花耀亭日記

何でもありの気まぐれ日記

初期の満谷国四郎を日本のカラヴァッジェスキと言いたい(^^;

2021-04-29 17:20:48 | 日本美術

サクッと立ち読みした芸術新潮 5月号」の特集は「福富太郎」伝説だった。どうやら、東京ステーションギャラリーで「コレクター 福富太郎の眼 ― 昭和のキャバレー王が愛した絵画」展が開催中のようだ。ちなみに、現在はコロナ禍のため休館中である。

http://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/202104_fukutomi.html

「芸術新潮」の特集ページを捲っていると、満谷国四郎《軍人の妻》が目に飛び込み、ああ、やはり満谷の初期作品はカラヴァッジョ的だなぁ、と思ってしまった。

満谷国四郎《軍人の妻》(1904年)福富太郎コレクション資料室

写真を見ると、涙を宿す妻に注ぐ右全方からの光、妻の抑えた悲しみを映し出す白の半襟と黒の喪服、遺品を受ける白布の反射光、そして軍帽を映す軍刀の精緻な描写...。満谷はキアロスクーロを用い、その佇まいを哀しくも美しく浮かび上がらせている。

以前、山梨県立美術館「夜の画家たち」展の感想を書いた時、満谷国四郎《戦の話》について触れた。

https://blog.goo.ne.jp/kal1123/e/dbfff464192556b1cfcc00b191af757d

満谷国四郎《戦の話》(1906年)倉敷市立美術館

驚くことに、カラヴァッジョ《聖マタイの招命》を想起させる明暗の効果であり、画面構成であり、満谷はカラヴァッジョ作品を観たのではないか?と疑うほどだった。

カラヴァッジョ《聖マタイの招命》(1600年)サン・ルイジ・デイ・フランチェージ聖堂(ローマ)

今回の《軍人の妻》を見ても、やはり、満谷の初期作品にはカラヴァッジョ的なものが色濃く満ちているとしみじみ思う。美術ど素人の暴言かもしれないが、私的に、初期の満谷国四郎を日本のカラヴァッジェスキと言いたい