花耀亭日記

何でもありの気まぐれ日記

《ファルネーゼのヘラクレス》設置場所の謎(^^;

2019-08-21 00:05:31 | 展覧会

最近、やはり西洋美術はギリシア・ローマ美術から勉強しなければいけないと反省し(古典古代は苦手)、「西洋美術の歴史1-古代」(中央公論社)を読み始めた。いやぁ、勉強になること多々で、ルネサンス美術を知るにはギリシア・ローマ美術を知らなければならないことが良~くわかった。今更ながら大反省💦

さて、16世紀にローマのカラカラ浴場跡から発掘された《ファルネーゼのヘラクレス》は、リシュッポスのオリジナル《休息するヘラクレス》(前320年頃)を、ローマ時代(後3世紀)に大きくコピーしたもので、ファルネーゼ家のコレクションに入り、現在はナポリ国立博物館に所蔵されている。

 

グリュコン《ファルネーゼのヘラクレス》(後3世紀)ナポリ国立考古学博物館

ちなみに、古代ローマ人は左右対称好きなので、カラカラ浴場からは1対(2体)出土しており、現在、別のもう1体はナポリのガゼルタ宮に所蔵されている。当時は壊れた状態で出土したらしい。

https://www.alamy.com/stock-photo/hercules-statue-reggia-di-caserta.html

私が2011年2月にローマで「Palazzo Farnese」展を観た時、《ファルネーゼのヘラクレス》は1階(2階)「ヘラクレスの間」入口右側に展示されていた。

https://blog.goo.ne.jp/kal1123/e/f3de6a9fff61dcb04dc60038b6d2c501

「ヘラクレスの間」と言うくらいだから、当時もそこに展示されていたと思っていたのだが、何と!1590年代には地上階(1階)の「coltile(中庭)」に面した列柱回廊のロッジア部分にあったようなのだ。実はそれを知ったのが、なんとまぁ!アンニバレ・カラッチの素描なのだった

https://sammlung.staedelmuseum.de/en/work/rueckenansicht-des-herkules-farnese-im-hof-des-palazzo-farne

多分、アンニバレがボローニャ派の画家たちを率いて、カラッチ・ギャラリーの天井画を描いていた頃の素描だと思うが、仕事の合間に描いたのだろうか?などと想像するのも楽しい。いや、もしかして、仕事への支払いの悪いファルネーゼ家への不満を素描で紛らわせていたり?(妄想

で、アンニバレが描いた当時の設置場所を確認すべくネットで探してみたら...下記の画像を見つけた。空間や像の大きさが想像され、大体の雰囲気がわかるような気がした。

https://www.flickr.com/photos/dealvariis/3588801724/

ううむ...もしかして写真撮影した右隣の開口部アーチ(ロッジア)下あたりに設置されていたのではないかと想像するのだが、どうなのだろうか???

ちなみに、下記↓の版画は1560年頃の作品で、パラッツォ自体の様子が現在となにやら違うのだよね

 
(ヘラクレスの2つの像の詳細。 左側のものは、現在ルーヴル美術館のコレクションにある古典的な彫像に似ており、右側のものは、いわゆるファルネーゼのヘラクレスとして認識されています)
 
でもやはり、よくわからないなぁ 。それならば「Palazzo Farnese」展の動画があるかも!と調べたら...あったのだ!!
 

動画の解説によると(フランス語解説にイタリア語の字幕!)、建物のロッジア開口部分をミケランジェロが閉じてしまったようだ私の誤訳です💦

ちなみに、参考としてパラッツォ・ファルネーゼの平面図を...

http://architetturaquattrocentocinquecento.blogspot.com/2012/02/palazzo-farnese-roma-prima-fase-1514.html

ううむ...それでも美術ド素人&横文字苦手の私には疑問は残るのだ。すると《ファルネーゼのヘラクレス》は、ある時期にパラッツォ内で設置場所の移動があったのだろうか??? なかったのだろうか???



