昔から浮世絵にはあまり惹かれなかった。先の「ホイッスラー展が楽しみ」でも触れたが、面白いと思えるようになったのは近年になってからである。葛飾北斎「富嶽百景」や歌川広重「東海道五十三次」など、今ではその構図の見事さが良くわかるようになった。そんな美術ド素人でさえ凄いなぁと思うのだから、欧州の画家たちが驚いただろうことは想像に難くない。
歌川広重《京橋竹がし》(1857)
ホイッスラー《Nocturne: Blue and Gold - Old Battersea Bridge circa》(1872-75)テート・ブリテン
ホイッスラーも構図に大きな影響をうけていることがわかる。しかし、広重の月明かりの下で行きかう橋上の賑わいや橋下の船人に比べ、ホイッスラーは全てをひっそりと濃紺の諧調に落とし込む。スモッグの空に月はけぶるような淡い光を見せ、月明かりを映す川面に浮かぶ艀は静かな水音をたてているのだろう。屹立する橋脚のデフォルメは画面に緊張感を与え、艀人を危うくカロンに仕立て上げそうだ。いや、もしかしたらテムズ川の彼岸はトゥオネラなのかもしれない。
ホイッスラーとジャポニスムの関連を示す展示コーナーも設けられていたが、興味深かったのは「ピーコックルーム」の映像展示室があったこと。
《陶器の国の姫君》(1863 – 64)フリーア美術館
フリーア美術館のピーコックルームは窓が全て閉じられているのに、この映像では窓や扉が開け放たれた様子を見ることができるのだ。あの息の詰まりそうな耽美的空間が生活空間として機能ができることがわかったのは幸いである(^^;
「ピーコックルーム」(1876-77)フリーア美術館
つくづくピーコックルームの家主だったレイランドさんは偉いと思う。ホイッスラーと絶交した後もあの部屋を使い続けたそうだ。はっきり言って芸術空間としては素晴らしいのだが、実際の居住空間としてはどうかなぁと思ってしまう(^^ゞ。確かに唯美主義は美しく素敵なのだが、カラヴァッジョのリアリズムを好む者としてはどうも居心地が悪いのだ。ごめんね(^^;;>ホイッスラーさん
ということで、最後はかなり端折ってしまったが、「ホイッスラー展」感想文は以上で終了だ。ああ、終わって良かった(^^;;;
歌川広重《京橋竹がし》(1857)
ホイッスラー《Nocturne: Blue and Gold - Old Battersea Bridge circa》(1872-75)テート・ブリテン
ホイッスラーも構図に大きな影響をうけていることがわかる。しかし、広重の月明かりの下で行きかう橋上の賑わいや橋下の船人に比べ、ホイッスラーは全てをひっそりと濃紺の諧調に落とし込む。スモッグの空に月はけぶるような淡い光を見せ、月明かりを映す川面に浮かぶ艀は静かな水音をたてているのだろう。屹立する橋脚のデフォルメは画面に緊張感を与え、艀人を危うくカロンに仕立て上げそうだ。いや、もしかしたらテムズ川の彼岸はトゥオネラなのかもしれない。
ホイッスラーとジャポニスムの関連を示す展示コーナーも設けられていたが、興味深かったのは「ピーコックルーム」の映像展示室があったこと。
《陶器の国の姫君》(1863 – 64)フリーア美術館
フリーア美術館のピーコックルームは窓が全て閉じられているのに、この映像では窓や扉が開け放たれた様子を見ることができるのだ。あの息の詰まりそうな耽美的空間が生活空間として機能ができることがわかったのは幸いである(^^;
「ピーコックルーム」(1876-77)フリーア美術館
つくづくピーコックルームの家主だったレイランドさんは偉いと思う。ホイッスラーと絶交した後もあの部屋を使い続けたそうだ。はっきり言って芸術空間としては素晴らしいのだが、実際の居住空間としてはどうかなぁと思ってしまう(^^ゞ。確かに唯美主義は美しく素敵なのだが、カラヴァッジョのリアリズムを好む者としてはどうも居心地が悪いのだ。ごめんね(^^;;>ホイッスラーさん
ということで、最後はかなり端折ってしまったが、「ホイッスラー展」感想文は以上で終了だ。ああ、終わって良かった(^^;;;
う~ん、なるほどホイッスラーの皮肉とも受け取れますねぇ。当時の現実を見据えていたはずなのに「唯美主義」に走ってしまったのが私的にもイマイチ不満(^_^;)だったので、桂田さん説に同調してしまいそうです。
で、ホイッスラーの風景画と版画は良いですよね!美々しい唯美主義的作品だけでない側面も見せてくれたのがよかったです。
あ、桂田さんもチェックされましたか?>ジュニアガイドの額縁(^_-)-☆
クールベの影響を受けていたあたりで、バイアスがかって観てしまいましたが、唯美主義ってもしかホイッスラー一流の皮肉で先人やアカデミスムのパロディなのでは?! なんて思ってしまいました。風景画と多くの版画がとくに見応えがあり、今までのホイッスラーのイメージが変わりました。
あ、あとジュニアガイド、いいですね。ジュニアガイドにしかない情報もあって、あなどれません。
momoさんはまだイタリア滞在中だったのですね!コメント、Grazie♪
多分欧州で一番有名な日本人画家は葛飾北斎じゃないでしょうかね(?)
画家って、何かしら誰かのマネをして、そのうち自分のスタイルを確立すると、また誰かがそのマネをする、ような気がします。
マネされるということは、それだけ優れているんだと思うと、浮世絵って凄いかもです。
で、私も「深川の雪」を観たいです!仙台に来てくれないかなぁ(多分無理だろうなぁ)。
あ、ウフィッツィで「バッカス」観ましたね♪私もアレは鬘のように思えます(笑)
最初はマネから入る(笑)
浮世絵は最近こそちょっと感心を持つようになりました。どちらかと言うと、昔、某お茶漬けの素に浮世絵のガードが入っていた…くらいの知識しかありません(笑)
深川の雪…でしたっけ?…は観てみたいですね♪
カラバッチョのバッカスはどうしても日本の鬘をかぶっているように見えるのは私だけでしょうか?
笑