花耀亭日記

何でもありの気まぐれ日記

ロンドン・ナショナル・ギャラリー「Lorenzo Lotto Portraits」展のサクッと感想(^^;

2019-03-28 00:16:00 | 展覧会

先に、エルミタージュ美術館のロレンツォ・ロット作品を紹介したが、2018年にプラド美術館とロンドン・ナショナル・ギャラリーで「Lorenzo Lotto Portraits」展が開催された。本国イタリアでもつい2月までマチェラータで「Lorenzo Lotto Il Richiamo delle Marche」展が開催されたようで(Fさん情報に感謝!)、どうやら昨今ロレンツォ・ロットへの関心が高まっているようだ。 

で、私的には去年11月の旅行でロンドン・ナショナル・ギャラリー「Lorenzo Lotto Portraits」展を観ている。感想をサクッとも書いていなかったが(汗)、2015年にはマルケでロット追っかけをしてしまったし、LNG展覧会はロットをきちんと知る良い機会だった。 

展覧会はロットの画家活動の軌跡を追いながら、決して恵まれたとは言えないその生涯を物語ってくれた。私的にもロット終焉の地ロレートを訪れた時の、なにやらやるせない気持ちを思い出してしまったし...。

ロレンツォ・ロット(Lorenzo Lotto , 1480頃– 1556/57) はヴェネツィア出身の画家であるが、仕事を求めヴェネツィア本島を離れトレヴィゾやベルガモ、ローマやレカナーティなどを転々としていたため、ヴェネツィアに戻った時にはティツィアーノ(Tiziano Vecellio, 1488/1490 - 1576) 全盛時代となっており、彼の独特の画風は時代遅れと見なされるようになる。再び、ベネトやマルケ地方を転々とし、最後はロレートの修道院に隠棲し、そこで最後を迎える。

ロットは各地を巡りながら宗教画や地元の富裕層や中間層の人々の肖像画を描いている。今回の展覧会はロットの足跡を追いながらも肖像画に焦点を当てたものだ。描かれたシッター達の個性が絵の中から立ち上る。

ロレンツォ・ロット《若い男の肖像》(1500年)アカデミア・カッラーラ

ロレンツォ・ロット《司教ベルナルド・デ・ロッシの肖像》(1504-05年)カポディモンテ美術館 

私的に興味深かったのはアントネッロ・ダ・メッシーナやデューラーからの影響も言及されていることで、ロットの肖像画の魅力の源の深さが了解された。 

で、少ないものの祭壇画も出展されていた。展覧会の出展作品の数々はプラド美術やLNGの展覧会サイトの動画で確認できる。

プラド美術館「Lorenzo Lotto Portraits」展サイト(動画も英語字幕で見やすい)

https://www.museodelprado.es/en/whats-on/exhibition/lorenzo-lotto-portraits/4efebe6a-ba81-ab76-08b9-83363fb32538# 

ロンドン・ナショナル・ギャラリー「Lorenzo Lotto Portraits」展サイト

https://www.nationalgallery.org.uk/exhibitions/past/lorenzo-lotto-portraits#content 

LNGサイトには今回の展覧会共同キュレターであるJoin Matthias Wivelの講演会動画も出ている(早口but英語字幕あり)。日本でも展覧会に合わせた講演会が多く開催されているが、残念ながら地方在住者には聴講が難しい。ぜひ日本でも動画化し、ネット公開して欲しいと切に願うところだ。>各美術館さま

で、祭壇画なのだが、レカナーティ祭壇画も展示してくれれば良かったのになぁ...と思ってしまった(大型祭壇画は無理だよね)。ヴェネツィア派らしい清冽な祭壇画なのだ。

ロレンツォ・ロット《サン・ドメニコ祭壇画》(1506-08年頃)レカナーティ市立美術館 

レカナーティついでに、マチェラータ「Lorenzo Lotto Il Richiamo delle Marche」展サイトもリンクしておく。

https://mostralottomarche.it/en/#mostra

主にマルケ州に残っている作品を中心とした展覧会構成のようである。ロットを受け入れたマルケは、人々が親切な土地柄だったなぁ