てはいないが、カラヴァッジョ《キリストの埋葬》まで来日しているのだから凄い。
図録。メロッツォ・ダ・フォルリ《楽奏天使》まで来日している。
ということで、イタリアの美術館の財政難に乗じて(汗)、これからもより良質の展覧会を多数、ぜひ企画して頂きたいものである。
1981年京都と東京で行われたイタリア・ルネッサンス美術展が体系的なものとしては
早いでしょうし、贅沢過ぎるぐらいのラインアップです。出品目録があります。
http://www.momak.go.jp/Japanese/exhibitionArchive/1980/148.html
京都国立近代美術館で観ましたが、ここでポントルモの良さに開眼し、大きなポスターを買い、
フィレンチェのサンタ=フェリーチェに何度も通いました。
1981年以降のイタリア・ルネッサンスの作品が出品された展覧会で、私が見に行ったものでは
1987年 西洋美術館「西洋の美術 その空間表現の流れ」(マンテーニャ:ブレラの死せるキリスト、カラヴァッジョ:ピッティの眠るキューピッド、フェルメール:ワシントンNGの手紙を書く婦人など)
1989年 西洋美術館「ヴァチカン美術館特別展」
1991年 京都国立近代美術館、世田谷美術館他「フィレンツェ ルネサンス芸術と修復展」(フィリッポ・リッピやボッティチェリなど)
の3件が大きなものです。
<2000年代以前、イタリア美術の展覧会はほぼやらなかった>という言葉の真意は「芸術家個人の展覧会は開けなかった」という意味だと思います。
5年前ぐらいまでは、新宿の損保ジャパンで開かれたペルジーノ展とか目黒・岡崎で開かれたカラヴァッジョ・光と影の巨匠展など、芸術家個人を対象にしていても比較的小規模の展覧会だったものが、最近はラファエロ展、ボッティチェリ展、カラヴァッジョ展、クラーナハ展、グエルチーノ展、アルチンボルド展などかなり規模の大きなものが開催されるようになってきました。いい時代になったと思います。
特にポントルモのあのフレスコ画が来日したとは驚きでした(@_@)。 よく運べたものだとも...。
《受胎告知》を作品としてご覧になったとは羨ましい限りです。サンタ・フェリチタでご覧になるのとは一味違ったのではないでしょうか?
むろさんさんもこの展覧会でポントルモ好きになられたようですね(笑)。もしかして、日本人のサンタ・フェリチタ詣出が増えたのではないかと...(^^;
で、むろさんさんが挙げられた展覧会リストを拝見すると、細々でもイタリア美術の展覧会はあったようですね。特にマンテーニャやカラヴァッジョは驚きでした(・・;)
なにしろ、恥ずかしながら私が絵画の面白さに目覚めたのは1987年ですし、当時は東京に展覧会を見に行くこともなかったのですよ(^^;;
>「芸術家個人の展覧会は開けなかった」という意味だと思います
なるほどです!! 確かに近年は見ごたえのある展覧会が増えてきましたね。特に西美にはディープな展覧会をこれからも期待したいです(^^ゞ
「ディープな展覧会」ということでは、新宿損保ジャパン東郷青児美術館の初期ルネサンス関係の展覧会とか渋谷BUNKAMURAのラファエル前派関係の展覧会などが「ディープで良かった」と思っています。特に損保ジャパンの2005年「プラート美術の至宝展」、2007年「ペルジーノ展」、2008年「ジョットとその遺産展」の3回は東大の小佐野先生のお力で開催できた美術展だと思いますが、まさに私の希望にピッタリの内容でした。最近は初期ルネサンスよりもバロックや北方ルネサンスの方が人気なのか、もうこういう展覧会は期待できないでしょう。クリヴェッリ展などやってくれたらいいのですが。
ついでに、過去来日したカラヴァッジョ作品を書いておきます。(私が調べたのではありません。受け売りです。)
1966年 東博 フランスを中心とする17世紀ヨーロッパ名画展:ルーブル アロフ・ド・ヴィニャクールの肖像
1987年 西美 西洋の美術展:ピッティ 眠るキューピッド
1989年 西美・京都近美 ヴァチカン美術館特別展:ヴァチカン絵画館 キリストの埋葬
同年 BUNKAMURA他 デトロイト美術館展:デトロイト美術館 マグダラのマリアの回心
2001年 目黒 庭園美術館、岡崎市美 カラヴァッジョ 光と影の巨匠展:カラヴァッジョ作品8点
2002年 芸大美術館他 ウィーン美術史美術館展:ウィーン美術史美術館 荊冠のキリスト
2009年 都美・京都近美 ボルゲーゼ美術館展:ボルゲーゼ美術館 洗礼者ヨハネ
2016年 西美 カラヴァッジョ展
で、むろさんさんは展覧会の予習・復習勉強をしっかりされているのが素晴らしいですね!!快慶と運慶の勉強は実は嬉しい勉強なのでは?(笑) 私は予備知識無しで観ることが多いので、反省多々です...(..)
プラート展とかペルジーノ展とか、懐かしいですね。やはり企画側の、日本でメジャーでない画家や都市を紹介したい、という熱意が感じられました。昨今のバロックも北方絵画にも、日本人受けの良いルネサンスや印象派以外の作品も紹介したいという心意気を感じます。
で、過去来日のカラヴァッジョ作品リスト、ありがとうございます!!!
デトロイト作品来日は知っていたのですが、ピッティやルーヴルからも来日していたのですねぇ(・・;)
2000年以降は確かに良い時代になったのだと思いますね。