最新の画像もっと見る

8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
momoさん (花耀亭)
2019-09-05 00:54:07
こちらこそ、ありがとうございました!!
毎日、DVDを楽しみに見ているのですよ(*^^*)。「カルロス」ももう数回で終わるのが寂しいですが、他作品もありますものね♪
で、サンジョヴェーゼの由来を初めて知りました。さすがワイン好きにmomoさん(^_-)-☆
ローマはギリシアを軍事的に征服したけれど、文化的にはギリシアがローマを征服するほど高く、ローマの神様もギリシアの神様に倣え状態だったようで(^^;
私もギリシア・ローマ神話苦手だったので、ちゃんとお勉強ししなくちゃと反省中です。『聖闘士星矢』、お勉強の参考になります?(笑)
返信する
Unknown (momo)
2019-09-04 01:27:59
花さま、先日はありがとうございました😊

2月くらいに、イタリアワインのブドウの品種にサンジョヴェーゼの直訳が「ジュピター(=ローマ神話の主神)の血」だと、あるワインの読み物に遭遇しまして。
ジュピター?ローマ神話?
ジュピターはユピテルで、ゼウスじゃん…なんて考えて、ギリシャ神話は知ってるけどローマ神話って?と、頭が混乱(笑)
ローマ神話に関する情報ってあまりなく、登場したのが、お得意の「マンガでわかる」シリーズ。
ギリシャ神話とローマ神話の関係が、ここでわかる(^_^;)

そして、花さまのブログを読んで、なんかやっと腑に落ちました。
ギリシャ・ローマ美術はギリシャ神話(ローマ神話)を知らないとっっ
『聖闘士星矢』読みたくなりました(笑)
返信する
山科さん (花耀亭)
2019-09-02 00:44:08
貴重なご指摘ありがとうございます(^^ゞ
北方ルネサンスに近年目覚めた私には、なるほど!と勉強になりましたです。

返信する
正誤表 (山科)
2019-09-01 04:41:28
西洋美術の歴史-ルネサンスⅡ-北方の覚醒、自意識と自然表現』(中央公論新社)
http://www.chuko.co.jp/zenshu/2017/04/403595.html

については、

メムリンク伝説のルーツ
http://reijiyamashina.sblo.jp/article/186146805.html

正誤表
http://reijiyamashina.sblo.jp/article/186105173.html

という、2,3の訂正コメントはあげておきました。しかし、この古色蒼然とした伝説をよく書いたものだとおもいます。普通疑うだろ。
返信する
山科さん (花耀亭)
2019-09-01 01:08:27
まぁ、人間には間違いがあるもので、私なんか多々ありますし(汗)、研究者の皆さんも諸説色々だと思いますしね(^^;
美術ド素人の私には「西洋美術の歴史」は有難い勉強本であり、新知見と視野の広さが魅力の優れたシリーズだと思います。
で、カラヴァッジョは、はい、宮下先生ですから(^^ゞ
返信する
間違いもある (山科)
2019-08-31 06:09:57
西洋美術の歴史-ルネサンスⅡ-北方の覚醒、自意識と自然表現』
では、
2019年06月02日
尽く書を信ずれば則ち書無きに如かず
(URL)
で, 呆れましたので、このシリーズ必ずしも信用していないのですが、まあ最新の情報, 結構多いんじゃないかな?と推察してます。

カラヴァッジョの記述は、あの人が書いてるから,メムリンクみたいに呆れられることはないのでしょうが。。

返信する
山科さん (花耀亭)
2019-08-31 02:18:57
古代苦手の私には「西洋美術の歴史1」は確かに論文調で難しかったです(^^ゞ。でも、最近の研究動向が盛り込まれ、今までの自分の知見が覆る驚きと面白さがあり、とても読み応えがありました。
で、山科さんご推薦の「ギリシアの美術」 (岩波新書)もぜひ読んでみたいと思います(^^)
返信する
古代ギリシャ (山科)
2019-08-30 10:24:13
古代ギリシャ彫刻については、薄い古い本ながら情熱あふれるものがあります。
西洋美術の歴史って、なんか論文みたいで難しくないですか??

ギリシアの美術 (岩波新書) 新書 – 1964/4/30

澤柳 大五郎 (著)

ローマ美術に関するよいものがないのは残念。。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。