花耀亭日記

何でもありの気まぐれ日記

ティッセン=ボルネミッサ美術館「カラヴァッジョと北方の画家たち展」感想(2)

2016-09-17 00:58:09 | 展覧会

1) ローマのカラヴァッジョ(その1)

会場に入ると正面には《聖カテリーナ》が見える。しかし、オープニングは左側の第一室から始まる。

作品は下記の通りだ。制作年を入れていないのは、最新研究によるとカラヴァッジョのローマ到着年が1595-96年頃になるようで(国立西洋美術館「カラヴァッジョ展」図録参照)、初期作品の制作年に関しては今後の定説を待ちたいと思う。

・カラヴァッジョ《トカゲに噛まれた少年》ロベルト・ロンギ財団

・カラヴァッジョ(模作)《果物の皮をむく少年》クイーンズ・ギャラリー

・カラヴァッジョ《音楽》(1595年)メトロポリタン美術館

・カラヴァッジョ《女占い師》(1597年)カピトリーノ絵画館

 《トカゲに噛まれた少年》と《女占い師》は国立西洋美術館「カラヴァッジョ展」で観たばかりなので、やはり久々の《音楽》に目が行ってしまう。特にリュートを弾く少年の潤んだ瞳は絶品であり、歌うような口元から微かにのぞく舌が色っぽい。それと、こちらを見る画家自身の自画像もね(笑)。接近して見ると、左下の葡萄の房や葉の写実描写はさすがであり、静物画を得意とする画家の実力誇示というところだろうか?

で、いつも思うのだが、《音楽》の後ろ向きの少年とフェルメール《ディアーナとニンフたち》の後ろ向きのニンフがよく似ている。両者とも群像を描いた作品と言うのも共通する。まぁ、多分に美術ド素人の思い過ごしかもしれないけれどね(^^ゞ

 ちなみに、今回の展覧会は時間入場制になっているので、並んでいる観客は時間が来ると会場に一挙に入場することになる。しかし、オープニングの第1室は手狭であり、混雑してかなり見難かった。小ぶりサイズの初期作品群に合わせたものだろうが、作品間の間隔の狭さに伴う展示室空間の狭さは、他の展覧会でも往々にして見られる。観客の流れを主催者側は考慮できないのだろうか? 特に小作品や緻密描写が売りの作品は子細に観ようとする人々が群がりやすく、広い間隔が必要なのだ。そこのところ考えてくださいな!!>各美術館さま

ということで、続く...。



最新の画像もっと見る

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (山科)
2016-09-18 12:02:20
 当方はカラヴァッジョは、それほど愛好しているわけではありませんので、あまり知識はありません。メトロポリタン美術館の「音楽」は、CDのジャケットにも採用されていて、魅力的な絵だと思ってました。ただ、1967年 DELLA CHIEZAのカタログだと「真偽不明」となってたんですが、最近は良い物ということになっているんでしょう。
 文献上はこれとカピトリーノの「女占い師」は同じデルモンテ枢機卿コレクションから出たものだと推定されてるみたいです。

返信する
山科さん (花耀亭)
2016-09-19 00:32:04
こんばんは。
カラヴァッジョはCDジャケットに意外に使われていますよね♪ ちなみに、山科さんのCDは何の曲だったのでしょうか?
で、《音楽》はミア・チノッティ『カラヴァッジオ』(岩波書店)(Mia Cinotti "CARAVAGGIO - la vita e l'opera" ,1991)では真作になっています。日本の研究者たちも真作として扱っています。
ちなみに、ティッセン=ボルネミッサ《聖女カテリナ》やキンベル美術館《いかさま師》も枢機卿から出ているようです。でも、今回の展覧会ではパトロンとしてジュスティニアーニ兄弟にスポットが当たっていました。
返信する
絵も忙しい… (momo)
2016-09-19 01:23:22
日本で展覧会が終わってすぐにスペインへ飛んだんですかね…≪トカゲに噛まれた少年≫と≪女占い師≫。
忙しいですね(笑)去年、ピッティ宮に行ったときもそう言えば出張中でした…カラヴァッジョ。

カラヴァッジョあるところ花さまあり!
花さまもお忙しい…( ・∇・)
返信する
CDとカラヴァッジオ (山科)
2016-09-19 07:51:03
URLにおいた
Sigismondo d'India (ca. 1582-1629)
のマドリガル集です。

 安かったのでジャケット買いしたのですが、あまり曲は好きなほうではなかったなあ。
  時代はカラヴァッジオとほぼ同時代ですので、ジャケット絵としてはマッチしています。
返信する
momoさん (花耀亭)
2016-09-19 22:23:49
はい、絵も大忙しだったようです(笑)
ちなみに、ピッティのマルタ騎士はまだミラノ出張中かと思われます(^^;(もうそろそろご帰宅かな??)
で、「カラヴァッジョあるところに...」なら良いのですが...う~ん、希望ですかねぇ(^^;;;
返信する
山科さん (花耀亭)
2016-09-19 22:54:13
さっそく、ありがとうございました!! URLのCDジャケットを拝見しましたが、なるほど、カラヴァッジョの《音楽》ですねぇ♪ ♪
曲は山科さんのお気に召さなかったようですが、ジャケ買いしていただき嬉しいです(^^;;
ちなみに、ご存知かもしれませんが、『カラヴァッジョ鑑』(人文書院)の中に「カラヴァッジョの描いた[音楽]」(岡部宗吉)という章があって、当時の音楽について知りました。山科さんはきっとこの辺の音楽がお好きなのでしょうね(^_-)-☆
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。